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お母さんの遺品を整理中の読者、ニコウサコさんよりお便りをいただきました。
この記事で返信します。
まず、メールを紹介しますね。
母の遺品を片付けている最中
件名:母親が急逝、実家を片付けています
以前こちらの記事「日本ではストレートにほめないことが多いという話を読んで。」でご紹介いただいた「ニコウサコ」です。
いつも楽しくブログを読んでいます。
今回のメールは相談というより、近況報告です。
母が亡くなった
2023年11月に一人暮らしの母が急逝しました。後期高齢者でした。介護の大変さはなかったものの、予想もしなかった急逝でとても悲しかったです。
そして、葬儀から様々なことを次々に私が判断する必要がありました。
生前の母には片付けをプラスに捉えてもらって(私がミニ筆子さんになっていろいろ伝えていました)、かなり片付いているほうでした。
それでも亡くなってみると、たくさんのもの、食器やキッチン用品やレシピは多すぎていました。高価だった服や着物もありました。これは昭和ならではかもしれません。
横浜市に問い合わせて許可されている業者の組合への連絡先を教えてもらいました。
その組合から大きな家具の処分もお願いできるところを2箇所教えてもらい、電話での見積ができて、感じが良かったところに決めました。小さなものも袋にまとめたものも処分してくださいました。
この判断や行動には筆子さんのブログで学んだ「サンクコスト」や「持っているとますます捨て難くくなる」「触る、手に持つと逆に捨てにくい」「授かり品は捨てにくい」などの知識が助けとなりました。
すでに私も別世帯で物が十分にあり、すべて引き継ぐわけにはいかないので落ち着いて判断できて良かったです。
そして、周囲に捨てる理由を冷静に伝えられたのは筆子さんのブログのおかげだと思います。
実は今回思いがけず「Die with ZERO(ゼロで死ね)」な出来事がありました。昨年、生前に一部、教育資金などとして生前に渡しておいてくれたのです。教育費非課税口座など、税金がかからない方法を利用しました。
奨学金などが不十分な日本ではありがたい制度です。メガバンクで手続きできました。
「Die with ZERO」というこの概念を知ったおかげで罪悪感なしに受け取ることができました。ありがたかったです。
着物の処分で思い悩む
ひとつ、悩んだことがあります。「着物」のことです。
私には手が負えないので処分したいのに、娘がいるから着せたら、的なプレッシャーを感じて(思い込みかもしれませんが)保存しなくては、と思い苦しみました。
一部カビていたのでクリーニング代も数万と高く、タンスを処分したので桐の箱を買わねばなりません。虫干しなども必要とのことです。
私はそれに時間を割くのも嫌でした。時間も別のことに使いたいのです。
その着物はもともと母経由で従姉妹から譲られたもので、私もが買ったわけでも、贈られたわけでもないのです。
ノートに本当の気持ちを書き、先日の罪悪感があって、物が捨てられないときの記事を呼んで、処分ができそうになってきました。
記事内のタイトルを書き写しました。
長くなってすみません。頑張って片付けます。
これからも筆子さんのブログを楽しみにしています!
ブログ内での返信でも大丈夫です。相談でないので、急ぎません。
ニコウサコさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
突然、お母さんが亡くなったのですね。それは寂しいですね。
心からお悔やみ申し上げます。
亡くなって半年もたっていないので、特に事情がなければ、ゆっくり遺品を整理してもいいんじゃないですかね。
今回は、無言のプレッシャーを気にしない方法をいくつか書いてみます。
直接話をする
ニコウサコさんは、お母さんの着物を処分したいけれど、親戚の人たちが、「娘さんがいるんだから、受け継ぐべきである」という意見なんですよね?
「思い込みかもしれない」と書いているので、もしかしたら、誰もそんなことは言っていない可能性もありますけど。
ここでは、口頭ではっきり意思表示されたと仮定します。
着物は、日本の伝統的な衣装で、文化という意味合いが強いです。
「捨てるな、娘さんに残せ」と言う人達は、「着物を次世代に受け継ぐことは、その文化や歴史を伝えることだ、だから捨てるべきではない」と言いたいのでしょう。
通常、着物は高価なので、保管しておけば、将来は資産価値があがるという考えもあるのかもしれません。
そういうとき、私なら、「残しなさい」と言うその人たちに譲りますよ。
私には、とても面倒見きれないから。
「文化を受け継げ」、という話は、数年前に話題になった、本の処分の話と同じです。
本は貴重な文化財だから捨てるべきではない、という意見に私が思うこと。
文化財かもしれないけれど、誰も使わないものをたくさん自宅に置いておくのは負担です。
自分の生活を犠牲にしてまで、文化財を残すことはないですよ。
私は、自分がいつも使っていて、価値を感じていて、現実的な方法で保存できるだけのものを持って暮らしたいと思っています。
余計なものを持ちながら暮らすのは心身ともにしんどいですから。
誰かがそういうふうに暮らしたいと願うとき、その人に対して、「文化だから捨てるな」なんて誰も言えないと思います。
というわけで、プレッシャーを与える人たちと、対面でしっかり話し合ってください。
そうすれば、無責任にプレッシャーをかけてくることはないでしょう。
きっと、親戚の人たちは、ニコウサコの気持ちや現状について、そこまで知っているわけではなく、「着物は受け継ぐべきものだ」という思い込みのもとに、言いたいことを言っているだけだと思います。
自分が勝手にプレッシャーを感じるなら現実的に考える
実は誰もプレッシャーなどかけておらず、自分が勝手にプレッシャーを感じているときもあります。
先に書いたように、着物は、「特別なもの」なので、ほかのもののように、さくさく処分できないわけです。
お母さんが生前、その着物をすごく大事にしていたのなら、なおさら捨てにくいですよね。
私は、着物を特別視する必要はないと思います。
確かに100均で購入したプラスチックの箱に比べたら、着物は価値あるものと言えます。
しかし、価格と価値の違いの記事で書いたように⇒価格と価値の違いを知れば、余計な物も浪費も減る。
本当の価値は、それが高価かどうかは関係なく、それを自分の生活で活かせるかどうかで決まります。
着物を使うつもりがないのなら、自分にとって価値はないのですから、今すぐ着物に価値を見いだせる人にゆずったほうがいいのです。
ふつう着物は着物の買い取り専門の業者に譲ります。
この記事によると⇒意外と知らない方が多い!着物買取してもらったその後の『5つの行方』 | 着物堂
売られた着物はその後、こんな運命をたどります。
1.そのまま再販する
2.生地に戻してべつのものにリメイク
3.オークションに出品
4.寄付
5.処分(状態が悪いもの)※処分してほしくない場合は、買取業者に相談もできるとある。
どれも、家の中で放置しておくよりいいと思います。
ニコウサコの娘さんはまだ小学生ですよね?
この場合、本人に着物がほしいかどうか聞いても、的確な判断はできません。
自分が着物がほしいかどうかなんて、着物を着る年齢にならないとわかりませんから。
未来の自分が何を求めているかなんて今の自分にはわからない(TED)
娘さんに1枚も着物を残さないのはしのびないと思うなら、1枚ぐらいは残してもいいかもしれません。
でも、新しい着物を作る方法もありますよ。
着物にも流行があるので、娘さんが着物を欲しがったときに、本人の希望に沿った色や柄のものを買ったほうが、娘さんもうれしいんじゃないでしょうか?
プレッシャーに負けない自分になる
ついでに、無言のプレッシャーに負けないコツも書いておきます。
自分軸で暮らす
いつも書いていますが、自分軸を打ち立てることが一番重要です。
自分の信念や価値観をしっかりと持てば、他人や世間の期待に振り回されません。
自分の価値観に沿った暮らしをするには?:心を満たす方法(その2)
いつも自分が何を望んでいるのか、どんなことが重要だと思っているのか、考えるようにしてください。
コミュニケーションをとる
最初に書きましたが、無言のプレッシャーを与えてくる相手とコミュニケーションを取ってください。
相手は「私はそんなつもりはなかった」と言うかもしれません。
お互いに考えや意思を開示すれば、変な誤解は生まれません。
自己肯定感を高める
セルフイメージがよくなれば、他人の言うことはさして気になりません。
自己肯定感を高める方法は過去記事にたくさん書いているので、好きな方法を試してください。
ちょっとした目標(あまり難しすぎないもの)を作って、クリアしていくと自信がつきます。
自分自身の幸福を追求する
他人が提示する幸福ではなく、自分が求めている幸福を追求してください。
そうしたいとき、すべきではないのは、ほかの人と自分の暮らしを比べることです。
簡単にプレッシャーに負ける人は、ソーシャルメディアは見ないほうがいいです。
では、ニコウサコさん、マイペースで遺品の整理をしてください。
どうぞ、お元気で。
今回のお便りに出てきた言葉について
サンクコスト⇒せっかくこんなに集めたから:サンクコスト効果~捨てない言い訳その5
授かり効果⇒授かり効果のせいで捨てられない物を捨てられるようになる考え方
Die with ZERO は、本のタイトル。生きている間にお金を使って、ゼロで死ね、という内容。
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紙本にリンクしましたが、Kindle本やオーディオブックもあります。
遺品の片付けに関しては、過去記事がたくさんあります。2つだけリンクしておきます。
親の遺品を片付けなければ…と思うばかりで、全く作業が進まない。どうしたらいい?
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遺品を片付けている読者のお便りを紹介しました。
遺品の片付け中は自分のものを片付けているとき以上に、いろいろなことを考えると思います。
1つ言えるのは、亡くなった人は、自分が幸せに生きていくことを望んでいたということ。自分が幸せで笑顔になれる選択をすることが、一番の供養ではないでしょうか?
それではあなたも、伝えたいことなどありましたら、お気軽にメールください。
お待ちしています。