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TEDの動画

危機を乗り越える人(レジリアントな人)の3つの秘密(TED)

つらいことや悲しいことがあったとき、立ち直る方法を知りたい。そんな人におすすめのTEDの動画を紹介します。

タイトルは、The Three Secrets of Resilient People(レジリアントな人々の3つの秘密)。

プレゼンターは、レジリアンスの専門家、Lucy Hone(ルーシー・ホーン)さんです。

resilient は、resilience (回復力、弾力性)の形容詞。日本語では、レジリエント、レジリエンスと書くことが多いようです。



レジリアントな人、TEDの説明

Dr Lucy Hone is a resilience expert who thought she found her calling supporting people to recover following the Christchurch earthquake. She had no idea that her personal journey was about to take her to a far darker place. In this powerful and courageous talk, she shares the three strategies that got her through an unimaginable tragedy—and offers a profound insight on human suffering.

ルーシー・ホーン博士は、レジリアンスの専門家で、クライスト・チャーチの地震から立ち直ろうとしている人々を助けることは、自分の天職だと思っていました。

個人的なできごとのせいで、自分がどん底まで落ちるとは、思ってもいなかったのです。

このパワフルで、勇気のある講演で、ホーン博士は、考えられないような悲劇から、自分を立ち直らせてくれた3つの戦略と、人の苦しみに関する、深い洞察をシェアします。

収録は2019年の8月。動画の長さは、16分20秒。まだ字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

トークに出てくる地震は、2011年2月、ニュージーランドのカンタベリー地方で起きたマグニチュード6.1の大きな地震のことです。





みな、苦しい体験をしている

愛する人を亡くした、心が打ちのめされた、離婚で苦しんだ、不倫をされて苦しんだ、そんな経験がある人は立ってください。

立つのがいやなら、手をあげてください。

天災にあった、いじめられた、余計者扱いされた人も立ってください。

流産した、中絶した、不妊で悩んでいる、そんな人も立ってください。

自分自身、または愛する人が、メンタルの病気、痴呆症、障害、自殺と闘っている人も立ってください。

[たくさんの人が立っている]

まわりを見てください。不幸なできごとは人を選びませんね。生きている限り、困難なできごとに直面しなくてはなりません。

レジリアンスの研究を始めた

10年前、アメリカの大学で、レジリアンスのリサーチを始めました。その課程で、アフガニスタンから戻ったアメリカ兵をサポートできたのはラッキーでした。

科学的な発見を、実生活に役立たせたいと思っていたので、充実した研究ができました。

アメリカでの勉強を終え、クライスト・チャーチに戻り、博士課程に進んですぐ、地震が起きました。

リサーチを中断し、自分のコミュニティで、地震のあと、苦しんでいる人を助けていました。あらゆる組織や団体の人々に、レジリアンスについて知っていることを教えていたのです。

それは自分の天職で、リサーチで得たことを活かしていると思っていました。

ですが、私は間違っていました。本当の試練は2014年のクイーンズバースデーの週末の連休に訪れたのです。

突然襲った不幸なできごと

私たちは、ほかの2つの家族と、オハウ湖に行き、そこから海までサイクリングすることにしました。

私の12歳の娘、アビーは、親友のエラと一緒に、エラの母親であり、私自身の友だちでもあるサリーが運転する車に乗りました。

湖に向かう途中、サリーの車は、停車の標識を無視したトラックと衝突し、3人とも即死しました。

一瞬のうちに世界が変わりました。レジリアンスのエキスパートだった私は、突然、悲嘆にくれる母親になったのです。

私の世界はこなごなに砕けました。

アビーが亡くなったあと、家族がバラバラになるかもしれないと言われました。離婚やこころの病気になる危険性が高いと。

もう十分ひどい目にあったのに。

もらったパンフレットには、悲しみの5段階が書かれていました。

怒り、取引、否認、抑うつ、受容です。

被害者をサポートする専門家が家にやってきて、今後5年間は、悲しみのために何もできないだろうと言いました。

パンフレットや、サポートの言葉は善意から来たものだとわかっていましたが、どんなにアドバイスされても、私たちは、無力な被害者のままでした。

これからどれほど悪い状態になるかなんて、言われる必要はありません。もう十分最悪な気持ちだったのですから。

学んだことを試してみることにした

私がもっとも求めていたものは希望です。

苦しみや悲しみの日々をなんとか生きるための希望。

そして私は、もっと主体的悲しむプロセスを歩みたいと思いました。

だから、人のアドバイスには背を向けて、自分で実験しました。これまでさんざんリサーチをしてきたのだから、どうすべきはわかっていました。

自分が学んできた方法が、この大きな悲しみを乗り越えるのに役立つのか知りたいと思いました。

このときは、半信半疑でした。

子どもと死別した親の苦しみは、もっともいやしがたいと、言われています。

しかし、それから5年たった今、自分が学んだ方法の中に、悲しみから立ち直る助けになるものがあったと言えます。

さまざまな方法(ツール)がリサーチによってわかっていますが、きょうは3つだけ紹介します。

暗闇の中を進むため、私が頼っていたやり方です。

どれも、誰でもできる方法です。誰でも、きょう、ここで学べます。

1.人生に困難はつきもの

レジリアントな人々は、困難なできごとは、起きるときには起きる、とわかっています。

それを歓迎しているわけではありません。ただ、変な幻想は持たないのです。

つらいことがあっても、それは、人間の存在の一部なんだと理解しています。

これを知っていると、悲しいことがあっても、「自分だけがこんな目にあう」とは思わなくなります。

実際、私も、「なぜ、私が?」とは思いませんでした。

そうではなく、「なぜ、私ではないのか?」と考えていました。

大変なできごとは、誰にでも起きます。それが人生なのです。

本当の悲劇は、現代人の多くがこのことを忘れていることです。

インスタグラムには、幸せそうな写真が並び、誰もが完璧な人生を生きているかのように感じる時代ですが、このスピーチの最初で見ていただいたとおり、現実はその反対です。

2.意識を向ける先を選ぶ

レジリアントな人々は、どこに意識を向けるか、注意深く選んでいます。

現実的なものの見方をし、自分が変えることのできることにフォーカスし、変えられないことは受け入れます。

これはレジリアントになるために、きわめて重要なスキルです。

私たちは、脅威をもたらすものや弱いところに目がいきます。

元来ネガティブで、ネガティブなできごとに気づくのが得意なのです。

人間には、ネガティブな感情が、ベルクロのようにくっついており、前向きな感情や体験は、弾き飛ばされます。

もともとネガティブなのは、進化に役立ってきました。

自分が原始時代の洞窟に住む女性だったとします。

朝、洞窟から出たとき、片方からトラがやってきて、もう片方には、美しい虹があったとき、トラに気づくほうが、サバイバルできます。

ただ、今は、1日中、さまざまな脅威に襲われていて、その1つひとつがトラのように感じられます。

脅威にばかりフォーカスしているため、いつもストレスを感じてしまうのです。

レジリアントな人は、ネガティブなことを小さくするわけではありません。しかし、そこからよいことを見つけることができるのです。

よいことに目を向けた

信じられない気持ちに打ち負かされそうになったとき、私は、

「だめ、あなたはこれに飲み込まれたりはしない。生き延びなければ。まだ生きる望みはこんなにたくさんある。生を選ぶのよ。死ではなく。失ったもののために、今持っているものを失ってはだめよ」

と考えました。

こう考えることを、心理学では、有益性の発見(benefit finding 意味のあること、よいことを見つけること)と言います。

勇気を出して、新しい世界で、私は、感謝できることを探すようにしました。

少なくとも、娘は長い病気を患って死んだわけではなかった。突然、死んだのだから、長期の看病による痛みはなかった。

家族や友だちから、ずいぶんサポートしてもらえた。

何より、まだ息子が2人いて、彼らに与えることができたはずのふつうの人生を、今こそ、生きるべきじゃないか。

こんなふうに考えました。

意識を向ける先を変えることは、強力な方法だと、科学的にも証明されています。

2005年、マーティン・セリグマンのチームが、人々に、毎日、その日起きたよかった出来事を3つ考えてもらう、という実験をしました。

これを6ヶ月続けたところ、人々は、より感謝するようになり、幸せになり、抑うつ傾向が減りました。

悲しみに沈んでいるとき、感謝を促すリマインダーや、感謝の気持ちをもってもいい、という許可を自分に与えることが必要かもしれません。

我が家の台所には、よいことを受け入れられるように、明るいネオンピンクのポスターを貼っています。

アメリカの軍隊では、「よいことをハントする(hunting)」よう話しています。

自分にしっくり来る言葉を使って、よいできごとに目を向ける努力をしてください。

3.これは自分を助けるか、それとも、傷つけるか?

レジリアントな人々は、いま自分がやっていることは、自分の助けになるか、それとも自分を傷つけるか、問いかけています。

この質問は、さまざまなセラピーで使われており、とても効果的です。

娘を亡くしたとき、いつもこの質問を自分にしていました。何度も何度も。

裁判に行き、運転手を見るべきか? それは自分を助けるか、それとも傷つけるか?

私は、裁判には行きませんでした。でも、夫は、後日、運転手に会うことにしました。

時々、夜遅く、娘の古い写真を見ながら、どんどん悲しくなりました。

そんなとき、「何してるの? こうするのは、自分を助けている、それとも傷つけている? 写真をしまってもう寝なさい。自分にやさしくしなさい」、こう考えました。

この質問は、いろいろな場面で使えます。

昇進するために、試験に受かるために、心臓発作から回復するために、いま自分がやっていることは、自分を助けるのか?

これまで、レジリアントに関してたくさん書いてきましたが、この方法は、もっとも評判がいいです。

家族が昔犯した罪や、クリスマスで言い争いになったことを許すこと、ソーシャルメディアをだらだら見ること、
もう一杯、ワインを飲むこと。

それが、自分を助けるのか、傷つけるのか考え、主体的な行動をすれば、自分の意思決定をコントロールできます。

誰でもレジリアントになれる

以上3つの方法は本当にシンプルです。

レジリアンスは、そうなろうと決めれば、誰でも持てる力です。

誰もが、人生で、想像もしていなかったタイミングで、大きな悲しみや困難に見舞われます。

私にも起きました。

もし、「もう立ち直れない」と思ったら、きょうお話しした3つの方法を思い出してください。

このように考えることは、決して簡単ではありませんし、痛みをすべて取り去ってくれるわけでもありません。

けれども、こう考えることは本当に助けになるのです。悲しみながらも、生きることができると、私は、自分の体験からわかりました。

そうできることに、私はずっと感謝し続けるでしょう。

//// 抄訳ここまで ////

補足

■悲しみの5段階

ドイツの精神科医、エリザベス・キューブラー=ロスが打ち立てた、突然の不幸に見舞われた人がたどる感情のプロセス。

キューブラー=ロスが、大勢の、末期がんで余命を宣告された患者やその家族と面会して明らかにしたものなので、「科学的な根拠があまりない」という評価もあります。。

怒り:他人や運命に対して怒る。「なぜ、私ばかりがこんな目にあうのか?」

取引:あやしげな療法や、神仏、スピリチュアルな何かにすがる

否認:起きたことを受け入れない、拒絶する。前に進むために必要な行動(前向きな治療など)をしない

抑うつ:絶望する、うつうつとする

受容:悲しいが、現実を受け入れる

エリザベス・キューブラー=ロスの著書

Martin Seligman マーティン・セリグマン アメリカの心理学者。ポジティブ心理学者の第一人者。

詳しくはこちら⇒ポジティブ思考は学習できる。前向きになる4つのポイント教えます。

回復するのに役立つほかのプレゼン

立ち直る力(レジリアンス)を養う方法(TED)

4分でものの見方を変えられるか?(TED)

幸せを感じる脳をつくる4つのステップ(TED)

強い心を持つ3つの方法。考え方の悪習慣を手放せばメンタルを強くできる(TED)

人はネガティブ思考を引きずるようにできている話と、そこから抜け出す方法(TED)

人は何度でも再出発できる。はみ出し者であることの美しさ(TED)

いやな気分よ、さようなら(認知行動療法入門):TED

自分は映画の主人公だと思う

いま、COVID-19のせいで、突然、解雇されたり、家族が病気になったりして、悲嘆にくれている人が多いと思います。

そういうときに、レジリアンスは役立ちます。

カナダではこの3月に101万以上の仕事が失われ、失業率が7.8%になりました(それまでは、ずっと5%台)。

仕事はあるけど、収入が半分になった人や、ずっと家にいて、全然仕事はしてないけど、一応まだ雇用されている、という人もいるから、実際はもっと悪い状況です。

3月下旬から失業保険の給付が始まり、先週は、勤め人でなくても、収入がなくなった人に、1週間500ドルを給付する援助が始まりました。

企業に対して、従業員の給料の75%を政府が払う法案も、きのう、1日で決まりました。

ですが、このようにお金を援助されても、仕事をなくした人は、前と同じ気持ちではいられないと思います。

大きな喪失感を感じているでしょう。

人間は、数年前に、自分で2万円ぐらいで買った、全然着ていない服を捨てることすら、すぐにできません。

「お金がもったいなくて捨てられません」、と多くの人は言います。

自分の都合で、着ていないだけの服をなくすのがこんなにいやなら、降ってわいたようなウイルスのせいで、仕事をなくすのは、どれほどつらいでしょうか?

しかし、どんなにつらいと思っても、現実は変わりません。

しばらくは悲しみをいやす時間が必要ですが、早晩、レジリアントになるしか道はありません。

いったん、レジリアントな考え方ができるようになると、今後つらいことがあっても、立ち直りが早いです。

誰でもレジリアントになれるので、ショックなできごとがあったら、今回のプレゼンに出てきた方法を試してください。

すなわち、

1.人生に困難はつきものだと受け入れる

2.よいできごとに意識を向ける

3.意識して、自分を助ける行動をする、自分のためにならないことはしない

どれも、別の記事でも書いていることで、ふだんの日常でも、これが自然にできると、ストレスが減ります。

1番に関しては、自分を映画の主人公だと思うと、やりやすいです。

自分は自分の人生という映画の、監督で脚本家、そして主演をしている役者なのです。

最初から最後までハッピーな映画なんて、主人公の成長はないし、何の学びもなければ感動もなく、ちっともおもしろくありません。

成長するために試練は必要です。

日常の中に、ちょっとしたいいことや楽しみを見つけながら、悲しみとともに、生きる道があることを忘れないでください。





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