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物ごとをネガティブに考えがちな人は、自分で自分の人生をどんどん悪くしています。汚部屋を改善するためには、ポジティブ思考が不可欠です。
実は物の見方は、その人が後天的に獲得した思考のクセによるところが大きいのです。クセなので直すことができます。
この記事では、ポジティブ心理学の第一人者、マーティン・セリグマン教授が指摘している、悲観的な人と楽観的な人の考え方の違いを4つ紹介します。
最初の反応はネガティブでも、その後、「でも、こういうふうにも考えられるよね?」と自分で直してみてください。次第に、前向きに考えることができるようになります。
まず、ポジティブ心理学について簡単に説明しますね。
ポジティブ心理学とは?
ポジティブ心理学は、心理学の一種で、いかにしたら、人が(ひいては社会が)、より健康で幸せな人生を生きられるのか研究する学問です。
人生をよくするための科学的な研究と言えましょう。
今、不幸を感じている人が多いため、ポジティブ心理学は急速に人気を得ています。
従来の心理学は、うつ病などの病気の人を直すことにフォーカスしていましたが、ポジティブ心理学では、ごくふつうの人の幸福度をより高めることにフォーカスします。
悪いところではなく、良いところに、問題ではなく、長所に目を向けるのです。最悪の状態を直すことではなく、良いところを伸ばしていきます。
この学問で研究するのはたとえばこんなことです。
●幸福
●楽観主義と無力感
●マインドフルネス⇒マインドフルネスで実現する。今この瞬間を生きて幸せになる4つの方法。
●フロー状態⇒人を幸せにするのはお金ではなくフロー状態。ミハイ・チクセントミハイ(TED)
●希望
●ポジティブシンキング
など。
ポジティブ心理学は科学なので、大勢の人を対象にリサーチを行い、いくつかの発見をしています。
それによると
●人は一般に幸せである。
●お金は幸せ(ウエルビーイング)をもたらすとは限らないが、人のためにお金を使うと、その人はより幸福になる⇒幸せになるための、賢いお金の使い方(TED)
●仕事は人の幸せに重要な鍵を握る。特に、その仕事がその人にとって意味のあるものなら。
●生まれつき、幸せな人はいるものの(遺伝的な要素)、人は後天的に、楽観主義や感謝する気持ち、利他主義(他人の幸福や利益を第一に考えること)を学ぶことができる。
ほかに、人生で困難なときに出会ったとき、立ち直る方法も見つけています。その一つが、ポジティブシンキングです。
ポジティブ心理学についてもっと知りたい方はこちらの動画もごらんください⇒成功すると幸せになるのではなく、幸せだから成功する~ショーン・エイカー(TED)
では、セリグマン教授の著書、 Learned Optimism: How to Change Your Mind and Your Life(邦題:オプティミストはなぜ成功するか)より、悲観的な人と楽観的な人の考え方が大きく違う4つのポイントをお伝えします。
1.永続的と一時的(時間の捉え方)
英語ではpermanence(パーマネンス、永続性)という言葉で説明されている特徴です。
悲観的な人は、何でも、それがずっと続く、つまり永続すると考える傾向があります。
いくつか本の例を交えて紹介します。何かショックなことがあったとします。
ネガティブな人(以下、N子とします)の反応:私はもう2度と立ち直れない。
ポジティブな人(以下、P子とします) の反応::私はたまたま疲れてるだけ。
ダイエットがうまくいかない時は、
N子:ダイエットは決してうまくいかないんだ。
P子:外食するとダイエットってうまくいかないわね。
友達に無視されたとき、
N子:あの人、私に口をきいてくれない。
P子:あの人、最近、私に口をきいてくれない。
上司に怒鳴られたとき
N子:なんて嫌な上司なの。私、上司運ないな~。
P子:上司は今日は虫の居所が悪かったみたいね。
悲観的な人は、何か悪いことが起きると、それは今後もずっと続くんだと考えてしまいます。
「いつも」「もう決して」「二度と」という副詞を勝手につけて、状況を判断してしまうのです。
汚部屋の人も、「私は一生汚部屋なんだ」と思いがちです。
しかし一生続くことなんてそうそうありません。
そこで、「もうだめだ(終わった)」と思っても、そのあと、「ときどき」「たまたま」「最近」「今は」という副詞をつけて考え直してください。
ちなみに、悲観的な人は、何かいいことがあると、今度は逆に、それは一時的なこと、たまたまそうだった、まぐれだ、と考える傾向があるそうです。
数学のテストでいい点をとったとします。
N子:今日はたまたまついてただけ。まぐれよ。
P子:私は数学の才能があるんだ。
こんな感じです。
2.全体か一部か?(スペースの捉え方)
2つめの特徴は、英語では pervasiveness (パベーシブネス 広汎性)と呼ばれます。あるできごとが、自分の人生全体に渡って影響を与えるか、ごく一部に影響を与えるかの違いです。
本では会社を首になった2人の話が出ていました。
ある企業で、大々的なリストラがあり、ある部署の半分が解雇されたのです。
そのうちの2人、P子とN夫はうつうつとした状態になってしまいました。
ともに、何ヶ月たっても仕事を見つけることができなかったし、前職のことを思い出させるようなものは避けていました。
しかし、P子(楽観的な方です)は、それまでどおり、家庭では優しく、夫をサポートする妻でいたし、人付き合いもこれまで通り。趣味の体操なども続け、健康状態も変わりません。
ところが、N夫は、生活全般が打ちのめされました。妻や赤ちゃんに関心を向けないし、ずっとふさぎこんで口を聞きません。
人づきあいもすべてやめて、家にとじこもり、風邪をひいてちっとも治らないので(ネガティブだと免疫が落ちます)、ジョギングもやめてしまいました。
問題や悩みごとがあっても、それはそれとして、箱にしまい、生活のほかの面では、いつもどおり生きていく人がいます。
一方で、たった1つの問題のせいで、すっかり生活が破綻する人もいます。
これは、問題や失敗に対して、普遍的な(ユニバーサルな)説明をするか、特定の(スペシフィックな)説明をするかの違いです。
全体的に捉えるか部分的に捉えるか。1番は時間を全体的、あるいは部分的に捉えていましたが、2番ではスペースを全体か部分で見ます。
もう少し例をあげましょう。
つまらないブログの記事を読んだとします。
N子:ブログはみんなゴミ。ブログは役に立たない。
P子:筆子のブログは役に立たない。
不愉快な目にあったとします。
N子:ああ、不愉快だわ。
P子:◯◯さんは、不愉快だ。
N子は、何もかも全体的に、大げさにとらえて破滅するタイプです。
1番と同じように、スペースの捉え方でも、悲観的な人は、よいことが起きたら、それは部分的だと捉えます。
合コンで楽しい時間を過ごしたとします。
N子:私は、彼には受けがよかったみたい。
P子:私って人気だったわ。
3.希望と絶望の度合い
人が希望を持てるかどうかは、1番と2番で説明した永続的か一時的か、全体か部分かという考え方で決まります。
あたりまえですが、悲観的な人の考え方は、絶望を生みます。
部屋が散らかっているとき、
N子:私は片付けられない女。
P子:たまたま仕事で疲れてる。
夫にひどいことを言われたとき
N子:男はみんな暴君だ。
P子:夫は仕事でストレスいっぱいなんだよね。
胸にしこりを見つけたとき
N子:このしこりがガンの確率は50%。
P子:このしこりが何でもない確率は50%。
何か悪いことが起きても、それがずっと続き、全体に及ぶと考えてしまう人は、希望を持てない人です。つまり絶望します。
逆に、悪いことに対して、それは一時的であり、自分の人生の特定の部分にだけ影響があるんだ、と考える人は、希望を持つタイプです。
4.個人度(内在的説明と外在的説明)
最後は、personnalisation (パーソナライゼーション)です。
悪いできごとが起きたとき、それを自分のせいだと考えるか、他人のせいだと考えるかの違いです。
実は、自分のせいではない、つまり外的要因のせいだ、と考える人のほうが、楽観的なのです。
自分を責めてしまう人(内在的説明をする人)は、自己評価が低くなります。自分は何の価値もない人間なんだ、と思ってしまうのです。
外に説明を見つける人は、自尊心を失いません。自信があるし、自分のことを好きです。
N子(ネガティブな方です):私はバカだ。
P子:向こうがバカなのよ。
N子:私は家事の才能がない(主婦失格)。
P子:たまたま家事が苦手なのよね(主婦よりほかに向いてることがあるのよね)。
この場合もよいできごとに出会ったときは、考え方が逆になります。
昇進したとします。
N子:たまたラッキーだったわ。
P子:私、幸運は絶対逃さないのよね。
試合に勝ったとします。
N子:チームメートにめぐまれたわ。
P子:私のおかげよ。
ただし、これは何でも他人のせいにすればいいということではありません。責任逃ればかりしていると、大人として、誰からも信頼されなくなります。
けれども、もし、うつ状態など、気持ちがすっかりめげているときは、この考え方をしたほうがいいのです。うつ病の人は、必要以上に、自分が悪かった、自分の責任だと考えてしまうからです。
悲観的な人が楽観的になる方法
マーティン・セリグマン教授の、「オプティミストはなぜ成功するか」という本には、自分が楽観的か悲観的かわかるテストがついています。うつ病度のテストもありますよ。
幸せに生きるためには、過度の悲観主義は禁物です。何をやっても楽しくないですからね。
本には、N子からP子へ自己改革する方法も書かれています。
簡単に書くと、困った状況とそれに対する自分の思い込み(感情的な反応)、その後起こった結果を記録していきます。
思い込みのせいで結果が変わってしまうのです。
ポジティブなことを考えれば、ポジティブな結果が生まれ、ネガティブな思考をすればその逆です。
思考が結果を作っていることを、自分で確認するわけです。
これは認知行動療法と似ています⇒認知行動療法(CBT)を使って片付けられない思考を手放す方法。
セリグマン教授の本が役に立ったという読者の声を紹介しています⇒心配や不安でいっぱいの人生から抜け出すには?
自分の思考のクセ(反応)と、それが起こしている現実を客観的に見て、次からは反応を変えていきます。
とりあえずは、よくないできごとをずっと続くことだと考えるのをやめてみてはどうでしょうか?
悲観的な人は、悪いことはいつまでも続き、自分は何をやってもうまくいかないし、それは自分が悪いからだと思っています(こういう考え方をする読者からたくさんメールをいただきます)。
しかし、汚部屋は一時的な現象で、別に自分はそこまで悪くないのです。ちょっと不運だっただけ。
楽観的な人は、たとえ一時的に挫折しても、それは試練だと考えて、よりよい結果を求めて努力します。
P子に近づき、より充実した人生を実現させましょう。