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衝動買いがよくないことを知っている人は多いです。では、衝動捨てはどうでしょうか?あなたは衝動捨てをしてはいませんか?衝動捨ては衝動買いと同じくらいよくありません。その理由をお伝えします。
衝動捨てとは?
騒動捨てとは、その名のとおり衝動的に捨てること。頭の中がまっしろのまま、よくわからず、そのへんのものをがんがん捨てることです。そこに理由はありません。
私は、ミニマリストは「捨てたいから捨てている人」だとは思いません。
たとえば、自分の好きなことに集中するために、気を散らすものを取り除いているとか、物がたくさんあると目障りでストレスがたまるから撤去しているとか、その人なりの理由があると思います。
捨てることに理由があるのですね。
「理由なき捨て」はやめたほうがいいです。確かに物は減らしたほうが、部屋はスッキリするし、暮しは楽になるし、結果的にたぶんいいことのほうが多いです。
けれども、人が「物を捨てるとスッキリするよ」と言ったからといって、自分で納得できる理由もなく、何も考えず捨てるのは、何も考えず物を買っている、つまり衝動的に買っていることの裏返しだと思うのです。
結局「自分は何も考えていない」という点では同じです。
私が見た衝動捨て
この家に引っ越してくる前に8年ほど住んでいた古い家は、入居したときとてもひどい状態でした。
その前に住んでいた家族が、家の中の手入れをほとんどしていなかったからです。住んでいる状態を見たことはありませんが、庭は見たことがあります。汚庭でした。
前の家族は勤勉に働いて家賃を払うタイプの人たちではなく、何をしていたのか知りませんが、家賃をためすぎて家主に追い出されました。その前に、一家離散も起きています。
子供が2人いて、一時期、その1人と娘は小学校で同じクラスだったのですが、学校に来たり来なかったり、そしてあるとき、全く来なくなりました。どこかに引っ越したのでしょうね。
ご主人は1人で残っていて、最後にどこかに消えました。夫が空き家になったその家のことを近所の事情通のおじいさんから聞いて、入居を決めたのです。
入居したのは8月でしたが、その年の春頃から、夫は毎日仕事の帰りにその家に行って(家からとても近いところでした)、掃除したり、修繕したり、ペンキを塗ったりしていました。
「自分の家でもないのに、そこまでやるか?」と思うほどでした。
最初は本当にひどい状態で、金魚鉢の濁った水の中に魚が3匹浮いていたそうです。前の家族は犬と猫を買っていて、喫煙者でもあったので、ひときわ汚れていました。掃除なんて全然してなかったみたいですから。
台所のカウンターには、たくさん包丁の傷がありました。まな板を使わず、カウンターの上でじかに食べ物を切っていたのです。
この一家を追い出したあと、家主(初老の女性、だけどすごく若くみえる)がお手伝いさんと一緒に、残っていた家具やらを外に捨てたのですが、これが完璧な衝動捨てでした。
ベッドもチェストも服も雑貨も、汚いとはいえまだまだ使えそうな物が、家の外で山を作っていました。
家主さんは、こんな事態を引き起こしてしまったことに心底嫌悪して、とにかく家を掃除しなければ、目障りなものを外に出さなければとだけ思っていたのでしょうね。分別もへちまもありませんでした。
あのゴミを見たとき、私は「ゴミは最初からゴミじゃないんだよね。物をゴミにするのは人間なんだ」とつくづく思ったのです。
衝動捨ての3つのデメリット
衝動捨てをすると、こんなデメリットがあります。
1.自分の頭で考える機会を逃してしまう
2.大切なものまで捨ててしまう可能性がある
3.衝動的に捨てる人はゴミの分別をしない
1つずつ説明します。
1.自分の頭で考える機会を逃してしまう
人が不幸になる理由の1つに、「自主的に生きていない」というのがあります。誰かに頼って生きれば楽ではありますが、その人に支配されるし、不満があっても文句もいえません。
自分らしく生きるためには、多少は自主的に生きて、自分で責任を引き受ける方向に持って行くべきです。そうしないと、誰か他の人の人生を生きる結果になってしまいます。
もちろん何から何まで自給自足、独立独歩で生きることはできないでしょう。多くの人は、家族や友だち、その他の人たちといろいろ助けあい、補いあいながら生きています。
そんな場合でも、自分でできることは、自分で手がけてみるとストレスが減ります。自主的にものごとをやるためには、「自分で考える」ということが必要です。単に「反応する」ではなくて。
人間は感情の生き物なので、反応してる時間のほうが多いかもしれませんが、それでも、一応考える能力も持っているので、この能力を活かすべきだと思うのです。
「なんだかわからないけど、むしゃくしゃしてるから、物を捨ててやるー」というのはせっかくの「考えるチャンス」をみすみす逃しています。
捨てるとき、あまり深く考えすぎると身動きできなくなります。ですが、せめて、「私にはこれは本当に必要か、必要ないのか」とか、「これは燃えるゴミか、燃えないゴミか」ぐらいは考えたほうがいいと思います。
2.大切なものまで捨ててしまう可能性がある
衝動捨て中は、マインドブロックがかかっていて判断力を失っているので、本当は必要なものも捨ててしまいがちです。私はそういう人を少なからず知っています。必要な書類をいらない書類と間違えて捨ててしまい、翌日、ごみ収集所まで探しに行った人を。
捨てて取り返しのつかない物はそこまで数が多くないかもしれません。ですが、やはり必要なものは持っていたほうが、買い直す手間やお金が無駄になりません。
3.衝動的に捨てる人はゴミの分別をしない
衝動捨てで問題になるのは、ゴミの分別をしないことです。冷静に捨てている人は、ちゃんとゴミの分別をします。
名古屋市などは分別ルールが複雑すぎて、間違えたり、誤解している人も多いかもしれませんが、それでもみんなわりとまじめに分別しています。それもこれも冷静に捨てているからです。
衝動捨てのデメリットの1番と2番は比較的短期間にダイレクトに自分に返ってくることなのでいいとしても、ゴミを分別しないことは他人や社会の迷惑になります。
リサイクルが本当に最善の策なのか、わからない部分もあります。ですがやはり何もかも一緒くたに、燃えるゴミのところに入れてしまうと、まずいのではないでしょうか?
私の住んでいる市は、燃えるゴミとしてゴミを出しても、最終的にランドフィル(ゴミ捨て場)に捨てられるまで、ゴミ処理場で機械や人の手を使ってかなり分別しています。
詳しくはこちら⇒モノはいつかゴミになるからゴミ処理問題に無関心は禁物
こういうことすべてにコストがかかっていますので、自分で分別できる部分はやっておいたほうがいいのです。
それでなくても、必要でもないものを買って、大量にゴミにしてしまっているのですから。
自分の部屋から外に出してスッキリしたとしても、ゴミは消えていません。燃やせばダイオキシンやらCO2が出て、それが地球を汚し、結局は自分や自分の子供たちのところに返ってきます。
ダイオキシンの話⇒ダイオキシンとは?その害と個人レベルでできる対策をわかりやすく解説
本当の意味で断捨離するためには、ゴミの行く末も考えるべきだと思うのです。そうしないと、衝動買いをして衝動捨てをするサイクルから抜けられなくなります。
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私も昔は衝動買い、衝動捨てのサイクルの中に生きていたとことがあったかもしれない、と今になって思います。根が几帳面なので、古いオリーブ(雑誌)を数冊ずつまとめてひもに縛って廃品回収に出していましたが、地球のことなんて全く考えていませんでした。
結局この世界はつながっています。衝動的にゴミを捨てていると、遅かれ早かれ自分に返ってくると思います。
真の意味で片をつけたいと思う時、個人レベルでとりあえずやれることは、物をゴミにしない生活、無駄に買わない生活なのではないかと最近は思っています。