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習慣を変える実践的なヒントを教えてくれるTEDトークを紹介します。
タイトルは、How Long It Takes To Change Your Life? (人生を変えるのに時間はどのぐらいかかるか?)
医学生の Nwal Hadaki (フワル・ハダキ)さんのトークです。
新しい習慣は21日で身につくという有名な説がありますが、これは神話にすぎないとハダキさんは言います。
人生を変えるのにかかる時間
収録は2022年の3月、動画の長さは9分半、日本語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
シンプルでわかりやすい講演です。
習慣は21日で身につく?
明日から変わろう、と思って寝たことはありませんか?
明日からヘルシーな朝ご飯を食べる、ジョギングする、明日こそ、なりたい自分になる日だ、ベストの自分になる日だと。
自分を変えるのは簡単ではありませんが、ベストの自分になるために、取り入れられる習慣や、やめたほうがいい習慣はあります。
では、悪い習慣を手放して、よい習慣を身につけるのに、どれぐらいかかるでしょう?
多くの人が、21日と答えるでしょう。
ベッドメイキングする習慣を身につけるつもりだったけど
私も高校で、21日だと教わりました。これを聞いて、ベッドメイキングをちゃんとする人になろうと思ったんです。
いつも母親にやってもらっていましたから。
21日間、毎朝6時に起きることを心がけ、起きられなかった日も、とにかく、毎朝、ベッドメイキングをしました。
すごく嫌でした。そして、22日目に、また、母親に、ベッドメイキングを頼んだのです。
21日説はどこから来たか
新しい習慣が21日で身につくという説は、自己啓発の世界最悪の神話です。
21という数字はどこから来たのでしょう?
実は、1950年代に、整形外科医のマクスウェル・モルツ医師(Dr. Maxwell Maltz)が広めたことです。
彼は、患者が整形手術後の新しい鼻に慣れたり、足や腕を切断した患者がその状態に慣れたりするのに、21日かかることに気づいたんです。
彼はこの発見を本に書き、この本が3000万部も売れました。これが21日説の始まりです。
皆が21日説を信じた理由
人々がこの説を信じるのも無理はありません。
1.)21日はそこそこ短く、それぐらいなら自分にもできそうです。
2.)同時に21日は、信じるに足る長さです。少しむずかしそうだけど、不可能ではありません。
人生が21日で変わるなら、こんないいことはありません。なりたい自分に1ヶ月以内でなれるのですから。
でも、実際に21日では新しい習慣は身につきません。
習慣づけに影響を与えるもの
悪い習慣を手放し、新しい習慣を身につける時間を見定めるとき、いくつか考えなければならない要素があります。
1.)そのゴールがどのぐらい複雑かで変わる
明日から毎日フルーツを食べるというゴールは、テニスのサーブを身につけるといった複雑な技術の習得より短い時間でできそうです。
2.)行動をどれだけ一貫して続けるかが、習慣を習得するスピードに影響する
私が1日3分同じ行動を続けるのと、友人が1日30分同じ行動を続けるのでは、習慣が身につくまでの時間に差が生まれます。
習慣を身につけるのにかかる時間は?
では、実際に習慣を身につける時間について、信頼できる説があるでしょうか?
あります。
フィリップ・ラリーという心理学者の、「いかに習慣が作られるか?(How Are Habits Formed?)」という有名な研究があります。
彼は96人の被験者を12週間、調べました。
どの人も、新しい習慣をひとつ選び、12週間やってみたのです。たとえば、毎日ランチの前にコップ3杯の水を飲むとか、夕食のあと15分走るといった行動です。
この実験の結果、習慣が形成されるまでに、2ヶ月から8ヶ月かかり、平均は66日という結果が出ました。
人によってかかる時間にばらつきがあったのは、タスクの内容、その人自身、環境などのせいです。
18日で身につけた人もいれば、254日かかった人もいました。
つまり、ラリー氏によれば、古い習慣をやめるか、新しい習慣を身につけるのにかかる時間は、21日ではなく、2~8ヶ月なのです。
習慣を変えるコツ
習慣を身につけるのにかかる時間は、実は問題ではありません。重要なのは今日から始めることです。
その行動を始めたら、続けることを心がけ、日常の一部にし、リマインダーを用意し、サポートを得られる環境を作ってください。
もっとも重要なのは、完璧を目指さないことです。
1度や2度失敗しても、自分の行動に大きな影響はありません。
失敗したときは、急ぎすぎていることに気づくチャンスです。
もっといい自分になるためには、急がず、時間をかけるべきです。
新しい習慣が身につくシステムを作って、プロセスを楽しみましょう。
いきなり難しいことをしようとせず、時間をかけて少しずつ前進します。
変わるのは簡単ではありませんし、単純なことでもありません。
でも、コミットすれば、どんな習慣も作ることができます。
もしベストの自分になりたいなら、今日から始めてください。必ず変わることができます。
//// 抄訳終わり ////
習慣に関するほかのプレゼン
習慣の作り方に関してはたくさんのトークを紹介しています。ここでは、7つだけリンクします。
大々的に変えようとしないこと。小さな習慣から始めよう(TED)
悪い習慣を断ち切る簡単な方法(TED)マインドフルネストレーニングのすすめ。
習慣のループを知れば、どんな習慣も変えることができる(TED)
自制心を高めるにはどうしたらいいか?~よい習慣を築く5つのシンプルなルール(TED)
このトークの内容のまとめ
以下にハダキさんの講演の内容を簡単にまとめました。
・習慣は21日では身につかない
・実際は2~8ヶ月かかり、個人や習慣の複雑さによって期間は変わる
・目指す目標の複雑さや長さが、古い習慣を断ち切ったり、新しい習慣を獲得するスピードに影響を与える
・数回の失敗は、長期的には影響がない。完璧を目指さず、継続することが重要
・急いで習慣を身に着けようとすべきではない
・今日から始めるべきだ
習慣が21日では身につかないという話は有名なので、知っている人も多いと思います。
一口に習慣といってもいろいろあるし、個人差ももちろんあるので、習慣が変わるまでの期間にも差があります。
でも1年以内に変えることができるのは、心強いデータですね。
習慣が人生の質を決める
先週、人生に行き詰まりを感じたり、次の目標がわからなかったりするときに参考になるトークを紹介しましたが⇒ストレスを乗り越え、困難に挑む! レジリアンスキットのすすめ(TED)
今回も行き詰まり打開に役立つ、習慣に関するトークを選びました。
もし、生活をこんなふうにしたいとか、もっとこんな自分になりたいという気持ちがあるなら、つまり現状の生活や自分自身に改善の余地があると思うなら、ぜひ、日々の習慣を見直してください。
毎日の選択や行動で、人生の質が決まりますが、意外とこのことに気づいていない人が多い印象です。
毎日自分が何をするかはとても重要です。
習慣になっている行動は無意識に繰り返しているので、何も考えていないと、自分のためにならない選択を積み重ね、時間がたつうちに問題が大きくなり、修復が難しいところまで行ってしまいます。
汚部屋にしても、最初はちょっと散らかっているあたりから始まります。
日々、自分がどんな選択をしているのか、できれば毎日、それができないなら、毎週振り返って、やめたほうがいい習慣や、新しく身につけたほうがいい習慣を見つけ、少しずつ生活をいいほうに変えていきましょう。