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TEDの動画

最終更新日: 2021.11.7

習慣を科学的に説明してみると(TED)

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どうやって習慣ができあがるのか、わかりやすく説明しているTEDの動画を紹介します。

タイトルは、The Science of Habits (習慣の科学)

認知神経科学のリサーチャーである Marco Badwal (マルコ・バドウォル)さんのスピーチです。



習慣の科学・TEDの説明

Marco is currently a full-time research scholar at Harvard University. The aim of the research is to help us to better understand learning and memory. Marco talks about the building and implementation of habits and their benefit to “get a bit better every day”.

現在、マルコはハーバード大学でフルタイムの研究員をしています。研究の目的は、人々が、学習と記憶について、理解することを助けること。

マルコは習慣を作ること、それを実践すること、毎日少しずつよくしていくメリットを語ります。

収録は2017年の12月、動画の長さは、16分。自動生成の英語の字幕があります。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

16分ありますが、同じ内容を何度も繰り返しているので、情報量はそんなに多くありません。

これまでTEDの記事や、習慣づけに関する記事をよく読んでいる人には、理解しやすい内容です。





遊び人だった自分が変わった

これは7年前の私です。

高校を出たばかりで、どんな人生を生きようかなんてことは何も考えていませんでした。

成績はよかったのですが、私が得意だったのは、パーティに興じることや、だらだらすること、かっこいい男性になろうとしていました。

だから、満足はしていなかったのです。自分がからっぽで、浅い人間に思え、みじめでした。

しかし、南アフリカで勉強を始めてから、私は少しずつ変わり、人生について考えるようになりました。どんな人間になりたいか、どんな人生にしたいか。

これは、それから3年後、大学を卒業したとき父親と撮った写真です。これは、その2年後、1週間前に、今リサーチをしているハーバード大学で撮った写真です。

今は、とても幸せに暮らしています。

パーティ好きから、今の自分になるまで、いったい何が起きたのでしょうか?

人は習慣の生き物

この質問の答えを言う前に、一見関係なさそうな話をしますが、最後につながります。

習慣の話です。

私たちは、習慣の生き物ですよね。

南カリフォルニア大学のリサーチャーである、ウエンディ・ウッドは、日々の行動の40~45%は習慣によるものだと発見しました。

行動のほぼ半分が、習慣によるものなのです。

例をあげましょう。

朝起きる時間。私はとても早起きですが、何時に起きるかは習慣です。

パソコン・ゲーム。

かつての私の習慣でした。高校から戻るとすぐにパソコンでゲームをしていました。とてもまずい習慣です。

スマホ(携帯電話)。

1日に何回、スマホを取り出して、メッセージや通知をチェックしますか? これも、習慣です。

車の運転もそうです。ファストフードを食べること、これは不健康な習慣で、週に数回運動をすることはとてもいい習慣の一つです。

ほかにもたくさん習慣があります。

習慣になっていることは無意識にしてしまう

習慣とは、毎回同じ状況や環境において、無意識に繰り返される行動です。

これまで何度もしていて、特に注意は払っていないのに、何かをしてしまいます。

習慣は、通常、あるきっかけを受けて行われます。たとえば、定期的に特定の人に会うなど、自分がよく遭遇する環境がきっかけになります。

習慣になっていることをすると、報酬があります。ドーパミンが分泌されることなら、チョコレートを食べる、ちょっと休憩するなど、何でも報酬です。

ドーパミンは神経伝達物質で、これが分泌されると、「ああ、これは楽しい、私は、これが好きだ」と思えます。

スマホで通知を受け取るたびに、ドーパミンが分泌されます。

フェイスブック、インスタグラム、スナップチャットを見るのが習慣になるのは、ドーパミンが出るからです。

きっかけ⇒行動⇒報酬を、習慣のループと呼びます。

ドーパミンの分泌という報酬があるので、また同じことを繰り返します。

集中する習慣を身につけるために

実例として私が身につけた習慣の話をしますね。

TEDトークの依頼を受けたとき、私は、修士論文を書いていて、さらにハーバードで研究をしていたし、ある会社のために、パートタイムで働いてもいました。

しなければならないことがたくさんあり、生産性をあげるべきなのに、気を散らすものがたくさんありました。ソーシャルメディアです。

そこで、集中できるきっかけを作ってみました。フォレスト(Forest)というアプリを使ってみたんです。

木の苗を植えて、スマホにさわらずにいるとその時間に応じて、だんだん木が育ちます。

私が集中するきっかけは、スマホを機内モードにすること。その後、仕事に集中しました。すると、木が育って、1日の終わりには森になっっているんです。

このプロセスを、私は、「ディープ・ワーク・ハビット(深く集中して仕事をする習慣)」と呼んでいます。

数週間、この行動を何度もしているうちに、私の脳の仕組みが変わりました。

脳の中で新しい神経回路ができる

ここで人の脳を見てみましょう。

何かを何度も何度もやるうちに、脳の中で変化が起きるんです。

わかりやすくするために、シンプルな脳の絵を見てください。

ディープ・ワーク・ハビットを、1~2週間行うと、こんなふうにニューロンのネットワークができます。

はじめは、このネットワーウのつながりはとても弱いんですが、何週間も同じことを繰り返すうちに、だんだん回路が、太く、丈夫になっていきます。

毎日、7~10回、同じことを繰り返し、8週間ぐらいたつと、回路のまわりに脂質ができて、ますます強いつながりになります。

この脂質は、ミエリン(myelin)と呼ばれます。

脳の省エネ対策

脳の重さは体重の2%なのに、全体のエネルギーの20%を消費します。

脳はたくさんエネルギーを使うわけです。

そこで、できるだけ効率よくエネルギーを消費するために、脳は行動を習慣化させます。

ニューロンのつながりが太ければ太いほど、エネルギーの消費が少ないのです。

私の脳は、ディープワーク(深く集中すること)が、とても重要だと認識しました。

人の脳には、約1,000億個のニューロンがあり、それらは何十兆もの回路でつながっています。

とても、複雑なしくみですが、今説明した単純な原理で、機能しています。

脳は習慣の良し悪しを判断しない

毎日繰り返していることが何であれ、何度も何度も行われれば、脳はそれが「重要な行動だ」と認識します。

その行動が自分のためになるかどうかは関係ありません。

運動のように、自分のためになることでも、喫煙のように、自分を害することでも、車の運転のようにニュートラルなことでも、繰り返し行えば、脳は、これは大事なことなんだと思い、ドーパミンを分泌し、ネットワークを強化します。

有名な心理学者である、ウィリアム・ジェームズは、100年以上前にこう言っています。

「自分の神経システムを、友達にしなさい、敵にするのではなく」

まさしく彼は、習慣づけのことを言ったのです。

いい習慣を身につけるには?

では、どうしたら、脳を敵ではなく、友達にできるでしょうか?

1)自覚する

まず、気づくことが必要です。

これを理解するために、最近私が聞いたポッドキャストの一節を聞いてください。

ゲストは、ジャドソン・ブルーワー博士。彼は、依存症の研究をしているエール大学の心理学者で、マインドフルネスをつかって、依存症を直す方法について語っています。

依存症は、ある行動が強烈にあらわれて、ネガティブな方向に向かうことです。

聞いてみましょう。

「このような経過があるとき、気づくことで、状況を変えることができます。そうしないと、何も変わりません。気づくことが、良い習慣を身につけるときも、悪い習慣を手放すときにも、ベースになると思います」

ここでジャドソンが言っていることはとても重要です。

毎日、自分が何をしているのか、しらべなければなりません。よく観察して、自分に正直になって。

紙を取り出して、1週間、自分がやっていることをすべて書き出してください。

小さな行動ももらさずに。書き終えたら、リストを見て、こういうことを毎日する人に、自分はなりたいのかどうか考えてください。

そうなりたくないと思ったら、何かを変えなければなりません。

2)小さなことから始める

2つ目のアドバイスは、小さなことから始めることです。小さなステップが、大きな結果につながります。

時間はかかるかもしれませんが、確実に、前に進むことができます。

毎日1%でもよくなりましょう。

たとえば、難しい本を、1日5分間読む、日に3回、瞑想をするなど。ただし、継続してください。

新しい行動を始めてすぐは、違和感があり、好きになれないかもしれません。でも、そのうちだんだん平気になっていきます。最後には、やらないと、気持ち悪くなりますよ。

まとめ

今日の話を4つの質問の形でまとめます。

習慣とは何か?

習慣は、特定の状況において、無意識のうちに、何度も何度も繰り返す行動です。

きっかけを受けて始まり、ドーパミンが分泌される報酬で終わります。

なぜ習慣の話が重要なのか?

なぜ、私は習慣の話をしたかったのか?

日々の行動のうち、40~45%は習慣であり、その行動のよしあしを脳は区別できません。

自分にとっていいこと、悪いこと、ニュートラルなことにかかわらず、繰り返されると、脳は、それが重要な行動だと考え、何度も繰り返そうと思います。

喫煙や飲酒などよくない行動でも繰り返してしまうのです。

この問題をどう解決するか?

悪い習慣を改めるにはどうしたらいいのでしょうか?

自覚することが鍵です。

毎日、どんなことをしているか、気づいてください。習慣になっている行動は、無意識に行われます。

何かを変えたかったら、小さなステップを取ります。変わるためには時間がかかるので、辛抱強く、コンスタントに継続します。

その結果、どこへ到達できるか?

習慣の問題を解決できると、どんなことが起きるのでしょうか?

私が、習慣を変えとき、日々の行動が変わっただけでなく、その後の自分も変わりました。

習慣を変えたら、人生がすっかり変わったのです。自分ができることも変わりました。

習慣が人生を決める

私は、ここで皆さんに、こんな習慣を見に付けなさい、あんな習慣を取り入れなさいとは言いません。

どんな人になりたいか、どんな人生にしたいかは、人それぞれですから。

ただ、自分のためになる習慣を探して、育てるべきです。

ゴールに近づくことができる習慣、なりたい自分になれる習慣。

日々の習慣は注意深く選んでください。さもないと、なりたくない自分になったり、たどりつきたいゴールからそれたりします。

脳は区別をつけることができませんよ。

習慣は、あなたがどんな人なのか、将来、あなたが何をし続けるのか決めます。

今、どんな習慣があるか、自分を変えるために、どんなことができるか、考えてください。

最後に、賢者の言葉で終わりましょう。

私たちは、繰り返し行っていることからできています。卓越は、行動ではなく、習慣で決まるのです。

//// 抄訳ここまで ////

習慣に関するほかのプレゼン

悪い習慣を断ち切る簡単な方法(TED)マインドフルネストレーニングのすすめ。 プレゼンで引用されていた、Judson Brewer(ジャドソン・ブルーワー)のプレゼンです。

習慣のループを知れば、どんな習慣も変えることができる(TED)

やらないよりはましだ、と思える小さなことを積み重ねよう(TED)

大々的に変えようとしないこと。小さな習慣から始めよう(TED)

スマホやYouTubeがクセになってしまう行動様式を知り、悪習慣を改める(TED)

幸せと健康をもたらすほんの小さな習慣(TED)

ルーティン:習慣、練習、儀式の思いがけないパワー(TED)

ほかにもたくさん書いています。

振り返ることが大事

先日、美容サービスにお金を使いすぎる人のお便りを紹介しました⇒美容やサプリにお金をかけすぎるのをやめる方法。

記事にも書きましたが、美容院やエステにどんどんお金を使ってしまうのは、単なる習慣です。

それも、たぶん、自分のためにならない習慣です。

最初は、何らかの目的や、そうすべきだと感じた理由があったかもしれません。

しかし、何度もやっているうちに、それが習慣になると、もう何も考えず、自動的に同じことを繰り返してしまいます。

何も考えないから、今の自分のためにならないことでも、リピートしてしまうのです。

たとえ、人生がうまく行っている人でも、ときどき、ふだん自分がやっていることを振り返ったほうがいいです。

悪い習慣は、いとも簡単につきます。

習慣になってしまったよくない行動を、毎日繰り返していると、なりたい自分や生活からどんどんそれていきます。

近年増えている、生活習慣病は、その名のとおり、日々の習慣のせいでかかる病気です。よい習慣を見につけておきさえすれば、予防できます。

骨の髄まで、その習慣にはまる前に、脳を味方につけて、いい生活習慣を身につけていきましょう。

****

習慣になっている行動は、キュー、合図やきっかけを受けて始まります。

何かいい習慣を身につけたいときは、マルコさんのように、自分できっかけを作るといいですね。

たとえば、朝起きたら、すぐに15分片付けるとか。この場合、きっかけは朝、起きることです。

「暇になったら片付けよう」、という計画(?)をたてても、明確なきっかけを受け取ることができないので、いつまでたっても片付けられません。





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