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「お金をためること」「人生で成功すること」に参考になるTEDの動画をご紹介します。心理学者のJoachim de posada(ヨアキム・デ・ポサダ)のプレゼンです。
ポサダ先生は、「どんな人が成功するか」を解明するために行われた、とても興味ふかい実験の話をします。被験者は子供です。「マシュマロ・テスト」「マシュマロの実験」という名前のこの心理テスト、すでに有名なのでご存知の方も多いかもしれません。
そのマシュマロを食べてはいけない
プレゼンのタイトルはDon’t eat the marshmallow! 「そのマシュマロを食べるな!」です。
6分と短めで、ユーモラスな講演なのでお時間のある方はぜひごらん下さい。日本語の字幕が出ます
時間のない方は動画のあとの抄訳に進んでください。
トランスクリプトを見る方はこちらへどうぞ⇒Joachim de Posada: Don't eat the marshmallow! | TED Talk | TED.com
TEDをご存知ない方はこちらで説明しています⇒ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を
Don’t eat the marshmallow! 「そのマシュマロを食べるな!」抄訳
人生で成功するためにもっとも大切なことを発見したのでお伝えします。
スタンフォード大学の心理学者が4歳の子供を部屋に招き入れこう言いました。
「ここにマシュマロを置いておくよ。15分後に私が戻ってきたとき、このマシュマロがまだあったら、もう1つマシュマロをあげるからね」。
こう言って心理学者は立ち去ります。
はたして子供はどうしたか?
3人のうち2人はマシュマロを食べてしまいます。すぐに食べてしまう子もいました。2分後、3分後に食べる子も。14分半のところで食べた子もいました。
3人のうちの1人はマシュマロをじーっと見たり、歩きまわったり、自分の服をもてあそんだりしてがまんしました。
この子たちは4歳にして人生で成功するためのもっとも大切な原則を知っているのです。すなわち、それは「楽しみを先にとっておくこと(ability to delay gratification)、自制心(self-discipline)」です。
15年後、18~19歳になった子供たちをフォローアップしました。マシュマロを食べなかったこどもたちは100%人生がうまく行っていました。
成績がよく、先生といい関係を保ち、将来の計画もあり、幸せな暮しをしていたのです。
マシュマロを食べてしまった多くの子供たちは、そうではありませんでした。大学に進学できなかったり、進学しても成績が悪かったりドロップアウトしたり。よい成績をとっていた子は少しでした。
私はこんなふうに考えました。「ラテンアメリカ系の子供もアメリカの子供と同じだろうか」、と。そこで、コロンビアに行き、4歳~6歳の子供を対象に同じ実験をしたのです。
何が起きたのかお見せしましょう。
[・・・2分54秒~ビデオに子供たちが写っています。あっけなく食べてしまう子たちの後で、ものすごくがまんしている子供たちの映像が映し出されています・・・]
コロンビアでも3人のうち2人がマシュマロを食べ、3人に1人は食べませんでした。
この女の子はおもしろいですね。マシュマロの内側を食べています。つまり、私たちに「食べてない」と思わせて2つとも手に入れようとしたのです。
この子は成功するでしょう。でも要チェックです。銀行とか、レジで働かせてはいけません。
さてこの原則はどんなことにもあてはまります。
たとえば何かをセールスする場合、客が「これ下さい」と言ったとき、すぐに「はいどうぞ」と売ったとしたら、それはマシュマロを食べたことになります。
代わりに「ちょっとお待ちください。これがよい選択かどうか少しお話を聞かせていただけませんか」と言ったなら、もっと売上を伸ばすことができるでしょう。
この実験を韓国でやったら、評判をよび、子供たち向けのマシュマロの本が生まれました。本を使ってこの原則を子供たちに教えたのです。
私たちもこの原則を学ぶ必要があります。アメリカには巨額の負債がありますから。私たちは作っている以上のマシュマロを食べているわけです。
—— 抄訳ここまで ——–
マシュマロを食べたいけどが必死にがまんしている子供たちがかわいいですね。
スタンフォード大学のマシュマロの実験とは?
ここで話題になっている「スタンフォード大学のマシュマロの実験」は1960年代~70年代に行われた有名な実験です。
実験の目的は、子供時代の自制心が、将来の社会的成功と関連があるか知ることです。成長したときの成績(SATの点数)や肥満指数、その他の指標を使って、社会的にどれだけうまくやっているか調べたのです。
この実験は心理学者のWalter Mischel(ウォルター・ミシェル)が始めました。
最初は子供の心理や、子供の自制心の発達を見るための実験だったようです。
初期の実験には、スタンフォード大学の学内の幼稚園に通う職員の子供たちが参加しました。
ミシェル自身の娘も参加。自分の子供や、同僚の子供が参加したので、ミシェルは、その成長した姿を見る機会が多かったのでしょうね。
彼は、マシュマロの実験結果とその後の子供たちの様子に相関関係があることに気づきます。そこで追跡調査をしたのです。
この動画はもう少し大きな子供たちも参加しているマシュマロの実験の様子です。3分27秒。
セルフコントロールを身につけるためには?
自制心があれば、成功する、ということは、この実験結果を見るまでもなく、多くの人は経験としてわかっていますね。
たとえば、ダイエット中「1つぐらいいいや」と思って、チョコレートを食べると、そこからたががはずれることが多いです。禁煙にしても、「1本だけ」「今日だけ特別」と自分を許し、失敗してしまいます。
お金をためることができない人は、将来のためにとっておくことができず、今の楽しみを優先し、給料が入るとほしいものを買ってしまうのです。
生まれつき自制心のある子は、成功するとして、自制心があまりない人はどうしたらいいのでしょうか?
自制心を鍛えるためにできることを4つ考えてみました。目の前のマシュマロを食べないでいられる方法としてこんなのはどうでしょうか?
1.マシュマロから気をそらす、気をまぎらわす
買物ばかりしてしまうのなら、他の楽しみを見つける、というやり方です。他のことで自分を忙しくするのです。
2.マシュマロを食べてしまったあと起こることをつぶさに想像してみる
その誘惑に負けたら、どんなことが起こるのか、想像力を駆使して考えてみます。最悪のシナリオをノートに書くのもいいでしょう。
3.マシュマロを自分の目の見えないところに置く
食べたくても食べられないようにする方法です。
たとえば、買物中毒の人は、クレジットカードをどこかにしまいこむ、解約する、捨てるなどして、物理的にその行動をできなくします。
4.「マシュマロを食べないでいることは楽しいことなのだ」と思い込む
人間の脳は常に快感を求めるもの。そこで、「マシュマロを食べないことが快感なのだ」と思い込むように仕向けます。
たとえば今日一日禁煙できたら、自分で自分にご褒美をあげるなどして、「がまんすること」が楽しいことにつながる方向に持っていきます。
自制心に関するべつのプレゼン⇒セルフ・コントロール(自制心)の秘訣:ジョナサン・ブリッカー(TED)
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ポサダ先生は2005年に、マシュマロ・テストについて “Don’t Eat the Marshmallow Yet!: The Secret to Sweet Success in Work and Life” という本を出していますが、翻訳されていないようです。
ウォルター・ミシェルも “The Marshmallow Test: Understanding Self-control and How To Master It”という本を2014年に出版しました。日本でもその翻訳が、『マシュマロ・テスト:成功する子・しない子』というタイトルで今年の春出版されています。
この本ではテストを受けた子供たちを半世紀にわたって追跡調査しているそうです。54歳ということですね。はたして彼らは成功しているのでしょうか?
オリジナル、翻訳本ともアマゾンのキンドル版で読めますので興味のある方はチェックしてください。
私は、たとえ50歳代で今いちの生活をしていたとしても、まだ逆転できると信じています。自制心を身につけることさえできれば。