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白黒つけるとは、物ごとを白か黒か、善か悪か、正しいか正しくないかなど、両極端なカテゴリーにばしっと分けることです。
子供に善悪を教えるときは白と黒をはっきりさせる必要があります。
しかし、なんでも白黒つけようとする思考にはデメリットも多いのです。
この記事では二極化した考えに走るデメリットと、白黒つけるクセを修正する方法をお伝えします。まず、白黒つけるとはどういうことなのか、少し詳しくみてみましょう。
白黒つける時、何が起こっているのか?
世界を単純化して捉えるのは、人間の考え方のクセであり、そのおかげでうまく生活できる面もあります。
森で虎や熊に出会ったら、とっさに逃げるか闘うか決めるしかありません。
そんなときに、「いやもしかしてあれは虎じゃないのかも?」とか「私のメガネの度があってないのかも?」「寝不足だから幻を見ているのかも」なんて考えていたら、外敵に食べられてしまいます。
しかし、人は命にかかわる緊急かつ重要な場面でなくても、白黒つける傾向があり、この行動が自分を苦しめています。
世の中には、2つの極端なカテゴリーにきっちりと分けられないことが山のようにあります。
以下に両極端のペアの例をあげます。
大きい/小さい
きれい/汚い
よい/悪い
近い/遠い
すべて/ゼロ
かんたん/難しい
上/下
左/右
美しい/醜い
愚か/賢い
高い/安い
正しい/間違っている
勝つ/負ける
幸せ/不幸
金持ち/貧乏
オール/ナッシング
それぞれの言葉の間には、さまざまな中間があります。白と黒の間にはグレーゾーンがあるのです。どちらかにしっかり分けるためには、条件をもうけるべきです。
ところが人は、日常生活において、無意識のうちに、何かをパキっと両極端のカテゴリーに入れてしまいます。
「私は片付けられない人です」と書いたメールをよくもらいます。厳密に言うとこれは違います。たまには片付けることができるだろうし、これまで片付けられなかったとしても、今後は片付けられるかもしれないからです。
しかし、無意識のうちに「片付けられない」と断定する人は多いです。そうすると以下のようなデメリットがあります。
1.選択肢/可能性がみえなくなる
白か黒に決めてしまうと、そのあいだの色を選べなくなります。
「50歳はもう年だ」と決めつけると、年だからパソコンが苦手だし、体力も思考力も落ちてるから断捨離もできない、という思考になります。
「私は片付けられない主婦」と決めると、まず片付けられるようにはなりません。人は自分の信念にそった行動をするからです。
白黒つけすぎると、ほかの可能性が見えないため、事態を改善したり、自分自身を成長させることができなくなるのです。
2.ストレスが増える
何でも白と黒に分けてしまうとストレスが増えます。
うつ病の人、ネガティブな人は白黒つけたがる傾向が強いと言われています。
成功しなければそれは失敗であり、人生は終わりだ、と考えてしまうのです。
完璧主義の人も、白黒つけるのが好きです。テストで100点をとらないと、自分はだめだ、と感じてしまいます。しかし100点も99点もたいして変わりません。
間違えた問題によって重要度が違ってくるし、そもそもテストの点が、その後の人生に及ぼす影響なんてほとんどないと考えることもできます。
好かれている/嫌われている、のどちらかしか選択肢がない人もストレスが増えるのは言うまでもないでしょう。
自分が他人を判断するときも同じです。「同僚のA子さんは仕事が遅い」と決めつけてしまうと、一緒に仕事をするのが嫌になり、毎日が暗くなります。
親が子供を評価するときも、両極端の決めつけをすると、親子ともども不幸になります。
3.怒りっぽくなる
白黒つけたがる人は、人や状況が自分の期待したどおりに動いてくれないとイライラします。自分の中で、「これは絶対こうあるべき」という強い考えがあり、それ以外の可能性を認められないからです。
つまり、心が狭いわけです。
自分の期待通りの結果が返ってきたら満足しますが、そうでない結果はすべて不満足です。
「こういう場合もあるよね」「そういう考え方もあるよね」「これはこれでいいのかもしれない」という発想ができません。
「なぜ自分はこんなに怒りっぽいんだろう」と思う人は、もしかしたら何にでも白黒つけたがっているのかもしれません。
怒りをコントロールする方法⇒怒りの感情をうまくコントロールできる人になる7つの方法。
4.物ごとを深く考えることができない
物ごとを両極端のどちらかにはめこみ、そこで満足してしまうと、そこからさらに深く考えることができなくなります。
ひじょうに考えの浅い人間になってしまうのです。
白か黒に決めてしまえば、それ以上考えなくてすむので、ラクといえばラクです。時には決めてしまったほうが、精神衛生上いいときもあるでしょう。
子供に善悪を教えるとき、白黒つけないとうまくいきません。
「知らない人には絶対ついていってはだめよ」と言うべきであり、「基本的についていっちゃだめだけど、親切そうな人だったらついていってもいいわよ」なんて言うと、子供は混乱します。
しかし、自分や他人の行動を、ぱきっと2つに分けてしまうと、その間にあるグレーゾーンについて考えが及びません。
人間や世の中は両極端の2つにパキっと分けられるほど単純ではありません。あいまいで複雑な部分がおもしろいとも言えるので、ここを見るのをやめてしまうのはひじょうにもったいないです。
では次にやたらと白黒つけるクセを手放す方法をお伝えします。
白黒つけるのをやめるには?
1.自分の言葉使いをモニターする
白黒つけるのが好きな人は、思い込みが激しく、物ごとを決めつける言葉を使いがちです。
1ヶ月ぐらい日記をつけて、その日、自分が誰とどんな言葉のやりとりをしたか振り返ってください。こんな言葉が頻出してはいないでしょうか?
– 絶対~だ。
– 必ず~だ。
– ~に決まってる。
– いつも~だ。
– 決まって~だ。
– 毎回~だ。
– 誰が何といっても~だ。
– 私が~と言ったら~なんだ。
自分が何かを決めつけたシーンを思い出し、本当にそうなのか、ほかの可能性はないのか考えて文章にしたためてください。
2.話し方を変える
自分の会話のパターンを調べながら、言葉の使い方を変えていきます。具体的には「いまは~です」とある特定の時間軸を添えます。
すると決めつけにくくなります。
たとえばこんなふうに話してみてください。
●いまは/現在は~である。
●もっと調べてみるつもりだけど/引き続き考えてみるけど/今後考えが変わるかもしれないけど、さしあたっては、~です。
実際、いま現在の状態がずっと続くことはありえないのです。しかし、人は、物ごとがいつまでも変わらないと考えがちです。
その点についてはこちらの動画を見てください⇒人は変わり続ける。未来の自分に対する心理:ダン・ギルバート(TED)
人と話しているとき、白黒つける話になったら、会話の流れを変えるか、その場から離れてください。
3.謙虚になる
「自分はいつも必ず正しい」という考えを捨てます。
自分は間違えることだってあるし、誤解することだってあるし、この世の中の現象を何でも知っているわけでもない、
まだまだ理解できていないことが山のようにある、と謙虚な態度を身につけると、そう簡単に、何かを2つにパキっと分けることはしなくなります。
謙虚になると、他人を攻撃して傷つけることも減り、幸福度があがります。
「自分はいつも正しいわけではない」という考え方を身に着けたい方は、デール・カーネギーの「人を動かす」を読んでみてください。
この本の話はこちらにも書いています⇒文句を言わない 1ヶ月文句を言わない挑戦中:1月の30日間チャレンジ
4.状況を考える
白と黒はいつも白と黒かもしれませんが、ほかのことは状況や視点によって入れ替わります。
たとえば、よい/悪い、得した/損した、正しい/間違っている、善/悪、勝った/負けた、などはそんなに簡単に決められません。
いつも状況や背景を考えるようにしておくと、二極化した決めつけのワナに、はまりにくくなります。
現象だけを見るのではなく、そこに至ったプロセスを考えてみてください。
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以前紹介した「自分を浄化する方法」という本にも白黒つけないほうがラクに生きられると書かれていました⇒矢尾こと葉「自分を浄化する方法」レビュー:やはり「捨てること」が1番大事
似たような環境や状況の中にいても、機嫌よく過ごせる人、穏やかにマイペースで暮らせる人、イライラしながら怒りをまき散らす人などさまざまです。
この違いは考え方や物の見方から来るのです。
白黒つけてしまうのは、思考のクセで、自動的にやってしまいます。
しかし、自分で意識すれば、二極化した考えをしすぎないようになり、いろいろな可能性が見えてきます。
まずは自分が日々話している内容や言葉使いに注意を向けてみてください。