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歯を3本インプラントする体験をシリーズで書いています。今回はサイナスリフト直後の顔の状態とその後のケアについて書きます。
これまでの経過(なぜインプラントをするのか)
1. 6年前に右上の奥歯のあたりに激痛が走る
2. 歯医者に行ったら歯の根に炎症がおきている(バイキンがたまって膿ができているので、私の免疫システムががんばって戦っている)と言われる。ここは、25年以上も前に虫歯の治療をしたところ。
3. 歯の根の治療や掃除をする専門医にかかり、膿をとってもらう。この施術は成功したが、数ヶ月後、別の根に炎症。これも治療したが、また別の根に炎症。医者に、「もう歯を抜くしかない」と言われる。このころお金がなかったのでしばらく放置。
4. とうとう抜歯の決意を固める。抜いた後はインプラントすることにし、インプラントの医者にかかり、問題の歯3本を抜歯(2015年1月半ば)。
歯肉炎だったので、そちらの治療も開始。これは口の中の徹底的クリーニングと、その後3~4ヶ月に1回のクリーニング。
5. 抜歯から半年後、2015年7月半ばにサイナスリフト。
ここまで記事に書いています。
サイナスリフトとは?
サイナスリフトは骨造成とも呼ばれます。上の奥歯はインプラントしたいと思っても、顎の骨(歯を支える骨)が、薄い場合が多いです。このままでは、インプラントをするには骨が足りません。
インプラントとは顎の骨にネジをぐりぐり入れて、最終的には自分の骨となじませること。そのため、ある程度の骨の厚さが必要です。
そこでサイナスを上に押し上げて骨を付け加えます。
サイナス(副鼻腔)は上顎のすぐ上にある空洞です。sinus は「洞(ほら)」のことで、いろいろな意味がありますが、歯の治療をしているときは、人の顔の鼻の奥のほうの空洞をさすことが多いです。
この空洞は粘膜で包まれていますが、インプラントがこの粘膜を押し破るとよくないので、前もってサイナスを上に押し上げつつ、その下に骨を充填する施術があります。
これがサイナスリフトです。sinus lift サイナスをリフト(持ち上げる)するからサイナスリフトなのです。
詳しくは前回の記事をどうぞ⇒牛の骨を上顎(うわあご)に入れた話(サイナスリフト):インプラント(5)
上の奥歯のすぐ上のサイナスのことを日本語では上顎洞(じょうがくどう)と言います。上の顎の空洞ですね。
上顎洞の粘膜は厚さ1ミリぐらいあり、ちょっとぐらい引っ張ったりしても破れないそうです。だからサイナスリフトが可能なのです。
説明聞くと、「え、ちょっと怖いな」と思いますよね。サイナスの粘膜、傷つけちゃったら、一生、鼻つまっちゃうんじゃないの?顔が半分腫れたままじゃないの?なんて思ってしまいます。
ですが、先生は、「自分は毎日サイナスリフトをやっているし、大丈夫ですよ」と言っていました。
サイナスリフトのあとのケア
サイナスリフトをやったあと私の顔に起きたことを書いておきます。
●右のほっぺた(上のほう)が腫れた
前回の記事で、顔が腫れて、人相が悪くなったことを書きましたが、この腫れは、10日ぐらいしてからようやくおさまってきました。
ほっぺたがふくらんだせいで消えていたほうれい線もしっかり戻りました。
2週間後に検診がありました。そのときもまだ腫れていたのですが、たぶん他人が見ても気づかない程度。ちなみに右上の奥のほうに骨を充填したから右頬が腫れました。
●唇が斜めになった
右の口元が下にさがりました。とても人相が悪くなりました。腫れが治まるのと同時に徐々に治っていきました。
●4、5日してから右の口元に皮下出血
実は、私は先生が「大丈夫です」と言っていたので、多少心配はしていたものの、サイナスリフトをする前に、そんなに調べたりはしませんでした。
だから内出血が起きて、青地になったとき、「え、何これ?」と驚いたのですが、「たぶんサイナスリフトのせいだろう」と思ってほっておいたら、1週間ぐらいで消えました。
サイナスリフトだけでなく、インプラントのように顎の骨のそばをいろいろかまうと、顔面で内出血することはよくあるそうです。施術したそばで皮下出血します。
私の場合、ずっと顔が腫れてて「いやだな」と思い、鏡を見るたびに、頬骨のあたりの腫れに目を奪われていたので、突然、口元が黒くなったので、ぎょっとしました。「あれ?全然関係ないところが黒くなってる」と思ったのです。
しかしよく考えてみると、右上の奥歯の根本のほうでいろいろやったのです。口を閉じれば患部の1~2センチ下のあたりに皮下出血したのですから、とても近いところです。
顔が腫れていて、口元が黒くなっていたので、2週間ぐらい家から出ませんでした。マスクをして外出するという手もあります。しかし私はマスクは持っていないのでした。
1回だけ娘にスーパーで食料品を買ってきてもらいました。娘の弁当用の食品などです。
●痛みについて
施術した当日と次の日の朝は痛かったので鎮痛剤をそれぞれ1錠ずつ飲みました。私は薬はなるべく服用したくないと思っているので、よっぽど痛くないと痛み止めは飲みません。
薬は飲まない話⇒薬なし生活~薬はすべて断捨離しアロマテラピーで健康管理
18年ぐらい前、親知らずを1本抜いた時は、痛み止めは飲みませんでした。去年のはじめ、歯を3本抜いた時はその日1錠だけ飲みました。
サイナスリフトでは2錠も飲んだのですから、これまでで1番痛かった、ということです。実際にインプラントするときの痛みはこれよりましかもしれません。ただ、痛かったのは当日と翌日朝だけで、翌日の夕方はわりと平気でした。
そのほか特に体調が悪くなるとか、頭痛がするとか、鼻がつまるとかそういうことはありませんでした。単にほっぺたが腫れて不愉快だっただけです。
歯を抜いたときに、なかなか血が止まらずあせったので、今回は早めにガーゼを取りました。よって出血のトラブルはありませんでした。
☆血が止まらなかった話⇒歯を抜いたあとすみやかに血を止める方法:インプラント(4)
☆インプラントについて最初から読む方はこちらから⇒初めて歯のインプラントの専門医に相談した日~インプラント編(1)
【その他の注意事項】
●当日は枕を高くして寝るとよいと言われている
枕を高くする、つまり頭をあげると、出血や腫れが少なくてすみます。私はいつもどおり木枕で寝ました。
木枕⇒木枕でウソのように肩こり解消~健康にいいし、小さいし、床に寝るミニマリストには理想の枕です
●鼻はかまないほうがいい(特に術後1週間)
私は全く気にしていませんでしたが、鼻をかむとサイナスにプレッシャーがかかるので、治癒するまでに時間がかかります。くしゃみをするときは、口から息を吐き出すようにして、鼻に負担をかけないようにします。
●抗生物質は飲み切る
処方された抗生物質は飲み切ります(痛み止めは必要に応じて飲むだけでよい)。なぜ抗生物質を飲むのかというと、施術した部位が細菌に感染して、炎症を起こすのを防ぐためです。
●ストローを使わないほうがいい
ストローから飲み物を吸い込むとき、鼻から息を吸い込むため。鼻から息を入れないようにしても飲めることは飲めますが息苦しいです。
●2週間は喫煙しない
喫煙と相性のいい手術なんてないと思いますが、特にインプラント関係の施術と喫煙は相性が悪いです。タバコを吸うと血のめぐりが悪くなるし、施術のために切開したところが細菌に感染しやすくなります。アルコールも控えたほうがいいでしょう。
サイナスリフトは外科手術ですから、直後は安静にして激しい運動などをするのはやめましょう。
サイナスリフトのあとの治療
●2週間後にチェック
サイナスリフトの2週間後にチェックに行きました。先生は患部を見ました。大丈夫です、と言われました。
●1ヶ月後に抜糸
施術1ヶ月後に縫合に使った糸の抜糸に行きました。
●半年後のチェック
サイナスリフトの6ヶ月後(2016年1月半ば)にちゃんと骨が増えているか見る検診がありました。その部分のレントゲンをとりました。白い影ができていたら、骨が増えている、と判断されます。
もし骨が増えてなかったら、半年前の苦しみが無駄になるのドキドキしていましたが、先生は「骨、増えてますね」と言いました。
そのあと先生が患部をちょっと診ました。1、2分です。
この後、インプラントを入れるところの3DのCT撮影に行くように指示されました。このことは、インプラントの治療が始まる前にもらったプランの紙に書いてあったので知っていましたが。
CTは computed tomography の略です。人体のある断面を捜査してコンピュータで映像化。要するにデジタルな口の中の骨の断面図を撮ることです。
この写真をもとに、先生がパソコン上で治療のプランニングをします。どこにどんなふうにネジを入れるとどこがどうなるのかシミュレーションするのでしょう。
プランニングができたらカリフォルニアの専門施設に送ってどうのこうのと言っていました。受付で専門の施設に予約を入れてもらいました。
専門施設に3DのCT撮影に行った
撮影をする機械はたぶんとてつもなく高いと思います。だから専門施設があるようです。そこに行きました。
最初に問診票を書き、次に撮影。レントゲン撮影のときに着る放射線を通さない青い重たいエプロンを着て、椅子に着席。
その後、上下の歯茎の上に詰め物(小さな円錐状の脱脂綿みたいなの)をいくつか入れました。
撮影技師の説明によると、そのままだと、どこからが歯茎でどこからがほっぺたわからないからだそうです。
8つぐらい詰め物をいれたあと、木のスティックを2つ口に入れてそれをクロスさせたところをがしっと噛んで、顎を固定し、額もベルト固定し、顔が動かないようにして、撮影開始。
顔の周りをカメラがぐるりと1周しました。23秒ぐらいです。そのあいだ舌は下にさげておくこと、つばを飲み込むなと言われましたので、そのとおり大人しくしていました。
撮影が終わったら技師が写真をチェックして終了。
次に別の部屋で歯型を取りました。粘土みたいなのを使ってモールドを取るのです。私はクラウンを入れるときに型を取るのは経験がありますが、この歯型は口の中全体を取ります。
粘土をのせた金属を口に入れるのがちょっと苦しかったのですが、まあそこまで大変ではありませんでした。やってみると、口の入り口は小さいけれど、中は意外と大きく幅も奥行きもあるのだとわかりました。
ちなみに私は口が小さいので治療はやりにくいらしいです。べつにおちょぼ口ってわけでもないのですが、小柄なので他のパーツも小さいのでしょう。
粘土をのせた金属を噛みながら1分じっとして終了。
この続きはこちら⇒歯を3本インプラントした体験談。痛みはこんな感じでした~インプラント(7)
費用について
日本とカナダでは歯科にかかる費用がかなり違うので参考にならないかもしれませんが、一応書いておきます。金額はすべてカナダ・ドルです。
尚、私は3本もインプラントを入れるし、サイナスリフトもしているので、シンプルなインプラントとは言えないと思います。その分金額も高いでしょう。
●サイナスリフト:全部で3965ドル
NuOssという名前の人口の骨がワンパック175ドルでこれを4つ使いました。それから骨の周りにつけるらしい人口の粘膜が2種類あり、それぞれ180ドルと135ドル。先生の施術料金が2950ドルです。
今円高ぎみなので、きょうの換算で33万円ぐらいです。7月の段階では38万ぐらいだったと思います。
2週間後のチェックや抜糸にはお金を取られませんでした。サイナスリフトの施術料金に入っているのでしょう。ちなみにレシートには Sinus Graft, Open lateral approach, Xenograft と書いてあります。
●半年後のチェック:188ドル
レントゲンが38ドル、診察代が150ドル
●3DのCT撮影代:全部で655ドル(63000円ぐらい)
サイナスリフトとCT代はすべて自己負担となりました。サイナスリフトのほうは、すでにその前に保険の枠を使いきってしまったため、CTのほうは、契約している保険でカバーしないからです。
半年後のチェックはやったばかりなので、まだ保険からお金が戻ってきていません。