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断捨離を成功させるには、テクニックよりも、自分が大切にしたいものを見つめ直すほうが大切です。
片付けに関する情報は、山のようにあります。「カテゴリーごとに分ける」「ときめくかどうかで決める」「迷うものはいったん保留する」など。
テクニックやルールは一通り知っているし、実際に試してみた。でも、なぜか部屋はすっきりしないし、気持ちも軽くならない。「私は片づけが苦手なんだ」と自分を責めたくなる。こんなこともあるかもしれません。
けれど、うまくいかない理由は、片付けのやり方そのものに問題があるのではなく、自分はどう生きたいのか考える時間を取っていないことにあります。
自分を知ることこそが、断捨離を成功させる鍵です。
片付けは感情と価値観を整理すること
片付け本を読んで、捨て方を学んでも、家の中から「なんとなくモヤモヤする感じ」が消えないことがあります。片付けの技術だけでは、その人の本質的な悩みや迷いを解決できないからです。
「カテゴリーごとに検討する」「使っていないものは捨てる」といった基本ルールは、多くの人が知っています。でも、その方法どおりやってもうまくいかないなら、それは捨て方以前の問題です。
この点に気づいてないと、たくさん片付け本を読んでいるのに、部屋の状態はたいして変わらない暮らしを何年も続けてしまいます。
不用品を捨てられないとき、よくある悩みが、「どれも大事だから捨てられない」「どれも気に入っていたものだから手放せない」といった迷いです。これは、自分の価値観が揺れている状態です。
部屋の中の状態は、しばしば頭の中の状態を反映しています。よくわからないけど手放せないものがたくさんあるのなら、大切にしたいものがわかっていないから。
古い趣味の道具を手放せないのは、「これがすごく得意な自分になりたい」「またあの頃のような時間を取り戻したい」という願いがあるからかもしれません。新品のままのノートや服が捨てられないのは、「こうありたい」と願う理想の自分を手放したくないからだと思います。
こうした感情は、収納ケースやカテゴリー分けでは解決できません。つまり、片付けで必要なのは空間の整理というより、感情と価値観の整理なのです。
いくら断捨離本や片づけ本を読んでも部屋が片付かない本当の理由
なぜそれを取ってあるのか?
感情や価値観を見直すために、それを捨てずに持っている理由を考えてみましょう。
捨てようと思っているのに、手が止まるとき、そこにはさまざまな理由があります。
・高かったから
・まだ使えるから
・いつか使うかもしれないから
・誰かにもらったから
こうした理由の背後には、もったいない気持ち、不安、後悔、義務感など、さまざまな感情が隠れています。
捨てられない理由に目を向けることは、自分の思い込みや無意識に作っているルールに気づくいい機会です。
たとえば、「まだ使えるから」と取ってある使い古したフライパン。焦げつきやすくなっていて、実際にはほとんど使っていない。それなのに手放せないのは、「使えるものは捨ててはいけない」という思い込みがあるからかもしれません。
また、「プレゼントだから」と残している雑貨や衣類も、「もらいもの=大事にすべき」という自分ルールにしばられている可能性があります。
「いつか使うかもしれない」と取ってある保存容器。「いつか」という言葉の裏には、「準備ができていないと心配」「備えていないとダメ」という不安が隠れていることもあります。
このように、ひとつひとつ理由をたどっていくと、自分でも気づいていなかった「こうすべき」「これはしてはいけない」といった思い込みが見えてきます。
自分は何を大切にしたいのか?
「なぜこれを持っているのか?」と自問すると、過去にした判断や、そのとき信じていたものに思い当たります。
そのときは、自分のベストの判断をしたと思います。
でも、どんなものを持つか考えるとき、一番重要なのは、今の自分がどうありたいかです。
ものを手放すとき、どちらかというと過去に引きずられます。昔の趣味や、かつて憧れていた自分、誰かからの評価。気づかないうちに、「こうありたかった自分」「こんなふうに見てもらいたかった生活」のために、ものを持ち続けてしまいますよね。
でも、過去を規準にするより、今と、これからの自分にとって本当に大切にしたいことを考えてみましょう。
たとえば、「身軽に暮らしたい」「掃除をラクにしたい」「1日をスムーズに始めたい」といった具体的な願いがあるなら、たくさんものを持つのは望みから遠ざかることになります。
理想の暮らしに近づく妨げになるものを、「高かったから」「まだ使えるから」といった理由で残すのは自分のためになりません。それは、自分が本当に手に入れたいものではないからです。
どんな生活なら今の自分が心地よくいられるか? これからどんな気持ちで日々を過ごしたいのか?
自分が大事にしたいものを優先して、所持品を見極めましょう。
自分の価値観に沿った暮らしをするには?:心を満たす方法(その2)
価値観は変えてもいい
これまで、自分の価値観や思い込みに気づくことを勧めてきました。でも、気づいた価値観が、今の自分にとってしっくりこないと感じたら、その価値観は変えてもかまいません。
私たちは、知らず知らずのうちに「こうするべき」「これはダメ」といったルールを忠実に守っています。たとえば、「ものはたくさんあったほうが生活が豊かになる」「使えるものを捨てるなんてもったいない」といった考えは、多くの人が無意識に持っているものです。
でも、それはあくまで昔の自分が信じていたことや他人から影響を受けて簡単に信じてしまった考え方です。今の自分が本当に望んでいることとは限りません。
今、自分がどう感じたいか考えたとき、「もらったものを無理に残さなくていい」といった新しい価値観を採用したほうがいいときがあります。
そうした、新しい価値観を採用する意識を持ってみましょう。「この考え方は疲れるだけだな」「これはもう自分には合わないな」と感じたら、古い考え方は手放してください。
参考までに、断捨離に役立つ価値観を7つ紹介します。
・大事なのは今
・余白には価値がある
・思い出はものではなく心にある
・使わないのは持っていないのと同じ
・一番もったいないのはものを使わないこと
・贈り物をどうするか、その責任は自分にしかない
・ものがありすぎても豊かな生活にはならない
価値観には正解・不正解はなく、今の自分に合っているかどうかが重要です。
ライフステージや環境によって、しっくりくる価値観は変わっていくもの。そこで、今の自分にフィットするものを選び、柔軟に採用していく考え方が、心地よい暮らしにつながります。
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断捨離をしているとき、捨て方や整理の仕方ばかりに意識を向けるより、自分の生き方の見直しをすることが大切だとお伝えしました。
自分を見つめるとき、おすすめの方法は書き出すことです。
毎日、自分の心の中を見つめる必要はありませんが、イライラや違和感があるときは、書き出してみてください。
必要なものや大切なことは、常に変化していきます。断捨離中でも、ミニマリスト的な考え方が合う時期もあれば、少しゆるく持ち物を増やすほうが楽しい時期もあるでしょう。
今の自分が納得できる選択をしていけば、部屋は散らからないし、無理なく心地いい暮らしを作っていけるでしょう。
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