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ネガティブな人に見てもらいたいTEDトークを紹介します。
タイトルは、The Future Will Be Shaped by Optimists (未来は楽観主義者によって形作られる)
著名な編集者でライターの、Kevin Kelly (ケヴィン・ケリー)さんのプレゼンです。
楽観主義が未来を作る:TEDの説明
“Every great and difficult thing has required a strong sense of optimism,” says editor and author Kevin Kelly, who believes that we have a moral obligation to be optimistic. Tracing humanity’s progress throughout history, he’s observed that a positive outlook helps us solve problems and empowers us to forge a path forward. In this illuminating talk, he shares three reasons for optimism during challenging times, explaining how it can help us become better ancestors and create the world we want to see for ourselves and future generations.
「偉大で難しいことはすべて、強い楽観主義を必要としてきました」。こう、編集者で作家のケヴィン・ケリーは言います。彼は、私たちには楽観的になる倫理的な義務があると信じています。
人類の進歩の歴史をたどりながら、彼は、楽観的な見方が問題解決の助けをし、前に進む道を作ることを助けてきたことを説明します。
この目を啓蒙してくれる公園で、彼は、難しい時期に楽観的でいるべき3つの理由をシェアし、楽観主義がどんなふうに、私たちをよりよい祖先にし、自分自身と未来の世代が見たい世界を作るのに役立つか説明します。
動画の長さは10分、いくつか字幕がありますが、日本語字幕はついていないので抄訳を参考にしてください。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
とても共感できるプレゼンです。
楽観的だったから進化できた
きょうは、楽観的でいたほうがいい理由を皆さんに納得してもらおうと思います。
今、楽観的でいるのはとても難しいですね。たくさんの問題をかかえていますから。
気候の変化は解決不能に思えますし、社会の不平等は伝染病のようにはびこっていて、取り除くのは難しい。
しかし、このような大きな問題があるとき、よけいに私たちは、楽観的でなければならないのです。
というのも、過去において、すべての大きくて困難だった問題が解決され、ブレイクスルーが起きたのは、「そうできるに違いない」という強い楽観があったからです。
それが起きると信じない限り起きない
はじめての飛行機を考えてください。
意図的に何かすばらしい物を作りだすことだけでも大変ですが、それが成功する保証は何もありません。
こうなるはずだと思ったからといってそうなるわけではありませんから。
しかし、何かが起きるはずだと信じない限り、それが起きることはないと私たちにはわかっています。
だから、私たちが求めている世界や解決策は、手に入れることができるのだと信じることはとても重要なのです。
不可能なことを実現させるという信念こそが、これまで私たちの未来を作ってきました。
人類の歴史は、基本的に楽観的な人々によって作られてきたし、未来を形作りたかったら、楽観的になるべきなのです。
楽観主義は性分の問題ではない
私たちが作っている世界は完璧な世界ではありません。
問題がないわけじゃない。悪いことがないわけでもない。ユートピアではありません。
むしろプロトピアと呼べる世界です。
その世界は、ほんの少しだけましなのです。
楽観主義は、悪いことよりもいいことが少し多い世界を願う気持ちです。恐れることより希望をもつ理由が少しだけ多い世界。
楽観主義は、物事をよいふうに考える性分ではありません。現実にある問題を見ないことでもないし、ポリアンナのような自己欺瞞でもありません。
むしろ楽観主義は歴史的進化という事実に基づいたものです。
これまでのできごとを受け継ぎ、科学的なデータを理性的な目で見ること。過去500年の歴史を見ると、そこには、すばらしい前進がありました。
これが現実なら、今後もこういうことが起きると見ないではいられないのに、なぜ、こんなにたくさんの人々が悲観的なのでしょう?
悲観的になってしまう3つの理由
悲観的になってしまう理由は3つあると思います。
1つは、ほとんどの進化は、何かが起きないようにしたことだからです。
2歳の子供が天然痘で死ななくてもよくなったこと。農民がたくわえた食料を、強盗に盗まれなくてすむようになったこと。
こうしたできごとはニュースの見出しにはなりません。
悲観的になってしまう2つ目の理由は、悪いことは、よいことより速く起きること。
よいことが起きるには時間がかかります。
私たちが、過去5分と次の5分の内容をニュースで伝えたら、この時間内に起きたことは、たいてい悪いことになるでしょう。
しかし、新聞やウェブサイトを100年ごとにアップデートしたら、今とは違った見出しになるはずです。
3つ目の理由は、毎年社会は、それがこわす分より、ほんの数パーセントだけいいものを生み出していることです。
ほんの数パーセントのいいできごとは、お互いに作用しあいます。
それこそが文明です。
その1パーセントや数パーセントは、よくないできごとのノイズの中でほとんど目立ちません。
過去を振り返らないかぎり見えないのです。
歴史がそう証明している:楽観的でいるべき理由1
500年の進化が、明日、止まってしまう可能性はありますが、そんなことが起きる可能性はとても低いです。
これまで続いた流れが、今後も続くと考えるほうが妥当でしょう。少なくとも、皆さんが生きている間は。
過去の進化の歴史をたどれば、このような楽観主義は、とても現実的な考え方なのです。
これが、私たちが楽観的にならねばならない1つ目の理由です。
お互いの信頼があったから進化した:楽観的でいるべき理由2
楽観的でいるべき2つ目の理由は、文私たちがお互いを楽観的に信頼することによって文明が発展ししてきた事実にあります。
私たちは、赤の他人と協力しあってきたからこそ、さまざまなことを成し遂げてきました。
この共同作業に必要だった信頼は、楽観主義的な思考の1つです。
人類は、地球上にいる80億人の他人と協力するだけでなく、未来の世代の人間も信頼できます。
まだ生まれていない何十億人もの人々です。
今、私たちは、前の世代の人々の仕事の恩恵を得ています。
過去の人々が、道路、高層ビル、電話線などのインフラを作りました。
事実、私たちは、過去の人々より、より多くの恩恵を享受しているでしょう。
前の世代の人々は、私たちの良き祖先として行動しました。時には犠牲もあったでしょう。
眼の前のいいことに飛びつかず、未来の世代が享受できるようにしてくれたかもしれません。
良き祖先になる
私たちも、良き祖先になりたいと思っています。良き祖先となり、未来の世代によいできごとを渡したいと考えるのは、楽観的な行動の1つです。
なぜなら、私たちは未来の世代があると信じているし、未来の人々のために、今すぐ得られるいいことを犠牲にする気もあります。
良き祖先になることで、私たちは、今、個人的にできることを達成するだけでなく、時間をかけて作り上げられるものを達成することができます。
だから、未来を信じるとき、私たちは、「未来の世代は、進化によって今よりいい生活水準を得ているし、今よりもっと問題を解決できる」と信じています。
未来世代の人々は、よりたくさんの知識があり、よりよいツールを持っていますから。
私たちは、未来の人は、今の私たちが解決できない問題を解決できると信じています。
私たちは、今かかえている問題は、思っているよりたいしたことはないと信じているから楽観的になるのではなく、私たちが問題を解決する能力は、自分たちが思っているより大きいと信じているから、楽観的になるべきなのです。
これが、楽観的になるべき2つ目の理由です。
問題とは機会にほかならない:楽観的であるべき理由3
3つ目の理由は、問題は、実は機会が姿を変えたものだということにあります。
楽観主義者は、問題を避けたりはしません。
楽観主義は、問題を大事にします。というのも、問題があるから解決法が見つかり、その解決法は、新たな問題を生み出すからです。
今日、私たちが直面している問題の大半は、過去の問題の解決策でした。
たとえば、気候の変化は、人工的な力を使って過去の問題を解決したことににあります。
過去に問題を解決したことが、新たな問題を生みました。
ということは、今、私たちが問題を解決するためにやっていることの大半は、未来に問題を生み出すのです。
そして、より多くの問題が生まれます。というのも、新しい解決法は、さらに多くの問題を生み出すからです。
同様に、科学的な答えは問いを生みます。1つの回答は、2つから3つの新しい疑問を生むでしょう。
そのときは全く知らなかった問題を。
つまり、奇妙な話ですが、科学は私たちの知識を増やしてくれるスピードより速く、知らないことを生み出しているのです。
だから、私たちは、無限の疑問と問題をもっています。
問題があるから進化できる
しかし、問題は、進化を妨げるものではありません。
問題があるからこそ、進化できるのです。
問題がないところに進化はありません。
だから、私はユートピアは拒否します。ユートピアには何の問題がありませんから。
悪いできごとが起きても、それは、新しい解決法や、よりよい機会を生み出してくれるのです。
この意味で、問題は無限にあり、進歩にも限界がありません。私たちは、あらゆる面で向上できるのです。
私たちは、楽観主義を選ぶことができます。
それは気性ではありません。
どんな気性の人でも、楽観的であることを選択できます。
巨大な問題は、巨大な楽観主義を必要とします。
楽観的でいることは、倫理的な義務なのです。
楽観的であるときに、未来を形作ることができるし、良き祖先になれるし、達成できる範囲を広げることができるし、自分たちより大きなものを作り出すことができます。
これまでの長い歴史にそって、現実的になり、問題を機会だと捕らえることができます。
楽観主義を、私たち求める未来を作り出すパワーとして使えるのです。
これこそが、進むべき道です。
//// 抄訳ここまで ////
*ポリアンナの自己欺瞞:ポリアンナ物語(Pollyanna)という児童文学の小説の主人公、ポリアンナが、ものごとのいい面ばかりを見て、よくないことから目をそらし、問題を解決するための努力をしないこと。
Pollyannaは、スペルを見ると紛れもなくポリアンナ(またはポリアナ)ですが、私が子供の頃に読んだ翻訳本では、確か「パレアナ」と訳されていました。
未来に関するほかのプレゼン
未来の自分が何を求めているかなんて今の自分にはわからない(TED)
人は変わり続ける。未来の自分に対する心理:ダン・ギルバート(TED)
気候変動はもう止められない、こう感じたときにすべきこと(TED)
楽観的な考え方のメリット
私もケリーさんと同じように楽観的であることが、自分を成長させたり、物事を成し遂げたりするときの助けになると考えています。
ネガティブでいると、自己成長も向上もとても起きにくいと思います。
楽観的であるとは要するに、可能性を見ることであり、たっぷりあるマインドにほかなりません。
たっぷりあるマインドとは?⇒「足りている」「充分」と思うと、本当に心身・経済ともに豊かになれるのか?←質問の回答。
可能性を見ることができれば、自分もほかの人の成長も信じることができます。
成長マインドとは?⇒自分の能力を自分で見限ることの恐ろしさ、できると信じることの素晴らしさ(TED)
自分が成長できると信じない限り、人は成長につながる行動をしませんよね。
人類の未来のために楽観的でいるべきかどうかは別にして、ふだん自分が個人的にやっている生活において、もっとこんなふうにしたい、こんな人生にしていきたいと思うことがあるなら、楽観的でいたほうが絶対にいいです。
断捨離や節約においても、失うことや失うもの、できないこと、足りないものを見るのではなく、これから手に入れられるものや、解決できる問題のほうを見ると、もっとうまくやれると思います。
絶望は愚か者の結論と言いますが、どんな状況になっても、楽観的になって希望や信頼を持ち続けるほうが、自分のためです。