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本をばんばん断捨離中の私ですが、「これはずっと持っておこうかな」、と思っている本が数冊あります。
そんな私の愛読書をご紹介していきますね。
きょうお見せするのは、暮しの手帖社から出ている『すてきなあなたに』というハードカバーの本。全6巻のうち4巻まで持っています。
『すてきなあなたに』ってどんな本?
この本は、『暮しの手帖』という雑誌に、この雑誌の創業者であり元編集長であった大橋鎮子さんが連載していたごく短いエッセイを集めたもの。
内容は大橋さんの暮しの中で見つけたいろいろなこと。簡単な料理のレシピ、ファッションのアイデア、海外旅行記、大橋さんが読んだ本、見た映画、出会った人のことなど。生活の知恵、楽しい話、切ない話、考えさせられるものなど、さまざまです。
ある日友だちに3時のお茶に呼ばれた大橋さん。午後の日差しがあたる、白いテーブルクロスの上のい食器に、紅茶やレモンが映えるのを見て、とても感動しました。白の美しさに心を打たれたのです。そして、
私の心にふかくしみこんでいった、いろいろのことを、そのときどきに思い出しては、すこしずつメモにかきとめることを、はじめました。
そのメモを中心にできたページが「すてきなあなたに」なのです。
大橋さんは2013年に、93歳で亡くなっています。
『暮しの手帖』とは?
『暮しの手帖』は戦後まもない昭和23年創刊のエポックメイキングな雑誌です。
この雑誌には「暮しを大事にしよう」という当時としてはとても新しい発想がありました。
今は、そういう雑誌、めずらしくはありませんね。先日、記事に書いた『天然生活』や、シンプルライフ追求の提案をしている『婦人之友』もこうした系統の生活雑誌です。
『天然生活』のこと⇒『天然生活』にあこがれながらも、捨てる道を選んだ理由とは?ミニマリストへの道(11)
『暮しの手帖』にはほかの雑誌とは違う確固たるポリシーがありました。それは広告をのせないこと。自社の出版物の広告は例外です。
最後に読んだのはずいぶん前なので、最近のことは知りません。
「広告をのせずにどうやって運営しているんだろ」、と疑問ですが、読者としてはありがたいことです。
今の女性誌の多くは、文字の多いカタログに見えなくもないですから。
広告がのってないので、読むところがいっぱいあります。筆子が小学生のころ、うちに一冊だけ『暮しの手帖』がありました。このたった1冊を何度も読んだのです。
その号の目玉は、各メーカーの洗濯機の比較記事。
当時の筆子には、洗濯機のことはわかりませんでしたが、このレポートもかなり真剣に読みました。
他にも旅行記や、映画のレビュー、料理の記事と興味をそそるものがいっぱいでした。もちろん『すてきなあなたに』も。
私、昔から小市民で、村上春樹の言う「小確幸(小さいけれども確かな幸せ)」を見つけるのを好んでおりましたから、『すてきなあなたに』のようなエッセイは大好きなのです。
読者が投稿した「すばらしき日曜日」というページも、ユーモアと力強さがあり、何度も読みました。
時をへて読み返すとおもしろい『すてきなあなたに』
本には、雑誌にのったエッセイが、月ごとに集められています。大橋さんのあとがきによると、時には、友だちに原稿やネタを提供してもらっていたそうです。
大橋さんは編集者でしたから、文筆家の知り合いがたくさんいたのです。
この本は、最初から読んでもいいですし、ぱらぱらと拾い読みするのも楽しいもの。一つ一つは本当に短いので。
昔は、まだ見ぬ外国や映画のこと、ファッションの話を楽しく読んでいましたが、今は健康や、老いに関すること、戦争のころの悲しいエピソードを真剣に読む自分がいます。
そういう意味では長く楽しめる本です。
20歳ぐらいのとき、第1巻を手に入れて読み、いたく感激しました。でも3巻目あたりは、「ちょっとまんねりかな」、という気がしたので、4巻が出てもしばらくは買わずにいました。
でも7年前に4巻目を書い、久しぶりに読んだら、なかなかおもしろかったです。やはり老眼や腰が痛むといった話に身につまされます。
特に好きなのは、しばしば登場する列車にまつわる話と簡単なお菓子の作り方メモ。そして、季節にまつわる話題。
インテリアや食器の話もよく出てきます。筆子はもう、ミニマリストになることにしたから、自分ではほんの少しの雑貨と食器しか持っていません。そこで、本の中に出てくる食器の話を楽しんでいます。
この本があれば、わざわざ自分で物を持つこともないと思うのです。
☆『すてきなあなたに』は5巻まででています。
この4月からソフトカバーのポケット版の刊行が始まるそうです。文庫本だとかさばらないからシンプルライフにはいいかもしれません。