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不用品を捨てたいけど、もったいない気持ちが強くて、なかなか捨てられない。そんなときは、「無駄が無駄を再生産している」と考えると、捨てる気になるかもしれません。
実際、不用品があるせいで、しなくてもいい管理に時間や体力を取られています。
この記事では、不用品がどのように新たな無駄を生み出し、生活しにくくしているか具体例をあげ、無駄を作るスパイラルから抜け出す方法を紹介します。
無駄が無駄を再生産する例
1.付録やおまけ
雑誌と一緒に家に入ってきた付録、買い物したら店の人がくれたおまけ。そんな「無料の品物」を活用しようとして、時間や体力を使ったあげく、結局あきらめて手放した経験はありませんか?
かつての私はそういうことがよくありました⇒2度と付録目当てで雑誌を買わないと誓った日:ミニマリストへの道(53)
無料でもらったものでも(実際は、無料とは言えませんが)、自分のものにしてしまうと、「ちゃんと活用しないともったいない」という気持ちになることがあります。
これは、人によって違うと思いますが、家に不用品をいっぱいためてしまう人は、この傾向が強いでしょう。
無料のものに対してあまり愛着を感じず、粗末に扱う人もいますが、そういう人でも、そう簡単に捨てないと思います。
進化心理学の観点から見ると、私たちの脳は「保有することで生き延びる可能性が高まる」という原始的な時代のルールに従って設計されています。
たとえば、狩猟採集時代には食料や道具といったリソースが貴重で、何かを捨ててしまうことは生存リスクに直結していました。このため、現代においても「いつか役に立つかもしれないものを手放すのは危険だ」という思考が無意識のうちに働きます。
さらに、心理学では「授かり効果(endowment effect)」という現象があります。
これは、所有するとそのものの価値を過大評価してしまう傾向です。
無料でもらったものでも、「自分のもの」と認識した瞬間にその価値が高まるため、手放すのは簡単ではありません。
授かり効果のせいで捨てられない物を捨てられるようになる考え方
その結果、本当は必要ないのに、たまたま家に入ってきたものをなんとか、活用しようとして、貴重なリソースを無駄にします。
2.しっくりこない服や靴
ふだん、あまり着用しない衣料品や靴に対して、「でも、いつか役立つときが来るかもしれない」「やせたら着られる」「そのうち家族が使う機会があるかも」と思って、保管することがあります。
この場合、こうしたアイテムを収納するスペースが必要になります。スペースが足りないと、狭いスペースにできるだけものを詰め込もうと、収納術の本を買って読んだり、新たな収納グッズを買ったり、外部に倉庫を借りたりするかもしれません。
こうやって苦心して取っておいたものを果たして「いつか」使うときが来るでしょうか?
私の場合は来ませんでした。ものによっては、20年近く持っていましたが。
もっと早く捨てればよかった7つのもの~元「捨てられない女」の独白
本当は不要な服が、長期間にわたって、お金、スペース、体力を浪費させてしまうのです。
3.キッチン道具
特定の料理専用の家電や、形が特殊で、ふだんの調理にはあまり使わない調理器具も無駄を再生産します。
「せっかく買ったから」何かに使いたいと思うとき、まずレシピを調べるでしょう。
今、レシピサイトがたくさんあるので、どのレシピにしようか迷うのではないでしょうか?
こうして、レシピを探すために時間を使い、材料を揃えるために買い物に行きます。
その家電を使うときは、マニュアルを確認する手間も発生します。
なにせ、ふだんあまり使わないものですから。
私たちはふだんやっていないことはすぐに忘れるので、数年前によく使っていたものであったとしても、久しぶりに使うときは、いつもより脳のリソースを使います。
そうやってなんとか使おうと思っても、数回やっただけでは、思うように使いこなせず、料理に失敗したり、後片付けが大変だったりして、「もう使いたくない」と思います。
その結果、その器具は収納スペースを占有するだけの存在になります。
場合によっては、この家電を使いこなすために、新たな道具を買ってしまうこともあります。
こうして、無駄なキッチンツールは、新たな無駄を呼びます。
4.微妙に壊れた家電
壊れた家電も、無駄を再生産します。
トースターの調子が悪くなったので(いつもの時間だけ焼いているのに丸焦げになるとか)、「修理すればまた使える」と押し入れにしまったとしましょう。
あなたはすでに新しいトースターを買って使っています。
だから、修理して使う必要すらないのに、保管してしまうのです。
多くの人は修理しないまま、何年も放置しますが、『筆子ジャーナル』でこんな記事を読み⇒それ、本当に修理する気あるの?:ガラクタのタイプ別、捨てられるようになる考え方(その2)。
修理を思い立ったとき、ネットで必要な部品を調べたら、その家電はとっくの昔に廃番になり、部品を手に入れられないことに気づくかもしれません。
修理が可能だったとしても、修理費用が新品を購入するのと同じくらい、またはそれ以上の場合もあります。
それでも「もったいない」という気持ちから修理を検討し、時間をかけてやり方を調べたり、修理業者を探したりしますが、最終的に「もういいや」とあきらめませんか?
「家電やツールの修理が好きだ、得意だ」という人なら、とっくの昔に修理していたと思います。
私のように、修理することが、自分のキャラクター設定にない場合は、それがこわれたとき、すぐに(新しいものを購入する前に)修理カフェや修理イベントに持っていくか、メーカーの修理サービスに依頼して直してもらえば、放置したときに生まれる無駄を回避できます。
もちろん、ここに書いたのは想定されるシナリオのうちのひとつであり、「修理を試みたら、意外に簡単に直せて、その後便利に使っている」というシナリオも考えられます。
ただ、多くの人は、使わなくなったものに対して、「持っていればいつか使う」というたったひとつのシナリオだけを思い描き、信じていますが、実際は、無駄が無駄を再生産しているほうが多いのです。
新しいものを買ってしまったり、収納スペースを圧迫したりと、気づかないうちに次の無駄が生産されていませんか?
特に現代のように、ちまたにものがあふれていて、手軽に買うことができるときは。
だからこそ、私たちは意識的に手放す選択をする必要があります。無駄なものを手放すことは、時間、空間、心のゆとりを取り戻すことにつながります。
無駄のスパイラルから抜け出すコツ
では、どうやって無駄が無駄を生む生活から抜け出すか?
以下の方法を試みてください。
1.無駄を生んでいる現実に気づく
使っていないけれど捨てていないもの、たとえば衣料品や雑貨などを見つけて、それが無駄を生んでいないか考えてみてください。
「あれば、いつか使う」という見方をするだけでなく、「これがなければ生じなかった無駄な仕事や手間を生み出していないか?」「これがあるせいでよけいな時間がかかっていないか?」そんな視点でそのアイテムを見ましょう。
2.手放せない理由を考えてみる
無駄を生み出しているのに、なぜ手放せないのかその理由を考えてください
実は、その理由は単なる「捨てない言い訳」かもしれません。
・高かったから⇒高かったから断捨離できない? 埋没費用はどのみち回収できません
・もったいないから⇒もったいないから捨てない。この決断のせいであなたが失っているたくさんのもの。
・いつか使うから⇒いつか使うかもしれない、と思うものを本当に使う方法、あるいは見切りをつける方法。
言い訳だと気づいたら、言い訳するのをやめて捨てる決断をしましょう。
3.捨てたあとをイメージする
捨てたあと、どんな生活になるかイメージしましょう。
たとえば、
・ガラクタでいっぱいのテーブルを見なくてすむ
・収納スペースがすっきりしてものの出し入れが簡単になる
・毎朝の洋服選びが楽になる
・週末、片付けに追われないので心が軽くなる
4.少しずつ捨てる
いきなり全部捨てようとせず、1日ひとつ、不用品を手放してみてください。
捨て方については過去記事にたくさん書いています。
たとえばこちら⇒大々的に散らかるのを予防するために、きょう10分だけ使って片付けよう(前編)。
そのままゴミにするのに抵抗があるときは、寄付やリサイクルを利用し、必要な人に役立ててもらう選択をしましょう。
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今回は、「無駄が無駄を再生産する」という考え方をお伝えしました。
不用品は物理的なスペースだけでなく、時間、精神的エネルギー、体力も奪っています。
手放せば、あなたの生活はよりシンプルで快適なものになりますよ。