会話している人

TEDの動画

扱いにくい人とうまく付き合うには?(TED)

人間関係の悩みが多い人の参考になるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、How to Deal with Difficult People(難しい人とうまくやる方法)。

コミュニケーショントレーナーのJay Johnson(ジェイ・ジョンソン)さんのスピーチです。



自分と合わない人との付き合い方(TEDの説明)

From co-workers and colleagues to friends and family, we are faced with challenging relationships daily.

Unfortunately, we often go about managing them the wrong way.

Only by elevating our understanding of behavior and acting through an internalized approach will we be able to master the conflicts created by dealing with difficult people.

会社の同僚や仲間、友達、家族など、私たちは、日々、難しい人間関係に直面しています。

残念なことに、私たちはあやまった方法で、そういう人たちに対応しています。

行動に対する理解を深め、内的なアプローチをして行動することによってのみ、私たちは、難しい人々との間に生じる問題をうまく扱えるようになります。

収録は2018年の9月、動画の長さは15分、自動生成の英語の字幕があります。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

とても実践的な内容ですね。





初対面のときに好き嫌いが決まる

苦手だな感じる人と話をするときのことを思い出してください。

話をしているうちに、議論になり、緊張して、手に汗をかき、呼吸が短くなり、だんだん頭に来るときのことを。

そのうち「もうたくさんだ」と、その場を離れようとして、何歩か歩いたとき、「ああこう言えば、うまく相手をやりこめられたのに」と思ったりします。

このような行動は、私たちの脳のせいで起きています。

誰かに会ったとき、「はじめまして」と握手をしているときすでに、私たちは、「なんだか好きになれない人だな」と感じています。

誰でもそうです。

脳は、サバイバルするために作られているので、難しい人々に対応するとき、ダニエル・ゴールドマンが、ロウロード(筆子註:単語の説明のところで説明しています)と呼ぶ反応、つまり、大脳辺縁系の反応、恐怖に対して起きる『戦うか逃げるか反応』をします。

これはごく自然な反応であり、重要な反応です。

苦手な人との対応がストレスを生む

こうした反応をすると、ストレスが生じ、アドレナリン、ノルエピネフリン、コルチゾールなどが分泌されます。

「合わないな」と思う人と話をしているとき、不安が高まり、ほかのシステムは閉じるので、理性的に考えることができません。

代謝もゆっくりになります。ストレスホルモンが出すぎて、にきび(ぶつぶつ)が出ることもあります。

こんなふうに暮らしたくはないですよね?

相手が難しい人である、ないに限らず、職場での意見の食い違いは、人に深刻な影響を及ぼします。

離職や無断欠勤につながります。プロジェクトの失敗も引き起こします。

ではどうしたらいいのでしょうか?

人にレッテルを貼る私たち

他人の行動を変えることはできません。人を自分の思い通りに動かすことはできませんよね。だから別の方法を取るべきです。内的なアプローチです。

人を見る時の考え方を変えるために、私たちが他人にどんなレッテルを貼っているか考えてみましょう。

この人は気難しい人だ、うっとうしい人だ、というレッテルです。

型にはめることもあります。

たとえば、自分が話しかけても、目もあげない人や、仕事の手を止めない人は、「人の話を聞かない人(not-listener)」です。

一段回上を行く人(one-upper)という型もあります。

パーティで話をしたら、もっといい話をする人。新しいドレスを着ていったら、翌日、もっといいドレスを着てくる人。とにかくいつも、、他の人より、1つ上を行こうとする人です。

ゴシップ屋(gossiper)もいます。社内で、あらゆる人のゴシップを吹聴し、トラブルを引き起こす人です。

年配の意地悪な人(curmudgeon)もいます。勤務歴が長く、社内で起きたことは、いいことも悪いこともすべて覚えている人です。

誰でも、こんなふうに人を型にはめます。

しかし、こうすることが、自分の行動に影響を与えるので、変えていかなければなりません。

行動知能とは?

他人の行動のために、なぜ、自分を変えなければならないのか?

難しい人に対応するときに感じるストレスは、身体によくないし、自分の心臓が悪くなるからです。

他人の行動を変えることができないとき、私たちができる唯一のことは、自分の行動を変えることです。

行動知能(behavioral intelligence)をベースにしたユニークな対処法を紹介します。

行動知能には4つの要素があります。

いま起きている行動を説明できること、

未来の行動を予測できること、

他人の行動に影響を与えることができること、

自分自身の行動をコントロールできることです。

難しい人と対応するときの行動について、この4つを見ていきましょう。

相手の行動の理由を考えてみる

他人が、自分の気に入らない行動をしたとき、私たちは、その人に対して、レッテルを貼ります。「がんこな人」とか。

ですが、友達が同じことをすると、「(いい意味で)一徹な人だ」と思いませんか?

誰かがしたことを攻撃的だと感じる一方で、友達が同じことをしたら、「わあ、すごい、がんばってる、情熱的だ」と思いませんか?

人に貼ったレッテルが、私たちの解釈の仕方に影響を与えます。レッテルは、私たちの偏見です。

だから、すぐにレッテルを貼らず、少し、掘り下げて考えるべきです。行動の理由を考えてください。

なぜ、この人は、こんなふうに行動したのか? それは本質的なものなのか? その人の中にある欲求が、そういう行動をさせているのか? 

こうするのは、簡単なことではありません。

私たちは、渦中にいますから、わざわざそんなことを考えようとは思わないのです。

相手にレッテルを貼って、次に行こうとします。

ですが、これはあなたの心臓にかかわることです。あなたの会社が困ることになります。

違う視点でその状況を見るため、行動を説明するとき、自問するのは、最良の方法の1つです。

行動の理由を知る:ケーススタディ

実例をお話しします。

私が、あるマネジメント組織の2つの部署で働いていたときのことです。

それぞれの部署のマネジャーはビルとテッドでした。

この2人は仲がよくありませんでした。いつも意見が合わず、毎回、プロジェクトは失敗しました。

どんな行動が、この状態を作っているのか調べるために、ビルとテッドに、相手に対して思っていること、感じていることをすべて紙に書き出してもらいました。

私はその紙を読み、調べました。

客観的な外部のオブザーバーになることは、渦中から抜け出すのに効果があります。これは皆さんにもできますよ。

お互いの気持ちがわかると起きること

ビルはテッドについて、こう書いていました。

テッドは、いつも、私のオフィスに来て、あれこれ質問する。私の邪魔をして、決してほっといてくれない。テッドはうるさくつきまとう人だ。

ビルはこう書いていました。

ビルは、まったく私の相手をしてくれない。上司に、ビルは経験も知識も豊富で、この会社に貢献している人だから、話を聞きにいけ、といつも言われている。だけど、彼は私の話を聞こうとしない。ビルは人の話を聞かない人だ。

その後、2人を呼び、お互いの考えていることを伝えたところ、2人ともびっくりしていました。「まさか、きみがそんなことを考えていたなんて、夢にも思わなかった」と。

2人はこれまで、相手の行動の理由を考えることをしなかったので、お互いの意図を知ることがありませんでした。

理由を考える代わりに、お互いにレッテルを貼っていました。

行動の理由がわかれば不確かさが減る

このように、その人の行動の理由を説明することができれば、その後の行動も予想がつきます。何が起こるか検討がつくのです。

不確かさは、不安を呼びます。

上司から電話で呼び出されたとき、即座にあなたは、「なんだろう? 何か失敗したかな? 最悪のことが起きる」と反応します。「昇給するんだ、やったね」とは思いません。

会話や人間関係において、不安が生じると、その不安は相手に伝わります。

先の行動を予測できれば、不安が減ります。

あらかじめ、「友達がこんなことやあんなことを言うと思うけど、気にしないでね。友人は、そういうことを言う人だから」と言われていれば、心の準備ができるので、不安にさいなまれることはありません。

難しい人の行動に影響を与えるには?

行動に影響を与えるコツを見てみましょう。

どうやって、難しい人に影響を与えることができるでしょうか?

1)包括的表現を使う

まず、包括的表現(inclusive language)を使います。

誰かと話をしているとき、「あなたがこんなことをした、あんなことをした」と言うと、すぐに壁ができます。

相手は、自分を守ろうとしますし、「あなたこそ、こんなことや、あんなことをしている」と反撃するでしょう。

すると議論になり、難しい状況から抜けられなくなります。

包括的な表現を使って、たとえば、「私たち、ちょっとコミュニケーションの食い違いがあるみたいだけど」と話してください。

「私たちは」で話し始めれば、一方的な話になりません。

包括的表現を使うと、「一緒にやっている」という雰囲気になり、お互いにかかわりあうことができます。

2)認めて、ほめる

相手の行動に影響を与えるもう1つの方法は、相手のことを認めてほめることです。

トイレトレーニングをしている子供がちゃんとトイレに行けたら、お菓子をあげるように。

難しいと思う人と話をしているとき、相手を認めることや、ほめることがお互いのためになるとは、なかなか気づきません。

ですが、「あなたのきょうの報告書、すばらしいと思いました」と、ちょっと言うだけで、敵対している関係が、友人関係に変わります。

職場でも、べつの場所でも、友達でいるほうが、ずっとうまくいきます。相手があなたのことを好きなら、一緒に仕事をしてくれますから。

相手があなたを好きでなかったら、あなたの能力を利用しようとするでしょう。

ちょっと相手を認めたり、ほめたりすることは、良好な関係づくりに役立ちます。

かつて私も、難しい人でした。

実際は、誰でも、誰かにとって、「難しい人」なのです。このことをわかっていないと、自分の行動を調整することができません。

そこで、自分の行動のコントロールが必要になります。自己認識が重要です。

自分の行動のコントロールの仕方

誰かと話をしているときに起こる、恐怖に対する反応、ロウロード、大脳辺縁系、『戦うか逃げるか反応』をコントロールする方法は、幼稚園で習ったような簡単なことです。

1)深呼吸

深呼吸をして、酸素を取り入れます。

『戦うか逃げるか反応』を起こしているとき、脳は、あなたが、難しい人を相手にしているのか、ライオンに追いかけられているのか、区別がつきません。

ライオンに追いかけられていたら、深呼吸なんてできませんよね?

深呼吸をすると、ロウロードのシステムに、「大丈夫だよ。ほらちゃんと息ができているから。自分で自分を制御できるから」と教えることができます。

2)10まで数える

1から10まで数えながら、「2人とも、ちょっとカッカしているけれど、お互いにここでちょっと休憩をとろうじゃないか? 一歩引いて、頭をクリアにしてやり直しするのはどうかな?」と自分に言い聞かせます。

ここでも、私は包括的表現を使っています。「私たち」や「一緒に」という言葉を使えば、問題を解決できます。

3)人と行動を分けて考える

もう1つ、私の好きな方法があります。その人自身と行動を切り離すことです。

私たちは他人に対して「扱いにくい人」「難しい人」「いやな人」というレッテルを貼りがちです。

そうではなく、「この人のこういう行動が嫌いだ」と、人間と行動を分けて考えてみましょう。

その人にレッテルを貼るのではなく、行動にレッテルを貼るのです。問題は振る舞いにあるのですから。

こうすると、「これは、私が心臓発作を起こす価値があることか? いや、そんな価値はない」と考えることができます。

まとめ

行動知能のモデルを使うと、既存の行動を説明し、理由を問いかけ、将来の行動を予測して不確かなことを減らし、ほかの人の行動に影響を与えることができます。

人間関係は大切なので、積極的に関与すべきです。そうしないと、その関係は、悪化する一方です。

対立が、職場や自分自身に影響を与えることはよくあります。

もう少し、思慮深くなり、自分があり方を意識すると、自分自身の行動をコントロールできます。

繰り返しますが、気難しい人に対処するために、自分の行動を変える理由は、自分の心臓の健康にかかわるからです。

誰かのまずい行動のせいで、心臓発作を起こすべきではありません。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

low road vs high road  (ロウロード対ハイロード)

low road 恐怖に対して扁桃体が引き起こす経路の1つ。ロウロードは、視床から直接扁桃体に至る、高速で本能に近い反応。対する high road(ハイロード)は、視床⇒大脳新皮質⇒扁桃体というルートをたどるので、もっと理性的に考えることができます。

細長い物体を見て、すぐに「ぎゃ~蛇だ~~~!」とおびえるのはロウロード、「あ、よく見るとただのひもだ。怖くない」と反応するのがハイロードです。

curmudgeon   年寄りの気難し屋、意地の悪い人、怒りっぽい人

quadrant   四分円、四分円形のもの

infiltrate   ~にしみ込む

constant contact   やたらと接触してくる人

inclusive language   差別のない包括的な言葉

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人と行動を切り離す

職場や家庭、その他の場所で、苦手な人がいる方は、この講演を参考にして、自分の行動を変えるようにすると、今より、うまくいきます。

物を捨てない親の家を片付けている人や、やたらと物を買ってくる家族に手を焼いている人の参考にもなりますね。

物を捨てない人を、「タメコミアン」と決めつけるのは簡単です。

私も、夫に、「タメコミアン」「パラノイア」「ギリギリにならないと行動しない人」というレッテルを貼っています。

しかし、もし、お互いの関係をよくしたいと思ったら、あるいは、自分の健康を守りたいと思ったら、ペタっとレッテルを貼るだけでは、不十分です。

「なぜ、この人は、こういうことをするのだろうか?」と相手の行動の理由を考え、「自分の行動で変えられるところはないだろうか?」とおのれの行動を振り返らなければなりません。

つまり、ちょっと考えるべきなのです。

すると、本当にストレスが減りますよ。

人と行動を分けて考えるのは、自分自身についてもやってみることをおすすめします。

「あの行動は失敗だったし、この行動も失敗だった、でも、私自身は大丈夫だ」と考えることができるので、「私ってだめな人だ」という大雑把な結論に至りません。

「大元の自分は大丈夫だ」と思えないと、自分のことを恥じて、嫌いになります。

職場で、皆と仲良く仕事をしたほうがうまくいくように、自分自身との関係も良好なほうが、いい人生になります。

自分との関係がうまくいっていないと、他人との関係もうまくいかないのではないでしょうか?





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