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ハロウィンの起源、特にトリックオアトリートと、ジャック・オ・ランタン(かぼちゃのランタン)の由来を、私のハロウィン体験も交えてお伝えします。
日本でも、ハロウィンは最近人気みたいですね。アマゾンでコスチュームやパーティグッズを売っていますが、皆、仮装するんでしょうか?
私が子供のころは、日本人はハロウィンなんてやりませんでした。バレンタインデーもありませんでしたね。
私はアメリカの風習は、すべてスヌーピーのまんが(ピーナッツ)から仕入れていたので、知識としては知っていました。しかし、子供たちが仮装してお菓子をもらっているのを目撃したのは、カナダに来てからです。
そもそもハロウィン(Halloween)とはどこから来たのか?
ハロウィンは、Halloweenという英語から来ています。この単語は、18世紀のスコットランド英語の Allhallow-even という言葉が起源。evenはクリスマス・イヴのイヴで、「Allhallowのイヴ」ということ。
Allhallow は All Hallow、つまり「すべての聖人」という意味です。11月1日は「諸聖人の祝日」といって、カソリック教徒が聖人や先祖をたたえる日ですが、この日の前夜というわけです。
ですからハロウィンは毎年、いついかなるときも10月31日です。
ハロウィンナイトは昔のケルト人にとっては大みそかだったそうです。今から2000年ぐらい前、ケルト人は11月1日ごろに、1年が終わるお祝いをしていました。
この日は秋の収穫が終わる日でもあり、新しい年が良い1年になることを願って儀式が行われていました。また「魔女の日」でもあったそうで、人々が悪霊払いをする習慣もありました。
年末の儀式をしていた時期と、魔女の日の悪霊払いをしていた時期は必ずしも同じではないと思います。こういう古い習慣が、いろいろ混ざって現在のハロウィンにつながっています。
10月31日の夜は、人間世界に死者の魂が訪れたそうです。本当に訪れたのかどうかは知りませんが、少なくともケルト人はそう考えていたようです。日本のお盆と同じですね。
アイルランドのカソリック教徒がアメリカに移住したとき、こうした習慣を持ち込みました。それが現代のハロウィンの起源です。
つまり、秋の収穫のお祝いをしたり、悪霊払いをするケルト人の習慣がベースになっているのですね。
カソリックの国であるフランスでは、「諸聖人の祝日」はとても大事な日で、皆が菊の花を持って墓参りをします。
ハロウィンのお祝いも、アメリカほどではないにせよ、行われているようです。しかし、近年になってアメリカの風習が持ち込まれたものなので、フランス人は、「外国の習慣」として捉えています。
アメリカには「諸聖人の祝日」はありません。10月31日のハロウィンだけです。
このように、ハロウィンはもともとは古いヨーロッパの伝統が起源ですが、仮装してお菓子をもらったり、かぼちゃのランタンを飾るのが盛んなのは北米です。
古い伝統であったハロウィンのお祭りを商業化してしまったのも、ディズニーをはじめとしたアメリカ。それが世界に波及し、日本もそうなってしまったと言えます。
なぜハロウィンにお菓子をもらって歩くのか?トリックオアトリートの起源
昔、ハロウィンの夜は、極貧の農夫が、近所の家をまわって、お金や食べ物をもらっていたという言い伝えがあります。
つまり物乞いです。この時、自分の身元がばれないように稲などをかぶって仮装したそうです。時には、戸口で、ちょっとした劇や芸も見せました。
農夫たちは、気前よくくれる人には、「ありがとうございます。きっとそのうち何か良い物を持ってきます」と恩返しの約束をしました。
しかし、何もくれない人には、呪いをかけました。
これが現在、北米の子供たちがハロウインの夜に行う trick or treat(トリック・オア・トリート、いたずらかお菓子か)の起源だとされています。
trick (トリック)は、日本語では、「策略」や「人の目をあざむく何か」という意味で使われます。英語では、「罪のないいたずら」という意味もあります。
treat (トリート)は、楽しみとか、楽しみを与えてくれるもの。ここでは「お菓子」です。
私のトリックオアトリート体験
カナダでも、子供たちは、仮装をしてtrick or treat と言って、近所の家をまわります。私はいつもお菓子をあげる側です。
ハロウィンに参加する、つまり子供にお菓子をあげる意志のある人は、門灯や玄関の電気をつけて、ジャック・オ・ランタン(かぼちゃの灯り)をどこか見えるところに置いておきます。
ハロウィンに参加したくない家は、家中の電気を消しておけば、子供たちはやって来ません。たまに来ることがありますが、じっと静かにしていればそのうちあきらめて去って行きます。
子供たちの仮装ですが、最近は店で買う人も多いです。小さな女の子は、みんなディズニーのプリンセスのドレスを着たがります。
手作りをする子供(親)もいます。うちの娘も一度、段ボール箱からポップコーンの衣装を作り、トリックオアとリーティングに行きましたが、評判がよかったそうです。
しかし実際問題として、夜は暗いですし、電灯も暗いし、子供たちは何人か、かたまって戸口に来るので、じっくり仮装を見ることはありません。
そもそも10月31日の夜は、もうずいぶん寒いです。氷点下20度ぐらいの晩もありました。子供たちは足元はブーツで、ダウンジャケットを着ているので、仮装していてもよくわかりません。
本当は、「あら、あなたは何なの?」と聞いてあげるのが礼儀らしいのですが、子供たちの目的はお菓子ですから、私は無言でささっとお菓子を子供たちの袋に入れるだけ。ドアを開けていると寒いですからね。
学校でハロウィンパーティがありますから、子供たちはその時に衣装を見せるチャンスがあります。私の娘は高校生ですが、やはり学校でハロウィンの行事があるため、今年もまた衣装を用意するそうです。
☆お金をかけずにする仮装のアイデアはこちらに書いています⇒簡単でお金のかからないハロウィンのコスチューム9種類
なぜジャック・オ・ランタン(かぼちゃの提灯)なのか?
ハロウィンといえば、かぼちゃですが、これはいったいどこから来たのでしょうか?
考えてみると、かぼちゃの中身をくりぬいてちょうちんを作るのは、素晴らしいアイデアです。見た目もかわいいし。私も毎年ジャック・オ・ランタンを見るのを楽しみにしています。
ジャック・オ・ランタンは英語で Jack-o’-Lanterns とか Jack O’Lantern と書きます。直訳すると「ランタンのジャック」。ランタンは「提灯」です。
ジャックは人名で、アイルランドの昔話に出てくるStingy Jack (ドケチのジャック)のジャックさんのことです。
ドケチのジャックの伝説
ハロウィンの夜、ジャックは悪魔に「いっしょにお酒でも飲みませんか?」と持ちかけました。
ジャックはケチなので、お酒の代金を払いたくありませんでした。悪魔にコインに変身してもらって、それで酒代を払おうとしました。
この悪魔はいい悪魔なのか、ジャックの言うとおりにして、コインに変身。
いったん悪魔がコインになると、ジャックはそれをポケットに入れました。銀の十字架も一緒に。
悪魔はもとの姿に戻れなくなりました。
ジャックは悪魔に「1年は自分をほっておいてくれ、それと、自分が死んだあとも魂を取らないでくれ」と2つの条件を出し、「これを約束するなら、元に戻れるようにしてやる」と言いました。
悪魔はこの条件をのみ、もとの姿に戻りました。
次の年、またジャックは悪魔をだまして、木の上の果物を取るように頼みました。悪魔が木の上にいるあいだに、ジャックは、木の幹に、十字架のマークを彫り、悪魔が降りてこられないようにしました。
そして前の年と同じように、「もし木から降りたいなら、10年間は自分をほっておいてくれ」と約束させました。悪魔はこの条件を飲みました。
そのうちジャックは死にました。神さまは、「悪魔をだますような性悪でケチな男は、天国に来てはいかん」とジャックを地獄に落としました。
しかし、ジャックは地獄に落ちるわけに行きません。というのも、悪魔が、ジャックの魂を取らないと約束しているからです。悪魔は律儀にこの約束を守りました。
そのためジャックは、天国へも地獄へも行けず、そのさかいの暗い夜道をさまよいつづけました。彼は木炭に火を灯し、それをカブ(turnip)をくりぬいたものに入れ、ちょうちんにしました。
そのカブちょうちんをもって、ジャックは今も暗い世界をさまよっているのです。
このジャックのことをアイルランド人は、Jack of the Lantern (ちょうちんのジャック)と呼び、これが、Jack O’Lantern(ジャック・オ・ランタン)になりました。
昔、スコットランドやアイルランドでは、カブやじゃがいもに、怖い顔を彫って、戸口や窓にかざり、悪霊を追い払おうとしました。
イギリスでは大きなビーツ(beet 大根の仲間)を使いました。この伝統がアメリカに伝わったとき、かぼちゃに変わったのです。
アメリカにはネイティブインディアンの栽培していたかぼちゃがいっぱいありましたから。
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カナダのかぼちゃは食用には向きません。食用としては売っていないと思います。この時期になると、ジャック・オ・ランタン用に、かぼちゃがスーパーで売られますが、それ以外では見ません。
実がすごく水っぽいかぼちゃです。
かぼちゃを使う食べもので思いつくのは、パンプキンパイぐらい。パイを手作りする人でも、フィリングはそれ用のかぼちゃの缶詰を使っていると思います。
今年のハロウィンは土曜日ですね。それではみなさま、ハッピーハロウィーン!