ページに広告が含まれる場合があります。
「私は買い物依存症です。助けてください」というメールをいただきました。もし、本当に依存症になっているのなら、たぶんもう自分では制御できません。
買い物するたびに、脳の中でエンドルフィンやドーパミンなどの快楽物質が分泌されており、自分の意志でコントロールするのは難しいからです。
ただ、メールを見ていると、そこまでひどくはない気がするので、この記事で回答することにしました。
こんなお便りをいただきました。Aさんからです。
どうしても買い物がやめられません
買い物依存症です。2度借金をし夫に返してもらいました。
今はときどき貯金を下ろしながら買い物をしてます。家計のやりくりは夫にしてもらい、食費とこずかいをもらっています。
貯金は夫がときどきまとまってお金をくれるのでそれを下ろしています。離婚をせず、私を信じてくれた夫のためにも治したい。でも、金額は減っても回数は減らず、どうしてもやめられない。助けてください。
Aさん、メールありがとうございます。
200文字だけのメールでは状況がよくわかりませんので、具体的なアドバイスをすることはできません。
ご主人に食費と小遣いをもらっていて、それ以外に「まとまったお金」ももらってるのですね。
で、その「まとまったお金」をいったん貯金するものの、結局おろして買い物している、ということでしょうか?
とりあえず、その「まとまったお金」をもらわないようにしては?
もちろん、クレジットカードは解約していますよね?
他人からお金をもらわず、仕事について自分で稼ぐといいんじゃないでしょうか。Aさんが仕事をしているのかどうかわかりませんが、お小遣いをもらっているのだから、ご自身の収入はないのですよね?
仕事をせず、家で暇を持て余していると、ますます買い物してしまいます。
もちろん、主婦は暇ではありませんが、時間の自由が効きます。重度の買い物依存症の人は、仕事をほったらかして買い物をしていますが。
また、主婦は昼間自分一人だから、監視の目がないため買い物しやすい状況にあります。
自分で自分を制御できないなら、他の人や環境の力を借りて買わない仕組みを構築するべきでしょう。
とはいえ、やはり自分で克服するしかありません。自分の力で立ち直る決意をしてください。
決意をしたら、これまで私が書いた買い物依存症に関する記事をすべて読んでください。
買い物依存を克服するヒントになる記事
買い物する理由を調べることをおすすめしています。依存症になるきっかけは心にあります。不安や寂しさ、空虚な気持ちを買い物で埋めてしまうわけです。
また依存症かどうか調べるチェックポイントや、自分で依存症を直すヒントも書いています。
ネットで過剰に買い物をしない工夫を書いています。やはり一番最初に買い物をする理由を考えることをおすすめしています。
服が好きで買わずにいられない、どうしたらやめられますか、という質問の回答。
特に洋服を買い過ぎている人に服のショッピングを止める方法を提案しています。
マインドセットを変えて、買い物を制御する方法を提案しています。
その他、依存症の人を対象にした記事ではありませんが、買い物中毒ぎみの人、物を買いすぎる癖を止めたい人、あまり物を家に入れたくない人の参考になる、買わない工夫を書いた記事がたくさんあります。
こちらにまとめています⇒買わない習慣を身につける方法を書いた記事のまとめ
まとめ、その2です⇒買わない生活入門。買い物のし過ぎ症候群から抜け出す方法のまとめ#2
依存症の原因を書いています⇒なぜ人はいろいろなものに依存してしまうのか?依存する原因を知って克服する。
たくさん記事がありますので、毎日1つか2つ読んでいただき、考え方を変えたり、自分でできそうなことは実際にやってみてください。
情報をインプットしても、アウトプット(行動)する人が少ないのですが、読んでいるだけではだめです。
あと、毎朝モーニングページを書いてください⇒モーニングページの書き方、やり方を教えてほしいという質問の回答。
次にこのまま買い物を続けるとどうなるのか、その点について考えてください。自分の人生を映画だと思って、ちょっとカメラを引いて、俯瞰で見ます。
買い物に依存している状態とは?
今、Aさんは、物を買うことにご自身のほとんどのリソースを投資している状態です。
自分のお金(ご主人からもらったお金)と時間と体力のほぼすべてを、買い物について考えたり、実際に買い物することに費やしています。
いらない物が家の中にたまっていき、掃除の手間も増えているかもしれません。
その結果、買い物以外の、人生においてもっと大事なことに使う時間や体力、お金が残りません。
その状態がよくないことは、Aさんにもわかっています。
だから、私はAさんは依存から抜け出せる見込みがあると思います。
依存が進んでいる人は、その状態がまずいことであると、気づかないのです。それが自分にとってのデフォルトになってしまい、人から指摘されると、自分の行動を正当化します。
買い物依存を続けるとどうなるか?
さて、このままご主人からもらったお金をちまちまと買い物に使っているとどんなことが起こるでしょうか?
3つの面で大きな問題が生まれます。
人間関係がこわれる
2度も借金を返してくれ、家計の管理もしてくれているやさしいご主人も、とうとう堪忍袋の緒が切れます。離婚を言い渡されるかもしれません。
Aさんが買い物中毒であることをほかに知っている人はいるのでしょうか?
お母さんや親しい友だちも心配しているかもしれませんね。
人が幸せに暮らす鍵は、周囲の人とよい人間関係を保つことです⇒幸せな人生を送る秘訣とは?(TED)お金より大事なものがある。
大事な人たちと過ごす時間を犠牲にし、信頼を裏切って、買い物を続けることを選んだら、暗い未来しか待っていません。
経済的に破綻する
買い物すればお金がなくなりますので、続ければ、いずれは貯金がなくなり、借金することになって、経済的に破綻します。
たとえ、クレジットカードを破棄しても、新たにカードを作るのはいとも簡単です。
今は無職の主婦でもろくに審査なしで作れるクレジットカードがあります。
そんな情報はインターネットで調べれば、すぐに出てきます。買い物依存の人は、買い物を続けるためには、何でもしますので、すぐにまたカードを作ってしまうでしょう。
カードを使って買い物し、返済できないから、リボ払いにし、利息が増えて、やはり返せないから、返済するために別のカードを作るという、借金地獄に陥ります。
最悪の場合、犯罪に手を染める結果になるかもしれません。
大きなストレスをかかえ、精神的に疲れ切る
自分が依存している物や行動に、心の底から楽しく打ち込んでいる人はいません。
確かに物を買うときは、ひじょうに気分が高揚してハッピーなのです。ところがしばらくすると「ああ、またやってしまった」と強い罪悪感をいだきます。
買い物グセがご主人や家族、親しい友だちにばれはしないかと、びくびくしながら暮らして、ストレスが絶えません。
時には、親しい人に、過度の買い物をしていないと、嘘をつくこともあり、これまた罪悪感にさいなまれます。
せっかく買い物をしても、すぐにネガティブな感情になり、それを癒やすためにまた買い物をし、また罪悪感にさいなまれ、うつうつとする。
つまり、買い物しても何の解決にもならないのです。
気分の高揚⇒大きな落ち込み⇒高揚⇒落ち込み⇒高揚⇒落ち込みというサイクルを続けている間に、時間が過ぎていき、買い物以外は何もできないまま一生が終わります。
Aさん、こんな人生に満足ですか?
自分で克服するためにできること
最後に克服のヒントを3つ書きます。
ショッピングする理由ときっかけを見つける
過去記事にも書いていますが、なぜ自分は買い物に依存しているのか、買い物にはまったきっかけは何だったのか突き止めてください。
本当の理由を解消しない限り、しばらくは、買い物をがまんできても、また買い物してしまいます。
買い物する理由を探すのは自分一人でもできるし、依存症患者の会に参加して、ミーティングをしながら考えてもいいし、専門のクリニックに行き、精神科医、臨床心理士、セラピストと一緒にやることもできます。
さらに、自分がいつどんなときに何を買い物したのか、日記をつけてください。
買い物のパターンがわかれば、その理由も見つけやすいです。
美容院で雑誌の広告を見て、ほしくなってしまった、友達とお茶したら、素敵な服を着ていたので自分も買いたくなった、ご主人の帰りが遅いので寂しくてネットで買ってしまった、など。
買い物する理由やきっかけがわかれば対策をたてやすいです。
買う前に考える(衝動買いをしない)
「あ、これほしい⇒買おう」とならないために、買う前に以下の質問を自分にしてください。
●これ、本当に必要なの?
●どうやって支払うの?
●どこに置くの?
●買うのは今じゃなくてもいいんじゃない?
●今、私は何を感じているの?
●買ったあと、どんな感じになると思う?
買い物するときは、いつもこの質問を問いかけるようにしてください。
買い物にふりまわされない生活の楽しさを実感する
買い物中毒の人は気づいていませんが、あまり物を買わずに暮らすことは思ったより楽しいことです。
その点に気づいてください。
当ブログでは「買わない挑戦」のやり方を書いています⇒誰でもできる『買わない挑戦』の始め方。自分ルールで楽しく実践。
実際にチャレンジする方もいて、ときどき報告のメールをもらいます。
よかったらAさんも、何かアイテムを決めて買わない挑戦をしてください。
1週間とか2週間、期限を決めて行うとやりやすいです。
そして、気づいてほしいのです。買い物にふりまわされない生活がいかに快適であるのか、ということを。
買い物依存は、自分の人生を、買い物という名の悪魔にゆだねている状態です。買い物にコントロールされてしまっているんですね。
その悪魔とちょっと距離を置いてみると、また自分の力を信じられるようになります。
Aさんは、買い物すること以外にもいろいろな特技や才能をもった方だと思います。
自分の潜在的な力を買い物ばかりに使うのは、もったいないと思いませんか?
Aさんのすばらしい力やエネルギーを社会に還元しないなんて、自分にとっても、社会にとっても大きな損失だと思いませんか?
*****
今回は、買い物中毒の処方箋を書きました。
買い物依存はアルコールやギャンブル依存に比べると、問題視されることが少ないです。
アルコールに依存すると身体を壊すし、容貌も変わるし、職を失うし、家族との関係も壊れます。ギャンブルに依存すると、多大なお金がでていくため、やはり大きな代償を支払うことになります。
それに比べて、買い物依存は、表面化しにくいです。
買い物中毒でも、部屋の中が物でいっぱいになり、クレジットカードの借金が増えるぐらいで、見た目はわりとふつうに見える人が多いでしょう。
そもそも現代は、ふつうの人が、異常に買い物して家の中に物をあふれさせる時代です。
買い物は、別に悪いことではない、むしろ楽しいことだ、どんどんすべきだ、と感じている人が多いでしょう。
「買ったよ~」「いいでしょ~」と買い物したものを見せているブログもたくさんあります。
だからこそ、買い物依存は怖い病気だと思います。
ですが、よほど重症でない限り、自分で治せます。がんばってください。