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ミニマルな日常

物語だけを残してものは捨てる~過去にしばられない暮らしへ

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今回は、ものが作っている物語に執着するのをやめて不用品を手放すことを提案します。

もう使わないのに、それを捨てられないのは、そのアイテムが表している物語に執着しているからです。

たとえば、連休に実家に行ったら、自分の部屋を見てください。

引き出しを開けると、もう何年も使っていない古いカバンや、黄ばんだ手紙、壊れかけた雑貨が入っているかもしれません。

久しぶりにそうしたものを見ると、忘れかけていた記憶や感情が蘇るはずです。

その記憶が物語です。

私たちは、「ものそのもの」ではなく、ものが語る「物語」を捨てられないのです。



なぜ「物語」がものを手放せなくするのか?

ものは単に役立つかどうかという判断基準だけでは整理できません。

それぞれのものにまつわる物語に、自分のアイデンティティや人間関係、大切な記憶が凝縮されているからです。

したがって、ものを捨てるのは、その記憶や自分自身を否定するように感じられます。

私たちはものを通じて、自分の人生のストーリーを作っています。

卒業アルバムを開けば、学生時代の輝いていた自分の物語、旅行のお土産を眺めれば、新鮮な感動や喜びに満ちていた旅という物語が頭の中をよぎります。

たとえば、もう何年も開いていない古い日記帳を考えてみましょう。

日記帳には、かつての自分が感じた喜びや苦しみがリアルに記録されています。

あるいは長く使っていない楽器や画材。これらは「いつかまた使うかも」という期待より、「自分は創造的な人間だった」という過去の自己イメージを守りたいがために保管されているかもしれません。

読者の中にも、若いころに海外旅行に行くたびに手に入れたキーホルダーを捨てられない方がいました。

キーホルダーが「冒険心にあふれた自由な自分」を象徴しているからだと思います。

実際に使うことはなくても、それを見るたび当時の感覚がよみがえり、楽しい気分になるわけです。

しかしものが語る物語は、私たちを過去にしばりつけるという問題があります。





過去の物語にしばられるデメリット

過去の物語に囚われすぎると、ものが捨てられず、家の中が片づかないという問題のほかに、以下のようなデメリットがあります。

今の自分がつまらなく思えてくる

昔の楽しかった思い出や、自分がイキイキしていた頃の記憶が詰まったものをいつまでも手放さないと、今の自分がどこか地味に感じてしまうことがあります。

「前はもっとがんばってたのに」「あの頃の私はキラキラしてた」と思うたびに、今の暮らしが色あせて見えてしまうのです。

でも、本当は、今のあなたにもちゃんと魅力があるはず。過去の物語に囲まれていると、それが見えにくくなってしまいます。

新しい挑戦や変化を避ける

思い出の品がたくさんあると、「今のままでいたい」という気持ちが強くなります。過去の物語に囲まれていると、知らず知らずのうちに変わることが怖くなってしまうのです。

「この先も、あの頃みたいなことはもう起きないかもしれない」「今のままが一番安心」──そんなふうに、挑戦する前からあきらめてしまうかもしれません。

でも、今のあなたにも、これから作れる物語があります。ものを手放すことは、新しい一歩を踏み出すきっかけになります。

不用品を捨て、過去の失敗や後悔も一緒に手放すすすめ。

「前の自分」を守ろうとして疲れてしまう

昔は好きだった趣味、よく行っていた場所、当時の友だちとの思い出。そういう物語があるものを持ち続けていると、「あの頃の自分」を守ろうとして、しんどくなることがあります。

たとえば、もう何年も使っていないのに、「私は絵を描く人だったから」「登山が好きだったから」と言い聞かせて、画材や道具を手放せないなんてことはありませんか?

でも、いまの自分はもう別のことに興味が移っていたり、ライフスタイルが変わっていたりするかもしれません。

過去の自分を大事にしすぎると、「今の自分」の気持ちを後回しにしてしまうのです。

心残りが重い気分にさせる

思い出の品や、やり残した夢が詰まったもの。どこかにしまってあっても、気づかないうちに、今の自分の気持ちに影を落としていることがあります。

たとえば、押し入れの奥にあるピアノの楽譜。それを見ることはなくても、「私は途中でやめてしまった」という気持ちが、どこかでくすぶっている。

昔よく出かけていた頃のカメラやスキー板があると、「前はもっとアクティブだったのに」と、今の暮らしが物足りなく思えてしまうこともあります。

母親の裁縫箱を手放せないままにしていると、「私は母のように生きられていないかもしれない」という引け目を感じてしまう。

こうしたものたちは、単に「思い出」ではなく、「こうありたかった」「あの頃は…」という自分の物語を象徴しています。そして、それはどこか未完のものとして、心にひっかかり続けるのです。

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物語だけを残す方法

ここまで説明したように、ものを手放すのがむずかしいのは、それが単なる「もの」ではなく、物語を背負っているからです。

そのため、「とっておくか、捨てるか」と考え込んでもなかなか結論がでません。自分がこだわっているのは物語ですから、ものと物語を切り離すか、ものから物語をすくい上げましょう。

以下に、ものが表している物語とものを区別する方法を4つ紹介します。

物語を書き出す

手放したいものがあるとき、そのものにまつわるエピソードや感情を、ノートやスマホのメモに書き出してみましょう。

「どんなときに手に入れたのか」「そのとき何を感じていたか」「なぜ、まだ持っているのか」。そんなことを自分の言葉で書くと、自然と気持ちの整理ができます。

書き終えたとき、「もうこの物語は心の中にしまった」と感じるかもしれません。

写真に収めて、ものから離れる

捨てるのはやっぱり不安……そんなときは、写真に撮って残すのもひとつの方法です。

スマホのアルバムに「思い出フォルダ」を作っておくと、いつでも見返せますし、「写真があるから、もう手放しても大丈夫」と思えることもあります。

記録として残しておけば、ものがなくても、記憶は今後も大事にできるでしょう。

誰かに話す

意外と効果的なのが、そのものにまつわるストーリーを、誰かに語ってみることです。

友だちでも、家族でも、あるいはSNSでもOK。私もnoteの記事やつぶやきで自分が持っているものや捨てたものについて書いていますが、それだけで、物語を抽出することができます。

この話を誰かと共有できたという安心感が、ものへの執着を軽いものにします。

ものと物語を切り離す

手放したいものに強い気持ちがくっついているときは、「物語とものを別々にする」ことを意識してください。

たとえば、「あの人からもらった手紙」と「あの人との思い出」は別のもの。

「旅行先で買ったマグカップ」と「楽しかった旅の記憶」も別のものです。

こうして切り分けて考えると、「思い出はすでに自分の中にあるから、もの自体はもう手元になくても大丈夫」と思えるようになります。

自分の記憶や気持ちにちゃんと居場所があると思えたとき、ものは自然と役目を終えるのです。

とても愛着のあるものを手放す5つの方法~コツはちゃんと向き合うこと。

*****

ものを手放せないのは、優柔不断な性格のせいではなく、そこにある「物語」が大切だからです。

けれど、その物語をちゃんと取り出せば、ものは手放しても大丈夫。思い出や想いは、ものの中にではなく、あなたの心の中にちゃんと残っています。

大切なのは、過去にこだわりすぎず、いまの自分に合ったものを選び直すこと。

ものが少し減るだけで、気持ちも軽くなり、未来に向けたスペースが生まれます。

今の自分の物語をもっと自由に書いていけるように、もういらないものは潔く手放しましょう。





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