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周りの目が気になって自分を抑えてしまう人におすすめのTEDトークを紹介します。
タイトルは、The Art of Being Yourself(自分らしく生きる技術)。
スピーカーは、多くの企業や個人が「自分らしさ」を見つける手伝いをしている Caroline McHugh(キャロライン・マクヒュー)さんです。
人生で私たちがするべきなのは、別の誰かになろうとすることではなく、自分であること。
すでに持っているものを生かしながら、自分としてうまく生きられるようにしようと伝えます。
自分らしさを見つける
収録は2012年12月、長さは約26分。英語字幕あり。
◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
マクヒューさんはスコットランド出身。とてもあたたかい語り口です。
26分と長いトークですが、以下に私が重要だと思ったポイントを5つ紹介します。
1. 4つの「私」を知る
私たちは自分は1人だと思いがちですが、マクヒューさんは、少なくとも4つの「私」がいる、と整理します。
1.)他人が自分をどう見ているか。
これは自分ではコントロールしきれません。自分についての意見は、人の数だけ生まれます。
2.)自分が他人にどう思われたいか。
「こう見られたい」「こう評価されたい」という願望を反映した自分です。それはあながち悪いものではなく、成長や変化の原動力にもなります。ただ、この「私」が大きくなりすぎると、息苦しくなります。
3.) 自分自身が自分をどう思っているか。
これは自己評価です。調子がいい日もあれば、何をしても自信が持てない日もあります。とても揺れやすい「私」です。
4.)ずっと変わらない本質的な自分。
年齢や肩書きが変わっても、残り続ける自分のコアです。
マクヒューさんは「人生そのものがメッセージになる」という言葉を紹介し、生き方が人を語る、と言います。
「私は何者か?」を考えるとき、つい自分の外側にある説明を足して安心したくなります。でもこのトークは、外側にあるものを増やすより、内側に戻る方向へ促します。
2. 承認欲求という落とし穴
自分らしく生きることを妨げる大きな障害が、承認欲求です。
好かれたい、認められたい、「それでいいよ」と誰かに言ってもらいたい。
この欲求が強いと、他人の意見を大事にしすぎて、それを自分の意見と取り違えてしまいます。
マクヒューさんは、この傾向は女性に多い、と示唆します。
もちろん個人差はありますが、社会の中で、空気を読む役、つまりその場で気づかいをして調整をしてきた人ほど、承認欲求の落とし穴に落ちやすいです。
他人の目をゼロにすることはできません。
でも、他人の目に人生の主導権を渡さないことはできます。
3. 内面性という生き方
マクヒューさんが提案するのは、優越感でも劣等感でもない第三の道です。
それは「内面性(interiority)」という考え方。
優越感も劣等感も、誰かと比べることが前提です。相手がいないと成立しません。
でも内面性は、比較から降りたところにあります。それは勝ち負けの外へ出ることです。
彼女は、ある歌手が「大物のあとに出るのは緊張しない?」と聞かれたときの態度を例に出しています。
その歌手は、相手の素晴らしさを認めつつも、勝ち負けの土俵には乗りません。
自分の表現は自分のものとして引き受けると言います。この歌手は、比べることを超えた場所にいます。
誰かの評価を得ようとして走る人生から、自分の足で立つ人生へ軸足を移すことができると、とてもラクになります。
4. 真実の鏡が映し出すもの
トークの冒頭で語られるのが、True Mirror(真実の鏡、トゥルー・ミラー)の話です。
普通の鏡は左右が反転します。一方、トゥルー・ミラーは普通の鏡とは違う普通の鏡とは違い、左右が反転しない「非反転ミラー(non‑reversing mirror)」です。
だからふだん私たちが鏡で見慣れている自分の顔は、他人の見ている顔と違うそうです。
トゥルー・ミラーは、他人が見ている自分を、そのまま映します。
マクヒューさんが初めてトゥルー・ミラーを見たとき、長年つけてきたはずの自分の顔が、別人みたいに感じられて、かなり混乱したそうです。
ふだん私たちは、確認して安心したくて鏡を見ます。
若く見えるかな、太って見えないかな、整っているかな。
でも、トゥルー・ミラーはそうした安心をくれません。
代わりに、発見をくれます。
それは、本当の自分を知るために見る鏡です。
5. 自分らしくいられるのは人生の両端
マクヒューさんは、「自分らしさ」は人生の両端で発揮されやすい、と話します。
子どものころは、違いを隠す技術がありません。
ところがある年齢になると、社会の型を学び、周りを見て、役割を覚え、自意識が育っていきます。すると、自分らしくいることが難しくなります。
一方で、年を重ねるとまた変わります。
残り時間が有限だと気づくと、人は自分に正直になり、妥協しなくなります。周りの顔色より、自分の感覚を優先しやすくなるそうです。
つまり人生は砂時計みたいで、上と下は広いのに、真ん中がいちばん細い。
そして、仕事や人間関係で大忙しなのは、だいたい真ん中の時期です。
※ここからは、このトークを見た私の個人的な感想です。
空のように揺らがない心
このトークで私が一番印象に残ったのは、マクヒューさんが語る空のアナロジーでした。
自己賛美と自己批判という両極端の間に、静止した場所を見つける必要があるとマクヒューさんは言います。
平静や均衡のポイントで、外で何が起きても、決して影響を受けない場所です。
そして、それが空のような状態なのです。
美しい虹がかかっていても、空は自慢しません。逆に、ひどく暗くて陰鬱な天気でも、空は謝ったりしません。
空はいつもただそこにあります。
空はとても大きな存在ですが、私たち1人ひとりも空と同じくらい大きいのではないでしょうか?
シンプルに生きることは、自分自身に戻ること
このトークを見て、シンプルライフの本質について改めて考えました。
ものを減らすことだけが、シンプルライフではありません。
本当のシンプルさとは、自分自身に戻ることだと思います。
私たちは、たくさんのものや顔を持っています。
でも、そのうちのどれだけが、本当の自分が選んだものでしょうか。
他人の期待に応えるために買ったもの。世間体を気にして持っていたもの。周りの声に押されてなんとなくやっていること。
こうしたものを手放していくと、本当の自分が見えてきます。
余計なものがなくなると、揺らがない自分の軸が見つかるでしょう。
他人と比較しない。 優越感も劣等感も持たない。 ただ、自分の王国を持つこと。
シンプルライフの到達点はここではないかと思いました。
中年期を生きる私たちへ
マクヒューさんは人生の真ん中の時期は一番難しいと言っていました。
子供でも老人でもない真ん中の時期は、仕事や付き合い、子育てなど人生で一番社会的活動が多い時期です。
社会に適応し、順応し、調整しなければなりません。
職業人、家庭人、父親・母親。いろいろな役割を演じるため、本当の自分を見失いがちです。
忙しいから、自分と向き合う時間などないかもしれません。
でも、大忙しの時期だからこそ、自分らしくいることを心がけるべきだと思います。
シンプルに暮らすことはその助けになるのではないでしょうか?
私が子どもを出産したのが39歳と遅く、それ以前は社会人から学生となり、まだ自分の道を探っている状態でした。
子どもが生まれてからは育児で忙しく、自分のことを考えるようになったのは50歳を過ぎてから。
シンプルに暮らすようになって、考える余裕ができました。
いろいろ考えて到達した結論は、
他人の期待に応えるために生きるのではなく、自分の人生を生きる
これです。
そうするには、ときには勇気が必要です。
周りと違うことをする勇気。
「これでいい」と自分で決める勇気。
他人の評価を気にしない勇気。
でも、少し勇気を出せば、空のようにどんな状況でも揺らがない自分が見つかります。
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TEDトークの記事は、2月からトークのポイント(私が重要だと思った部分)+私のコメントという構成にしています。
こういうふうに書いてほしい、こんなトークを取り上げてほしいと言った感想や要望があれば、ぜひ教えてください。














































