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20代後半の方から、子育てに関する質問をいただきました。
子育てで後悔していることや、しておいてよかったと思っていることはありますか?
という内容です。
この記事で回答しますね。まずメールをシェアします。Hさんからです。
子育てに関するアドバイスをお願いします
件名: 子育てについて
筆子さんのブログは気づかされることが多く、とても勉強になっています。本2冊も買いました。私の生活を向上させてくれる教科書になっています。
さて、私は20代後半の専業主婦です。3歳(幼稚園年少)の女の子を育てています。
筆子さんのお子さんはもう20歳ですよね。子育ても終盤に差しかかって、後悔していることやしておいてよかったと思うことはありますか?
私はタメコミアンの母に育てられたので、その環境が当たり前だと思って生活してきました。しかしゆるいミニマリストの夫に影響を受け、またこのブログに出会ったことでどんどん思考が変わっていきました。
今は安いからという理由で買わないし、物を減らしたことで家事も楽になり、自由な時間が増えています。
ふと筆子さんのような人がお母さんだったら、どんな人生になっていたんだろう?と思うときがあります。
これからの子育てにヒントになるようなことがあれば教えていただきたいです。よろしくお願いします。
Hさん、メールありがとうございます。
ブログや本を愛読していただき、うれしく思います。
ご質問に順番に答えますね。
後悔していることはありません
子育てで後悔していることは特にありません。
私は子育ての苦労をたいしてしておらず、「なんて大変なんだ」と思ったのは、娘が生後6ヶ月ぐらいになるまで。それ以後は、とくに困ったことはありませんでした。
たまにブログにも書いていますが、私の娘はとてもしっかりしていて、生活力があり、「鳶(とび)が鷹(たか)を生んだってやつかな?」「親がだらしないと、子供はしっかりするのね」と思うことがあります。
しかし、これは単なる親のひいき目かもしれません。
そんなわけで、何も後悔していませんが、しいていえば、弟か妹を生んでいれば、娘の子供時代はもっと楽しかったかもしれないな、とは思います。
娘は一人っ子なので、小さいときは、いつも近所の同じ年頃の姉妹の家に入り浸っていました。
大人になってからも、兄弟姉妹がいると、相談ごとをしたり、困ったときは助け合ったりできていいかもしれません。
けれども、私自身、弟がいますが、ふだんはほとんど交渉がないし、私の夫に至っては、兄が3人いるのに絶縁状態です。だから、兄弟姉妹がいたほうがいい、とは一概には言えませんね。
いずれにしても、娘が生まれた当時、我が家はとても貧乏だったので、もう一人子供を生むことはできず、娘は一人っ子となりました。
しておいてよかったと思うこと
娘が小学校1年のときから、年に1度歯医者の検診に連れて行ったのはよかったと思っています。
高校生のときは、支払いがきつかったですが、ちょっと無理して歯並びの矯正もさせました。
娘は今のところ虫歯が1本もありません。
私は、歯が悪く、毎年多大なるお金と時間と心のエネルギーを、歯の治療に使っています。それについては、歯の記事に書いているとおりです⇒歯に関する記事のまとめ:歯肉炎、根管治療、そしてインプラント体験。
今年もすでに、20万円ぐらい使いました。さらに8月に8万円ぐらい出ていく予定です。
虫歯にさえならなければ、その後えんえんと続く治療から逃れられます。
私は、娘のために、学資保険をかけるとか、教育資金をためるといったことはいっさいしませんでした(お金がなかったので)。
しかし、健康な歯を提供できたことは、学資保険などよりずっと価値があったと思っています。生涯に渡ってどれだけの節約になるか、はかりしれません。
歯の治療は、お金が出ていくだけでなく、精神的にも大きなストレスなのです。そのストレスを軽減する手伝いができたことはよかったです。
子育てのヒント
親も子供も一人ひとり違いますし、家庭環境も違います。だから、誰かがやってうまくいったことを、自分がやって必ずうまくいくとは思えません。
むしろ、人の真似をするのではなく、自分らしい子育てをしたほうがいいでしょう。
最低限、子供を学校に通わせ、家でごはんを食べさせ、寝るところを提供し、子供の身の安全を確保し(病気になったら医者につれて行くなり看病するなり)、子供の話に耳をかたむけ(一方的に自分の意見を押し付けない)、親子で楽しい時間をすごすことができれば、それでいいと思います。
まあ、子供のことを愛していたら、どれもごく自然にできることです。
自分に余裕がないと、弱い立場の子供が犠牲になることがあるので、自分の精神衛生に気を配って、ゆったり暮せばいいんじゃないでしょうか?
『万引き家族』の話
最近、『万引き家族』という映画を見て、家族のあり方について考えました。
この映画のことは、この記事でもちらっと書いています⇒もっと物を減らしたい人に贈る、自分の持ち物を自分で評価する方法。
注意:ここから映画のネタバレになります—–
この家族は、お父さん(リリー・フランキー)、お母さん(安藤サクラ)、長男(13歳ぐらい?)、長女(妹、5歳ぐらい?)、おばあさん、お母さんの妹(20歳ぐらい?)の6人家族です。
妹は映画の前半で、お父さんとお母さんが家に連れて来ます。
お父さんとお母さんは、一応働いていますが(お母さんは途中でパートをくびになる)、給料だけでは生活できず、おばあさんの年金(月6万円)も使い、さらに足りない分は、万引きをしてまかなっています。
万引きすることをのぞけば、わりとふつうの仲のよい家族に見えます。一緒に花火を見たり(音だけ聞こえて花火は見えない)、海に行ったりします。
妹の歯が抜けたときは、お兄ちゃんが屋根の上に投げてやります。
しかし、この家族は、本当の家族ではなく、他人の寄せ集まりです。
お父さんとお母さんは、実の親にひどい仕打ちをされていた子供を、自分の家(おばあさんの家です)に連れ帰って面倒をみていたのです。
この家族6人全員、身内がいないか、身内に大事にされていない人たちで、そういう人たちが集まって家族として暮らしていました。
映画の後半で、取り調べ中に、お母さんが、「自分は人が捨てたものを拾って、大事にしてきた」という意味のことを言います。
実際、このお父さんやお母さんは、彼らなりに、子供に愛情をそそいで、面倒をみていたのでしょう。
しかし、それで子供は幸せだったかというと、それは違います。
長期的視野にたつといいかもしれない
戸籍がないから学校に行けず、お兄ちゃんは、押入れの下の段を自分のスペースにして、どこからか拾ってきたらしい、小学校低学年用の国語の教科書を愛読しています。
父親には万引きを教え込まれ、映画の後半では、車上荒らし(お父さんのもう一つの生業)もやってみないか? なんて言われます。
父親は、最近家族に加わった妹も万引きに加担させようとします。「何か役割があったほうが、あの子だってこの家にいやすいだろう」と言いながら。
勝手に連れてきてずいぶんな言い草です。
本当の家族だったら、そこにいるだけでいいので、こんな発想にはなりません。
そのうち、妹も、ぼちぼち万引きをするようになります。
このままずっとこの家にいたら、この子たちの未来はどうなってしまうのか?
このお父さんとお母さんは、長期的視野が何もなく、きわめて刹那的に生きています。子供が小さいときはそれでもいいかもしれません。
しかし、子供はいつか必ず大人になります。
子供が小さいときは、ささいなことが気になって悩んだりしますが、それは大きな筋書きのちょっとしたエピソードにすぎません。
子供の人生はこれからもずっと続くのだ、と俯瞰(ふかん)する心の余裕をもつと、うまく子育てできるんじゃないでしょうか?
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子育てに関する質問に回答しました。
先日、貧乏な人は、貧乏ゆえに、どんどんまずい意思決定をして、ますます貧乏になる、という話が出てくるTEDの動画を紹介しました⇒貧困は人格の問題ではなく、現金がないだけの話:ルトガー・ブレグマン(TED)
万引き家族はまさにその典型です。
ベーシックインカム(最低限の生活ができるお金を無条件で支給すること)の制度があれば、こういう家庭(フィクションですが)の問題は、かなり解消されるのではないでしょうか?
そして、結局それが社会のためになります。