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悪い習慣を手放す方法を教えてくれるTED-EDの動画を紹介します。
タイトルは、Why is it so hard to break a bad habit? (悪習慣を断つのはなぜこんなに難しいのか?)
TED-EDの動画は、5分のアニメーションなので、長い動画が苦手な人におすすめです。
悪習慣を断つ:TEDの説明
Many people deal with a nail-biting habit at some point in their lives. Some will go to great lengths to try to stop, employing strategies like dipping their hands in salt or wearing gloves. And while not all of us are nail-biters, most of us do have a habit we’d like to kick. So, what’s the best way to break one? Explore how habits are formed, and discover tips on how to manage these behaviors.
多くの人が、人生の一時期に爪をかむクセに悩みます。中には、やめるのにずいぶん時間がかかる人もいます。爪に塩をつけたり、手袋をはめたりして。
全員が爪をかむわけではありませんが、たいていの人が、やめたい習慣をもっています。やめるベストの方法は何でしょうか? どのようにして習慣が生まれるのか、どうやって悪習慣に対応するべきか学びましょう。
2023年の8月31日にアップされた動画です。長さは5分。英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
この動画は投稿されたばかりなので、この記事を書いている今(9月のはじめ)には、日本語字幕がありませんが、そのうち日本語字幕がつくと思います。
誰にでもあるやめたい習慣
たくさんの人が、爪をかむクセに悩んだことがあります。
多くの人は、やめるまでに長々と苦労します。キューティクルに唐辛子をすりこんだり、1日中手袋をしたり、爪に塩をつけたり、爪の上をはっているバクテリアの様子を思い浮かべたりして。
全員が爪をかむわけではありませんが、たいていの人にやめたい習慣がありますよね。
やめるベストの方法は何でしょうか?
習慣とは?
科学者たちは、行動の習慣を、特定の環境をきっかけにして無意識に定期的に行われる行動と定義しています。
たとえば、場所、時間帯、感情の状態がきっかけとなります。
習慣には、ストレスを感じると髪の毛を引っ張るいったシンプルなものもあれば、夜更かしや、朝、コーヒーを淹れるなど日常生活の中にすっかり定着した複雑なものもあります。
たいして考えることなしに、何かを頻繁に行っているなら、それはたいてい習慣です。
習慣はこんなふうにして生まれる
いったん脳が、その行動が自分にとってためになると学ぶと習慣が形成されます。
たとえば、ストレスを感じさせるメールを開けるたびに、爪をかむとしましょう。
これは、自分にとっては、ごほうびなのです。意識を他のものに向けさせて、メールによってもたらされる不安をやわらげることができるからです。
ポジティブなできごとがあると、脳内でドーパミンが放出されます。ドーパミンは快の感情を伝える神経伝達物質です。
ドーパミンは、神経可塑性のドライバーでもあります。つまり、ドーパミンは、ニューロンがどんなふうにつながり、発火するか、変えることができるのです。
脳が、ある行動と報酬を結びつけると、人はその行動を繰り返します。
脳は、その行動をほかのきっかけと関連づけることもします。たとえば環境などと。
そのうち、デスクに向かうだけで、無意識に爪をかみます。メールも、安心する感覚も必要なくなるのです。
40%の行動はいつもの繰り返し
きっかけ⇒行動⇒報酬のループが形成されると、そのループは、意思決定のプロセスよりずっと早く展開します。
気づかないうちに、その行動をしてしまうのです。
これは、いいことでもあります。すべての習慣が悪いわけではありませんから。
過去に行ってうまくいったことが記憶され、今すべきことを早くできるようになります。
ある研究によると、ほかのことを考えていても、1日の行動のうち40%は、いつもやっている行動をします。
自動的に行ってしまうモーニングルーティンがあれば、時間も精神的エネルギーも節約できます。
とは言え、もはや自分のためにならない習慣を続けている人もたくさんいます。
習慣は変えられる
行動を変えようと意図するだけではうまくいかないと、研究からわかっています。
悪習慣を断つことは不可能だという意味ではありません。
むしろ、習慣に関する基本的なことを理解すれば、それを変えるためにもっといいプランを立てることができます。
たとえば、習慣の多くは、環境やルーティンをきっかけとして起こるとわかっています。
ベッドに横になると、えんえんとスマホをスクロールするとか、ソファでテレビを見ていると、自動的に甘いおやつに手が伸びるとか。
環境やルーティンを変える
行動をコントロールするもっとも効果的な方法の1つは、きっかけとなる場所や時間帯を特定することです。
そして、ルーティンを変えたり、その行動をするハードルを上げたりしましょう。
引っ越しや転職、スケジュールを新しくしたときは、古い習慣をやめて、新しい習慣を作る特にいい機会です。
2005年の研究で、転校した大学生の、運動、読書、テレビの視聴に関する習慣を調べたものがあります。
学生が前の環境やルーティンから離れたら、頑固な習慣も、かなり変わりました。
習慣逆転法
爪をかんだり、髪の毛を引っ張ることには、習慣逆転法(habit reversal training ハビットリヴァーサルトレーニング)が効果的です。
これは1970年代の心理学者によって開発された療法で、いつもの習慣をべつの、そこまで有害でない行動に置き換えることが目的です。
このトレーニングをするためには、習慣を分析して、きっかけを見つける必要があります。そうすれば、適切なタイミングでその行動に介入できます。
たとえば、職場で爪をかむことが多いなら、あらかじめフィジェットトイ(手でいじくりまわせるおもちゃ)を机の上に置いておくのです。
ストレスになるメールを受信して爪をかみそうになったら、このおもちゃをさわります。
習慣を断つには時間がかかります。だから、自分にやさしくして、忍耐強く行いましょう。
悪い習慣ばかりが注目されますが、日常をスムーズに過ごせるのに役立っているよい習慣にも目を向けましょう。
//// 抄訳ここまで ////
習慣に関するほかのプレゼン
大々的に変えようとしないこと。小さな習慣から始めよう(TED)
悪い習慣を断ち切る簡単な方法(TED)マインドフルネストレーニングのすすめ。
習慣のループを知れば、どんな習慣も変えることができる(TED)
やらないよりはましだ、と思える小さなことを積み重ねよう(TED)
まずはきっかけを特定する
このブログでは、習慣に関することをたくさん書いているので、今回の動画に出てきた内容は、周知である、という人も多いと思います。
そのような人たちには、繰り返しになりますが、習慣を変えたいときは、何がきっかけになっているか突き止めることから始まります。
でも、そのきっかけがよくわからない時もありますよね。
動画には、最初は、メールが来ることがきっかけで爪をかみ始めたのに、そのうち、ただ、デスクに座るだけで、爪をかんでしまう話が出てきましたが、このように、特定の場所や時間帯がきっかけになっていることが多いと思います。
同席する人や、目にするもの、自分の感情がきっかけになることもあります。それと、すでに習慣になっている行動がきっかけになることもありますね。
そこで、手放したい習慣があるときは、その行動を、いつ、どんなときにしているか客観的に調べてください。
衝動買いの習慣を断ちたいときは、買い物日記や買い物の記録をつけることがとても効果的です。
たいして時間がかからないので、まだやったことがない人は、ぜひ記録を取り始めてください。
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動画の最初に表示される Habits are at first cobwebs, then cables. ということわざの意味は、「習慣は最初はクモの巣だが、そのうち太い綱になる」です。
きっかけ⇒行動⇒報酬のつながりは、はじめは、クモの巣のように、簡単にこわれるもろいものですが、わりとすぐに、強固な綱になります。
ですが、脳は毎日新しい神経回路を作っているので、戦略的に粘り強く取り組めば、迷惑な綱を切ることは可能です。
悪習慣を断つには、習慣逆転法のように、別のつながりを作ってしまうことが一番簡単だと思います。