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皆と仲間でいたい、周囲に受け入れてほしい。そんな気持ちのせいで、知らず知らずのうちにものを増やしてしまうことがあります。
周りに流されてものを買ってしまったり、本当はいらないのに捨てずに残してしまったり。
自分軸ではなく他人軸で持ち物を選んでしまい、結果として余計なものが家にあふれるのです。
この記事では、仲間になりたい気持ち、つまり帰属意識がどんなふうにシンプルライフを遠ざけるのか、5つのケースを紹介します。
ものがなかなか減らないと思ったら、他人の影響を受けていないか考えてみてください。
自分軸をしっかり打ち立てると、もっとスムーズに持たない暮らしになりますよ。
1.家族の言葉に影響される
冷静に考えたら捨てたほうがいいものでも、家族の言葉に影響されて捨てられないことがあります。
「まだ使えるのにもったいない」「せっかく買ったんだから」と言われると、自分の判断に自信がなくなり、気持ちが揺らいでしまうのです。その結果、手放すタイミングを逃します。
たとえば古い鍋や使っていない食器。本当はいらないと思っても、配偶者や親に「まだ使える」と言われると「確かにそうかも」と感じて、そのまま棚にしまい込むことがありますよね。
衣類や着物も同じです。「高価なものだから取っておきなさい」と言われると、なんとなく捨てにくくなります。
人は、他人がその人のものを捨てようとしているときですら、「もったいない」と感じるので、口出しされることは多いのではないでしょうか?
家族から受け継いだものがガラクタになることもあります。
「先祖代々伝わっているものだから」「この家の伝統だから」と言われて、手放せません。
婚礼家具や古い掛け軸など、もう処分したいと思っても、「家族に何か言われそうだ」と思うと、処分に踏み切れないのです。
こうしたプレッシャーを感じるのは、家族と仲良く暮らしたい気持ちから生じる自然な反応です。
ただ、残したものを誰が管理するのかよく考えましょう。手元に残せば管理するのは自分自身です。
「捨てるなんてもったいない」と言われたら、「じゃあ、あなたが使って」と言ってみるのはどうでしょうか?
2.世間体や常識を優先する
世間体を気にして、いらないものを買うことがあります。
「大人なら一つは持っていないと恥ずかしい」「お客さんが来たときに備えておくのが常識」。こんな思い込みのせいで、使う機会がないし、欲しいとすら思っていないものをそろえてしまうのです。
たとえば、ブランドバッグや高級時計、客用の食器や布団など。自分が欲しいというよりも、持っているのが当然だという気持ちから買います。
こんなとき考えたいのは、万人に共通の常識はないという当たり前の事実です。さらに、自分が世間体や常識と思っているものは、ぼんやりとしたイメージにすぎません。
常識は、私たちが社会の中で自然に身につけてきた「枠」のようなものですが、それが本当に普遍的な価値観とは言えないのです。
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3.周囲が持っているから買う
友人や同僚が持っていると、自分も欲しくなってしまうことがあります。みなに受け入れてもらうためです。
たとえば、流行のバッグや人気の家電。SNSで「これが便利」「今、人気です」と紹介されているのを見ると、実際に使うかどうかより、「みんな持っているなら」という理由で手に入れます。
職場や学校で同じようなものを使っている人が多いと、自分だけ持っていないのは落ち着かないこともあるでしょう。
こうした気持ちは「仲間外れになりたくない」という不安から生まれます。仲間でいたい、受け入れられたいという気持ちは自然な感情ですが、必要性を考えないと不用品が増える一方です。
ほかの人と同じものを持っているからといって自分の生活が快適になるとは言えません。
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4.人にどう見られるかで決める
人の視線を意識しすぎて、自分の基準ではなく、他人の評価でものを選ぶことはよくあります。
使うかどうかよりも、「他の人にどう見えるか」を優先します。
ブランド品は、このたぐいの不用な買い物かもしれません。
好きだから買うのではなく、「おしゃれな人に見せたい」「お金持ちだと思われたい」という気持ちから手に入れます。
インテリアも同じです。自分にとって心地よいかどうかより、センスがいいと思われるかどうかを念頭において、いらない飾り物を増やすことはありませんか?
古いけれど、まだ使えるものを買い替えることもあります。
かばんやスマートフォン、家電など、まだまだ十分に使えるのに、「人に見られたら恥ずかしい」という意識が働いて、新しいものを買ってしまうのです。
このとき、自分が人の目を重要視していることには気づいていません。
「印象をよくしたい」「恥をかきたくない」という思いで選んだ持ち物は、自分らしくないアイテム。手に入れても、思ったより、使いません。
見栄からする買い物は、よけいな出費を招き、収納スペースを埋めるだけです。
5.贈り物や記念品を手放せない
贈り物や記念品を捨てられないと人は多いですが、これは、もの自体が必要だからではありません。
捨てると相手の気持ちをないがしろにしてしまうのではないか、関係が悪くなるのではないか、大切なつながりが消えてしまうのではないかと不安になるから手放せません。
つまり「相手に受け入れられたい」「よい関係を保ちたい」という思いのせいで、使わない贈り物を残してしまうのです。
たとえば、趣味に合わない置き物やおみやげ。自分では使わないとわかっていても、「せっかくいただいたのだから」と、とりあえずそのへんに飾って、そのままになります。
会社で表彰されたときの記念品やイベントのグッズも、実際には生活で使う機会はほとんどありません。それでも「会社から与えられたもの」「所属していた証のようなもの」と感じてしまい、手放せません。
よく考えれば、もらったものを持っていなくてもほかの人との関係は消えません。それでも、なぜか、大事なもののように感じて、捨てられないのです。
まとめ:帰属意識に気づくことから始めよう
仲間でいたい、受け入れられたいという帰属意識は、人間なら誰でも持つ感情です。
心理学者マズローの欲求階層説でも、この気持ちは「所属と愛の欲求」として示されています。
食べ物や安全が確保されたあとに、人は自然と「仲間に入っていたい」「人とつながっていたい」と思うのです。
この気持ちは、自己実現に向かうより前に、まず満たされるべき基本的な欲求とされています。
だから、この欲求を無視することはできません。
でも、買い物をするときや、片付けをしているときは、他人にどう見られるか、仲間外れになりたくないといった気持ちを優先しないほうがシンプルに暮らせます。
自分らしくないものを持たなくても、仲間でいることはできます。
本当のつながりは、ブランドバッグや最新家電の有無ではなく、会話や態度、お互いへの理解から生まれます。
べつに、同じものを持たなくても、同じ時間を過ごす・共通の体験をすることで仲間意識や連帯感は自然に育ちます。
むしろもので合わせる必要がない関係こそ、安心できる健全な人間関係だと思います。
何かを買う前や、使っていないものを捨てられないと感じたら、「私は自分の基準で選んでいるか、それとも他人に合わせているのか」と問い直してみましょう。
「なんとなく」といったあいまいな気持ちで決めるのではなく、客観的に考えてください。そうすれば、帰属意識に左右されない判断ができます。
判断のベースにするのは事実です。実際にどのくらい使っているのか、本当に役立っているのか。現実に目を向けて、ものを取捨選択すれば、自然と身軽な暮らしになっていきます。