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アンチエイジングシリーズ。今回は若さを保つホルモン、あわよくば、より若くなるかもしれない「若返りホルモン」についてお伝えします。
女性ホルモンが減少しても生き続けなければならない私たち
女性に骨粗しょう症が多いのは、加齢によって、女性ホルモンの分泌が少なくなってしまうからです。女性ホルモンの正式な名前は雌性(しせい)ホルモン。これは雌(めす)ならではの機能の発達を促すものです。脊椎動物の場合、女性ホルモンは卵巣から分泌されます。
人間もある程度の年齢になったら、女性の体内では女性ホルモンが分泌され、子孫を残すことができるように準備体制を整えます。
50歳すぎると、もう子作りをする段階は終わった、とからだは判断して女性ホルモンの分泌も減ります。
ホルモンの減り方が急激なので、からだのほかの機能が戸惑ってしまい、動悸、ホットフラッシュ(ほてりやのぼせ)、抑うつ状態など、いわゆる更年期障害に悩まされる人も多いですね。
更年期障害は一時的な現象で、からだがさまざまな調節を行っている時期と言えます。
個人差がありますが、女性ホルモンがガクンと減少し閉経するのは、50歳前後。昔は平均寿命が短かったので、更年期障害になる前に、多くの人が、人生を終えていたと思います。
しかし、今は、みんなもっと長生きします。日本女性の平均寿命は、2014年の数字で86.83歳。87歳なので、女性ホルモンが減少したままあと35年生きることに。
いくら長生きしても、病気や不調のまま35年も暮らすのはいやですよね。そこで、最近は、高齢者のホルモンバランスをうまく保つにはどうしたらいいのだろうか、という研究が盛んです。
女性ホルモンは減少しますが、若々しくいるために必要なホルモンは別にあります。この記事では、そういう「若返りホルモン」を紹介します。
ホルモンについてはこちらをどうぞ⇒知っているようで知らない、ホルモンとは何?わかりやすく解説しました
☆若々しさを保つ4つのホルモン+アルファ☆
神経内分泌学の研究によれば、今のところこんなホルモンの分泌を促せば、若々しくいられると考えられています。
1.DHEA(ディーエッチイーエー dehydroepiandrosterone デヒドロエピアンドロステロン、デハー)
とても長い名前です。デヒドロエピちゃん、と呼べばいいでしょうか。
おもに副腎から分泌される副腎皮質ホルモンで、人間のからだに最もたくさんあるホルモンです。最後に「ステロン」とついていることからもわかるように、男性ホルモン(アンドロゲン)の一種です。
男性ホルモンは、テストステロンとかアンドロステロンと、名前に「ステロン」がついてますよね。
DHEAはアンチエイジング効果の高いホルモンとして有名です。
このホルモンがたっぷり出ていれば、アルツハイマーなどの認知症、心臓病、乳がんや卵巣がん、骨粗しょう症になりにくいと言われています。
体内のDHEAの濃度が高いほど、骨密度も高い、という研究もあります。骨粗しょう症になりたくない人は要チェックなホルモンです。
DHEAのサプリメントもありますね。ホルモンのサプリは素人判断で摂取しないほうがいいとは思いますが。
2.メラトニン
メラトニンは、松果体(しょうかたい)という脳内にある松かさみたいな形の部位から出ているホルモンです。このホルモンは、夜、分泌量が増え、睡眠を促す、と考えられています。
こちらでも少しメラトニンについて説明しています⇒夜、ぐっすり眠るために食べるとよいもの9個
「睡眠は大事だよ」とこのブログでしつこく書いていますが、睡眠は老化に深くかかわりがあります。すごくおおざっぱに言ってしまうと、しっかり寝ていないと、早く老化します。
メラトニンがちゃんと分泌され、夜ぐっすり寝ると HGH が出ます。これは Human growth horomone の略で、人間を成長させるホルモン、つまり「成長ホルモン」です。
詳しくは HGH のところで書きますが、これを出すためには、夜ちゃんと寝ないとだめなのです。
成長ホルモンがしっかり出ていると、からだの機能が衰えにくいので、成長ホルモンを出す前提条件となるメラトニンは老化防止にはとても重要なホルモンなのです。
また、メラトニンはガンを予防すると言われています。乳がんの女性はメラトニンの濃度が低い、という研究結果もあります。
骨粗しょう症について⇒更年期からは要注意。骨粗しょう症になりやすい人とは?
3.甲状腺ホルモン
甲状腺は喉の下の方、気管の前のほうにある、ちょうちょの形をした内分泌腺です。喉仏の下にありますが、さわってもよくわかりません。ずっと、首に脂肪がつきすぎているからわからないのかな、と思っていましたが、正常な状態の甲状腺は柔らかいのでわからないのです。
このホルモンは各細胞に新陳代謝を促しています。これが足りないといろいろな問題が出ます。
代謝とは、体内で物質が次々と化学的に変化して入れ替わりつつ、エネルギーを出し入れすることです。
ご飯を食べると、食物が体内で消化され栄養となり、それがエネルギーになったり、からだの一部になったりしますが、これは物質が化学変化することで起きています。
代謝には、新しい細胞と古い細胞を入れ替える新陳代謝、生きるためにどうしてもやらなければならない基礎代謝、単に生命を維持するだけでなく、日常的に身体を動かすために必要な、実質代謝の3種類あります。
人は生まれてから亡くなるまで、大量の細胞をうまいぐあいに化学変化させながら暮らしています。「生きるとは、代謝すること」と言ってもいいかもしれません。
甲状腺ホルモンの分泌が足りないと、手足が冷たくなる、薄毛になる、肌が乾燥する、爪が割れやすくなるなどの現象が起きます。
脳にも影響があり、物ごとをうまく記憶できなくなるし、集中力が続かず、思考が混乱し、生きる意欲を失います。
お正月に、「勉強がんばろう」「仕事がんばろう」とどんなに思ったところで、甲状腺ホルモンがしっかり出ていなかったら、がんばりようがないのです。
反対に甲状腺ホルモンの分泌が多すぎると、やはり問題が生じます。胸がどきどきしたり、ちゃんと食べているのにやせたり、疲れやすくなったり、いらいらしたり、汗が出たり。
甲状腺ホルモンが増えすぎるとやせますが、足りないと「やせない」という現象が起きます。年をとってくると、甲状腺ホルモンの分泌が減少するので、中年太りの人が増えるのです。
もう昔のように、体内で物質がさくさくと化学変化しないのです。体重が変わらないのに、下腹が出てくるなんてのも、甲状腺ホルモンの減少のせいかもしれません。
4.HGH(Human growth horomone 成長ホルモン)
メラトニンのところで書きましたが、HGH は人の成長を促すホルモン。HGHにはもう1つの働きがあり、それは代謝をコントロールすることです。
成長ホルモンは、人の身長を伸ばしたり(骨を伸ばしたり)、胸をふくらませたり、筋肉をつけるために、成長期に1番たくさん分泌されます。
成長期が終わっても、代謝がちゃんとなされるように、いろいろな細胞にメッセージを伝えているので、それなりに出ていないと困るホルモンです。
昼間のダメージの修復や再生をしたり、脂肪を燃やしたり、脳の疲れを癒やしたり、免疫システムをケアしたりできるのは、成長ホルモンのおかげなのです。
成長ホルモンがしっかり出ていると、脂肪が減り、筋肉が増え、骨密度も上がり、エネルギーに満ちてきます。平たく言えば、元気になるのです。
5.女性ホルモンと男性ホルモン
女性ホルモンのエストロゲン、黄体ホルモン(プロゲステロン)、男性ホルモンのテストステロンなど、雌(めす)を雌らしく、雄(おす)を雄らしくするのに必要なホルモンも老化に関係あります。
先にも書いたように、女性ホルモンの急激な減少が、更年期障害を引き起こします。
エストロゲンが足りないと、抜け毛になったり、唇に縦にシワが入ったり、胸がたるんだり、ドライアイになったり、疲れやすくなったり、ホットフラッシュになったり、気分がうつうつとしたり、まあ、ろくなことは起きません。
黄体ホルモンが足りないと、心配事が増え、眠れなくなったり、いらいらして情緒不安定になります。
テストステロンが足りないと、シワができたり、筋力が落ちたり、お腹が出たり、疲れやすくなったりします。
女性ホルモンと男性ホルモンは、「年を取ったらいらない」と書くと語弊がありますが、もう子供を作る必要がないので、自然に減っていきます。自然の摂理です。
個人的にも、もういらないな、と思うのですが、1番から4番のホルモンはずっと出ていてほしいですね。
アンチエイジングと聞くと、すぐに女性ホルモンや男性ホルモンが足りないんだ、なんとかしないと、恋をしなければ、などと発想する人が多いと思います。
しかし、先に書いた4つ、DHEA、メラトニン、甲状腺ホルモン、成長ホルモンがちゃんと分泌されうような生活をすることのほうが、もっと大切ではないでしょうか?
もちろんホルモンは自分の意志で分泌できませんので、生活の中でいろいろ心がけて、分泌を促すことになります。
次回はどんなことをしたら、いい具合にホルモンが出るのか、若返りホルモンを出す方法をお伝えします。