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オンラインショッピングをすることは環境にいいのでしょうか?
この問題を考察し、さらに、できるだけエコなネット通販の利用方法を提案します。
ネット通販は、以前は、環境にいいと言われていましたが、お急ぎ便が登場してからは、むしろ環境に悪いと言われています。
原理的にはネット通販のほうが環境にいい
皆が、ばらばらに自家用車に乗って、ショッピングモールやスーパーに行くより、ネット通販を利用して、大きなトラックに荷物をまとめれば、街を走る車の量が減りますから、カーボンフットプリント(温室効果ガスなどを出す度合い)が減ります。
だから、ネット通販のほうが、環境にいい、と言えます。
通常、配達するトラックのドライバーは、もっとも短時間で回れるルートを知っています。
実際、食品は、ちまちま自分の車で買いに行かず、通販を利用したほうが環境にはいいかもしれません。
私はオーガニック食品のスーパーの宅配を利用していますが、この店は、年末になると、「あなたのフットプリント」というメールを送ってきます。
「今年、あなたは4キロ分、ゴミ捨て場に捨てられるゴミを減らしました」「ガソリンを使う量を6リットル減らすことができました」「地元のビジネスを8つサポートしました」などと、書いてあります。
この店は、食品を入れる箱を使いまわしているし(毎回返却する)、箱の中にりんごやらオレンジがそのままぼんぼんと入っているので、包装資材も節約できていると思います。
また、カナダにはないのですが(たぶん)、以前、電気自動車を使って宅配しているフランスの会社のニュースを見たことがあります。この場合も、自分のふつうの車で行くよりは、宅配を頼んだほうがエコといえるでしょう。
しかし、最近はあまりエコではない
ところが、最近のオンラインショッピングは、あまり環境によいとはいえなくなってきました。
以下の理由からです。
1.急ぎの便の増加
お急ぎ便が増えたので、走るトラックや車の量が増えています。
カナダのアマゾンでは、プライムメンバーは、Free Two-Day Shipping(フリー・ツー・デイ・シッピング)というサービスを利用できます。
きょう注文すると、明後日、自宅に届く商品がたくさんあります。ものによっては、翌日の配達を選ぶこともできます。
複数の商品を購入し、このサービスを利用すると、バラバラに配達されることが多く、運送する量が増えます。
昔の通販会社は、できるだけ効率的に配送していたのに、それができなくなるのです。
しかも、通販会社が、末端の配送業者を、どの程度コントロールできているかも疑問です。
私が使っている食品スーパーのデリバリートラックは、そのスーパーの名前が入っている専用車です。
複数のドライバーがいるでしょうが、いつもだいたい同じ人が運転しているから、もっとも効率のいい回り方を知っているはずです。
ところが、アマゾンは、配送業者をアウトソーシングしているのか、郵便局を含め、いろいろな会社が配送しています。
制服を着た、いかにもプロの配達員っぽい人のときもあれば、平日は会社で働いていそうな普通のおじさんが、週末だけ、自分の車で配達のアルバイトをしているように思われるときもあります。
配達に不慣れな人は、道を間違えたりしますから、カーボンフットプリントは増えます。
消費者にできるだけ早く届けることを優先すると、半分ぐらいしか埋まっていないトラックを走らせることも起きます。
しかも、包装に使う箱や緩衝材の量も増えます。
追記:日本のトラックは積載量いっぱいまで積んで走っている、というご意見をいただきました。詳しくはこちら⇒読者の苦情メールと質問に回答します。
2.無料で簡単に返品できる
最近のオンラインショップは、おしなべて返品が簡単です。すると、別にそこまで必要じゃないのに、余分に買うことが増えると思います。
たとえば、衣類や靴のサイズで迷ったら、3つのサイズを買って、届いてから身につけてみて、1つをキープすることにし、あとの2つを返品するとか。
日本のアマゾンには、プライムワードローブというサービスがあります。
衣料品、靴、バッグなどを3点以上頼み、手元に届いてから実際に試着したり、持ってみたりして、気に入れば買い、気に入らないものはすべて返品できるサービスです。
もちろん返品は無料です。
消費者にとっては便利なサービスです。返品する分は、箱につめて、コンビニに持っていけばいいし、日本は、ありとあらゆるところにコンビニがありますから。
このサービスを導入することで、アマゾンの売上は伸びるでしょうが、輸送する荷物の量は増えます。
3.受け取る人が家にいない
オンラインで注文したものが届いたとき、家に誰もいないと、配達員はその荷物を持って帰ることになり、後日、また同じことをしなければなりません。
場合によっては、何度も。
最近、自宅で仕事をする人も増えてはいますが、カナダは共働きが多いので、以前は、荷物を持ってきても家に誰もいないことが多かったと思います。
そのせいか、荷物はトラックに入れたまま、不在通知だけを持ってくる郵便局員に遭遇したことがあります。
私と娘が居間で話をしていたときのこと。郵便局員(荷物は持っていない)がやってきて、上(メインフロア)のポストに何かを入れるのを娘が見ていて、「あ、手紙が来たみたいだよ」と言いました。
すぐにポストに見に行ったら、私宛ての荷物の不在通知が入っているではないですか。
私は、トラック(わりと近くに止まっていた)まで、取りに行こうとしたら、たまたま郵便局員が、歩いてきたので、通知を見せて、「これ、私への荷物なんですけど」と言ったら、彼は、「あ、トラックにあります。いま、持ってきます」と言って荷物を持ってきてくれました。
いま、アマゾンの荷物は、もよりの郵便局を配送先に選ぶことができるので、配送員が、不在の家に行くことは少なくなっているでしょう。
しかし、消費者の中には、何も考えていない人もいますので、人のいない家に宅配便を持っていってしまうことはいまだ多いと思います。
去年の今頃、名古屋に里帰りしていましたが、その時、宅配便のドライバーが切れた事件があったと、友達が話してくれました。詳細は忘れましたが、荷物をどこかに叩きつけたか何かした事件です。
さらに、その友人から、宅配便のドライバーが、玄関の呼び鈴をならしても、出ない人がいるという話を聞きました。「化粧をしてないから出ない人がいる」と聞いたときは、びっくりしました。
そんな、気遣いのなさすぎる、環境のことなど何も考えていない人もいないわけではないのです。
環境にいいネットショッピングの利用の仕方
そのようにエコフレンドリーではなくなりつつあるネット通販ですが、利用する人はどんどん増えています。
今後は、より環境にいい利用の仕方を心がけたほうがいいと思います。
私は以下のことを心がけています。
1.必要なものしか買わない
買う量を減らせば、荷物の量が減るので、街を走るトラックの量も減ります。
ネット通販でぼんぼん物を買ってしまうのは、単なるクセです。
どんなにネット通販の配送が早くなったといっても、いますぐ手に入れないと死んでしまう物なら、すぐに自分で買いに行くはずです。
オンラインショップでたくさんの物を買っているなら、その大半は、いま、そこまで必要ではない物だと言えるんじゃないでしょうか?
以前、ジンボリー(アメリカの子供服のブランド)のサイトで服を買いすぎていた、買い物依存症の女性のことをブログに書いたことがあります。
この記事です⇒50代主婦が無駄遣いをやめるのに、とても役立った7つのこと。
この人は、リアル店舗でも買っていましたが、毎朝ものすごい早起きをして、朝一番にジンボリーのサイトをチェックしていました。
たぶん、注文するときに、ドーパミンが出ていて快感を感じ、それを繰り返しているうちに、脳に耐性ができて、もっとたくさん注文しないと喜びが感じられなくなってしまったのでしょう。
さらに、毎日の買い物がすっかりルーティンとなったのだと思います。
買い物で気分があがるのはドーパミンのせい。この仕組みを知って無駄遣いを防ぐ。
2.近場で手に入るなら自分で買いに行く
ルートにもよりますが、3~4キロぐらい先にある店で手に入るなら、自分で買いに行ったほうが、環境にはいいかもしれません。
そのさい、車ではなく、公共交通機関を利用したり、自転車や徒歩で行けばなおいいです。
3.最寄りの場所に配送してもらう
日本にこういうサービスがあるのかどうかわかりませんが、カナダのアマゾンは、最寄りの郵便局を配送先に選ぶことができます。
届いたら、自分で郵便局まで取りに行きます。
また、大手の会社で、実店舗とオンラインショプの両方ある場合は、最寄りの店舗を配送先に選べることもあります。
ただ最近は、アマゾンに押されて、さまざまな小売店の店舗が少しずつ消えていってます。
4.お急ぎ便を利用しない
べつに急ぎでないなら、お急ぎ便を利用しないという方法もあります。
とは言え、アマゾンの場合、プライムメンバーは自動的にお急ぎ便になりますし、明後日に届く便を指定しても、翌日届くことがあります。
プライムメンバーだと、お急ぎ便は無料なので、まあ、ふつうはお急ぎ便を利用しますね。
するとやはり、無用な物は買わないということになるでしょうか?
節約ブロガーの中には、アマゾンの利用を完全にやめた人もいますが。
皆さんは、どんな工夫をしているでしょうか? いい案があったら教えてください。
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30年以上前、毎月フェリシモ(ハイセンス)を利用していたとき、お米屋さんのおじさんが、赤い箱を配達してくれました。
そこは、お米だけでなく灯油も売っていて、さらに運送もしていたわけです。
赤い箱が届くと、母はよく「いつもすみません」とあやまっていましたが、おじさんは、「いえいえ、仕事が増えているからありがたいです」と答えていました。
このおじさんはとっくに引退したでしょうが、いま、運送をしていたら、「ありがたい」と思うかどうか、微妙です。