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過剰に買い物してしまう背景にある心理を5つ紹介します。
買い物をするとき、欲しいのはものそのものではなく、それを買うことで得られる安心や満足、変化の予感です。
多くの人は、必要だからではなく、気分を変えたい、自分をいたわりたい、誰かに認められたいといった気持ちから買い物をしています。
その瞬間は心が満たされますが、時間がたつと、また別の欲しいものが出てきます。
こうしたくり返しを減らすためには、欲しくなる理由を理解することが役立ちます。
自分の感情を観察すると、「本当に欲しいもの」と「なんとなく欲しいもの」を区別できるようになります。
1.理想の自分になりたい
ものを通して理想の自分になる。これは、多くの買い物の背景にある心理です。
「これを持てば、もっときちんとした人になれるかも」「この服を着れば、自信が持てそう」。こんな期待が、買い物のきっかけになります。
新しい手帳や服、家電を見つけたとき、「これさえあれば今度こそ楽しくなれそう」と思った経験はありませんか。
ものを手に入れる前から、私たちは買ったあとの「理想の自分」を想像しています。
その結果、買った瞬間に安心し、満足するので、そのまま使わないことがよくあります。
実際は、ものそのものが私たちを変えることはありません。
けれども、新しいものを手に入れるとき、少し成長したような、未来の自分に近づいたような気がします。
変われる予感があるのです。
「理想の自分になりたい」という気持ちは、誰にでもある自然な願望です。
ただ、それをものに託しすぎると、思うように変われない現実にストレスを感じます。そして、また別のものが欲しくなってしまいます。
何かが欲しくなったら、どんな自分になりたいと思っているのか考えてみてください。
なりたい自分がわかったら、習慣を変えるなど、ものを使わずに変わる方法を試してみましょう。
2.心のすき間を埋めたい
心が満たされていないとき、買いたい気持ちが強くなります。
退屈、孤独、心配、不安――こうした気持ちを埋めるために買い物をします。
買い物は手軽にできる気分転換です。
好きなものを見たり、買いたいものを選んでいるときは、嫌なことを考えずにすみます。
仕事で疲れた夜や、なんとなくさみしい休日。
スマホを開き、ネットショップを眺めることがあります。
お気に入りの店をのぞいている間は、現実を忘れさせてくれますよね。
買った瞬間は、心の空白が少し満たされたように感じます。
けれども、幸福感や安心感は長くは続きません。
根本的な問題は解決していないので、最初の興奮がおさまると、同じような不安や物足りなさを感じます。
そしてまた買い物をしたくなります。
このくり返しから抜け出すために、自分の心と向き合ってみましょう。
何を恐れているのか、何が不安なのか、何が足りないのか、考えてみてください。
本当に求めているのは、ものではなく、休息や人との会話、安心できる時間かもしれません。
3.もので「私らしさ」を語る
人は、ものを通して自己表現します。
服の色やデザイン、持ち物のテイスト、部屋の雰囲気――どれも「私はこんな人です」と伝える手段になっています。
私たちは、「自分らしさを表したい」「自分らしく見せたい」という気持ちから、つい新しいものに目がいきます。
たとえばSNSで誰かの部屋の写真やファッションを見ると、「この感じ、好きだな」「自分もこんな雰囲気にしたい」と思うことがあります。
それは単に流行を追っているのではなく、「自分らしさ」を形にして確認したいという気持ちの表れです。
けれども、もので自分を表すことには限界があります。
どんなにお気に入りの服や雑貨を持っていても、自分の考え方や価値観を表すことはできないでしょう。
ものはあくまで、外から見える一部分にすぎません。
今の社会は、ものがあふれ、買い物がとても簡単になりました。
手軽に、もので自己表現できるので、つい買いすぎてしまいます。
もので自分を表そうとすると、流行やまわりの雰囲気に影響されやすくなります。
「これが私らしい」と思ったものが、少し時間がたつとしっくりこなくなり、また別のもので自分を表そうとします。
本当の自分らしさは、持ち物ではなく、どんな選択をし、どんな生き方をするか、つまり行動に映し出されます。
自分らしさは、持ち物ではなく、日々の行動や言葉の中に自然と表れます。
4. 買うことで自分を証明する
現代は、買うことが自分の存在や社会の中での位置を確かめる手段になっています。
いまの社会は、買い物を前提に動いており、消費を通じて自分の価値を表す仕組みができています。
ブランド品や最新のサービスを手に入れ、その体験をSNSで共有することで、自分はこんな暮らしをしている、こんなことを考えていると、周囲に伝えています。
SNSや広告は、「ものを持つことで幸せになれる」と繰り返し語りかけます。
そうした環境の中で、私たちは「買うことがあたりまえ」という感覚になります。
ネット上では、過去の検索や購入履歴をもとに「あなたへのおすすめ」が次々と表示され、まるで私たちの好みをすべて知っているかのように商品が差し出されます。
一度も検索していないのに、欲しかったものが広告に出ることもありますよね。
こうして、生活のあらゆる場面に「買うきっかけ」があふれるようになりました。
何も買わずに過ごすことが、かえって不自然に感じられるほどです。
「買える人」や「選べる人」であることが、社会的なステータスになり、買わない選択をすることが不安に感じられるものです。
けれども、ものを持つことが私たちの価値を決めるわけではありません。
本当の豊かさは、持ち物ではなく、生き方にあります。
5. 人と同じでいたい
周囲の人と同じでいたいという気持ちが買い物を増やします。
人は、ほかの人たちとつながりながら生きています。「みんなと同じでいたい」という気持ちは本能的な心理です。
友人が持っているもの、SNSで話題のアイテム、流行している服。
そうしたものを目にすると、「自分も持っていないと取り残されるかも」と感じることがあります。
逆に、まわりの人と同じものを持っていると安心できます。
SNSでは、他人の暮らしや持ち物が簡単に見えるので、自分の暮らしと無意識に比べてしまいます。
この比較が、必要のない買い物を後押しすることがあります。
人と同じものを持って仲間になろうという気持ちが強すぎると、自分の興味や価値観よりも、まわりに合わせることを優先してしまいます。
知らないうちに、本当に欲しいものではなく、「みんなが選んだもの」を選んでしまうのです。
ときにはSNSから離れて、他人の暮らしではなく自分の生活を見つめてみましょう。
流行や他人の意見に振り回されず、「自分にとって必要なもの」や「心から好きなもの」を手に入れてください。
人と同じであることよりも、自分の毎日を心地よくすることを大事にしましょう。そうすれば、買わなくていいものを買ってしまうことを防げます。
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買い物の背景にある心理を5つ紹介しました。
私たちはものが欲しいから買うわけではありません。
理想の自分に近づきたい、気分をよくしたい、人とのつながりを感じたい。こうした欲求のせいで買い物をします。
何かを手に入れることは、一時的に安心や満足を与えてくれますが、本質的な解決にはなりません。
現代は、買うことがふつうの社会なので、何も意識していないと、買い物が増えてしまいます。
買ったあとに、なぜ欲しかったのか少し振り返ってみてください。
それだけでも、次の衝動買いを減らすことができます。
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