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人とじょうずにコミュニケーションを取りたい人の参考になるTEDの動画を紹介します。
当ブログには、家族とのもめごとの相談が多いです。私にメールするより当人と会話をしたほうがより早く解決に近づくと思いましたので、このプレゼンを選びました。
タイトルは10 Ways to Have a Better Conversation(上手に会話する10の方法)。プレゼンターは Celeste Headlee(セレステ・ヘッドリー)さん。この方はアメリカのラジオのホストです。
上手に会話する10の方法・TEDの説明
When your job hinges on how well you talk to people, you learn a lot about how to have conversations — and that most of us don’t converse very well.
Celeste Headlee has worked as a radio host for decades, and she knows the ingredients of a great conversation: Honesty, brevity, clarity and a healthy amount of listening.
In this insightful talk, she shares 10 useful rules for having better conversations. “Go out, talk to people, listen to people,” she says. “And, most importantly, be prepared to be amazed.”
いかに人とうまく話をするかが、仕事の鍵を握っていたら、会話の仕方について学ぶものです。実のところ、ほとんどの人は、上手に会話できません。
セレステ・ヘッドリーは何十年もラジオのホストを勤め、よい会話をもたらすものについて知っています。正直であること、簡潔であること、明確であること、そしてしっかり聞くことです。
このプレゼンで、ヘッドリーはよりよい会話をするための10のルールを紹介しています。
彼女はこう言います。「外に出かけて人と話してください。よく聞いてください。そしてもっとも大切なことは、びっくりすることを期待する気持ちを持つことです」。
収録は2015年の5月。長さは11分44秒。日本語字幕もあります。英語や字幕なしがよい方は設定で調節可能。動画のあとに抄訳を書きます。
☆トランスクリプトはこちら⇒Celeste Headlee: 10 ways to have a better conversation | TED Talk | TED.com
☆TEDについて知りたい方はこちらへ⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
聞く耳を持たない私たち(導入)
礼儀正しい会話をするために、昔はマイ・フェア・レディに出てくるヒギンズ教授のアドバイスに従えばよかったものです。
天気と健康の話だけにとどめる、というアドバイスです。
ところが、今はこういう話題でも安全ではないですね。何を話しても喧嘩のたねになってしまいます。私たちはかつてないほど2極化し、分断されていて、譲り合うことをしないし、お互いの話を聞いていません。
会話をするためには話すことと聞くことのバランスを取るべきですが、このバランスを失ってしまいました。
会話するスキルは21世紀において最も重要な技術
こうなってしまった理由の1つは技術の進化です。すぐに手にとれる場所にスマホがありますから。
ピュー研究所のリサーチによると、アメリカのティーンエイジャーの3分の1が1日100以上テキストメッセージを送っています。
彼らのほとんどは、友だちに面と向かって話をするより、テキストで話すほうが多いのです。
ポール・ボーンウエルという高校の先生が「アトランティック(雑誌の名前)」にこう書いています。
「会話するスキルは学校で教えそこなっている技術である。子供たちは、毎日何時間もモニター越しにアイデアを出したり、他人と接してはいるものの、コミュニケーションスキルを磨く機会はめったにない。
21世紀において、まともな会話をする、という技術以上に大切なものがあるだろうか」。
さて、私は人と話すことで生計をたてています。さまざまな人と話します。好きな人もいれば嫌いな人も。
意見がまったく合わない人もいます。それでもどんな人とも素晴らしい会話をすることができています。
そこで、きょうは、皆さんに話し方と聞き方をお教えします。
会話の仕方については、これまでもたくさんのアドバイスを聞いたと思います。
相手の目を見る、前もっておもしろい話題を考えておく、相手を見てうなづく、ほほえんで、相手に注意を向けていることを示す、聞いたことを繰り返す、まとめる、など。
こんなことはみんなどうでもいいことです。
実際に相手に注意を向けていたら、注意を向けている様子を見せる方法を学ぶ必要なんてありません。
プロのインタビューアーとして私が実際に毎日使っているスキルをお伝えします。どうやってインタビューすればいいのか知れば、会話も上手にできます。
時間を無駄にすることもなく、退屈することもなく、相手を怒らせることもないのです。
素晴らしい会話がどんなものが皆さん、ご存知ですよね。
終わったあと満たされたり、気付きを得られたり、相手と深いところでつながることができたり、完璧に理解できたと感じるような会話です。
皆さんにもこんな会話ができるのです。
では10の基本的なルールをお伝えします。10のうちたった1つでもマスターできれば、よりよい会話を楽しめますよ。
1.マルチタスクをしない(会話に集中)
ただ鍵や携帯、タブレットを置くだけじゃありません、その場にいるようにします。
上司と喧嘩したとか、夕飯に何食べようとか、別の考えごとをしないでください。もし会話をしたくなかったら、やめればいいのです。
中途半端に会話をしないでください。
2.一方的に話さない
返答や討論、反論、成長抜きで自分の意見を主張したいときはブログを書けばいいのです。
私が独断的な人や学者先生が嫌いなのは、退屈だからです。
言うことがわかりきっています。
そんなふうになりたくないですよね。どんな会話にも、学べることがある、と思ってのぞむべきです。
有名なセラピストのM・スコット・ペックは、「自分を脇に置かなければ、真に聞くことができない」と言っています。
時には自分の意見は横におくべきなのです。
相手に受け取る準備があるとわかると、話をしている人は、より自信を持って心を開いてくれるものです。
どんなことからも学べる、と思ってください。
Bill Nye: “Everyone you will ever meet knows something that you don’t.”
ビル・ナイ:あなたが出会った人は誰でもあなたの知らない何かを知っている。
誰もがなんらかの専門家なのです。
3.オープンエンドクエスチョンをする
who 誰が、what 何を、when いつ、where どこで、why なぜ、how どのようにして、という言葉(5W1H)から質問を始めます。
「怖かったですか?」と聞けば、「はい」か「いいえ」で終わってしまいます。
オープンエンドクエスチョンを使って、相手に描写をさせるようにしてください。
「それはどんな感じでしたか?」とか「どんなふうに感じましたか?」といった質問をしてみてください。
そうすれば、もっとおもしろい答が返ってきます。
4.関係ないことを思いついても流す
頭にいろいろな考えが浮かんでも、そのまま流します。
こんなインタビューがよくあります。
インタビューしている人がが突然まったく関係ないことを聞いたり、すでに話題にのぼったことを聞いたりするインタビューです。
これは、インタビューアーが、何かすごくおもしろい質問を思いついた瞬間に、相手の話を聞くのをやめたから起きます。相手の言うことを無視して、自分の質問をすることばかりに意識が向いてしまったのです。
私たちも人と会話しているとき、突然、自分の身の上にあったことを思い出したりします。そして相手の話を聞くのをやめてしまいます。
いろいろな思いつきが頭の中に浮かんでも、そのまま流すべきなのです。
5.知らないことは「知らない」と言う
ラジオで話す人たち、特にNPR(National Public Radio ナショナル・パブリック・ラジオ)では、録音されていることを知っているので、注意深く会話をすすめています。
特に、自分が何かの専門家だと言う時や、知っていることを話すときは。
みなさんもそうしてください。
6.相手の体験が自分のと同じだと思わない
相手が家族を失くした話をしているとき、自分が家族を失くした話を始めてはいけません。
仕事上のトラブルについて話しているとき、自分がどんなに仕事が嫌いか話し出さないこと。
同じではありません。
すべての体験は固有のものです。
それに、その会話の目的は自分のことを話すことではないのです。自分がどんなに素晴らしいか、どんなに苦労したか話すときではありません。
ある人がスティーブン・ホーキングに彼のIQを聞いたことがあります。彼は「さあ、わかりません。自分のIQを自慢する人って負け犬です」と答えました。
会話は宣伝の機会ではないのです。
7.同じことを繰り返さない
押し付けがましいし、退屈だけど、誰もがやりがちです。
職場での会話や子供相手の会話でよく起こりますね。
自分の言いたいことを、何度も繰り返してしまいます。これはやってはいけません。
8.細かいことにこだわらない
人は年号、名前、日付といった細かいことは気にしません。あなた自身に興味があるのです。
あなたがどんな人か、自分とどんな共通点があるのかそんなことに人は興味を持っています。
細かいことは気にしないでください。
9.よく聞くこと
これは最後のルールではありませんが、ひじょうに重要なことです。多くの偉人もそう言っていますが、聞くことは、人々が磨くべき、もっとも重要なスキルです。
ブッダは「自分の口が開いているときは、何も学んでいない」と言いました。カルヴィン・クーリッジは「よく聞いたことで、仕事をやめるはめになる人はいない」と言っています。
なぜ私たちは人の話を聞かないのでしょうか?
1つには話すほうが好きだという理由があります。話しているときは、自分が主導権を握っているし、つまらない話を聞く必要もないし、注目の的でアイデンティが強化されます。
別の理由もあります。
気が散るからです。
ふつうの人は、1分間に225語話します。ところが聞くほうは、1分間に500語まで処理できます。
その差の275語を自分で埋めようとしてしまうのです。
実際、相手の言うことに意識を向けるのは努力とエネルギーがいります。
ですが、これができないと、会話もできません。
スティーブン・コヴィーはこう言っています。「ほとんどの人は相手を理解しようとして聞いているのではない。返答するために聞いているのだ」。
10.簡潔に話す
[スライドに映し出された言葉]
A good conversation is like a miniskiart; short enough to retain interest, but long enough to cover the subject.
よい会話はミニスカートのようなもの。興味が続くぐらい短くて、重要なポイントをカバーするには充分の長さである。
以上のことを一言で言うと、「他人に興味を持つこと」です。
私はとても有名な祖父の元で育ちました。ありとあらゆる人たちが祖父母のところにやってきました。
お客さんが帰るたびに母が私にこう言ったものです。
「誰が来たか知ってる?あの人は準ミス・アメリカよ、あの人はサクラメントの市長よ、あの人はピュリッツァー賞の受賞者よ、彼はロシアのバレエダンサーよ」。
私は誰もが、何か隠されたすごいものを持っているのだと、思うようになりました。そのせいで、私がホストとしてよりよい仕事をできるのだと思います。
インタビューをしているときは、できるだけ自分の口は閉じ、心を開くようにしています。いつも、びっくりさせられるのを待ちうけているのです。これまでがっかりしたことはありません。
皆さんも同じことをできます。街に出て、人々と話し、相手の言うことを聞いてください。もっとも大切なことは、きっと驚くようなことがある、と期待しながら会話することです。
—- 抄訳ここまで —–
【補足】
オープンエンドクエスチョン
5W1Hで始まる質問。イエス、ノーで答えられる質問は、クローズドエンドクエスチョンといいます。
カルヴィン・クーリッジ
アメリカの第30代大統領(任期 1923年8月3日–1929年3月4日)。大統領になる前は副大統領でした。
クーリッジ大統領は共和党。演説やメディアのインタビューで口数が少ないので、無口なカル(Silent Cal)と呼ばれていました。
実際、口数が少なかったみたいですが、ユーモアのある、ひじょうに良識的な大統領だったようです。
家族が断捨離に反対するときの対処法
当ブログの読者の方からもらう相談ごとで多いのは以下の3つです。
・買い物(特に服)が止まらない
・特定のもの(特に服)を捨てられない
・家族がシンプルライフの邪魔をする
家族との問題の解決法を求める相談は、これまで何度も答えているのに、止まりません。
きのうもお母さんが買い物好きでしかも物をためこむから困っている、という相談をいただきました。
置き場所がなくなって自分の部屋の物入れまでお母さんのものでいっぱいだそうです。食器棚も3つもあるし、冷蔵庫も大きすぎて、物がどんどん増殖しているとのこと。
お母さんに意見を伝えても、相容れずもめるだけ。
この方は、生まれてからずっと実家に住んでいるので、ここにいるのが落ち着くから引越しはしたくないそうです。
自分はがまんするしかないのか、自分の部屋にあるものだけ片付けてもらう解決策を教えてほしい、という相談メールでした。
家族に関する典型的な質問メールです。
こういう質問には
1.他人はコントロールできないからコントロールしようとしない
2.自分の思考と行動を変えろ
3.自分の求めているゴール(どんな状態になったら満足なのか)を書き出す
4.そのゴールに到達できるような行動をしていく
こう答えることにしています。
こちらの記事に書いたのと同じです⇒嫌いな義理母とほどよい距離感を保つ6つの考え方。
上の4番をやるときに、相手とコミュニケーションを取る必要があります。
もっと家族と会話をしたらどうでしょうか?
上で紹介した人は、一人暮らしすればお母さんと交渉する必要はなくなります。ですが、実家に住み続けるなら、お母さんとコミュニケーションを取らなければなりません。
効果的に自分の意見を伝えるには、コミュニケーションスキルが必要です。
そこで、今回、ヘッドリーさんの動画を紹介しました。
この動画で話されている会話術は、基本的なスキルです。
物ごとを交渉するときはこれにプラスして別の技術が必要だと思いますが、まず基本ができないと応用もできません。
家族問題で悩んでいる人は、そもそも会話が足りていない可能性があります。
多くの人は、何も言わなくても、相手が自分の思い通りに動いてほしい、状況が自分の思い通りに運んでほしい、と願っています。
私もそうです。
いちいち、自分の意見を相手に伝えるのって面倒ですよね。議論だってしたくありません。
特に日本では、以心伝心という文化があります。
何も言わなくても、相手が自分の気持ちをくみとってくれる、という期待があるわけです。
ですが、家族といえど他人です。同じ家に寝泊まりしていても、自分の常識は決して、相手の常識とは一致しません。
会話をしないと、自分の希望にそった展開にはならないのです。
黙っていたらそのままです。
私もあまりコミュニケーションが得意だとは思いませんが、カーネギーの本を読んだりして、スキルアップのための努力をしています。
デイル・カーネギーの本について⇒1ヶ月文句を言わない挑戦中:1月の30日間チャレンジ
この手の本を読んだら、家族と話をして、学んだことを実践に活かしてください。
多くの場合、私に送ってくるメールの内容をそのまま相手に伝えればぐんと解決に近づきます。
相手に伝えたくない場合は、「なぜ、相手に自分の意見を言えないのか?」を考えてください。
その理由が問題の肝かもしれません。
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「自分の意見を誰にも邪魔されずに言いたいならブログを書きなさい」というのは、その通りですね。
ブログでは、自分の気持ちを好きなだけ出せます。
言いたいことがたくさんある人は、ブログを書くのもおすすめです。
ただし、独善的な書き方をすると、クレームのメールが来たり、コメント欄が炎上するため、「書きたいことを書く自由」が脅かされます。
ブログと言えど、話題には注意したほうがよさそうです。