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買い物と同じように、必要でないのに、なんとなく無意識に食べている、ということが多いもの。このような食べ方をマインドレスイーティング(mindless eating)といいます。
mindless とは、mind (マインド:心・精神)の入っていないこと。
何も考えずに無意識に食べ物を口に運ぶのをやめるだけで、脂肪の断捨離(ダイエット)に効果があります。
人は、基本的に細胞を作るための材料や、生きるためのエネルギーを補給するために、食事をします。これ以外の理由で、なんとなく食べてしまうのは、マインドレスイーティングと言えましょう。
代表的なマインドレスイーティングを6種類紹介します。
1.感情的な理由で食べる
ストレス解消のために食べたり、退屈や不安をまぎらわすために食べることです。エモーショナルイーティング(emotional eating)とも呼ばれます。
エモーショナルイーティングが問題なのは、たいてい甘い物か炭水化物を食べてしまうこと。
イライラしたとき、野菜を食べる人はいません。
糖質を食べると、脳の報酬系が活発になり、快を感じます。
人類の歴史の大部分は、食物がなく、飢饉にあえぐことが多かったので、たまにエネルギーになる物にありつけると、脳が「よくやった、もっと食べなさい」と反応するようになっているのです。
しかし、現在、先進国では食べ物が余っているので、この反応を真に受けてどんどん食べていると、余計な脂肪がたまる一方です。
おまけに血糖値が急激に上がり、そして下がるため、満腹なのにますます食べ続けることになります。
血糖値が急に上がって下がる話はこちら⇒健康への近道は砂糖をやめること、これ、本当です
ストレスの多い現代、感情的な食べ方は最も多く、最も改めにくい食べ方ではないでしょうか?
私も、ストレスがあると、いつもよりナッツを食べてしまいます。ナッツを食べたところで、ストレスの元が解消されない限り、何の解決にもならないのですが。
2.習慣だから食べる
べつにお腹はすいていないけれど、食事の時間になったから、自動的に食べることです。おなかがすいていないので、食べてもおいしくありません。
無理やり食べるのは習慣だからでしょうね。お昼になったらお昼ごはんを食べるべきだ、と思っているのです。
映画館でポップコーンを食べるのも、単なる習慣だと思います。まあ、映画館に売っているわけですが、よくよく考えると、映画を見ながらポップコーンを食べる必要なんて、全くないわけです。
おなかがすいていないときに食べると、不必要なカロリーや栄養を取ってしまいます。
コーヒーやお酒を飲む人も、べつにおいしくないのに習慣だから飲んでいる人がいるかもしれません。私は飲酒をしませんが、その理由はとてもおいしいとは思えないからです。
ずいぶん前、お酒を飲む友人にその話をしたところ、「私だって別に味がおいしいとは思わない」と言われたことがあります。
関連記事⇒シンプルな禁酒のやり方。ビールの飲み過ぎはこうして防ぐ。
3.人のために食べる(社会的な理由)
他の人が食べているから、自分もなんとなく食べる、ということがあります。仲間になるために、無理やり同じものを食べることもあります。「同じ釜の飯を食う」わけです。
作ってくれた人に悪いから、という理由で食べたり、やたらと周囲の人に、「ほらほら、食べて」と促されて食べることもあるでしょう。
パーティや会食で、会話する人もいないし、手持ち無沙汰だから、時間つぶしのためにひたすら食べる、というケースもあります。
誰かからもらったから、欲しくないのに、しぶしぶ食べるのも社会的な理由で不用なカロリーを摂取しているのではないでしょうか。
およそ20年ぐらい前、カナダに来た当時、大きな家に下宿していたことがあります。その家にはほかにも学生がたくさんいて、夕食は皆で一緒にしました。
私も最初はふつうに食べていたのですが、金曜日(この日は魚)以外は肉系のおかずばかりなので、だんだん食べられなくなり、次第にやせていったことがありました。
こんなときも、自己主張できない人だと、無理に食べるかもしれません。
食事はコミュニケーションの手段でもあるので、自分のためではなく、社会的な理由で食べる機会は思ったよりたくさんありそうです。会社で配られたおやつを食べるとか。
それが必ずしも悪いとは言いません。人は生存するために食事をしますが、他の人と協調しつつ、仲良く暮らすことも生存に必要だからです。
ただ、べつに食べなくてもいいのに、「食べなければいけない」と自分にプレッシャーをかけているときもありそうなので、一度見直したほうがいいのではないでしょうか?
4.お金がもったいないから食べる
お金がもったいないから、もっと得をしたいから、不必要な食品を摂取することがあります。
食べ物にしても飲料にしても、大きなサイズや、量の多い商品を買ったほうが割安です。何か特定の商品がセールになっていることもあるでしょう。
賞味期限が近いものはよく安売りになっています。
そのような食品を買い過ぎ、作り過ぎ、その結果、食べ過ぎます。賞味期限が近いものは、何としても早く食べなければ、買ったものが無駄になりますから、経済観念がある人ほど、しっかり食べてしまうかもしれません。
「残すのがもったいない」と思う人もいるでしょう。
「もったいない」と思って食べ過ぎると、おなかがいっぱいで苦しいとか、余分な脂肪をたくわえすぐて成人病になるとか、食べすぎた自分や、買い物に失敗した自分に強い罪悪感を感じる、という代償を払うことになります。
健康を害せば医療費がかかるため、結局はお得でも何でもなかった、ということになるのです。
まとめ買いが損な話⇒まとめ買いが節約にならない4つの理由。むしろガラクタを増やす危険な買い方。
現代人が全体的に食べ過ぎなのは、こうした「お得な商品」に弱いからかもしれません。
5.めんどくさいから食器を使わない(袋ごと食べる)
ポテトチップスに代表されるスナック菓子を器にあけずに食べる人がいます(私の夫です)。こういう食べ方は危険です。
知らないうちに一袋あっという間に食べてしまいます。
というのも、スナック菓子はどんどん食べてしまうように調味されているからです。メーカーは、人が食べ続ける味を日夜研究し、塩味と甘み、そして油を絶妙に配合しています。
詳しくはこちら⇒なぜ人はジャンクフードを食べることをやめられないのか?
これは夫の食べかけのポテトチップスです。
さわやかな水色なのは、ヘルシーさを強調しているからです。しかし、ヘルシーなポテトチップスなんてありません。
右下で「従来のポテチより、ナトリウムが50パーセント少ない」と強調しています。このようにパッケージに「塩分少なめ」とか「ビタミン強化」など栄養があることを訴えている文字がある商品は、ほぼ栄養がないジャンクである、と考えたほうがいいです。
栄養のある商品はこんな断り書きは必要ありません。
このポテチは50グラムで280キロカロリーです。
1袋255グラムなので、仮に全部食べてしまうと、1120キロカロリー。1120キロカロリー、全く栄養のない食品を体内に摂取してしまうことになります。
日本の成人女子の1日に必要なカロリーは2000キロカロリーと言われています。袋ごと食べるとその半分をポテチで取ってしまいます(日本のポテチの容量はもう少し少ないかもしれませんが)。
確かに、菓子器を使わなければ、後片付けがラクです。しかし、その便利さの代償として、メタボな体、病気になりやすい体になってしまうのです。
さて、袋ごと食べるのが危険なのは、次に書く、「ながら食べ」になりやすいからです。
6.ながら食べ
テレビを見ながら、本を読みながら、パソコンを見ながら、スマホをさわりながら食べるのをながら食べといいます。
ちゃんと食卓に座って、ほかの人と話しをしながら食べるのはながら食べではありません。人間はずっとこうしてきました。
ところが、テレビやデジタル機器と一緒に食事をするようになったのはわりと最近のこと。なぜ、こうしたものをお供に食事をしてはいけないのでしょうか?
テレビやスマホと一緒に食卓につくと、食べ過ぎる、というリサーチ結果がたくさんあります。
テレビの場合は、あまりにも食べ物のCMが多いから、と言われています。
また、テレビとスマホに気を取られて、自分が何を食べているのか、見た目にも味にも注意がいかないことが問題です。しっかり味わって食べないと満足感が得られないのです。
最近の研究によれば、テレビを見たり、スマホをさわりながら食事をした人は、あとになっておやつを食べる率があがる、とのこと。
テレビとスマホに気を取られて、自分が最後に何を食べたのか、しっかり覚えていないからだそうです。恐ろしいですね。
いずれにしろ、マルチタスキング食べは、行儀は悪いし、消化にもよくないし、食卓も散らかるし、家族と話もできないので、あまりいいことはありません。
どうしてもそうしなければならないときや、そうしたほうがいいときのみにしたほうがいいでしょう。
そうせざるを得ないときとは、会社の食堂にテレビがあるとき。そうしたほうがいいときとは、定食屋さんや、ラーメン屋さんで、スポーツ中継を見ながら、他のお客さんとみんなで盛り上がるときです。
最近は、こんなことはあまりないかもしれませんね。
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このほかにも、単に口さびしいから、作りたいからたくさん作って余ったから、大食い競争・早食い競争だから、なんて理由でもマインドレスイーティングしそうです。
私のナッツの爆食は、この「口さびしいから」というのが大きな理由です。口にナッツを入れているのが習慣になっているのでしょう。
作りたいから作って余る、というのも私は経験があります。昔、お菓子作りが趣味だったとき、やたらと作って、自分でたくさん食べていました。
次回は、マインドレスイーティングの反対である、マインドフルな食べ方を紹介します。