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お兄さんがセールで買い物ばかりするから、実家は足の踏み場もない、という相談メールをいただきました。
この記事で回答します。
まずメールを引用しますね。Mさんからです。
バーゲンセール依存症の兄
件名: こんにちは。
「バーゲンセール依存症のせいでガラクタをため続ける人の処方箋」のプログ読みました。
私は、筆子さんと同年代(昭和37年2月生まれ)「りぼん」の付録の話も懐かしく読みました。「明星」とか「平凡」の付録、なんてのもありましたよね。
私は、1989年にアメリカに留学、Appleでインターンをしたことをきっかけにカリフォルニアに居ついてしまい、アメリカ人と結婚、そして離婚、してからも、20年以上経ってしまいました。
うちの実家は東京世田谷で、母90歳、兄66歳、姉63歳。
兄が、筆子さんの言ってたバーゲンセール依存症、しかも hoarder(筆子注:ホーダー。物を脅迫的に物をため込む人)。
兄は大学生の頃、父に追い出されてから長いこと独り住いだったのですが、
父が20年前に亡くなったのをきっかけに実家に戻って来て、現在は母と二人暮らし。
で、世田谷の実家は足の踏み場もないほどに、「いらないモノ」で埋め尽くされ、以前は私の部屋だったところも新品の下着、靴下、スキーウェア、Tシャツなどがぎっしり詰まった衣装ケースが天井まで積み上げられ、
父の書庫だった部屋はお菓子、缶詰、レトルト食品、雑誌、CDが山積み。
冷蔵庫も賞味期限が5年くらい過ぎた食料品だらけ。
ぜーんぶ、バーゲン品です。
私はこの5、6年、年に1度か2度帰って「空飛ぶお掃除おばさん」をしてますが、とにかく、イタチごっこ。かなわない。
どんどん増えるスピードに追いつけない。
筆子さんのブログを見つけて、あー、そうなんだ、と納得する反面、で、どうしよう。。。と悩んでます。
母は90歳だし、私もいつまでも若くない。いつまでもこんなこと繰り返してられない。
姉は国分寺に住んでいるのですが、最近やっと退職し、「空飛ぶ」ではないにしろ、電車で一時間くらいかけて週に1回くらい実家の片付けを始めてくれたので、少し気持ちは楽になりましたが。
だらだらと書いてしまいました。また、ブログを楽しみにしています。よかったらお返事ください。
Mさん、お便りありがとうございます。
Mさんに返信したら、さらにメールをいただきました。
それによると、お兄さんが大学生の頃、お父さんに追い出された理由の1つは、部屋がゴミの山だったから、とのこと。
その後、お母さんがお兄さんの家賃を払い続けるなどして、ずっと経済的な面倒をみており、お兄さんはこれまで自分で生活費を稼いだことがありません。
お兄さんは、いまは年金生活ですが、もらった年金から、自分の糖尿病の薬代を出すだけで、残りはすべて不用な買い物(衣料品やスキー道具、雑誌、CD、大量のお菓子など)に使っています。
お母さんはお兄さんがかわいいのでしょうね。しかし、その愛情が裏目に出たと思われます。
悩んだときの解決法
「どうしたらいいんだろう?」と悩んだら、以下の記事を読んで、ご自身がどうしたいのか、いまの自分にできることは何なのか、しっかり考えてみてください。
この記事です⇒この先どうしたらいいのかわからないと悩んだらこれを読んでください。
海外在住12年目の40歳の方からの質問を例にあげて答えています。
冷静になって、いったい、いま何が問題なのかノートに書いてみると、解決の道や、自分のやるべきことがおのずと見えてきます。
悩み相談してくる人の大半は、すでに心の中で「こうしたほうがいいんじゃないか」という解決策を持っていることが多いです。
ただ、勇気がなくて(コンフォートゾーンから出たくなくて)、実際に行動に出るのを先延ばしにし、悩むことに時間とエネルギーを注ぎがちなのです。
コンフォートゾーンについて⇒快適な状態にとどまると人生はだめになる(TED)
次に私ならどうするかお伝えします。
重度の買い物依存症は脳の病気と考えたほうがいい
Mさんのおっしゃる通り、お兄さんは買い物に依存していますね。
特に必要でないものを、必要以上に大量に買い、買った物で部屋を埋め尽くしているのですから。
きっと、ご実家は広くて、物を置く場所がたくさんあるのでしょう。ですが、そのうち、キッチンや居間もいっぱいになりますよ。これから、暑くなるから、ゴキブリも出て大変でしょう。
日常生活に支障があるほど溜め込んでいるなら、買い物依存症⇒どうしてもやめられない。買い物依存症ぎみの人が、自分で克服するためにできること。
物を病的に溜め込むなら脅迫的ホーディングの疑いがあります。
こちらに、OCD(obsessive-compulsive disorder 強迫性障害)のせいで、物をためこんだ人の部屋の写真をのせています⇒物をためこむ母親にスッキリ断捨離してもらう方法。実録・親の家を片付ける番外編
どちらも、「ちょっとだらしない」「掃除が苦手」「金遣いがあらい」程度のレベルではありません。買い物とため込む行動のせいで、その人や、家族の日常生活が、明らかに滞っています。
これは、こころの病気というか、脳の病気と考えたほうがいいと思います。
脳内物質の分泌が、元気なとき(病気じゃないとき)とは、ちょっと違っているわけです。
病気なので、専門家の治療を受けたほうがいいです。適切な治療を受ければ、いまよりずっとましになると思います。
医療機関に行くのがいやだったら、買い物やギャンブル依存症を治す、リハビリ施設に相談してもいいと思います。
お兄さんは東京にお住まいだそうですから、そのような施設やカウンセリングを受けられる場所はたくさんあるでしょう。いま、買い物依存の人が増えていますし。
お兄さんに自分の気持ちをしっかり伝える
一度、お兄さんに、いまの状態をどう思っているのか、Mさんはどうしたいのか、面と向かって話をしてください。
帰国して掃除をするのも悪くありませんが、お兄さんとコミュニケーションを取るほうが重要です。
人がさまざまなものに依存してしまう、もともとの理由は、寂しいから、ということが多いのです。愛情に飢えているのです。
こちらの記事で紹介している動画をごらんください⇒なぜ人はいろいろなものに依存してしまうのか?依存する原因を知って克服する。
ラットの実験で、薬物入りの水と、ふつうの水を与えると、ひとりぼっちでいるラットは、たちまち、薬物中毒になってしまいます。
ですが、ほかの大勢のラットたちと暮らしているラットは、たとえ、薬物を飲んでみることはあっても中毒にはならない、というものがあります。
ラットは、人間に似て、社会的な動物だそうです。
考えてみると、毎日が楽しい人は、あまり買い物依存やギャンブル依存になりません。
家庭や職場でストレスがありすぎて、買い物でそのストレスを発散しているうちに、クレジットカードですごい借金を作ってしまった、とか、
ひとりぼっちで寂しいから、さみしさを紛らわせるために、パチンコに通っているうちにやめられなくなったなんてケースが多いです。
お母さんはお兄さんが可愛くて、経済的援助をしてきたのだと思いますが、お金さえ与えておけば、自分の人生を自ら切り開き、命を輝かせて生きる人間になるかといったら、そんなことはないわけです。
むしろ、お金を与えすぎると、逆効果です。
お兄さんは、子供時代、寂しかったんじゃないですかね?
過保護は、一見、親の愛情の深さの証(あかし)に見えますが、子供をいつまでも支配したい(自立を許さない)気持ちの表れでもあります。
そんなわけで、お兄さんは、「ゴミ屋敷を作る迷惑な人間」ではありますが、「自立することを許されなかったかわいそうな人」でもあるのです。
お兄さんは、まだ66歳なので、今後は、いきいきと生きてもらうためにも、Mさんとお姉さんの気持ちをはっきりとお兄さんに伝えるべきでしょう。
2通目のお便りによると、お兄さんは、Mさんやお姉さんをうるさがっているだけ、とのことですが、もしかしたら、いまは心境が変わっているかもしれません。
「兄に何を言っても聞いてくれない」と思い込まないほうがいいです。
お兄さんがわかってくれようと、くれまいと、とにかく自分の気持ちをしっかり言葉にしておいてください。
お母さんは90歳。まだお元気かもしれませんが、いつまでも生きているわけではないです。
お兄さんはお母さんに依存した生活をしているようです。さすがに、ご本人も、「このままではまずいかも」ぐらいは思っているんじゃないですか?
お兄さんが聞く耳を持たない場合
お兄さんのことを思いやって、親身になってアドバイスしたり、自分の気持ちを正直に伝えても、お兄さんが聞く耳を持たない場合は、お兄さんのお金の管理をお母さんにしてもらってはどうでしょうか?
無理ですかね?
いま、光熱費や固定資産税を払いながら、食料品や日用品を買い、食事のしたくや洗濯をしているのはお母さんなんですよね?
もしかしたらお姉さんでしょうか?
お金がなかったら、お兄さんも使わないんじゃないですか?
糖尿病の薬代だけでなく、食品や住居費も、お兄さんに支払ってもらうべきです。
結局、そのほうがお兄さんのためだと思うのです。だって、お母さんが亡くなったら、お兄さんが実家で1人で住まなきゃならないのですから。
いまから練習しておいたほうがいいですよ。
Mさんの家には財産がたっぷりあって、お金に困ることはないかもしれませんが。
それと、掃除ですが、お姉さんやMさんが手伝わないとまずいとは思いますが、お兄さんにも自分の身の回りの掃除をするように言ってください。
年金生活で暇なんですから。掃除は運動不足の解消にもなります。
Mさんは、年に1、2度帰っているそうですが、ふだんもスカイプかLINEなどで、お兄さんと密に連絡を取って、ちゃんと掃除をしているかチェックするといいと思います。
それと、「セールで使わない物を買って、部屋を物で埋め尽くすのは、お母さんにとっては危ないことだ」と教えてあげてください。
日本は地震もありますしね。
とにかく、まめにコミュニケーションをとって、Mさんがお兄さんを心配しているところを見せれば、お兄さんの態度も和らぐと思います。
お兄さんは、買い物好き・ため込み好きではありますが、悪い人ではないだろうし、妹はかわいいんじゃないでしょうか?
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今回は、物をためこむお兄さんに関する相談に回答しました。
他人はコントロールできませんが、その人にたいして、愛情を注いだり、気遣ったりすることはできます。
その結果、本人が、「こんなことをしていてはだめだ。生活を立て直そう」とその気になれば、買い物依存から抜け出すことができるのではないでしょうか。