散らかった部屋

断捨離テクニック

ときめきや直感にだまされるから断捨離に失敗する

断捨離成功コツは、直感に頼らず、客観的に物を考えることです。その理由をお伝えしますね。

近藤麻理恵さんは、物にさわって「ときめくか、ときめかないか」判断して、残す物を決めなさい、と著書「人生がときめく片付けの魔法」に書いています。

しかし、このように直感に頼ってしまうと、思いのほか断捨離がうまくいかないことがあります。その直感はにせ物である可能性が高いからです。



不用品を捨てるとき、人は実際に痛みを感じている

4年ぐらい前に、イエール大学で、やたらと物をため込む人と、ふつうの人を募って1つの実験が行われました。

被験者がやったのは物を捨てること。被験者は、リサーチャーが用意した古新聞やダイレクトメール、また被験者自身の持ち物を、いる物、いらない物に分別して捨てるように言われました。

断捨離ですね。

被験者がこの作業をしているとき、リサーチャーは脳内の状態をモニターしました。

この実験の結果、捨てようとしている最中に、ものをためこむ人の脳内で、2つの部分がみょうに活性化していることがわかりました。

前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)と島皮質(とうひしつ)と呼ばれる部分です。

物をためこむ人が、捨てるのに抵抗を感じれば感じるほど、この2つの部分が活性化されました。

実は、この2つとも、痛みに関連する領域と考えられています。両方とも、人が葛藤や不安、痛みを感じていると、活発になります。

痛みを感じると、情動が起きます。

情動とは、急激に起きる一時的な感情のこと。たとえば、恐怖、驚き、怒り、哀しみ、喜びなどです。

前帯状皮質が、恐怖や、怒り、嫌悪感を感じると、島皮質が活動します。この2つは連携しているわけですね。

禁煙中の人が、イライラしているときや、何かの中毒の人が、がまんしているとき、この2つの部分が活性化しているそうです。

また、買い物をしようとしている人が、値札を見て、すごく高いことを確認し、心理的痛みを感じても、同じことが起きます。

人が「いやだな」と思うと、この2つにビビーンと脳波が流れるイメージです(実際は違うでしょうが、まあ、簡単に言うとそんな感じだと思います)。

情動を引き起こしたあと、脳は、これを回避する動きに出ます。もちろんこのあたりの判断は、ある部分1つだけでやっているわけではないでしょう。脳にはたくさんの神経回路がありますから。

脳の神経回路はこの不安や痛みを解消するために、別の選択肢を探そうとします。

禁煙中の人は、実際にタバコを吸って安心し、買い物をしている人はもっと安いものを買うか、あるいは買わない選択をします。

断捨離中の人は、捨てない選択をするのです。



OCDの人の前帯状皮質はいつもアクティブ

OCD(obsessive-compulsive disorder 強迫性障害)という病気の症状の1つに、何でもかんでも強迫的にためこんでしまう、というのがあります。いわゆるゴミ屋敷を作ってしまう人たちの多くはこの病気にかかっています。

こちらの記事で詳しく書いています⇒物をためこむ母親にスッキリ断捨離してもらう方法。実録・親の家を片付ける番外編 「始める前に:ただのためこみがちな人なのか、ためこむ病気なのか見極める」のところです。

最近の研究から、OCDの症状と、前帯状皮質は関係があるとわかっています。OCDの人の前帯状皮質は、特に何の刺激もないのに、いつも活発な動きを見せているそうです。

活発な動きとは、血流が高かったり、糖の代謝が異常に高かったりすることです。前帯状皮質が活性化されていると、強い不安を感じてしまうわけです。

だから、どうでもいいゴミをためこんだり、手を何度も何度も洗ったり(不潔だという考えが抜けないから)、何度も何度も戸締まりをチェックするという強迫的行動に出てしまうのです。

前帯状皮質は、ストレスを受けて不安を感じると、どんどんエスカレートしていく部位です。

ふつうは、うまく神経伝達物質が出て、暴走を止めてくれますが、脳に何らかの異常があると、そういう制御が起きません。

不安や痛みに耐性がない人の前帯状皮質も暴走しがちです。

ふつうの人でも、何か不安なことがあると、前帯状皮質が活発になりすぎることがあります。たった1つの小さな失敗のせいで、気持ちがあせって、どんどん失敗することってありますよね。

痛みを回避するために人は言い訳を考える

物を捨てられない人は、不用品を捨てようとする時、前帯状皮質と島皮質が活性化され痛みや恐怖、不安を感じがちです。

どの程度不安になるのかは、人や捨てている物によるでしょう。

不安を回避するために、人は言い訳を考えだし、捨てないことを正当化します。

●そのうちまた使うかもしれない
●これ、思い出がいっぱいだから
●これ、すごく高かったし
●そのうち時間ができたらこの本、読むつもりだし。

これらは理性的な判断ではありません。恐怖から逃れるために、脳が作り出している言い訳です。

こういう言い訳を「自分の直感」や「ときめき」と勘違いしてはいないでしょうか?

10年間も押入れにしまってあったものをいつ使うというのでしょうか?箱にしまいっぱなしで、さっきまでその存在を忘れていたものに、いったいどんな思い出があるのでしょうか?

いくら高いものでも、そのまま持ち続けたら、払ったお金は回収不能です。

「そのうち時間ができたらやろう」と思っていることは、たぶん一生できません。本当にやりたいことなら今日やっているでしょう。

優柔不断な人が物を捨てられない時に考えだすもっともらしい言い訳は、客観的に考えてみると、まったく理屈に合わないのです。

現実には、毎日エネルギーがもれています。自分1人では管理できないほどたくさん物を持っているので、管理に気力と体力と時間を取られ、ほかの大事なことに集中できていない状態なのです。

ためにためた不用品のせいで、疲れていたり、何をする気にもなれなかったり、失敗ばかりしていたり、悲観的になったりしているのは、多いにありうることです。

ガラクタが感情に悪影響を与えている話⇒気をつけて。ガラクタが感情に与える悪影響を見過ごしてはいけない

ガラクタがストレスを産みだしている話⇒物が多いとストレスがたまる7つの理由

客観的になれば断捨離は成功する

不安を解消するための言い訳は封印して、客観的に、冷静に考えてみると、きっちり断捨離をすることができます。

いろいろな言い訳が浮かんできたら、こんなことを考えてみてください。

不用品を捨てれば、その分、すぐに物理的スペースが出現します。どこに何があるのかわかる家に一歩近づきます。

自分の好きな物、自分の息がかかった物だけがある部屋に近づきます。自分の家のことを前よりちょっと好きになれます。

前より家にいるのが楽しくなるかもしれません。

ある程度、断捨離してしまえば、これから買う物に注意を向けるようになるので、もっと賢い買い物ができるようになるでしょう。無駄使いが減って貯金が増えそうです。

自由時間も増えるでしょう。もうそんなにしゃかりきになって片付けなくてすむのですから。

頭の中に浮かぶ理不尽な言い訳は、直感的なものですが、それがいつも正しいとは言えないのです。

前帯状皮質と島皮質の暴走を止めるために必要なことは、ちょっと頭を切り替えること。ほんの5秒から10秒でいいです。全然違うことを考えてみてください。

窓の外に目をやって、景色をみたり、深呼吸したり。プチな瞑想をするのもいいでしょう。

そうすれば、嘘の直感にはだまされず、理性的な判断ができます。「ときめきや直感にだまされない」これが断捨離に成功する秘訣です。





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