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TEDの動画

幸せになる秘訣は目の前のことに集中すること(TED)

充実した人生を送る参考になるTED動画を紹介しています。今回は、「幸福」についてリサーチしている、マット・キリングワースの、Want to be Happier? Stay in the Moment(より幸せになりたいの?今、この時にフォーカスしなさい)というプレゼンを紹介します。

邦題は「幸せになりたい?目の前のことに集中しましょう」です。



「幸せになりたい?目の前のことに集中しましょう」のTEDの説明

When are humans most happy? To gather data on this question, Matt Killingsworth built an app, Track Your Happiness, that let people report their feelings in real time. Among the surprising results: We’re often happiest when we’re lost in the moment. And the flip side: The more our mind wanders, the less happy we can be.

人はいつ最も幸福なのでしょうか?この質問に関してデータを集めるために、マット・キリングワースは「トラック・ユア・ハピネス(幸福度を追跡する)」というアプリを作り、リアルタイムで人々の気持ちを報告させませした。

その結果、驚くべきことがわかりました。私たちは、その瞬間に集中しているとき、もっとも幸せなのです。逆に言うと、気持ちがほかのことにそれていればそれているほど、私たちは不幸になってしまうのです。

動画は10分ほどです。日本語字幕が出ます。英語や字幕なしにしたいときはプレイヤーを調節してください。

動画のあとに要約を書きます。

☆トランスクリプトはこちら⇒Matt Killingsworth: Want to be happier? Stay in the moment | TED Talk | TED.com

☆TEDの説明はこちらです⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

何が人を幸福にさせるのか?

人が人生に1番求めているものは「幸福」ですね。アリストテレスは「幸福」をthe chief good (最高の善)と呼びました。すべての物が到達しようとする場所です。

大きな家、いい車、いい仕事、こうしたものそのものに価値があるわけではないのです。人は、こういう物が自分を幸せにしてくれる、と期待しています。

過去50年、アメリカ人は望んでいたものをたくさん手にしました。豊かになり、寿命も伸び、数年前まではSFの世界にあったようなテクノロジーも手にしています。

ところが暮らしの質はすごく向上したのに、人は幸福にはなっていません。

そのため、近年「幸福」について関心が高まっています。

人は長いあいだ、何が人を幸せにさせるのか、議論してきましたが、未だに答えがわからないのです。

この質問に、科学的な方法で答えを出せるのではないかと思っています。ここ数年、幸福に関する研究がずいぶん行われています。教育、性別、婚姻状況が関係あるのか、リサーチされましたが、どうやら関係ないのです。

お金はないよりあったほうがいいし、大学をドロップアウトするより卒業したほうがいいのですが、「幸福度」という点からみるとあまり変わりません。

何が人を幸福にするのでしょうか?

タンポポ

幸せのひと時

iPhoneを使って人の幸福度を調べた

この答えは出ていませんが、その時の人の体験に関係があるのでは、と私は思います。

私たちが何をしているのか、誰と一緒にいるのか、何を考えているのかということは、人の幸福に大きなかかわりがあります。けれどこういう要素を一つ一つ研究するのは不可能です。

数年前、人のその時々の幸福度を研究する方法を思いつきました。rackyourhappiness.org というサイトを作り、iPhoneを使って人の幸福度をモニターするのです。

日々の適当な時間にシグナルを送り、人がそのとき体験していたことについてたくさんの質問をします。

1日単位で、時には分ごとに、人の幸福度のアップダウンを観察し、何をしていて、誰といて、何を考えている、その他の要因がそのアップダウンにどんなふうに関係があるのか調べるのです。

幸いなことに、1万5千人を越える人から,65万以上のリアルタイムのデータを得ることができました。単に人数が多いだけでなく、年齢は18歳から80歳、収入や教育程度、婚姻状況などに関しても、ずいぶん違う人たちから提供してもらいました。

80カ国以上の国の、86以上の職種の人たちのデータです。





他ごとを考えるのはいいことか、悪いことか?

私たちが調査した領域の1つに「気が散っているか(mind-wandering)」というものがあります。

人間は、その瞬間起きていることから、気をそらすことができるというユニークな能力があります。パソコンに向かいながらも、先月の休暇のことや、夕食に何を食べようかなんて考えるのです。そのうち禿げてしまう、なんて心配をしたり。

この、目の前のこと以外のことを考える能力は素晴らしいです。この能力のおかげで、私たちは、学んだり、計画したり、判断するのです。

ただ、この能力を使うことと、幸福度の関係は明らかになっていません。

「目の前のことに集中しなさい」という、忠告は何度も聞いているでしょうね。真に幸せになるためには、その瞬間の体験に、完全に没頭する必要があるのかもしれません。

気が散ることはよくないことだ、という人たちは正しいのかもしれません。

一方で、別のことを考えている時、私たちは自由です。目の前の物理的な現実は変えられないけれど、心の中ではどこにでも行けます。

人はより幸福になりたいのですから、より幸せな場所に行こうとしているのかもしれませんね。それはあり得ることです。

つまり、目の前のことから意識をそらし別の楽しいことを考えると、より幸せなのかもしれませんね。

目の前のことに集中していないと幸福度がさがる

私は科学者ですから、この議論をデータを使って解明してみます。トラックユアハピネスを使って得たデータです。

私はみんなに3つの質問をしました。
1.今の気持ちは?「とてもひどい」から「とてもいい」で選んでもらいました。

2.今、何をしていますか?これは食べている、働いている、テレビを見ているなど22のアクティブティから選んでもらいました。

3.今やっていること以外のことを考えていますか?答えはイエスかノーです。そして、考えていることを、「楽しい」「ふつう」「不愉快」の3つから選んでもらいました。

この結果、わかったことは?

[スライドにグラフが表示されます]

このグラフの縦軸は幸福度です。左は目の前のことに集中していて、よそごとを考えていない時の幸福度です。

リサーチの結果、人はほかごとを考えているとき、幸福度が大幅に下がるとわかりました。

あなたはこう考えるかもしれないですね。「なるほど、人はよそごとを考えていると幸福度が下がるけど、楽しくないことをやっているときは、もっと楽しいことを考えているのではないか」、と。

それが違うのです。人は何をやっていようと、目の前のことに集中していないと幸福度が下がるのです。たとえば、みんな通勤はさほど好きではありません。ところが通勤しているときに、他のことを考えるより、通勤に集中すると、ずっと幸福度があがるのです。

びっくりですよね。

集中できないとネガティブなことを考えてしまう

なぜそうなるのでしょうか?大きな理由の1つに、気が散ると、人は不愉快なことを考えてしまう、ということがあります。不愉快なことを考えると、いきなり不幸になってしまいます。心配したり後悔したりすると。

また、ニュートラルなことを考えていても、気が散っていないに時に比べると、幸福度がずいぶん下がります。

また、別のことを考えながら、それが「楽しい」と答えた人ですら、目の前のことに集中しているときより、幸福度が下がっていたのです。

集中しないとより不幸だ、と言えそうです。しかし、不幸だから、集中できない、という可能性もあります。こっちのほうがありそうですが。

どちらが正しいのでしょうか?

時間は前に進んでいる、という事実には誰もが同意しますよね。後ろには戻りません。ということは、原因は、結果より先に来ます。

今回たくさんのデータを得られたので、気が散るから不幸になるのか、不幸だから気が散るのか判定することできます。

実は、今、気が散ると、直後に不幸になるのです。つまり、不幸になる原因は、目の前に集中していないことなのです。

逆に今、不幸であることと、気が散ることには関係がありませんでした。つまり、他事を考えることは、不幸の原因である可能性がとても高いのです。

どのぐらいの頻度で人は他のことを考えるのか?

人が他事を考える頻度はどのぐらいなのでしょうか?実はひじょうに高い頻度で他のことを考えてしまいます。

人は、47%の時間、今やっていること以外のことを考えています。この頻度は、何をやっているのか、ということと関係があるのでしょうか?

これは22のアクティビティ(行動)の最中、どのぐらい他ごとを考えているか、示したものです。シャワーや歯みがきをしているときは65%、仕事をしている時は50%、運動中は40%。何をしていても、30%の時間は他ごとを考えているのです。

目の前に集中しているかどうかが、幸福度を決める大きな要因なのです。

この研究を進め、人を本当に幸福にさせるものをつきとめたいと思っています。科学的に幸福について理解して、より豊かに健康になるだけでなく、皆さんがより幸福になれるようにしたいと思っています。

—- 抄訳ここまで —-

マット・キリングワースは、ハーバード大学で、以前プレゼンを紹介したダン・ギルバートのもとで博士号を取るためのリサーチをしているときに、この幸福度を追跡するアプリを作ったそうです。

ダン・ギルバートも人の幸せについてプレゼンしました⇒私たちが幸せを感じる理由~制限がある方が幸せ?ダン・ギルバート(TED) 彼は、人は前頭葉皮質で、幸せは作ることができる、と言っています。
自由な気分

日々のタスクには集中したほうが幸せになれる?

マットさんのプレゼンはとても興味深いのですが、本当なのかな?と思う部分もありました。

人はどんなことをやっていても、それに集中していないと幸福度がさがるそうですが、世の中には歯みがきや仕事よりいやなことってありますよね?

たとえば、誰かと言い争いをしていたり、ケンカをしていたり。言い争いしてるときって、そのことにすごく集中していると思いませんか?

「夕食、何食べよう」なんて思いながらののしり合う人っていませんよね。そして言い争いが終わったあと、ハッピーになる人っていないですよね?

まあ、こういうのは衝動で、行動ではないのかもしれまえん。

このプレゼンはあくまで、日常生活において一般の人々がする行動に関しての研究なのでしょう。

それにしても「通勤に集中」って、どうやればいいのでしょうか?

よそごとを考えると不幸になる?

「他ごとを考えるから不幸になる」という順番も本当にそうなんだろうか、と思ってしまいました。他のことを考え始めると、ネガティブなことを考えてしまいがち、というのは多いに納得できるのですが。

ですが、もともと何か心配事があって、そのことに集中できない、ということもあるのではないか、と思うわけです。そういうときは、ご飯を食べていても、その心配事で頭がいっぱいになっています。

よって、基本的に、まあまあ幸福な状態じゃないと、目の前のことに集中できないと思うんですよね。

ただ、不幸のどん底にいるとき、頭を真っ白にして、何か別のことをやると気が晴れる、ということもあります。

何も考えたくないから、半ば現実逃避として仕事に打ち込む人もいます。

人の感情はとても複雑ですね。

私は、「不幸な気持ち」というのは、たぶんに脳の考え方の癖である、と思っています。だから、このようなリサーチ結果を頭の片隅に入れて、自分の考え方のパターンに意識的になるのはいいことだと思うのです。

いずれにしても、私たちの幸福は、たくさんの物を持つことや、大きな家に住むことから得られるわけではない、というのは明らかです。ことはそんなに単純ではないのです。





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