買い物する女性

ミニマルな日常

どんどん欲しがる習性:家の中にうんざりするほど物がある理由(その6)

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私たちが、使い切れないほどたくさんの物を家にためこんでしまう理由を検証しています。

これまで5つ書きました。

1)買いすぎてしまった
2)タイミングよく捨てない
3)使わずにずっとしまっておく
4)集めすぎてしまった
5)買ったことを忘れてしまう

今回は、「もっとたくさん欲しいという気持ち」です。

すでに家にある物や所有している物だけでは満足できないので、さらにどんどん手に入れてしまい、家の中が物だらけになるのです。

これは心理的な要因で、意識レベルの問題です。

意識を変えれば、かなりの部分改善できるでしょう。

もっと、もっと欲しいと思う気持ち

私たちは、デフォルトの状態だと、どんなものも、「もっと欲しい」と思っています。

もっとお金が欲しい、もっと時間が欲しい、もっともてたい、もっと大きな家に住みたい、もっと昇進したい、もっと新しい物が欲しい、もっときれいになりたい、もっと便利に暮らしたい、もっといい仕事がしたい、もっといい学校に生きたい、もっと友達が欲しい、もっとフォロワーが欲しい、もっと楽したい、もっと眠りたい、もっとたくさん本を読みたい、もっと賢くなりたい、もっと私のことを認めてほしい。

どんなものに対しても、「もっと、もっと!」という気持ちが働きます。

「もっと欲しいな」と思うものの中で、物理的な物は、比較的手にいれやすいです。

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ファストファッションとは? その仕組みと問題点を2分で学ぶ

「もっとこうなって欲しいのに」という不満があるけれど、その問題に正面から向き合ってもどうにもならないこと、向き合うのがめんどうなこと、向き合いたくないことがあると、とりあえず、物を買って、「もっとこうなって欲しい欲望」を満足させようとするのではないでしょうか?

その結果、物が増えてしまうのです。

では、どうして私たちは、こんなふうにいつも、「もっと欲しい!」と思っているのでしょうか?





サバイバルのため

私たちが、もっともっとと欲しがってしまう一番の理由は、そういうふうに脳ができているからだと思います。

人が生きていくためには、いろいろなものが必要です。食べ物、水、寝泊まりするところ、ほかの人(家族、友達、恋人、一緒に子供を作る相手)など。

幸い、どうしても必要な空気は、今のところ、生まれたときからまわりに普通にあります。

しかし、食べるものや、寝泊まりするところは、自分で獲得していかなければなりません。

赤ん坊や子供には、親が用意してくれますけど。

欲しがらないことには手に入れることができないので、脳は、「もっと欲しがれ!」というシグナルを出すのです。

昔は、水や食べ物、安全に寝られる場所など、ごくベーシックなニーズですら、日々、戦って獲得する必要がありましたが、今、先進国に住んでいる人は、ベーシックニーズの獲得にそこまで苦労しません。

しかし、脳は、文明の進化についていっていないので、相変わらず、「ほら、もっと、もっと、欲しがれ!」と私たちに司令を出しており、私たちはそれに従っているのです。

人は満足しないようにできている

どんな人にも向上心があります。現状よりもっとよくなりたいと思っていますが、それは、つまり現状には満足しない、ということです。

現状に満足できないので、「もっと、こんなものや、あんなものが欲しい」と思ってしまいます。その結果、いろいろ手に入れます。

たまに、「あなたには、人としての誇りも向上心もないの?」と言いたくなるような生活をしている人もいます。

このような人は、メンタルをやられているか、何かに依存していて(薬物、アルコール、ギャンブル依存など、)生活の優先順位がむちゃくちゃになっているか、何かにすごく追い詰められている、といった事情があるだけで、落ち着いて考えてみれば、向上心はあるはずです。

私たちが向上心ととともに生まれてくるのも、サバイバルするためだと思います。

今の状況に合わせて、的確に生き残っていくために、「もっとこうしたほうがいい」という気持ちを常に持っているのでしょう。

資源が限られている

私たちが生きるのに必要な資源(地球の資源)はすべて限られています。

「空気は吸ってもなくならないね」と昔の私は思っていましたが、酸素と窒素のバランスがくずれると空気も足りなくなります。

去年、7月にすごく暑い時期があり、隣の州で、大きな山火事が何日も続き(今年も、山火事になっていますが)、毎日すごく煙かったのです。

朝、窓を開けると、煙たい空気が流れこんできて、散歩をしていても、ずっと焚き火と一緒に歩いているような感じで、毎日、とても不快でした。

山火事のせいで、避難しなければならない人に比べたら、ずっと恵まれていたのですが。

このように資源が有限だと、全員には行き渡らないので、皆、競争して確保しようとします。

ごく自然に足りないマインドになってしまうのです⇒足りないマインドがあると、物が増え、片付けもできない理由。

巧妙なマーケティング

ここまで説明してきたように、私たちは、ごく自然に、「もっと欲しい」「もっとよくなりたい」と思っています。

物やサービスを売りたい人たちは、人間のこの習性をよく知っていて、「もっと欲しい!」という気持ちを最大限に刺激する販売促進活動をします。

ニューロマーケティングとは?:消費者の決断に関する新しい科学(TED)

「これがないとこんな大変なことになってしまいますよ」とわざと恐怖心をあおり、「今のままでいいんですか? これさえあれば、こんな幸せな生活が手に入るのに」と、現状を下げるというか、落とすというか、そういうことをして、消費者の心に「欲しい気持ち」を作り出すのです。

冷静に考えると、家にある物で十分で、そこに需要など何もないのに、マーケティングのせいで、さも需要があるかのように思ってしまい、消費者は、新しい物を買ってしまいます。

賢いようでも人間は動物にすぎないので、誰かが作りだした需要に対して、あまり疑うことをしません。

日本の映画館のことはよく知りませんが、欧米の映画館では、必ずポップコーンを売っています。映画館で売っているポップコーンはとても高くて、映画館の収入源の1つです。

ですが、よく考えたら、映画を見るのに、ポップコーンなんていりませんよね?

というか、映画を見ながら、ものを食べる必要なんてありません。

ポップコーンが映画館の定番のスナックになるまでには、紆余曲折がありましたが、商売熱心な人がいなければ、映画を見るときは、せいぜいドリンクぐらいをお供にする、という風習ができあがっていたと思います。

今は、家で映画を見るときも、ポップコーンや類似のスナックをボールにいっぱい用意する人がいます(私の夫とか)。

動かないのにスナック菓子をもりもり食べるなんて、肥満への近道なのに。

解決策はマインドフル

「もっと、もっと欲しい!」という気持ちに突き動かされて、必要ないものをたくさん手に入れず、もう使わないものをさっさと手放すにはどうしたらいいのでしょうか?

私が一番効果的だと思うのは、「意識的になること(マインドフルネス)」だと思います。

落ち着いて、注意を向けて、ありがとうと言う、その方法(TED)

「もっとたくさん手に入れなくちゃ!」とか、「タオルはたくさんあればあるほどいいから、全部、押入れにしまっとこう」と思うのは、かなりの部分、無意識の行動です。

本能に突き動かされた行動なのです。

幸い人間には、情動のまま突っ走る脳と、それを制御するもっと人間的な脳が共存しています。

理性的な脳を発動させて、現状を客観的に見れば、「欲しい!」という気持ちのまま物を買い続けたりはしないでしょう。

1つの方法としては、最近、よく書いていますが、ニーズとウォンツの見直しです⇒ニーズ(必要なもの)とウォンツ(欲しいもの)に敏感になる:知らないうちにお金が貯まる行動案(その6)

すでに持っている物を1つひとつ調べて、使えるものは使っていくのもいい方法です⇒死蔵品を作らないために、すでに家にある物を使う4つの戦略。

買い物の記録を取って、自分の行動の偏りを発見するのもいいでしょう。

■この続きはこちら⇒生活が変わったのに所持品のリセットをしない:家の中にうんざりするほど物がある理由(その7)

■このシリーズを最初から読む方はこちらへ⇒なぜ家の中にうんざりするほど物があるのか?(その1)~買い物のしすぎ。

****

家の中にどっさり物がある理由として、「もっともっと欲しがる気持ち」を紹介しました。

はじめにも書きましたが、これは心理的な要因なので、心がけ次第で、いかようにも変わります。

できごとに対して、ただただ反応するのではなく、ちょっと立ち止まって(ポーズを入れて)、「でも、これはいらないよね? だって家にも、使ってないものがたくさんあるんだから」とか、「こんなに物をいっぱい買い集めても、一生の間に使い切れないし」と考えるだけでいいのです。





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