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10日ほど前に、読者、えむこさんのメールに記事で返事をしました。
処分する物を決めるのにたいそう時間がかかるので、さっさと決める方法を教えてほしい、という内容です。
この時、私は、「そんなことより、物を買うのを控えなさい」とアドバイスしましたが、さっさと決められるようになるコツもお伝えしておきます。
というのも、断捨離が苦手な人って、要するに決めることができない人なんです。
決められないからこそ、捨てることができない。
ちゃんと決めることができるようになれば、処分するスピードもあがります。
今回紹介する、「決めるコツ」は、本当に大事なものを見極めることです。
全部大事だと思うのは間違っている
大事なものがわかっていない。
これが、捨てるものを決めることができない第一の理由です。
部屋にあるすべてのものが大事に見えていたら、どれを捨てていいのかわかりませんよね?
えむこさんは、「所有している物はどれもお気に入りで、残す物を1つだけ決めるなんてできない」とメールに書いていました。
えむこさんのお便りはこちらで紹介⇒自分で管理できる量まで、物を減らす近道とは?
ですが、対象が物である時、しかも、衣類や雑貨など、本来ならほんの少し持てば充分な実用品であるとき、すべてが大事なんてことはありえません。
しかも、こんなにたくさん「大事な物」を持っているのに、えむこさんは、まだ、新しい物を買いたいと思っています。
「大事な」という形容詞の使い方、間違っていませんか?
大事なものは、とても重要で欠くことができないものです。
「どれも大事だ」と思うとしたら、どれもさほど大事ではないと思います。
有事のさいに持っていきたい物は?
自分にとって本当に大事なものを見つけるために、家を出る必要があるとき、持っていきたい物を考えてください。
火事のとき持って逃げたい物、大雨にあって避難所に行く時持っていきたい物、老人ホームに入居するとき持っていきたい物(えむこさんは、まだ若いと思いますが)は何ですか?
まさか、そこにある物、全部じゃないですよね?
そんなにいっぱい持って逃げることなんてできませんから。
「火事になんかならないもん」「大雨なんて降らないもん」と思いますか?
一生のうちに火事にあう確率は、4.82%でそんなに高くありません(交通事故にあう確率は、26.85%)。
参考にした記事⇒一生のうちに「火事」に遭う確率は4.82% 隣家のもらい火で全焼することも
地震にあう確率はけっこう高いと思います。この記事によれば、地震にあう確率は、交通事故でけがをする確率と同じくらいだそうです。
自分や家族が「大地震に遭遇する確率」を計算する方法=吉田繁治 | マネーボイス
しかし、ここで重要なのは、実際に火事や地震にあうかどうかではなく、「そうなった時に、私は何を持って逃げるだろう」と考えてみることです。
大急ぎで家から出なければならないとき、「財布、スマホ、パスポート、ペットの猫だけ持ち出せたらいい」と思うんじゃないでしょうか?
最近は、異常気象のせいで、洪水や火事で、家や持ち物を一気になくしてしまう人が増えています。
これはすごくショックなことですし、私はそんな目にはあいたくありませんが、最悪の場合でも、命(と希望を感じる力)さえあれば、再建できます。
災害にあうことも、老人ホームに入ることも想像できないなら、引っ越しをするとき、何を持っていきたいか考えてください。
えむこさんは、数年前に引っ越しをしたばかりですが。
人生に何を求めているのか?
自分の部屋や家、毎日の生活、そして人生に、何を求めているのか、考えてください。
どんなふうに生活できたらうれしいのか、満足できるのか。
えむこさんは、「物だらけの部屋に悲鳴をあげたくなる位、心臓がガンガン痛みます」と書いていましたが、これがあなたの理想の生活ですか?
違いますよね?
どんな暮らしが理想なのか、じっくり考えてみましょう。
えむこさんが、この人生から本当に手に入れたいものは、大好きな物に囲まれた暮らしでも、好きなものを際限なく買うことができる経済力でも、好きなものすべてを美しくディスプレイできる大きな家でも、ないと思います。
人間は精神的に満たされていないと、どんなに物があっても不幸ですから。
実際、えむこさん、今、決してしあわせとは言えません。
私に悩み相談を送ってくるぐらいですからね。
えむこさんは、もっとほかに、人生に求めていることや夢があるんじゃないですか?
何を求めているのか、自分ではわかっていないか、わかってはいるけど、「どうせ手に入らない」とあきらめて、そちらは追い求めていないのかもしれません。
夢をあきらめる代わりに、手に入りやすくて、手に入れれば、すぐに幸せを感じられる物集めをしているんじゃないでしょうか。
この場合、本当に求めているものを手にいれる方向にシフトしたほうが、幸せになります。
物以外の大事なものについて考える
「部屋にある物はどれもとっても大事だ、捨てるわけにはいかない」と思うとき、物以外の大事なものやことを考えてください。
人生、物以外にも大事なことはいくらでもあります。
たとえば、自分のまわりにある自然。
太陽の光、きれいな空気、目にやさしい木々の緑。蛇口をひねればいつだって出てくる水、大きな海。
こうしたものは、毎日当たり前のように享受しているから、大事には思えないかもしれませんが、どれも大事なものばかりです。
さらに人間関係も大事です。家族や友達、恋人など。
学校や職場で会うだけの人でも、一緒に勉強してくれ、仕事をしてくれることで、えむこさんにいろいろなものを与えてくれます。
さまざまな人間関係がありますが、自分にとってももっとも重要な人間関係を考えてみるといいでしょう。
その関係は、とても物とは比べられないはずです。
もちろん命も大事です。
時間、健康、好きな物を買える自由、病気になったら受けられる医療やインフラ(公共施設、下水道、ガス、道路、鉄道、電気、電話、学校など社会生活ができる基盤)。
こうしたものは、部屋にたくさん詰め込んだ衣料品や雑貨よりずっと大事ですよね?
えむこさんは、せっかく恵まれた環境に暮らしているのに、物がありすぎるせいで、ストレスがふえ、不幸になっています。
少し減らしてみると、もっと満足度の高い生活になりますよ。
価値観を知る⇒自分の価値観に沿った暮らしをするには?:心を満たす方法(その2)
自分と向き合う
えむこさんは、「買物が楽しくて、頭の中は365日買物の事と断捨離の事しか考えてないかもしれません。次々素敵な物が販売されて、次々物を狙っては手に入れて、それが楽しくてしょうがないです」とメールに書いていました。
えむこさんが、断捨離をするのは、新しい物を買いたいからです。したがって、あなたは、四六時中、買い物のことだけを考えている、と言えます。
なぜ、新しい物を買うのが楽しいのかというと、前回の記事にも書きましたが、手軽にドーパミンが分泌されるからです。
買い物をして、お手軽にドーパミンを出すことだけに専心しないで、もっと自分と向き合う時間を作ってください。
おすすめはモーニングページを書くこと(耳タコでしょうか?)⇒ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ
ブレインダンプや日記でもいいです。
10年前の日記を読んで思うこと、そして日記をつけるメリット。
えむこさん、たまに私にメールを書いて、振り返りや気持ちの整理をしていると思いますが、毎日、鉛筆やボールペンを手に持って、紙に向かって、考えていることを書いてください。
本当に大事にしたいことが見えてくると思います。
おすすめの本⇒筆子の新刊『書いて、捨てる! 』3月11日発売。著者による内容紹介。
☆この続きはこちら⇒決断疲れを避ける:決断するコツを教えます(その2)
決められる人になるための過去記事もどうぞ
決断する力をアップする。自分で決められない理由とうまく決める方法(TED)
仕事や家事の優先順位を決める6つのポイント。やりたいことをやれる人生に。
よりよい決断をするには?シーナ・アイエンガーの選択術(TED)
よりよい決断をする3つの方法、コンピュータのように考える(TED)
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もっとも大切なことを見極めることをおすすめしました。
思い出の品々も、自分の心のよりどころとして、大事だと思いますけど、物にばかりフォーカスしないほうがいいと思います。
では、この続きをお楽しみに。