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1日の多くの時間を心配ごとにあてており、その状態を改善したい人におすすめのTEDの動画を紹介します。
タイトルは The Power of Zero Tolerance(ゼロ・トレランスのパワー)。プレゼンターは、 Isabelle Mercier(イザベル・マルシエ)さんです。
「これを捨てるとあとでいるかもしれないから捨てない」「後悔しそうだから、捨てない」「継続できるかわからないから始めない」「断ると嫌われそうだ」などなど、人はそこまで深刻でないことも心配してしまい、やりたことを始められないことがあります。
こうした、細々とした心配ごとに押しつぶされない方法を教えてくれるプレゼンです。
The Power of Zero Tolerance TEDの説明
95% of North Americans either go to bed or wake up worrying about something. Yet, worrying is the #1 killer of creativity, performance and dreams.
When revolutionary brand strategist Isabelle Mercier-Turcotte discovered “What we tolerate we worry about,” she realized a little structure brings a lot of inner flexibility and freedom. The result is her simple yet powerful model to help you instantly decrease worry and increase peace of mind.
北米人の95パーセントは、寝る前か朝起きるとき、何か心配ごとをしています。
創造性やパフォーマンス、夢を殺してしまう1番の理由が心配すること。
革新的なブランド戦略の専門家である、イザベル・マルシエ・トュルコットは、「何かを許容してしまうから、心配ごとが起きる」ということを発見し、ちょっとした考え方のコツを使えば、柔軟で自由になれることに気づきました。
彼女のパワフルなやり方を用いれば、すぐに心配ごとが減り、心の平安が得られます。
タイトルの Zero Tolerance は、日本では「ゼロ容認」と訳されているようです。「ゼロ容認」は、法律や決まりを適用するとき、例外はいっさい認めないというきびしいルールのことです。
このプレゼンでは、自分の意に沿わないことにいっさい妥協してはいけない、という意味で使われています。
動画は20分ほど。英語字幕あり。日本語字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
イザベルさんはとてもゆっくりと、ジェスチャーを交えて話しています。ジョークもいっぱい入っていますが、抄訳ではカットしています。
TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
9歳のとき心配で心が押しつぶされそうだった
大半の人が毎日使っている5語の言葉があります。
それは、創造性、個性、パフォーマンス、そして夢を殺してしまう力を持っています。
その言葉とは、worry(心配)です。
1980年の私は、はじめて心配にさいなまれていました。
[写真を見せて]これは9歳の私です。ファッションセンスに難はありますが、とても元気そうです。
ところがこの頃、私はすごく心配していたんです。
ありえませんよね? 9歳なんですから。
家はあるし、住宅ローンの支払いの心配はない。食べ物もあるし、好みの色のカラーペンがペンシルケースに入っていました。
両親は私をすごく愛してくれていたし。
ところが、1週間、私はすべてのエネルギーをそそいで、1人の少女を避けていたのです。
ステファニーという名前のいじめっ子です。
ステファニーは私に、私の真価を証明するために、角の店からタバコを一箱盗んでこい、と言いました。ノーと言いたかったけれど、断ったらどんなことになるのか考えてしまい、彼女を避け続けていたのです。
それはそれは苦労しました。誰もステファニーと問題を起こしたいとは思いません。彼女は学校で一番のいじめっ子だし、私の友だちグループのリーダー格でしたから。
いくじなしだと思われたくなかったし、彼女の命令に逆らったら、人生が終わってしまうと思っていたのです。
自分の本当の気持ちを言わないと失うものがある
とうとう家に電話がかかってきました。
私は母に、「ママ、言ったとおりにしてね。私はここにいないから」とサインを送りました。
母は電話に出て、驚いたことに、「ちょっと待って、ステファニー、イザベルと代わるから」と言うではありませんか。
母は私に受話器を渡し、「イザベル、どうしてこんなことをしているの? 自分の本当の気持ちを伝えるのを恐れるのはやめなさい。やりたくないことを断らなかったら、自分がやりたいと思うことに使う時間とエネルギーがなくなってしまうのよ」と言いました。
このとき、自分の人生が永遠に変わりました。
私は勇気をふりしぼって、ステファニーに「ノー」と言いました。その後、私の世界が破滅することはありませんでした。いえ、むしろ、広がったのです。
このことがあってから、私はなぜ人は心配するのか、どうしたら心の平安を得られのるか考えるようになりました。
そして、おもしろいパターンに気づきました。心配ごとを引き起こしてしまう最大の要因を見つけるのに役立つパターンです。
すなわち、何かを我慢すると、それについて心配することになるのです。
いま、容認していることについて、人は心配するわけです。本当はノーと言いたい時にイエスと言ってしまうのは、何かを許容することです。
何かをしぶしぶ許すと、遅かれ早かれそれが心配ごとに変わります。
心配するに足る心配はほんの少し
北米に住む人のうち、95パーセントが、毎日寝るときか、目覚めたときに心配しています。みな、プロの心配屋(worryaholics ウオリーホリックス;心配ばかりしている人)なのです。
ところが、私たちが心配することのうち40パーセントは実際には決して起きません。これって、自分の所有していない家の頭金の40パーセントを支払うようなものです。自分は住まない家にお金を払っているのです。
心配ごとの30パーセントは、もうすでに起きてしまったことに対するものです。
12パーセントは、健康に関する不必要な心配です。たとえば、頭痛が3日続いたとき、脳腫瘍かと心配してしまうようなことです。Googleで調べると、脳腫瘍という診断が、余命6ヶ月になったりします。
10パーセントは、ささいなことがらです。夕食の献立とか、TEDトークにどんな靴を履いていくか、とか。
残りの8パーセントだけが、心配するべき心配になります。8パーセントです。つまり、心配ごとのうち92パーセントは、完全なナンセンスというわけです。
このナンセンスなできごとのせいで、ベストを尽くせないだけでなく、自分らしく生きることもできないのです。
もし、この92パーセントの心配に注いでいるエネルギーを別のことに使ったらどうなるでしょうか?
もっとポジティブな何かに。
無駄な心配をしない4つの方法
私自身、以前はかなりの心配症でした。私は、人はみな、より幸せになり、心穏やかな生活をすることを求めて、旅をしていると考えています。
そこで、92パーセントの不用な心配にかけるエネルギーを別のことに使い、心配のワナから素早く抜け出す簡単な方法を編み出しました。
この方法は名付けて、HERO(ヒーロー)フォーミュラです。
H Hush 黙らせる
まず、頭の中にある心配する声を黙らせます。そうすれば、自分が本当にやりたいこととつながることができます。
自分が心から信じていること。絶対ゆずれないこと。どこまでならOKで、どこからがだめなのか。
E Evaluate 価値を見極める
自分の人生で、どんなことや、誰を容認しているのか、考えてみてください。
スケジュールでびっしりの忙しい毎日でしょうか。世話の焼けるクライアントかもしれません。消えかかってる電球、ある特定の家族にがまんしている人もいるでしょう。
もしかしたら、自分自身のことを我慢しているのかもしれません。
R Ritualize 儀式化する
最良の自分になれるような日々の習慣を作ります。各界で成功している人たちは、みな、ごくシンプルな毎日の儀式のような習慣を持っています。
午後3時以降は仕事をしない、とか。
毎日、インスピレーションを得る時間、この時間を私はミータイム(me time 自分自身のための時間)と呼んでいます。
もちろん、すべての習慣がよいものとは限りません。朝起きて1時間以内にメールチェックをするのはよくありません。こうすると、その日のパフォーマンスが27パーセント落ちます。
あなたはどんな儀式を持っていますか? 子供が起きる前にする早朝の散歩、寝る前のお風呂? 出勤する前に、やる気の出るTEDトークを見ること?
心配するかわりに、幸せで、健康で充実した暮らしをするために、あなたは毎日、どんなことを定期的にしていますか?
O Own 所有する
最後は own です。知識を得るだけではだめで、それを自分自身のものにする必要があります。
自分の信じるもの、絶対譲れないものを自分自身のものにします。
何を心配するか、自分の責任で選ぶのです。いまから、心配ごとを引き起こすできごとや人々、習慣を容認するのをやめましょう。
覚悟や勇気のいる選択です。好きな人に、ノーというのは簡単ではありませんから。でも、そうすれば、心が自由になります。
仕事のあとジムに行くのは楽ではありませんが、行けば元気になります。ほかの人を大事にするように、自分のことを大事にするのは、簡単ではありませんが、そうできれば、見返りは大きいです。
心配する時間をスケジュールに入れる
今度、何かを心配し始めたら、まず、92パーセントの心配は、時間とエネルギーの無駄だということを思い出してください。
次に、HEROフォーミュラを使ってください。だまらせて、見極めて、儀式をして、所有します。
そしてこう自分に問いかけてください。
今、私は何を容認しているのか? いったい誰のことをがまんしているのか?
調子が悪くて、HEROフォーミュラをつまく使えないときのために、代替案をお伝えしましょう。
心配する日をスケジュールに入れてしまうのです。私の友だちは、金曜日を心配する日に決めています。
心配ごとが思い浮かんだら、彼女は、「ちょっと待って、これって92パーセントに入るかしら? そうねえ、金曜の午前10時から10時半にこの心配をしよう」と考えます。
馬鹿げた考えに聞こえるかもしれませんが、いざ金曜日が来ると、彼女の心配ごとの大半は消え去っているのです。
最近、9歳の私に母が受話器を押し付けたのと同じことを母にする機会がありました。
「お母さん、本当のことを言うのを恐れちゃだめ。やりたくないことにノーと言えないと、本当にやりたいことをする時間やネルギーは、永遠に手に入らないわよ」と。
最後に皆さんに質問します。もし今、何か物ごとを容認していたり、誰かのことを我慢していたら、あなたは心配することを選びますか? それとも、ヒーロー(HERO)になる方を選びますか?
//// 抄訳ここまで ////
単語の意味など
tolerance 忍耐、我慢
LとRが入っていて、日本人には発音しにく言葉です。トレランスとカタカナ書きされることが多いようですが、アクセントは最初のAにあり、Lの次のeはほとんど発音されない音なので「トレランス」とひとずつモノトーンで言うと通じません。
Lの次のEは発音しないほうが通じると思います。つまり、LのあとダイレクトにRを発音します。
prove one’s worth 自分の真価/価値を証明する
wuss いくじなし、弱虫
livid 激怒した
implode 崩壊する、破裂する
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自主的に動けば心配ごとが減る
何かを我慢しているから、それが心配ごとになる。
言われてみるとそういうことは多いかもしれません。ノーと言えないことがストレスになるのは典型的な例です。
さっさと断ってしまえばラクになれるのに、断らないから、うまい断り方はないか考えたり、いらない物を押し付けられ、ストレスを感じたりします。
断らないから発生する問題の一例⇒義理母が余計なものをくれる問題の解決法は、きっぱりノーと言うことに尽きる。
こちらも同じ問題です⇒もらい物を断れない性格を直せば、シンプルライフが加速する。その方法とは?
要するにストレスや心配ごとの要因のかなりの部分が、自分の行動から生まれているのです。「自分の責任だ」と認めて、自主的に対処していくことで、その後のストレスはかなり軽減すると思います。
動画で語られていたように、「自分が選んでいる」という視点に立つのは、勇気がいるし、きつい部分も多いものです。しかし、状況や他人が変わるのを待つより、早く解決に近づきます。
何より、自主的に動くと、それが自分に力を与えてくれます。
心配することが多い人は、イザベルさんのHEROフォーミュラを使いつつ、自主的な解決の道を探ってみてください。
実際に行動を起こしてみると、「心配するほどのこともなかった」と思うことも多いです。
断捨離中の心配への対応法
断捨離中に、いろいろ心配や不安を感じるときは、はたしてその心配は有用ななものかどうか考えてみてください。
心配の中には、建設的なものと、イザベルさんが言っていたナンセンスなものがあります。
人が先のことを心配するのは、身の安全を守るため、もう終わったことについて考えるのは、起きたことから学んで次に活かすためでしょう。
では、断捨離のさいちゅうに、「これを捨てたら、あとで必要になるかもしれない」「持ってれば、また使うかもしれない」と捨てたあとのことを心配するのは、いったい何のためでしょうか?
私は、「単に捨てたくないから、都合のいい言い訳を作っている」と考えていますが、そうじゃない人もいるかもしれません。
今度、「あとでいるかもしれない」という不安を感じたら、それは92パーセントの心配に入るのか、その心配ごとをすることで、自分が得たいと思っているゴールは何か考えてみるといいですね。