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無駄遣いの原因は心理的な思い込み。認知バイアスを知って上手な買い物を。

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人間の心理的な傾向や思い込みは、買い物に関する意思決定に大きな影響を与えています。人は、多くの場合、直感で買い物をしているのです。

今回は、企業や店が販売促進に利用している、人の心理的傾向(認知バイアス)を3つ紹介します。

自分が無意識にしていることを知れば、多少は、無駄遣いを防ぎ、節約することができるのではないでしょうか?

認知バイアスとは?

認知は、人が、外界にあるものが何なのか判断したり解釈するプロセスです。バイアス(bias)は、先入観です。

認知バイアスは、何かを見て判断するときに、先入観や偏見を持つこと。

たとえば、「スターバックスのコーヒーはおいしいはずだ」「アップル社の製品は高性能だ、かっこいい」という思い込みは認知バイアスです。

「物が多いほうが暮らしは豊かだ」「思い出の品は捨てちゃいけない」という考えもそうです。

「警察官は警察官のユニフォームを着ている」、「男は化粧をしない」、「夫は家で家事や子育てをするものではない」、「食事は1日3回とるべきだ」というのもみんなバイアスです。

このような先入観、思い込み、心理的傾向は、人が無意識に持っているものです。先入観は、その人のこれまでの経験から自然に固まってくると考えられています。

人は、これまでに体験したことや学んだことをベースに物事を判断しています。現時点での事実、目の前の現象はその判断にあまり影響しません。

「先月、この木になってた木の実を食べたら、すごくおなかが痛くなったから、もう食べない」、という行動パターンをとることができるのも、バイアスがあるからです。

先入観があるのは、必ずしも悪いことではありません。というより、これがないと、人は毎日、まっさらな情報を、何の判断基準もなしに処理しなければならないので、心身ともに消耗してしまうでしょう。

先入観が買い物に影響する

先入観があるから、大昔の人は、自分の身を守ることができました。しかし、今は、こうした無意識の思い込みのせいで、人はよけいな物を買っています。

思い込みは、人が生きるのに必要ですが、買い物をするときにネガティブな影響を与えることが多いのです。

ほかの人がスターバックスのコーヒーを「おいしい、おいしい」と飲んでいるからといって、自分もおいしく感じるか、というのは別問題です。

しかし、「人気があるからおいしいはずだ、そもそもあんなに高いんだし」という先入観があるため、ものすごくまずくても、「おいしいな、満足だ」と思ってしまうのです。

途中でスターバックスが豆の質を落としても、多少違和感があるものの、ずっとおいしいと思って飲み続けます。

行動経済学者や脳神経学者、心理学者は、人類の幸せのために、人の心的傾向を研究していますが、1つでも多く物を売りたい企業は、この傾向を利用して、マーケティングしています。

先入観や思い込みを全くなくし、白紙の状態になることは不可能です。ですが、自分が買い物をするときの意思決定に、少なからずバイアスが働いている事実を知れば、よけいな物を買わなくてすむのです。

認知バイアスにはいろいろありますが、特に買い物に影響がある3つのバイアスを紹介します。

確証バイアス(Confirmation bias)

confirmation とは、英語で「確認」という意味で、動詞は confirm 「確認する」です。日本語でも「予約をコンファームする」と言いますね。

コンファメーションバイアスは、自分の先入観(考え)が正しいと補足、強化する情報だけを受け取って、自分の考えが間違っている証拠になる情報は軽視する、あるいは無視する傾向です。

多くの人は、「男性はずっと家で家事してちゃだめだ」「同姓は結婚するべきではない」と思っていますが、これは必ずしも客観的なデータを吟味して得た結果ではありません。

ある男子大学生が、ラグビー部の先輩に「男はやっぱり会社に行って女房を養うもんだろ」と言われ、「うん、そうだよね」と思ったとします。

この学生は、大学を卒業後も、ずっとこの考えをサポートする情報ばかり受け取ってしまい、反証するデータは取り込まないのです。

つまり、何か自分の先入観を大きくくつがえす事件が起きない限り、時の経過とともに、この確信は強くなっていきます。

そして、40歳目前に、自分がリストラされたとき、「会社に行かない自分」を受け入れることができないので、奥さんに本当のことを言えず、もんもんと悩むのです。

コンファメーションバイアスはあらゆるところで見られます。あらゆるショッピングが確証バイアスの影響を受けています。

化粧品を使わないと肌がきれいにならない、シャンプーを使わないと髪がきれいにならない、サプリを使わないと更年期障害が改善されないと信じ続け、高い商品にえんえんと投資することは、典型的な確証バイアスの例です。

「化粧品を使わないとだめ」「女性は化粧をするもの」と思っている根拠は何かと考えてみると、それはただの自分の思い込みなのです。

このバイアスをはずすのは難しいのですが、影響を最小限に抑えることはできます。

できるだけ心を広くもち、思い込みをはずす努力をするのが有効です。

自分でインターネットや本でリサーチして、「ほかのやり方もあるのでは?」と考えることで、無駄なお金を使うことを防ぐことができます。

確証バイアスの説明がるTEDトークを紹介しています⇒物事のとらえ方を決めてしまう3つの偏見(TED)

おとり効果(Decoy effect)

decoy とは鳥をおびきよせるためのおとりの鳥(デコイ)です。

デコイ

この効果は、行動経済学者のダン・アリエリー先生が、「予想通りに不合理(Predictably Irrational)」という本で説明し、TEDでもプレゼンしたので知っている人も多いと思います。

おとり効果の例として、アリエリー先生は、ウイリアムズ・ソノマのパン焼き器のエピソードを書いています。パン焼き器を275ドルで売り出したら、誰も買わなかったので、メーカーがマーケット会社に相談した上で、もっと高いマシーン(5割り増し)を出したら、もとの275ドルのパン焼き器ががどんどん売れました。

高いほうのパン焼き器がおとりです。

5割り増しだから、400ドルぐらいでしょうか。売り場に400ドルと275ドルのパン焼き器があると、人は、275ドルのほうを「お得だ」と思って買ってしまうのです。

前にサルの経済を研究している先生も言っていましたが⇒私たちがお金に関して愚かな決断をしてしまう理由(TED)、人は、ものを比べるとき、絶対値として比べることができず、相対的に比べてしまうのです。

275ドルは、パンを焼く何かに払うお金としては高いのに、隣に、400ドルの器械があると、いきなり、安く感じられます。

おとり効果をベースにした商品開発や、ディスプレイは、たぶんあらゆる企業や、店が使っている古典的な手法です。

おとり効果と似ている心理に、「松竹梅の法則(極端性回避の法則)」というのがあります。

人は何かを選択するとき、無難なものを選ぶ傾向があるので、松、竹、梅があれば竹、ドリンクでS、M、Lサイズがあれば、Mサイズが一番売れるそうです。

同じ種類のものがいろいろ並んでいるとき、店側が一番売りたいものなのは、真ん中の価格帯のものであることが多いです。

おとり効果にひっかからないためには、インターネットなどで値段をリサーチすることでしょう。

アンカリング効果(Anchoring effect)

anchor とは「錨(いかり)で止める、しっかりした根拠を与える」という意味です。

人は、1番最初に見た数字やデータを覚えていて、これをもとに、意思決定する傾向があり、これがアンカリング効果です。

通常、定価がアンカーです。

セール品の札に、アンカー価格(定価)と、値引きしたあとの金額が書いてあるのは、「アンカーに対して、ものすごく安いですよ」とアピールするためです。

ですが、よく考えてみると、そのアンカー価格が適正価格であるとは限りません。

アンカリング効果で例としてよくあげられるのは、アップル社がiPadを499ドルで売りだしたことです。

スティーブ・ジョブズはiPadの発売を発表するとき、最初は大きな字で999ドルとスクリーンに映し出しました。ですが、そのすぐあとに、「みんなに使ってもらいたいから、499ドルにした」と宣言。

これを見た人は、「499ドルは安い」と思ったことでしょう。

しかし、考えてみると、これはアップル社が勝手に決めた値段です。それまでタブレットはなかったのですから。

最初のiPadが499ドルだったので、その後タブレットの値段はそんなものだと認識されました。ですが、タブレットの原価なんて、メーカーにしかわかりません。適正価格はもっと安いのかもしれません。

消費者に、その品物の本当の値段などわからないので、最初に売りだした会社が値段を決めることができるのです。

店の中でもアンカリング効果を使ったディスプレイがされています。ブランド品の店で、50万ぐらいのバッグがあると、多くの人は、「とんでもなく高い。誰があんなもの買うのよ」と思います。

しかし、50万のバッグを見たあとに、5万円ぐらいの靴を見ると、「あら、お買い得」と思ってしまうのです。

アンカリング効果を避けることは、とても難しいです。アップルがガジェットの値段を決めてしまったら、それをくつがえすことはできません。同業他社でもできないでしょう。

高いものばかり見たあと、安いものを見たら、すごく安く見えるのも人間の自然な反応です。

対策としてできることは、値段で買う物を選ばないこと。本当にほしいものを買うこと、自分の中で、ある商品に対して支払う上限価格を決めておくことだと思います。
~~~~~
今回は、よくある認知バイアスを3つだけ紹介しました。実はもっとたくさんあります。

大切なのは、私たちは、こういうバイアスのもとに生きていると知ることです。欲しいものがあったら事前にリサーチし、心身ともに満たされた状態のときにリストを持って買い物に行くと、多少はバイアスの影響を防止できると思います。

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