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キャリアの向上を目指している人の参考になる動画を紹介します。
タイトルは、The Habit That Could Improve Your Career (キャリアを向上させる習慣)
経営コンサルタントの Paul Catchlove(ポール・キャッチラブ)さんの講演です。
キャリアが向上する習慣:TEDの説明
Paul Catchlove believes strongly in the power of reflection. Through every career he’s held — from priest to opera singer to senior management consultant — he’s benefitted from a habit of considering and analyzing his goals, needs and performance. Learn more about how a regular practice of reflection can improve your decision-making, career and relationships.
ポール・キャッチラブは内省するパワーをとても信じています。
司祭からオペラ歌手、上級経営コンサルタントに至るこれまでのキャリアを通して、彼は、自身のゴール、ニーズ、パフォーマンスについて考える習慣から恩恵を得てきました。
定期的に内省することが、どんなふうに意思決定、キャリア、人間関係を向上させるか学びましょう。
動画の長さは10分58秒。英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの記事の説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
キャッチラブさんは、司祭をやっていただけあって、話がうまいですね。
このプレゼンのテーマであるreflection を、「内省」や「振り返り」と訳しましたが、「熟考」という言葉を使ってもいいと思います。自分の心と向き合うところがポイントです。
大きな決断
2013年、私は、こう日記に記しました。
「もう何ヶ月もよく眠れない。いつも緊張している。カソリック教の司祭としての職務である、人々に自分の信仰をシェアし、一緒に人生を旅しながら、皆をサポートすることは大好きだ。
でも、自分の人生を誰かとシェアしたいという願いもある。
司祭は結婚できないことは知っていた。でも、これ以上続けられるかどうかわからない。
1人になることはめったにないのに、私は痛いほど孤独だ」。
この日記を書いたとき、人生でも最大で最重要の決断をしようとしていました。
司祭を辞めるべきか否か。
いつも内省してきた
私の人生はかなりユニークで珍しいものだと思います。
今、40代前半ですが、これまで、オペラ歌手、カソリックの司祭、企業弁護士という仕事を経て、現在は経営コンサルタントです。
私の経歴を知って、人々がする一番多い質問は、「一体全体、これまでの仕事にどんなつながりがあるんですか?」です。
これまで仕事をする中で、ある1つのことだけが常にありました。
それは、内省することです。
人々は内省について、こんなふうに思っているかもしれません。
暗い、自分だけの部屋で、ろうそくや懐中電灯を灯して、心の奥底にある秘密を、白日の元にひっぱりだすこと。
きょうは、内省の実践が、日常生活において、特に仕事でどんなふうに役立つかシェアします。
内省する習慣は、パフォーマンスをあげ、よりよい意思決定をし、よりよい人間関係を築き上げるのに役立つとお話ししたいのです。
内省は必要で重要なスキル
2020年、BCGとBVA(ボストンの経営コンサルティング関係の組織)が4000人を対象に行った調査があります。
質問は、「よきリーダーであるための主要な資質とスキルは何か?」
その回答で、トップファイブのスキルのうちの1つに、内省する能力があげられました。
ほかのスキルは、共感力、聞く力、思考力、チームとして発展していくことです。
内省とは、学びです。
それは、人生で起きたできごとを、ジャッジすることなく、しかし、批判的な目で見ることです。
私はリーダーシップの教授である、James Bailey(ジェームス・ベイリー)と Scheherazade Rehman (シェヘラザード・ラマン)の説明がとても気に入っています。
「内省するには、何が起こったのか、正直に見る必要があります。何ができて、何ができないのか。
振り返るためには勇気が必要です。それは思慮深く、意図的なものです」。
では実際にどうすればいいのでしょうか?
スポーツにおける内省
スポーツで考えてみましょう。
私はオーストラリアで育ちました。この国でもっとも人気のあるスポーツはクリケットです。
クリケットでは、打者、投手、野手の高いパフォーマンスが不可欠です。
しかし、チームスポーツですから、個人の動きだけでなく、チーム全体がどう動くかが重要です。
クリケットの選手は、試合中、試合後、その後、時間がたってからも振り返りをします。
試合中は逃したボールについて考えたり、次の機会にもっと上手に打ち、キャッチすることについて考えたりするでしょう。
試合のあとは、チーム全員でゲームのリプレイを見て、うまくいったこと、うまくいかなかったことを確認します。それは試合中に考えたこととは、違うこともあります。
さらに時間がたってから、勝敗のパターンに目を向け、より有意義な結論や洞察を導きだすでしょう。
同様のプロセスは、職場でも適用できます。会議のビデオを見直す必要はないでしょうが。
振り返る方法はいろいろ
振り返りは、いろいろなやり方で行うことができます。
意図のある思考、文章に書く、音声でメモを取る、メンターや正直に話してくれる友人と話す、など。
重要なのは、自分にあった方法を見つけ、定期的に行うことです。
人生で起きたことや経験を調べ、うまくいったこと、いかなかったこと、それぞれの理由を考え、次は何をどんなふうにやるべきか考えます。
内省を習慣にすれば、より意味のある洞察を得られます。というのも、1つのできごとだけからはわからないパターンが見つかるからです。
内省することは、皆を助けると信じています。どの業界の人でも、キャリアのどの段階にいる人でも。そして、人生のあらゆる段階で。
ミーティングのあとの振り返り
たいていの人が、身に覚えがあると思える事例を紹介しましょう。
多くの人たちはミーティングをします。
同僚と毎日行っているミーティングがありました。その同僚は、はじめて顧客とのミーティングを主導しました。
彼が担当しているプロジェクトの進捗状況を知らせるミーティングです。
同僚は、ミーティングは、さんざんだったと言いました。
やるべきことができなかったのです。今直面している問題や、決めなければならないことについて話し合うことができませんでした。
次のステップや、責任者にたどり着けなかったのです。
彼は、不安になり動揺しました。
顧客が自分のことやこのミーティングをどう思うか心配していました。しかし、もっとも重要なことは、顧客が、今進行中のプロジェクトについて、どう感じるかでした。
こうしたできごとを、いっさいなかったことにして、感情を押さえつけるほうが、彼にとっては、ずっと簡単だったかもしれません。
でも、それでは、大きな機会を逃してしまいます。
私たちは、起きたことを客観的に振り返り、次回、彼が何をどんなふうにするべきか決めました。
彼は、これからミーティングをするときは、まず、やるべきことを紹介することから始めるでしょう。その会議ですべきことをはっきりさせてから、話し合いに入るために。
そして、よりミーティングをしっかり導いて、議題からはずれた話題が出たとき、べつの議論が必要であることを頭に入れるでしょう。
決断を迫られたら内省すべし
内省は、パフォーマンスの向上に役立ちます。
よりよい意思決定をすることにも役立ちます。
あなたは、今の役職について5年たったとしましょう。
クリエイティブな仕事ですが、以前ほど熱意をもてません。
あなたは、同じ組織内でのべつの仕事のオファーを受けました。それは昇進であり、より上級の管理職です。
しかし、直属の12の報告の責任を取らねばなりません。
最近、競合会社から、現在の仕事と似ている仕事だけど、もっと給料のいい仕事のオファーがありました。
クリエイティブな仕事をするのと、マネージャーの仕事をすることには、大きな違いがあります。
では、あなたを本当に幸せにするものはなんでしょう? 何をすれば充実感を得られるのか?
内省は、これらの問題を考える貴重なデータを提供してくれます。
内省をした結果、今の仕事に飽きていることがわかりましたか? それとも、何か新しいことをしたいと思いますか?
マネジャーになりたいのか?
部下の成長を導きたいのか?
自分の上司より、いい仕事ができると思うのか?
このように、内省はすばらしい洞察を与えてくれます。
よさそうな仕事や、給料のいい仕事の機会があるとき、迷子になりやすいのですが、内省すれば、本当に大事なことにフォーカスし、よりよい選択をすることができます。
人間関係を築くことにも役立つ
最後の例を紹介しましょう。
職場にはさまざまな人間関係があります。
上司、顧客、クライアント、サプライヤーなどとの関係です。
誰もが、こういう人たちといい関係を築きたいと思っています。
正直に言うと、私は、ずっと努力をしてはいますが、人間関係において、いつも成功してきたわけではありません。
同僚とフィードバックをするセッションをしたあと、そのセッションについて振り返り、思ったことを書き留めました。
そして、自分が、あまりにも冷たすぎたと気づきました。
そこで、同僚のさまざまな長所について考え、その長所を伸ばすことにもっと時間を注ぐことにしました。
その人についてちゃんと考えれば、長所に気づき、それぞれが、自分の組織において、いかに貴重なメンバーなのかということに意識を向けることができます。
そして、同僚が、安心して強みを発揮できる場所を作ることができます。
このように、内省はよりよい人間関係を築く助けになりました。
内省が人生を変える
きょうお話ししたことは、きれいごとやあたりまえすぎることに聞こえるかもしれません。
しかし、多くの人が、定期的に内省することに時間を使わないのです。
私は内省に助けられたし、そのことに感謝しています。
司祭をやめたあと、自分が誰で、どんな人生であってほしいのか、熟考しました。
内省したおかげで、大事なことがわかりましたし、内省は今も私を助けてくれています。
今日という日が終わるとき、あるいは明日、仕事を始める前に、座って深呼吸をして、振り返ってください。
この習慣のパワーに気づくでしょう。
//// 抄訳ここまで ////
仕事に関するほかのプレゼン
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やりっぱなしはもったいない
4月は就職や転勤、異動の時期なので、仕事に関するプレゼンを紹介しました。
1つの仕事が終わったあと、振り返るのはとても大事ですが、忙しいとそんなことをしている余裕はなかなかないかもしれません。
キャッチラブさんは、「内省をする人は多くない」と言っていますが、たぶんそれは、すぐに次の仕事に着手する必要に迫られているからでしょう。
さらに、うまくいかなかったことを振り返るのは、心理的にきついので、「もう終わったことだ」として、すぐに次に行ってしまうことも多いと思います。
ですが、振り返る習慣をつけると、必ず次のパフォーマンスが向上します。
これは、ふだんこのブログでおすすめしている断捨離一般、1000個捨てチャレンジ、買わない挑戦、30日間チャレンジでやってみた任意のプロジェクトなどにも言えることです。
やりっぱなしにするのは、すごくもったいないことなのです。
私も、あまり仕事に関しては振り返りをしないのですが、このプレゼンを聞いて、今年はもう少し、振り返る機会をもうけようと思いました。
あなたもぜひ、振り返る時間を生活に組み込んでください。