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頼まれるとノーと言えない。こんな悩みのある人の参考になるTEDトークを紹介します。
タイトルは、How to be an anti people pleaser (反ピープルプリーザーになる方法)。
ソロリティ(女子大学の社交クラブ)のリーダーである、Kate Riggers(ケイト・リガース)さんのプレゼンです。
ピープルプリーザー・TEDの説明
Kate walks us through how to set boundaries and conceptualizes different types of people-pleasers.
ケイトは、境界線を引くことと、違うタイプのピープルプリーザーを説明します。
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説明があまりに簡単なので補足します。
people pleaser は、直訳すると、「人を喜ばせる人」で、頼まれたらノーと言えない人です。
日本語だと、お人好しとか、八方美人と言われますが、ちょっとニュアンスが違います。
ピープロプリーザーは、基本的にいい人ですが、相手のためを思って頼まれごとをするのではなく、自分の心理的なニーズを満たすために、依頼を引き受けます。
嫌われたくないとか、自分のことを認めてもらいたいという気持ちがあり、「本当はやりたくない、できない」という本音を押し殺して、自己犠牲のような行動をとるのです。
問題は、そうすることにすっかり依存してしまうことです。
動画の長さは、14分27秒。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDトークの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
正直で好感のもてるプレゼンです。
自慢の兄
私には自慢の兄たちがいます。上の兄は、父と一緒に家族経営の農場で働いています。ここ数年、すばらしい業績をあげ、好きなことに打ち込んでいる兄を見るのが大好きです。
下の兄は、海軍の戦闘パイロットです。
兄たちは、私より6~7歳上です。2人ともすばらしいロールモデルです。
頭がよく、運動が得意で、ユーモアもある。妹にとって最高の兄たちです。
兄たちが、我が家の子どもたちへ、周囲が期待するものを決めたと言えます。
学校、スポーツ、学校外の活動においても。
私はその期待に応えなければなりませんでした。それは悪いことではありません。
私は兄たちの達成したことを尊敬していたし、そんな環境で育つのはいやではありませんでした。
兄たちのようになりたいと思っていました。
周囲の人をがっかりさせたくない
でも、そうできないところがあったのです。私はものすごく運動が苦手なので、皆をがっかりさせていると感じました。
運動が苦手な分、ほかの分野で埋め合わせをするようになりました。
周囲の人をこれ以上がっかりさせないために、そして皆が私のそばいにいてくれるように。
その結果、周囲の人が望むことはなんでもするようになったんです。
はじめは、うまくやっていると思っていたのですが、そのうち、「自分のおかげで、人が幸せでいられると感じること」に依存するようになりました。
そうすることにさして問題を感じていませんでしたが、ソロリティのプレジデントになって、過去20年の私のライフスタイルではだめだと気づきました。
自分の問題に気づいた
ソロリティに入って2ヶ月後、ある晩、友人と図書館で宿題をしていました。プレジデントのメールの受信箱には、大量のメールが届いていて、誰もが私に用事を頼んでいました。
私はすでに仕事に圧倒されていて、燃え尽き状態で途方にくれていました。
自分自身のための時間や、自分のニーズを満たす時間がないことに対する怒りと、周囲の人全員を喜ばせたいという気持ちの間で板挟みになっていたんです。
強い敗北感を感じながら、頭をかかえていたとき、友人が言いいました。
「ケイト、あなた、誰かにノーと言ったことはないの?」
びっくりしました。最後に誰かにノーと言ったのがいつだったのか、答えられなかったから。
極度の疲労と怒りと友人の言葉に目が覚めました。
人を喜ばせることに依存していた
その晩、家に帰って、長い日記を書きました。紙に自分の気持ちをすべて吐き出したのです。
自分が書いた内容を読み、燃え尽きるばかりのライフスタイルを送っていては、理想とする支部のリーダーにも、社会における理想の自分にもなれないと思いました。
その後、私はどうしたか?
はじめはどうしていいかわからなかったので、うろたえました。
何をどうやって修正すべきかわからなかったから。
その後、ネットで検索しました。
1週間、ブログや本を読み、ポッドキャストを聞き、自分の状況を振り返り、その週の終わりに、自己診断をくだしました。
私は、人を喜ばせることに依存していたのです。
反ピープルプリーザーになることにした
自分の状態がわかったので、次は、それを直す番です。
過去20年間、無意識にやり続けてきた悪習慣をどうやったら変えることができるのか?
この時点の私は、「思いやりのある親切な人間」から大きく逸脱していました。
自分の人生を取り戻すためには、マインドセットとライフスタイルを大きく変えなければなりません。
極端なピープルプリーザーから、ごく平均的なピープルプリーザーになる代わりに、私は反ピープルプリーザーになることにしました。
聴衆のみなさんは、ソロリティのプレジデントではありません。だから、「ケイト、私にはまだ何の顕現もないわ。どうやったら、自分がピープルプリーザーだとわかるの?」と聞きたいでしょう。
インターネットでリサーチしまくったから、この質問に答えることができます。
ピープルプリーザーの3つのタイプ
ピープルプリーザーには3種類あります。
1.責任を引き受けたがるタイプ
他の人の気持ちや感情の責任を取るのが大好きなピープルプリーザーです。
自分の行動が、他の人の感情の結果と紐づいていると感じています。たとえ、ろくに知らない相手であっても。
誰かが不幸せだとがっかりし、その不幸せの原因は自分にあると感じます。
誰かが落ち込んでいると、全力で力づけようとしますが、うまくいきません。
周囲の人が幸せでいられるよう、できることは何でもします。自分の健康を犠牲にしても。
2.衝突を避けるタイプ
衝突や意見の不一致に直面するぐらいなら、誰もいない遠い孤島に引っ越したいと思う人です。
衝突とは、怒りであり、それは不幸せなことだと自動的に感じます。なんとしても衝突を避けたいのです。
このタイプは、優柔不断です。何かをはっきり決めると、衝突が起きるかもしれないからです。
だから、自分のことについて、他の人に決めさせます。
3.鏡
このタイプの人にとって、周囲の人をハッピーにさせるベストの方法は、相手の姿そのままに振る舞うことです。
相手によって、自分の性格が変わります。
摩擦をさけるため、相手の感じていることや求めていることに合わせようとします。たとえ、それが自分が本当に感じて求めていることではなくても。
どうやって反ピープルプリーザーになるか?
3つのタイプがわかったところで、反ピープルプリーザーになる方法を見ていきましょう。
ネットにたくさん情報があるので、ご自身で調べることをおすすめしますが、私が、ここ1年で学んだことをお話しします。
これから紹介するのは、私が、「幸せ(well-being)ツールキット」と呼んでいる方法です。
1.言葉遣いを変える
ピープルプリーザーがよく使う言葉は、「ごめんなさい」に類した表現で、一番嫌いな言葉は、「ノー」です。
「ごめんなさい」と言うのをやめて、いつも「ノー」と言え、とは言いません。
でも、どこかで始めなければなりませんよね。
「イエス」または「ノー」と言う代わりに、「あとで返事をします」と言ってください。
「イエス」でも「ノー」でもなく、何かにコミットする前に、考える時間を得られます。
私は、すぐに「イエス」と言っていたので、何度もダブルブッキングをしてしまいました。
「あとで返事をします」と言うことに慣れたら、「ノー」と言う練習を始めましょう。
小さなことから始めてください。1人でいるときに練習しましょう。私は練習しました。
1人で部屋にいるとき鏡の前で、そんなに大ごとではないことにノーを言う練習をしたんです。
人にノーと言うとどんなことになるか、考えただけで、とても恐ろしかったからです。
練習を重ねたら、大事な場面でもノーと言える自信がつきました。
自信がつくにつれて、やりたくないことをし、行きたくない場所へ行かなくなり、ずっと幸せになりました。
2)うまく境界線を引く
人生に置いて境界線をもっと上手に引きます。自分がどんなピープルプリーザーなのか認識するのが助けになります。
自分のタイプがわかったら、「ごく普通の思いやりのある人間」という域から出て、他の人にハッピーになってもらう必要を強く感じる分野を見つけてください。
私にとって、日記を書くことが役立ちました。
自分をないがしろにして、他人のために何かをしてしまったのはいつか、
他人の機嫌を取るために、自分に正直でなかったできごとはあったか、
どんな衝突を避けようとしているのか、そうする理由は何か?
人のためにやりすぎてしまうことや、一歩さがって考えるべきときがわかれば、もっとほかのことにエネルギーを使えると気づきます。
3)自分を、自分がいつも喜ばせようとしている人と同じように扱う
これは私にとって、もっとも重要なことです。
ピープルプリーザーは、他人のニーズを満たす必要にとらわれすぎて、自分自身をケアすることを忘れます。
プレジデントとして、自分のニーズをないがしろにして、他の人のニーズを満たしているとき、何度も、私は、自分が、良きリーダーでも、友人でも、学生でもないと感じました。
幸せにしてくれるものリスト
誰もが、自分を幸せにしてくれるもののリストをもつべきだと思います。
リストがない人は早速作ってください。
リストを見て、「今日私は、自分を幸せにするために何をしようか」と自問し、実際にそれをしましょう。
散歩する、好きなコーヒーを買いにスターバックスに行く、ジムに行って2時間運動をする。自分なりのリストを作ってください。
毎日、最低1つは、自分のために何かをするべきです。
自分が幸せになることに時間をかけましょう。自分のカップが満たされていなかったら、他の人のカップを満たすことはできません。
大事なのは、小さなことから始めること。
ローマが1日でできなかったように、健全な習慣を身につけることも時間がかかります。
自分にやさしくして、自分や自分の健康が大事なことを認めてください。
この1年で私が学んだことが1つあるとしたら、全員を幸せにすることはできないということです。それに、一番大事なのは、自分の幸せなのです。
//// 抄訳ここまで ////
自分を優先する・ほかのプレゼン
毎日疲れているあなたに。心の境界線を引いてストレスを減らし、自由になる(TED)
セルフコンパッション(自分にやさしくする)の実践で人生を変える(TED)
自分をブスだと思うことがなぜ悪いのか? ありのままの自分を認めるために(TED)
他人に自分の行動を決めさせない
以前のケイトさんは、頼まれごとに「ノー」と言ったことがないので、筋金入りのピープルプリーザーですね。
ここまでひどくなくても、「他人がどう思うか?」を何よりも優先して、自分の行動を決める人は、少なくないと思います。
自分はべつに悪くないのに、すぐにあやまったり。
その場限りの付き合いの人が相手のときはいいけれど、家族など、これからもずっと付き合いが続く人を相手を喜ばせ続けようとすると、遅かれ早かれ、破綻します。
自分のニーズを満たせず、大きなストレスをためるか、心の病気になるか、自分を情けなく思うか、相手を強烈に恨むか、ある時爆発して、関係を壊してしまうか。
いずれにしても、不幸な結末です。
世間体を気にしすぎる人も、ピープルプリーザーの一種と言えます。
喜ばせたい対象が、世間体や、隣近所の人、というふうにあいまいだと、どこまでやっても、「喜ばせきれていない」という気持ちにさいなまれるかもしれません。
この状況だと、いつもストレスを感じて、ストレス解消のための買い物が止まりません。
もしあなたがそうなら、勇気を出して、自分を優先する行動に出てください。
練習すれば、ちゃんと断ることができます。
これは、わがままとは違います。自分が健康に暮らすために必要なことです。