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節約をがんばっているのに、ちっともお金がたまらない、心がどんどん貧しくなっている。そんな人は、そもそものマインドセットが間違っているのかもしれません。お金を貯める時必要な3つのマインドセットをお教えします。
マインドセットとは、考え方や心構え、心のあり方です。何でもそうですが、そもそもの考え方が間違っていると、間違った方向にがんばってしまい、結果がついてきません。
まじめな人ほどこのワナにはまります。まじめゆえに、がんばりすぎてしまうからです。
3つのマインドセットとは
1.たっぷりあるマインド
2.現実的な思考
3.成長マインド(グロースマインドセット)
1つずつ説明します。
ちなみに、日本語では考え方のことを、「マインド」と言いますが、この意味で使うなら、英語的にはマインドセットと呼んだほうが正しいです。しかし、ここでは日本語式に「マインド」とします。
1.たっぷりあるマインド
「たっぷりあるマインド」とは、自分はもう充分持っている、大丈夫であるという考え方です。
世間には、さまざまな節約のテクニックが提案されていますが、そのとおりにやろうとしてもうまくいきません。なぜなら、お金を貯めるためには、前提として「自分は大丈夫なんだ、もうたっぷりあるんだ」という気持ちが必要だからです。
人が、節約をがんばろうとするときの前提は「お金がこれだけしかないから、とにかく切りつめよう」という発想です。
これは「私は足りてないんだ」と考えることです。「足りないマインド」は貧乏を引き寄せる発想であると、以前詳しく説明しました⇒こんな考え方が貧乏を引き寄せる。お金がたまらない恐怖のマインドとは?
足りないマインド時代の筆子に起きたこと
私は以前、「足りないマインド」を持っていました。
そのころは、「たっぷりあるマインド」とか「足りないマインド」なんて考えたことはなく、とにかく家にはお金がない。だから節約しなきゃいけない、と思っていました。
節電するために、必要ないところでは電気のスイッチをまめに切ったり、シャワーの時間を短くしたり、お風呂を熱くしすぎないようにがんばっていました。
家族にも協力を仰いでいました。
しかし、がんばりすぎていたので夫婦喧嘩が頻発していました。
ある冬の週末の朝のこと、換気をするために、なにげなく窓をほんのすこし開けたら、夫にすごく怒鳴られました。外気温はマイナス30度ぐらいだったでしょうか。窓をちょっと開けると寒気が家の中に入ってきます。
「電気代がかさんで、支払いが大変だ、おまえのせいで、今、暖房代があがった」とかなんとか、夫は言うのです。
私は空気が汚れているのは、健康によくないと考えています⇒部屋の汚れた空気が人を病気にする。室内空気汚染の8つの原因。
ちょっとぐらい電気代があがっても、病気にならないほうがいいのではないか、それに窓を開けたのはほんの数分。そんなことを夫に訴えたら、空気が悪いと思うなら、外へ行け、と言われました。
しかし、このとき、私の脳内には、いつも部屋の電気やヒーター(足元に置く小さいやつ)の電源を入れっぱなしにしている夫の電気の無駄遣いがぼんぼん浮かんできました。
それを一つひとつ指摘したら、当然のことなんがら、ケンカがどんどんヒートアップしました。
週末の朝のムードがいきなり険悪になり、私は大きなマイナス感情にさいなまれていました。
足りないマインドがあると、こういうことが起こるのです。
全体的に見ると、そこまで重要でもないささいなことで、罵り合いがおこり、あたりが一気にネガティブエネルギーにつつまれ、「ああ、もうケチケチ節約するのなんて、やめた、やめた」と今までの努力が水疱に帰します。
「いや、それは、筆子さんとご主人の人間ができていないから起こったことで、特殊ケースです」という人もいるかもしれません。そこでもう一つ例をあげます。
足りないマインドのせいで無駄遣いが増える
たくさん服を持っているのに、また新たに服を買って無駄にお金を使ってしまうのも「足りないマインド」のせいです。コートなどは2~3着ですむはずなのに、シチュエーションに合わせて、同じ用途のものを何枚も買ってしまいます。
「自分が持っているコートの枚数や品揃えは充分ではない」と感じているからです。ふだんよく着ているコートは1枚なのに、「でも保護者会には、このコートじゃだめよね」とか「冠婚葬祭のときには派手すぎるわよね」と思ってしまうのです。
そこで、ちょっとシックなのを買い足します。
しかし、足りないマインドがある人はこれでも満足できません。「これは秋の葬式にはいいけど、冬の葬式にはちょっと薄すぎるわよね」なんて考えてしまうのです。葬式の予定なんてないにもかかわらず。
葬式は室内だし、移動は車。それでも車から家の中に移動するそのちょっとの間のことを心配するわけです。
この発想は後天的なものです。売り手側が、「こういう時にはこのコート」「こんな場合はこのジャケットで」と細かいTPOに合わせて、服装プランを提案するので、多くの人は、「コート1着じゃ生きていけない」と思ってしまうのです。
しかし「たっぷりマインド」を持てば、手持ちの分だけで充分だと思えるし、仮に本当に厳寒の日に火葬場に行くことになっても、下にセーターを重ね着したりして、ちゃんと間に合わせることができるのです。
足りないマインドからたっぷりマインドに変える方法はこちらに書いています⇒貧乏人の「足りないマインド」から金持ちの「たっぷりあるマインド」へ変換する方法。
2.現実的な思考
次に必要なのは現実的で客観的な思考です。これはどんな無駄遣いを抑止するにもひじょうに有効な考え方です。
買い物で起きる結果を現実的に客観的に予想できれば、無駄遣いは減ります。
非現実的な思考が無駄遣いを起こす
多くの人は、「これを買うと私の人生、もっとよくなる」と思って買い物します。この服を買えば、女優の石田ゆり子みたいになるとか、井川遥に近づく、なんて思っています。口には出さないでしょうが、気持ちの中にあると思います。
ユニクロのイネス・ド・ラ・フレサンジュのコレクションが人気なのも、イネスの見た目が素敵だからです。しかし、当然のことながら、イネスのコレクションの服を買ったって、自分はイネスにはなりません。
他の面でもいろいろ努力すると、だんだんイネス風になるかもしれませんが、それは長い時間とたくさんのお金、気力、体力を要する作業です。
数千円~数万円の服を買って、それを着たぐらいでは、いきなり今の自分からバージョンアップしたりはしないのです。その服を着ていようと着ていまいと、自分そのものはそんなに変わりません。
英会話の教材もそうです。「このCDを聞いているだけで英語がペラペラになる」という、語学をちょっとたしなんだ人なら、「そんなことあるわけない」教材が人気です。
このような商品に引かれるのも、商品を買いさえすれば、自分は変身すると思っているからです。確かに人は変わることができますが、そんなにお気軽には変身できません。
変身できるなら、今頃、日本中の街の中、英語がペラペラの人とイネスのように素敵な女性でいっぱいのはずです。「英語ができたらいいなあ」と思っている日本人はたくさんいますから。
しかし、現実は、教材が山のように出ているわりには、英語で意思疎通ができる人は、思いのほか少ないし、フランス人のイネスのような人も当然のことながら、日本にはあまりいないのです。
商品やサービスを購入して確実に起こることは、購入代金分のお金がでていくこと。物なら、家の中に1つ物が増えます。
買い物で起こるのはそれだけのことなのです。
もちろん、買う前は、さまざまな期待に胸がふくらみわくわくするかもしれません。買っている最中もうれしくて、笑顔になっているかもしれません。しかし、残念なことに、このわくわく感も笑顔も買ったあとは、急速に消えていくのです。
特に、何かを買うと、いきなり世界がバラ色になるという期待値が高い人ほど、急速に不幸せになります。その理由はこちら⇒あなたはなぜ不幸なのか?期待と現実のギャップが大きすぎると幸せから遠ざかる(TED)
幸せになりたくて、余計な物を買って、失望するからまた別の何かを買って、また失望する。これは、甘い物を食べて血糖値を上げたり下げたりするのと同じです。
現実的な思考を持つには?
では、現実的な思考を持つためにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、家にある物を断捨離したり、何を持っているのか調べたり、書き出してみてください。やたらと野望ガラクタが出てきたら、あなたは、あまり現実的な思考をしていないといえます。
野望ガラクタとは、なりたい自分になるために買ったはいいが、結局使わずにすぐにガラクタになってしまったものです。詳しくはこちら⇒なかなか捨てられない「なりたい自分になるために買った物」を断捨離する方法
私はこの手のガラクタをそれはもうたくさん持っていました。今でもまだ本箱に少しあるため、今年は本箱チャレンジというのをしています⇒本や雑誌を捨てられないあなたに、本箱チャレンジのススメ
次に、ふだんの買い物を記録してみてください。値段とアイテムを書き、それを買うことによって、人生がどんなふうにどれぐらい変わったのか調べてみます。よい方にはあまり変わってないことに気づくと思います。
仕事をすごくがんばったから、前から欲しいと思っていた何かをちょっとしたご褒美として買うのは悪くないです。
それは自分で自分を大事にしたり、ほめる行為だと思います。こちらに書いているパンパーミッションです⇒部屋を片付けるコツを知りたい人必見。31日で身に付ける小さな家事習慣(9)
主婦は、自分を殺して、家族のためにがんばりすぎるきらいがあるので、パンパーミッションは無駄遣いではありません。
ですが、期待した結果が伴わない買い物が増えている人は、もっと現実的なマインドセットを持つべきなのです。
3.成長マインド(グロースマインドセット)
成長マインドとは、英語の growth mindset (グロースマインドセット)のことです。
growth は「成長」です。グロースマインドセットは、人の能力や資質は成長するものだという考え方です。育児や教育の現場でよく使われる言葉で、「しなやかマインドセット」と呼ばれることもあります。
つまり人はよいほうに変わりうるのです。
成長マインドと固定マインド
物を買うことで手っ取り早く世界を変えようとしている人は、自分が変わる可能性にはあまり意識を向けていないかもしれません。
きのうと同じ場所に住み、同じ物を持っていても、自分の考え方がちょっと変われば、きのうより幸せな気分になれます。
結局、人はこの世界を自分で解釈しているから、解釈を変えればより幸せになります。解釈を変えるのに、物はそんなに必要ありません。むしろ、余計な物はあまりないほうが、自分の心の声に素直になれるし、じっくり考える気持ちの余裕も生まれます。
物が多すぎるとその管理に時間を取られますから。
グロースマインドセットを持っている人は、たとえ今はうまくいかなくても、自分は少しずつ成長できると考えます。
お金の管理が全然できないどんぶり勘定主婦の私でしたが、どんぶりはどんぶりになりにいろいろがんばってきました。
家計簿をつけられないから、最初はこんなことを試みました⇒家計簿がつけられないズボラ主婦が行き着いたお手軽な支出の記録法とは?
その後、いろいろ試し、今は家計簿をつけています。そのうち、年間収支実績表も作れたらいいなあ、と考えています。
今、お金の管理ができない人も、地道な努力を積み重ねれば、そのうちうまく予算を立てられるようになる、とか、過度の衝動買いをやめられる、と考えるのが成長マインドです。
成長できるのですから、今がめちゃめちゃでも大丈夫なのです。
グロースマインドセットと対極にあるマインドは、フィックスドマインドセット(fixed mindset)です。これは固定化されたマインドセット、または硬直したマインドセットと呼ばれます。
固定化したマインドセットを持っている人は、自分はこれ以上成長しない、と考えています。
止まっているので、人の成功は脅威になります。自分も成功に向かってがんばればいいのですが、自分はここでずっと止まっているのですから、そういう発想はありません。
成長しないから、今の自分の能力や自分の存在を他人に承認してもらう必要があります。そこで、余計な物を買って見栄を張り、お金を無駄になくします。見栄がお金をなくす話はこちらです⇒貯金できないのは見栄を張るから。よく見せようとすることの恐ろしさとは?
人と自分を比べて落ち込む人も、グロースマインドセットが足りないといえます。
グロースマインドセットになるには?
固定化されたマインドセットからグロースマインドセットに変わる方法をいくつか紹介します。
●能力や資質ではなく、プロセスにフォーカスする
現時点の自分の能力ではなく、貯金をするために自分がいろいろやっているそのことに目を向けます。
●毎日1つ、何か新しいこと、いつもと違うことをやってみる。
硬直した考え方から抜け出るよい方法です。
●固定化された心の声に気づく
「できるわけない」「こんなのだめに決まってる」「私は家計管理とか全然だめ」「私はネガティブです」「私は片付けられない女」「50歳すぎると頭が固くなっちゃて何をやってもだめだよ」。このような、固定化した考えに気づいてください。
すべて自分の成長の可能性を否定する言葉です。「できるわけない」と思ったら、「では、どうしたら、できるようになるのか?」と考えます。
●いつも成長の機会があることに気づく
脳は筋肉と同じように、変えることができる、と信じます。実際そうだと思います。私も、以前は物をいっぱい持っていて、家計簿もつけられませんでしたが、今は、所持品は少なく、家計簿をつけているし、銀行の残高もましになりました。
●「まだ」という言葉を使う
「絶対だめ」ではなく、「今はまだできない」と考えるようにします。全否定しないということです。実際、全否定する根拠などまったくありません。全否定する傾向のある方はこちらも読んでください⇒ポジティブ思考は学習できる。前向きになる4つのポイント教えます。
グロースマインドセットを持っていると、落ち込んだりストレスをかかえることが少なくなります。貯金だけでなく、断捨離や仕事、勉強にも応用できる考え方です。
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今回は、お金を貯めるために持っていたほうがいいマインドセットを3つ紹介しました。小手先の技をがんばるより、適切なマインドセットを持っているほうが、成功に近づきます。
がんばっているのにお金が貯まらない、節約疲れしている、なんて時は、思い出してほしいマインドセットです。
尚、こうしたマインドセットは他人に伝染します。家庭や職場に、強い「足りないマインド」「非現実的な思考」「硬直マインド」を持った人がいたら、少し距離をとったほうがいいです。
自分が適切なマインドを持てば、相手に影響を与えることもできますが。