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6月になり、湿度が増してくるとカビに悩む人が増えます。カビは見た目もかなりいやですが、健康によくないですし、場合によっては、重い病気を引き起こします。
今回は、カビを防止するために、カビに関する基礎的な知識をまとめました。
そもそもカビとは?
カビを知らない人はいないと思います。
みかんに生えた緑色のカビを見たことがない人はいないでしょう。
カビは、自然の中にいる菌類です。
昔は「カビは植物」と習いました。まあ、動物ではありません。今は、植物には分類しないようです。
カビは、一般の植物とは違って、花も葉緑素も持ちません。ふつうの植物は太陽からエネルギーを得ていますが、カビは他のものに寄生したり、腐生したり、共生して生きながらえています。
腐生とは、死んだものから栄養をとって生きること。共生はともに生きることです。
カビは菌の中でも、きのこと同じ真菌(しんきん)というカテゴリーに入ります。
菌糸(きんし)と呼ばれる糸のようなからだをしていますが、ほかの菌類と同じで、ものすごく小さいので目に見えません。カビの細胞は胞子(ほうし)と呼ばれます。
カビがほかのカビとくっついて大量に繁殖すると、みかんのカビみたいに、人の目で持てわかるようになります。
カビの種類は7万ぐらいあるそうです。カビはカラフルですが、それぞれ胞子に色があるからです。
カビが繁殖する3つの条件
カビは空中にただよっていますが、以下の3つの生育条件が揃ったところがあれば、仲間が集まって繁殖します。
1.湿度が高いところ
カビが繁殖するためには、湿気が必要です。じめじめした場所ですね。
床上浸水した部屋とか、水漏れしているパイプ、結露のつく窓のあたりに集まって暮らしています。
ドライで風通しのよいところでは、繁殖しません。
ほかの2つの条件が揃っているお風呂場では、ほぼ通年でカビが繁殖しています。
梅雨時は湿度があがるので、ふだんはあまりカビが集まっていない、押入れやクローゼット、下駄箱、その他ガラクタを詰め込んでいる場所でカビの活動が活発になります。
そこで、梅雨が来る前に服を断捨離することをおすすめしています⇒梅雨時に入るまえに片付けを。汚部屋解消に役立つ5つのシンプルな習慣。
余談ですが、ほこりを減らす記事でも書きましたが、汚部屋は心身ともに実によくない環境です。
ガラクタが多いと、ストレスが増大するし、ほこりも増えるし、カビも繁殖。さらに部屋に出ている物にけつまずく危険性もアップします。
暮らしの質をあげたい人は、早急に汚部屋解消に乗り出すことを強くおすすめします。
ほこりを減らす方法⇒部屋のほこりを簡単に減らす9つの方法。まずほこりの元を断て。
2.養分(栄養源)があるところ
カビは有機物(動物と植物)をエサとしています。つまり、タンパク質、炭水化物、油脂などです。
金属やプラスチックなど、生き物でないものにカビが生えることがありますが、それは人の体から出た油脂など(汚れとも言う)が、そのような無機質に付着しているからです。有機的な汚れをカビはエサにしています。
布団、ベッド、布製のソファ、カーテンなどにも生えています。ファブリックについたカビは取りにくいです。
古いタオルに黒い点々がつきますが、あれはカビです。これはまず取れないので、私ならば早々に、断捨離します。
3.温度が高いところ
カビは摂氏20度~30度を好んでいます。カビの生育に最適な温度は、25度~28度です。しかし、0度から40度のあいだならカビは生きていられます。
温度が低くても死ぬわけではないので、冷蔵庫でも他の条件が揃っていれば、ほそぼそと活動しています。
温度が低いところでは、大人しくしていますが、温かいものが入ってきたりすると、その上で繁殖するかもしれません。
人間が生活している場所で、温度と湿度の条件が揃えば、どんな場所でも、カビは繁殖すると考えてさしつかえありません。ごみやほこりも、カビのエサになります。しつこいですが、カビが嫌なら、汚部屋脱却をはかってください。
特にカビが繁殖しやすい3つの場所
特にカビが好んで繁殖する場所は以下の3つです。
土の表面
観葉植物を置いている土の上に、白い綿のようなものができることがあります。これがカビです。
私がこのカビの存在に気づいたのは、カナダに来てからです。冬が終わって雪がとけ、地面が見えてくると、山、森など樹木が多いエリアに白いカビが大量発生します。
最初はたんぽぽの綿毛なのかと思っていましたが、よく見ると違います。
栄養源は草木の葉っぱです。
私の住んでいるところでは、秋、しっかり庭の落ち葉かきをしておかないと、雪がとけたあと、葉っぱを栄養源にして、カビが大量発生します。このカビのせいで、花粉症のような症状になる人がいます。
食べ物の表面
身近なところでは、パン、お餅、みかんなどに生える青カビ。チーズにも生えてます。栄養源はカビがくっついている食べ物そのものです。
建物の壁
お風呂場に生える黒カビなど。バスルームに繁殖するカビの栄養源は、人間の体から出る皮脂や垢です。
カビのメリット、人の生活に役立っている部分
カビは人間にとって、全く迷惑な存在か、というとそういうわけではありません。最低でも2つの点で、文明に恩恵を与えています。
ペニシリンの原料
細菌学者のフレミング(1881-1955)がカビから、抗生物質であるペニシリンを発見したのは有名です。
実はこれは偶然なんです。
1928年、フレミングは細菌を殺すにはどうしたらいいのか、研究していました。そこでバクテリアを培養していたのですが、彼はあまりきれい好きではなかったらしく、散らかった実験室を片付けずに、休暇に出てしまいました。
実験に使ったシャーレをきっちり殺菌しなかったし、おまけに窓を開けてお出かけしてしまったそうです。
休暇から戻ったフレミングは、シャーレに青カビがいっぱい付いているのを発見しました。
「やれやれ」とフレミングがシャーレを洗う前に、あることに気づきました。なぜかカビのそばには、バクテリアが繁殖していなかったのです。
「これはいったい?」
研究者の勘でしょうか?その日から彼はカビの研究に入りました。抗生物質のペニシリンはこれがきっかけで、生まれたのです。
食品を作ったり、味を向上させる
コウジカビは、お酒、味噌、醤油、鰹節などを作るのに使われています。
青カビは、チーズに、酵母というカビは、パン、ビール、ワインなどを作るのに使われていますね。カビは食品を塾生させ、おいしくしてくれます。
味噌も醤油も日本人の生活にとってなくてはならないものですから、カビには大変お世話になっているのです。
また、自然界においては、カビは、落ち葉や、倒れた木などを分解し豊かな土壌を作る役割を担っています。
カビのデメリット、人にとって害になる部分
カビの種類によっては、人の健康に害があります。
アレルギー反応をおこす
人によっては、くしゃみ、咳、鼻づまりなど鼻炎や花粉症のような症状、喉の痛み、肌のかゆみ、かぶれなどの症状が出ます。
感染症を引き起こす
ほかの菌類である、ウイルス、細菌と同じで、カビは感染症を引き起こします。たとえば、水虫、カンジタ、アスペルギルス症、カビ肺炎(夏型過敏性肺炎)。
アスペルギルスはコウジカビの学名です。このカビの胞子を吸ったところで、通常ならば病気にはなりません。
しかし、免疫が落ちていたりして、肺にこのカビが住み着き繁殖すると、咳、たん、呼吸困難、喀血など、一般の呼吸器系の病気と同じような症状が出ます。
また、夏型過敏性肺炎と呼ばれる、夏風邪のような病気もカビが原因です。
カビは暗いところが好きですが、肺の中は暗いし、温かいし、湿気もあるし、人の細胞もあってエサもあるので、カビにとっては生育条件のいい場所です。
すべてのカビが、病気を引き起こすわけではありませんが、毒性の強いものは人の命を奪ってしまうこともあります。
とはいえ、これまで人間はずっとカビと共存してきたので、そんなに簡単には病気になりません。ただ、体調は悪くなりうるので、ふだんから免疫が落ちないようにしつつ、よけいなカビが発生しないようにし、また繁殖したら、取り去る努力をすべきです。
次回は、カビ対策を提案します。