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自分が自分の親友になれば、もっと人生がうまくいくと伝えるTEDトークを紹介。自己嫌悪が強い人や、無駄に自分に厳しい人におすすめのプレゼンです。
タイトルは、The Art of Being Your Own Best Friend (あなた自身の親友になる技術)
心理学者の、Carissa Karner(カリッサ・カーナー)さんの講演です。
自分の親友になる:TEDの説明
Imagine how your life would change if you consistently acted like your own best friend. Many illustrate the importance of self-love, but very few provide instruction on how to achieve it. In this engaging talk, psychotherapist Carissa Karner reveals how she learned to concretize a nebulous idea of self-love into the tangible actions of befriending yourself.
いつも、自分自身の親友としてふるまうと、どんなふうに人生が変わるか想像してください。
多くの人がセルフラブ(自分を愛すること)の重要性を説いていますが、どうやってそうするのか、そのやり方を教えてくれる人はあまりいません。
この魅力的なスピーチで、心理学者のカリッサ・カーナーが、どうやって、セルフラブという漠然とした考えを、自分の親友になるという具体的な行動に落とし込んだか、伝えます。
収録は2019年2月15日、動画の長さは13分32秒。自動生成される英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
とても、聞き取りやすい英語です。
自分で自分の親友になる
最後に自分を批判したときのことを思い出してください。それは、1週間前、きのう、ほんの数分前のことかもしれません。
批判のもとになったできごとを振り返ってください。
目をつぶって、ありありと。それから、片手を胸に当てて、自分が自分の親友だと考え、親友として、自分の声を聞き、信頼し、許しましょう。
目を開けてください。
ここから人生をスタートしたら、どうなるでしょう?
鏡を見て服を決めるとき、デザートのおかわりをするとき、大失敗したときに。
これは、私がつらいとき、やっていることです。
心理療法士として、たくさんの患者に教えてもいます。
個人的にも、職業上も、自分の親友になることは、心の健康のために、一番大事なことだと思います。
自分の友達になることは、目新しいコンセプトではありません。
多くの人が、セルフラブの大切さや、セルフコンパッション(自分に思いやりをもつこと)の重要性を語ってきました。
この考え方に出会ったきっかけ
私が、この考え方を知ったのは数年前のことです。
いろいろなことがうまくいっていない時期でした。離婚したばかりで、うつうつとして、不安でした。
自分の居場所を見つけるのに苦労していました。
そんな自分に、私は、とてもきびしくしていました。
そんな時、セラピストで、仏教の教師でもあるタラ・ブラックのラディカル・アクセプタンス(Radical acceptance)という本を手に取りました。
最初のほうに、著者がどうやって、自分の親友になるという考えに行き当たったか書かれていました。
この言葉を読み、ハッとしました。
当時、私は、セルフラブとは、チョコレートチップクッキーを食べて、泡風呂に入ることだと思っていましたから。
自分との関係をどう考えるか、わかっていませんでした。
本を読み、自分自身の親友になるとはどういうことなのか、理解する旅に出ました。
自分の親友になることを人に教えた
その過程で、何百人もの患者と仕事をし、彼らが、自分自身の親友になる手助けをしました。
自分の親友になった患者たちの、不安な気持ちが静まり、うつが軽減し、トラウマの症状が癒やされ、摂食障害もよくなることを目撃しました。
どんなヒーリングワーク(感情を癒やすワーク)をするにしても、どんな手法やテクニックを使うにしても、自分自身と仲良くなることから始めるのが一番効果的です。
それは、すべての基本です。
そうするのは簡単ではないと、私は身をもってわかっています。
心の中の自分を批判する声
TEDトークのオファーを受けたとき、とても嬉しかったのですが、すぐに、私の中にいる、意地悪な女の子が飛び出してきて、失敗するあらゆる理由を教えてくれました。
あなたは、講演するほど賢くないわよ。やめたほうがいいわよ。着るものだってないじゃない。
こんなふうに言いました。最後は古典的な決り文句です。
あなた、自分を誰だと思っているの?
こういうこと、皆さんにもありませんか?
私の意地悪な女の子は、14歳ぐらいだと気づいたかもしれませんね。すごく意地悪ですが、この子は、賢いんです。私がばかに見えたり、笑われたりしないように、必死でがんばっています。
意外にも、彼女は私を助けようとしているのです。
助けようとして批判している
私の中の、一番重要な部分が、私が、サバイバルできるように、ベストを尽くしています。それは、皆さんも同じです。
自分を批判している部分が、私たちの敵ではないと理解することが重要です。
それは、あなたが、安全に、サバイバルできるように作られたあなたの一部分です。
子供のころ、私たちは、この世界がどんなものなのか、少しずつ理解していきました。まるでパソコンのOSのプログラムを作るように。
トラウマや混乱、つらいことが起きると、それは、泣いていても誰もあやしてくれないという単純なことから、虐待のような破壊的なことまでありますが、そういうことが起きると、つながりや安全をもたらすために、幼い脳と神経系が、どんなふうに世界が機能するのか、理解して、信念を作り出します。
このような信念は、大人になってもアップデートされないことがよくあります。
むしろ、自分自身の予測によって強化されます。
信念をもっている部分が、危険はなくなったことに気づいていません。批判は、かつては、自分の助けになっていたのですが、今は、あなたが進みたい人生に向かうのを邪魔しています。
パソコンの例にたとえれば、古いOSで、機能しているようなものです。
ハードドライブを、アップデートしなければなりません。
古いファイルを削除して、まっさらな状態からやり直したいと思うかもしれませんが、そのファイルはあなたの一部分なので、削除はできません。
システムを再起動するのに、もっとも効果的なのは、自分自身と友達になることです。
自分のすべてと仲良くする
友達になるとは、あなたのすべてと仲良くすることです。
好きなところ、嫌いなところ、傷ついた部分、守ろうとしている部分、批判する部分、すべてです。
自分の友達になると、とても重大なことが起き始めます。
傷ついた部分は、安全だと感じ始め、守ろうとしている部分は、そんなにがんばらなくてもいいと気づき、批判は、おさまっていくでしょう。
あなたのシステムは、より効果的に機能し始めます。
自分の親友になるために、私や私のクライアントがやっている方法をお伝えします。
よい友だちがどんなことをするか、考えてください。その行動を自分自身に対して行えばいいのです。
自分の声を聞く
それは、聞くことから始まります。私たちは、聞きながら、お互いのことを知ります。
誰かに聞いてもらえば、私たちは、自分のことを感じて、見て、理解してもらっていると思います。
「自分のことをわかってもらえた」と思うと、脳と神経系が落ち着きます。
TEDトークをすることになって、とてもナーバスになっていると、私は、電話で親友に言いました。
彼女はまさしく、よい友人のように振る舞いました。
静かに聞いて、タイミングのいいところで相槌を打ちました。
私が、「もし、こんなことが起きたら、どうしよう」とぐちぐち言うのをじっと聞いてくれました。
彼女は私を正そうとはせず、否定もせず、私を包み込んで、私がどんな気持ちでいても、大丈夫なのだと感じさせてくれました。
ただ聞くだけで、彼女は、私の気持ちを落ち着かせてくれたのです。
自分自身を聞くには、親身になって、自分の話を聞く空間を作らなければなりません。
私の友人がしてくれたように、ペースを落とし、静かにします。
そして、今、自分が何を感じているのか、どんな感情がわきあがっているのか、自分自身に問いかけます。
その感情に名前をつけましょう。そして、その感情のためのスペースを作ります。
聞いて、自分自身を落ち着かせ、理解することを助けてください。
信頼する
よい友人の2つ目の要素は、信頼することです。
信頼がなければ、心を開くことができません。
信頼していれば、相手が、自分の後ろにいてくれることがわかります。
自分自身を信頼することは、難しいことです。
ちまたには、「あなたは、自分にとって、何がいいのかわかっていない」というメッセージがあふれています。
食事の仕方が間違っているというはやりのダイエット法、あなたの体つきが間違っているという広告、あなたの人生はおかしいというソーシャルメディアなど。
私たちは、他人に答えを教えてもらわねばならない、と感じてしまいます。
無数の情報源からしつこく、「自分の外に答えを見つけなさい」と言われていますが、自分以上に、自分に関するエキスパートはいません。
両親が望んだ職業について、人生の大半を過ごした患者がいました。
自分の友達になってはじめて、彼女は、その仕事のせいで、いかに自分が不幸だったか気づきました。そして、自分の本当の望みやニーズを理解するために、自分を信頼せねばなりませんでした。
自分を信頼するとは、すべての衝動に盲目的に従うことではありません。自分自身の知恵に耳を傾け、その知恵に基づいて行動することを、自分に許す能力を養うことです。
自分を許す
よい友人になるための3つ目の要素は、おそらく一番重要なことですが、許すことです。
間違えてもいいんだ、自分は人間で、不注意なことをすることもある、それでも、友達は、自分を愛してくれる。これを知ることほど素晴らしいことはありません。
ある患者と仕事をしていたとき、許すことの大切さを実感しました。
彼女は摂食障害に悩んでいました。
彼女の中の声は、「自分は価値のない人間」だと言っていたのです。
そのせいで、彼女は食べることをやめ、調節障害に陥りました。
彼女は心の中の声を黙らせることができませんでした。
しかし、彼女は、その声を、自分の一部だと認め、その存在を許しながら、自分を許していきました。
心の声が自分を責めたことを許したのです。
時間はかかりましたが、この患者は、食事ができず、学校にも行けず、仕事もできなかった状態から、フルタイムの学生になり、他の人を助けるプログラムを作るようになるまで回復しました。
許すことは、答えがわからない自分や不完全な自分を許すこと。失敗したときも、思いやりをもつことです。
よい友人は正直である
自分の親友になることは、自分が気分よくいられるために、現実をオブラートに包むことではありません。
よい友人は、正直です。あらゆる欲求を、満たそうとはしません。
自分にやさしくするって、1日中、ベッドの中にいて、チョコレートやアイスクリープを食べて、何もしなければいいのね、と考える人がたくさんいます。
でも、親友があなたにそうしろと言うでしょうか? まあ、失恋したときは言うかもしれませんね。
でも、誰も、友達に、そんなことを、毎日、やっていてほしいとは思いませんよね。
セルフコンパッションに関するリサーチによると、自分に対して思いやりをもち、支えてあげると、批判に対する恐怖が薄れ、より多くのことができるようになります。
よりよい人間関係を築き、より創造的になり、より人生を楽しめるのです。
聞いて、信じて、許す
自分の親友になるとは、1日中ベッドの中で、アイスクリームやチョコレートを食べているのに気づいたら、そんな自分の声を、友達として聞いてあげることです。
今、何を感じているのか、自分に聞いてください。
悲しいのか、怒っているのか、がっかりしているのか? そして、今何が必要なのか、自問しましょう。
それは、もう少し、ベッドの中にいることかもしれないし、起き上がって散歩に行くことを助けることかもしれません。
それがなんであれ、自分の専門家は自分であることを信じ、1日中ベッドでアイスクリームやチョコレートを食べていた自分を許してください。
聞いて、信じて、許す。
これが、この講演でもっとも私が言いたいことです。
自分自身の親友になることは、とても簡単なのです。
単語の意味など
catty 意地の悪い
kicker 意外な問題点、欠点、どんでん返し
yammer 不平がましく言う
let off the hook 約束していたことをやらなくていいようにする、苦境から逃れる
Tara Brachの本
セルフラブに関するほかのプレゼン
もっと自分を好きになろう。ラディカル・セルフ・ラブのすすめ(TED)。
本当の自分に出会う:セルフエスティームをあげるマニュアル(TED)
セルフコンパッション(自分にやさしくする)の実践で人生を変える(TED)
もう完璧を追い求めるのはやめよう:イスクラ・ローレンス(TED)
ネガティブなセルフトークを変えて、前向きに行動しよう(TED)
ほかにもたくさんあります。
自分への批判に振り回されるのはやめる
何かをやろうとしても、自信や勇気がなくてやれないことがよくあります。必要以上に心配して、悩むこともあります。
それは、自分の中にある自分の一部分が、「あなたにはできっこないのよ。失敗したら笑われるわよ。やめときなさい」とか、「そんなことするとあぶないわよ。絶対やっちゃだめ。失敗するに決まってる」と強く止めるからです。
失敗して傷ついて、立ち直ることができなくなる……こんな事態を避けたいから、自分で自分を止めます。
この、自分を強烈に後ろに引っ張る部分を、仮にR子さんと呼びましょう。
(Rは老婆心のRです)
R子さんは、子供のときから、ずっと自分を守ってきました。
しかし、大人になった自分を守ろうとすることは、かえって自分のためになりません。
着ない服を捨てるという、ごく簡単なことをしようとするときですら、R子さんは出てきます。
そして、捨てない理由をたくさん教えてくれます。
R子さんの声を聞いていると、新しいチャレンジができないので、いつまでも、現状にとどまることになります。
だから、R子さんには、あまり出てきてほしくないのですが、それは自分の一部分なので、必ず出てきます。
そんなとき、もう1人、S子さんという親友に助けてもらいましょう。
S子さんに自分の本当の気持ちを言うことで、取るべき道が見えてきます。
R子さんは、いろいろ言うかもしれませんが、その声をまるごと信じてはいけません。
自分の中には、いろいろな部分があります。何かに悩んだときは、自分と向き合うことがベストです。
答えは自分の中にあります。
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先日、「私は太っていてかわいくない」という読者のお便りを紹介しました⇒服の買いすぎをやめて足の踏み場がない汚部屋から脱出したい。
この方のように、外見に対して自己嫌悪を感じることが多い人は、ぜひ、自分の親友になることを試してください。
この場合、自分を強く嫌っているのは自分だけなので、嫌うのをやめれば、外見は変わらなくても、もっと楽になります。