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TEDの動画

1日1秒間、毎日記録する:シーザー・クリヤマ(TED)

日々を豊かにするごくシンプルなアイデアを教えてくれるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、One Second Every Day(毎日1秒間)、邦題は「1日1秒」。プレゼンターは、映像作家であり起業家のCeser Kuriyama(シーザー・クリヤマ)さんです。

クリヤマさんは、1日のうち1秒間だけ動画で記録するプロジェクトを何年も続けています。

なぜ、彼はこんなことを始めたのでしょうか?



1日1秒、TEDの説明

There are so many tiny, beautiful, funny, tragic moments in your life — how are you going to remember them all? Director Cesar Kuriyama shoots one second of video every day as part of an ongoing project to collect all the special bits of his life.

人生には小さな、美しい、おもしろい、悲しい瞬間がたくさんあります。どうしたら、こういうこと全部を覚えていられるでしょうか?

映像作家のシーザー・クリヤマは、毎日1秒間分、ビデオを残しています。人生の特別な瞬間をすべて集めるプロジェクトです。

収録は2012年の3月、動画の長さは7分56秒。日本語字幕があります。

動画のあとに抄訳を書きますが、クリヤマさんの記録した映像が背景に流れているので、できれば動画を見てください。

☆トランスクリプトはこちら⇒Cesar Kuriyama: One second every day | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

忙しい仕事に消耗していた

私はニューヨークに住んでいるアーチストです。卒業以来ずっと広告業界で働いています。

もう7、8年になるでしょうか。

すっかり仕事に疲れていた時期があります。夜遅くや、週末も働いていて、自分のやりたいプロジェクトにさく時間がありませんでした。

ある日、仕事中に、ステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)のTEDトークを見ました。

The power of time off(休暇のちから、邦題:長期充電休暇のちから)です。

ステファンは、7年ごとに1年、仕事を休んでいます。その1年のあいだに、彼は、自分のやりたいプロジェクトをやっていたのです。

「自分もやろう、1年休暇をとろう。

旅行したり、家族と過ごしたり、自分自身のクリエイティブワークをするために時間が必要だ」

こう思ったのです。





毎日1秒間記録するプロジェクトを始めた

最初にやったプロジェクトは、「One Second Every Day(1日1秒)」です。

毎日、自分の生活の1秒を記録します。これを生涯やります。1日1秒の記録を年代順に並べて、1本のビデオにします。

自分が録画できなくなるまで続けます。

このプロジェクトの目的は1つで、過去にやったことを忘れないためです。

過去、自分でやったことなのに、すっかり忘れていて、人に言われて思い出すことがあります。そういうのってとても残念だと思うのです。

記録を始めてすぐに、何かおもしろいことをやらないと、ビデオに録ることを忘れてしまう、と気づきました。

はじめて記録するのを忘れてしまった日は、とてもショックでした。30歳になったときから、ずっと生涯続けたいと本気で思っていましたから。

これからは絶対忘れないぞ、と誓いました。

記録を始めたら毎日が楽しくなった

もし自分が80歳まで生きるとしたら、50年の人生を集約した、5時間のビデオになるはずです。

40歳のとき、30代の生活を記録した全ビデオの1/3ができているでしょう。

こう考えると、毎日が楽しくなって、朝起きると、「何かおもしろいことをやろう」と考えるようになりました。

1日、1週間、1ヶ月と、時間がたつにつれ、できごとがだんだんおぼろげになっていきますが、私は、これがいやなんです。映像に残しておくと、思い出す引き金になります。

このプロジェクトをすると、過去にやったことに、自分を引き戻してくれるんですね。

たった1秒の記録でも、すべてを思い出すことができます。

たった1秒でも、大事なことを思い出せる

どの1秒にするか、選ぶのが大変なときもあります。

楽し日は、3秒も4秒も撮りたい瞬間がありますが、1つにしぼります。たった1秒に絞っても、その映像が、捨てた3秒を思い出すきっかけになります。

それから、このプロジェクトは、現代文化への、個人的な抗議でもあります。みんな、携帯電話で、コンサートを最初から最後まで録画しているでしょう?

これ、本当に、不愉快です。

録画している人たちってコンサートを楽しんでいないんですよね。

電話を通してコンサートを見ています。こういうのって嫌いなんです。

まあ、私も以前はそんなことをすることもありました。ですが、こう決めました。自分にとってベストの方法は、映像ダイアリーを録ること、それも1秒だけです。

それだけで、「ああ、あのコンサート、最高だった。すごく楽しかった」と思い出せるのです。

最悪の1日でも記録する

この夏、3ヶ月間、車で旅をしました。ずっと夢見てきたことをやったのです。目的地を決めず、アメリカとカナダを気ままにドライブしました。素晴らしかったです。

ただ、お金を使いすぎてしまったので、途中でシアトルにいき、友達のところでちょっとしたプロジェクトをしました。

家族ともっと過ごしたいと思ったのも、1年間、休んだ理由の1つです。理姉が腸閉塞になって、救急に運ばれ、危険な状態になったことがありました。

数回、死にそうになり、兄と一緒にずっと病院にいました。

このとき、不幸なことがあった日に、1秒を記録するのは、とても大変だと気づきました。

カメラを取り出すのは、ふつうは楽しいときですから。

不幸の真っ最中に、撮影する人なんてめったにいません。ただ、私は、こういう大変な1日も1秒間、記録することが重要だと思いました。

そうすれば、幸せな時期に感謝できますから。

毎日、ハッピーというわけにはいきません、だから、調子の悪い日だって覚えておくべきだと思うのです。

見たままを記録するようにしている

私のポリシーとして、フィルターは使わないことにしています。見たままを記録するようにしています。自分の視点(1人称の視点)で録ります。

初期のころは、自分を撮影したこともありますが、今はやめました。自分が見たものを録画するほうが、その日を思い出すのにふさわしい、と思うからです。

ほかの人の1秒も見られたらおもしろい

今考えているのは、大勢の人がこのプロジェクトに参加してくれたらおもしろいかもしれない、ということです。

先週31歳になりましたが、そのとき、ほかの人の1日1秒の記録を見るのもおもしろいんじゃないかな、と思ったのです。

人によって、いろいろな解釈をすると思うし、誰でも、1日1秒を記録すると、その人のためになるんじゃないでしょうか。

私は、忘れてしまうことがいやなんですが、このプロジェクトなら簡単にできます。

いま、みんな質のいいカメラをポケットの中にもってますからね。

人生の1日たりとも忘れたくない、という気持ちからこのプロジェクトを始めましたが、すごくおもしろいと感じています。

たとえば、2018年の6月18日とタイプしたら、世界中の人のその日の1秒間が、次々と見られるとおもしろいだろうな、と思っています。

このプロジェクトは、いろいろな可能性を秘めています。

みなさんも、毎日ほんの少しだけ生活を録画してみてください。そうすれば、決してその日を忘れません。

//// 抄訳ここまで ////

他のプロジェクトを紹介しているTED

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人の一生は1秒、1秒の積み重ね

先日、思い出の品を捨てるのに苦労しているというメールを紹介しました⇒老前整理しようとしていた矢先に遺品整理をすることに。物が多すぎて困っています

この人の家にはすごくたくさん物があり、客観的に考えると、思い出の品だろうと、何だろうと、どんどん捨てたほうが生活の質があがります。

ご本人もそうわかっているけれど、愛着があって捨てられないのです。

以前、目の病気になったときピアノになぐさめられたらから、ピアノは捨てたくない。

見れば、子供のころの楽しい思い出がよみがえるから絵本は捨てたくない。

いまは、使わないけど、年をとったとき、洋裁や人形作りを楽しみたいから、材料を捨てたくない。

こんな調子です。

でもね、一番大事なのは、いまの生活じゃないでしょうか?

私たちは、自分も周囲の人も、ずっといまのままと同じ感じで、年をとっていく、と思っていますが、そんな保証はどこにもありません。

今晩、自分や大切な人が死んでしまう可能性だってあるのです。

いま、楽しいことをしたほうがいいです。

きょう紹介した、1日1秒を記録するプロジェクトにしたって、クリヤマさんは、動画を毎日撮っているそのプロセスが楽しいから、続けているのだと思います。

「年をとったとき、全部つなげて見るとおもしろいよね」と思っている、いまが楽しいのだし、

「きょうはどんなおもしろいことしようかな」と、毎朝、わくわくするのが楽しいのです。

結局、人生は、一瞬、一瞬が積み重なってできたもの。その一瞬を大事にすることが、楽しい人生をすごすコツではないでしょうか?

「昔のことを忘れたくないから」と思い出の品に執着しすぎたり、「いい思い出を作りたいから」とコンサートの間中、カメラで録画しているのは、いまを大事にしていません。

1日1秒のプロジェクトが楽しいのは、今日という日を大事にできるプロジェクトだからなのです。

******

その日、記録したいことが、3つも4つもあっても、1つだけにしぼる、1つにしぼっても、その1秒間を見れば、ほかのことも思い出せる。

こうクリヤマさんは語っています。

先日も書きましたが⇒趣味で作った作品を捨てられないときすべきこと

100のうち、99個捨てれば、残った1つに、その99個分の情報やエネルギーが集約されます。

捨てれば捨てるほど、残ったものの濃度があがります。本当に大事な物が残るのです。





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