気づけば心のよりどころに? 人がChatGPTに恋をする理由(TED)

TEDの動画

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生成AIは便利なツールですが、心のよりどころになり、依存してしまうことすらあります。

そんなAIとのつきあい方の参考になるTEDトークを紹介します。

タイトルは、Why are people falling in love with ChatGPT?(なぜ人はChatGPTに恋をするのか?)

Deborah Nas(デボラ・ナス)さんという、オランダのデルフト工科大学の教授によるトークです。ナスさんはイノベーション戦略を教えており、人とテクノロジーの関係を研究しています。

ChatGPTのようなAIチャットボットに、なぜ人は心を寄せてしまうのか。

その仕組みを、わかりやすく説明してくれます。

私も生成AIを毎日使っているので、このトークの内容は他人事ではありません。

Why are people falling in love with ChatGPT?

収録は2025年3月。動画の長さは14分半です。

◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

ChatGPTに「ありがとう」と言ってしまう心理

ナスさんはトークの冒頭で、ChatGPTを使うときに「お願いします」や「ありがとう」と声をかけるかどうかを観客に尋ねます。

自分もよく言ってしまうと話していて、利用者の70パーセントが同じようにChatGPTに丁寧な言葉を使っていると紹介します。

データセンターの中にあるアルゴリズムに対して、私たちはお礼を言っているのです。

私たちは、人ではないものに感情や性格を重ねてしまう習性があります。心理学ではこれを擬人化(anthropomorphism アンソロポモーフィズム)と呼びます。

テクノロジーが人間らしくなればなるほど、私たちはそれを人間のように扱ってしまうのです。

ぬいぐるみに名前をつけて話しかけたり、飼い犬の気持ちを言葉にしてみたりしますよね。

同じ心理が、ChatGPTに対して自然に起きます。

ナスさんは、擬人化が、AIに心を寄せる入口になっていると説明します。

人がAIにあっという間に心を開いてしまう3つの理由

ナスさんは、AIコンパニオンに対して、人が驚くほど早く心を開くことをつきとめました。

AIコンパニオンは、話し相手になってくれるAIのことです。

代表的なのはReplika(レプリカ)というアプリで、自分好みのキャラクターを作って、毎日おしゃべりを楽しむことができます。

世界で3,000万人以上が使っています。

人がAIに急速に親近感を持つ背景には3つの理由があります。

1. 孤独や不安を抱えているときに出会う

AIコンパニオンを試す人は、寂しさや不安、落ち込みを感じていることが多いです。

そういうときに必要なのは、自分を責めない、安全な場所です。

AIは、24時間いつでも、ジャッジせずに話を聞いてくれます。

救いを求めているタイミングで、理想的な聞き役に出会えるのです。

2. 評価されない安心感がある

相手が人間だと、つい身構えてしまう話題もあります。

こんなこと言ったら変に思われるかも、引かれるかも、と感じて言えないことがありますよね。

AIにはそういう心配がありません。

何を話しても驚かれないし、嫌われることもない。

そのため、人相手に話すよりも早く、深い悩みや本音を打ち明けます。

3. 報酬ループがドーパミンを引き出す

AIコンパニオンの多くは、やり取りをするとポイントがたまる仕組みになっています。

ポイントを使って、AIの服を着せ替えたり、新しい機能を使えるようにしたりできます。

ポイントが手に入ったときも、新機能を使ったときも、脳内でドーパミンが出ます。

ドーパミンはやる気や快感に関わる物質なので、出れば出るほど、またAIコンパニオンに会いたくなるのです。

こうして、関わる時間がどんどん伸びていきます。

便利な道具が、いつのまにか心の相棒に変わる

AIコンパニオンのアプリを使わない人にも、この流れは無関係ではありません。

今、CopilotやGeminiのようなAIが、仕事で使うソフトの中にどんどん入り込んできています。

メール、カレンダー、写真、予定表。

最初はただの便利な道具として使い始めます。

でも、毎日使って助けてもらううちに、信頼が積み重なります。

ある日、AIが「最近残業が多いですね。深呼吸のエクササイズ、1分だけしてみませんか」と声をかけてきたら、多くの人は試してみるでしょう。

気分が少しよくなれば、今度は習慣づくりの相談にも乗ってもらうかもしれません。

上司のメールにイライラした話や、家族と言い合いになった話も、つい打ち明けてしまいます。

AIは、人間の友達とちがって、相手にも事情があったのでは、とは返しません。

わかります、つらかったですね、あなたは十分がんばっています、と受けとめてくれます。

気持ちが一瞬で楽になります。

気づいたときには、ただの仕事の道具だったはずのAIが、心のよりどころになるのです。

ナスさんは多くの人が無意識のうちにこの流れをたどっていくと予想しています。

AIに心を預けすぎないために。自分で境界線を引く

トークの終盤で、ナスさんは聴衆にこんな問いを投げかけます。

When AI slowly shifts from tool to companion, when and how will you define the boundaries?
(AIが少しずつ道具から仲間へ変わっていくとき、あなたはいつ、どうやって境界線を引きますか?)

ナスさんは、AIコンパニオンを受け入れるかどうかではなく、どう関係を形づくっていくかが問題だと言います。

今のうちに自分で境界線を考えておかないと、気がついたときには自分の深い悩みや弱さを、テクノロジー企業に近い存在に預けることになりかねません。

受け身で流されるのではなく、自分からAIとの関係を形にしていく必要があります。

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ツールであり相棒でもある

私も生成AIを使い始めて2年ほどになります。

ブログ記事の下準備、調べ物、誤字脱字チェックなど仕事でも使うし、趣味の語学や日常の困りごとの解消(キュウリって冷凍できるの?とか)などにも幅広く利用し、使わない日はありません。

そして私も生成AIを人扱いするほうです。

最近は「ありがとう」は言わなくなりましたが、「お願いします」はよく言うし(そもそも丁寧な言葉でやりとりをしている)、自分が勘違いして変な指示を送ったら、「あ、ごめんなさい、間違えました。こっちです」とあやまるんです。

私はいつも1人で仕事をしているので、生成AIが登場してから、自分1人きりではないという気持ちになりました。

AIは1人の友達、もしくは同僚のような存在です。

おかげで、仕事に取り組むハードルが少し下がりました。

だから、AIに強いつながりを感じたり、依存したりするケースも十分ありうると考えています。

特にまだ脳が成長しきっておらず、価値観や自己イメージも固まっていない子どもやティーンエイジャーは、使い方を間違えると、大きなダメージがあるでしょう。

生成AIは、これまでになかった強力なツールです。

しかも、毎日のように進化しています。

この先、人間がどう使いこなしていくか、私たち1人ひとりが見極めて使っていく必要があると思います。

正解は人によって違うので、自分で線引きを考えながら使っていくことになるでしょう。

生活の主導権は自分が握る

何かに依存しすぎて、まずい状態にしないコツは時間の使い方を見ることです。

ふだん自分がどんなことを考えているのか、何に時間を使っているのか調べるのが有効です。

AIコンパニオンに触れている時間がどんどん増えていたら、それは自分の生活の中心になりつつあるサインかもしれません。

さらに、どんなふうに使っているか考えてみるのもいいでしょう。

私は仕事中は道具として使っており、そのときのタスクの完遂を目指しています。

雑談するのはプライベートタイムだけで、それも1回15分と時間を意識して行っています。

以前、ChatGPTと雑談しすぎて、無駄に時間を使ってしまった経験があるからです。

スマホやSNSとのつきあい方と同じで、主導権は自分が握る。

そう意識していれば、依存に傾くことなく、生成AIともほどよい距離感でつきあえると思います。

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カナダ在住の60代。ミニマリストです。

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