ストレスを感じている人

TEDの動画

ストレスを成功の原動力にする方法(TED)

ストレスをうまく利用する方法を教えてくれるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、How to channel your stress to help you succeed(ストレスを成功する助けに向ける方法)。

講演者は、神経学者のHeidi Hanna(ヘイディ・ハナ)さんです。



ストレスをよい方向に使う:TEDの説明

Dr. Heidi Hanna loves stress. Yup, you read that right. In fact, she thinks we are all capable of loving it too. She reveals how to turn stress from an enemy to a friend through the lens of curiosity. What if stressing really is a blessing?

ヘイディ・ハナ博士はストレスが大好きです。はい、あなたはた正しく読みました。実際、彼女は、誰もがストレスを好きになれると考えています。

博士は、好奇心というレンズを使って、ストレスを、敵から友人に変える方法を伝えます。

ストレスを感じることがありがたいことになったらどうなるでしょう?

動画の長さは15分です。まだ字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

シンプルでわかりやすいプレゼンです。





ストレスに手こずっていた昔の私

きょうは、私の好きな題目であるストレスについてお話しします。

本当に私はストレスが大好きなのです。

しかし、ずっとそうだったわけではありません。

物心ついたときからずっと、私は不安をかかえていました。

不安のせいで、頭痛や腹痛になり、パニックアタックが起き、失神もしました。

病院に行って、どこが悪いのか何度か調べてもらいました。

診察中に気絶したこともあります。

しかし、その数日後、病院から連絡があり、どこも悪いところはないと言われたのです。

何かがおかしいと思っているのに、「どこも悪くありません」と言われるのは、ストレスフルなことです。

ストレスについてたくさん研究した

この状態をなんとかしたいと思い、あらゆる角度からストレスについて調べました。心理学、食事、運動、生理学、神経科学まで。

でも、どんなにストレスについて詳しくなっても、自分のストレスを制御することに苦労していました。

ストレスのメリットに関するデータをたくさん見たので、ますますいらいらしました。

ストレスに翻弄される一方で、そのメリットをいかせないのですから。

海に入ることができなかった

実際、どんなことが起きていたのか、例をお話します。

海が好きなので、サンディエゴに引っ越しました。

水のそばにいると、とても心がいやされるのです。

でも、子供のときから、水の中に実際に入ろうとすると、わけのわからない反応をしてしまうのです。

[波の音が聞こえる]

波の音を聞くと、とても美しいと思い、ありがたくて、幸せでリラックスできます。

ところが、いざ、水の中に足を入れようとすると、こんな音が聞こえるのです。

[ジョーズのテーマ曲の最初のほうの音が聞こえる]

冗談ではなく、本当に、海のそばに行くと、こんな感じなのです。

指に汗をかき、心拍数があがり、息ができないような気になります。これが私のストレスへの反応(stress reaction)です。

ストレスへの反応は本能的なもの

人は、それぞれ違うものにストレスを感じ、違う反応をしますが、1つだけ共通点があります。

ほとんどの場合、ストレスへの反応は、原始的なものです。

高度に発達した脳の中の、原始的な機能によって生まれるのです。

いま、流した音楽のように、何かきっかけを体験すると、それが反応を引き起こします。

それが何であるのか、意識的に識別するよりずっと前に。

人の脳は、エネルギーのパターンや情報を、特定の優先度に従って処理します。

生き残るために、まず、その刺激を感覚として感じて(sensing)、次に能動的に知覚し(feeling)、最後に考えます(thinking)。

ちょっと前に、スティーヴン・スピルバーグに関する映画を見ていたら、『ジョーズ』には、皆が恐れている鮫が実際に出てくるシーンはないと話していました。

音声のチームがとてもすぐれていて、音だけで、恐怖体験を作り上げることができたのです。

実際、目にすることができないものは、目に見えるものより怖いことが多いのです。

ストレスの多い現代社会

これは、現代の暮らしにも通じることです。

私たちは、周囲から、無意識に刺激を受けています。メディアや技術、仕事量のように、はっきりわかるものもあり、そうしたものは、私たちを常に圧倒しています。

でも、もっとわかりにくいものもあります。

たとえば、毎日忙しく過ごして、いつも駆けずり回り、ストレスをお互いに、渡し合っていること。

私たちは、いつも、安全ではないと感じ、日々生活するのに、時間、エネルギー、お金が足りないと感じています。

それなのに、水の中で起きていることを実際に見るかわりに、その上に大きなボートを作ろうとしています。

ストレスを最小限にし、管理し、消えてくれることを望んでいるのです。

ストレスを無視すると身体がむしばまれる

他人や何かのせいにして、ストレスを最小限にしようとし、ストレスを隠して、消えてくれるのを望みます。

世間には、もっとひどい目にあっている人もいるのだからと、自分のストレスについて、何の対処もしないことを正当化することもあります。そうやって、やりすごそうとします。

しかし、やりすごすことはできません。

ストレスがもたらすエネルギーや情報について、何かをしようとしない限り、ストレスを身体の中に押し込めてしまいます。

すると、ストレスが、体内で炎症を起こし、内側から損なわれていくのです。

しかも、気分が悪かったり、疲れていたりすると、人は、馬鹿げたことをするものです。

ストレスのかたまりを無視して脇に押しのけ、何もないふりをしても、実際は、1日中、そのかたまりを持ち歩いています。

気をつけないと、かたまりが飛び散り、周囲の人に悪影響を与えます。

ストレスとの関係を変える

けれども、このストレスをうまく操縦する方法があります。

実際にストレスと向き合って、そこから学び、それを燃料として、よい変化を起こす方法です。

ストレスの使い方がわかれば、それはありがたいものに変わりますよ。

まず、立ち止まって呼吸をし、何が起きているのか判断します。

そのストレスがどこから来るのか理解します。

まず、知っておくべきことは、要求がキャパシティを越えているとストレスが起きることです。

ストレスにいい悪いはありません。ストレスは、いい方向にも悪い方向にも使える、潜在的なエネルギーだと考えるといいのです。

ストレスをなくすことはできませんが、ストレスをもっと効果的に使う方法を学びましょう。

問題はストレスにあるのではなく、ストレスと私たちの関係ですから、その関係を修正します。

無意識の反応に終始しない

ありがたいことに、人の脳はすばらしい能力を備えています。

好奇心、創造力、協力する力を使えば、ストレスをうまく調整して、より強力なものに成長させることができます。

しかし、反応ばかりしていると、こうした脳の能力は発揮されません。

ストレスへの反応は4つのF(fear 恐怖)で表せる、と聞いたことがあるでしょう。

戦う(fight)逃げる(flight)、動けなくなる(freeze)、意識を失う(faint)の4つです。

実は、これらはストレスへの意識的な反応(response レスポンス)ではなく、無意識の反応(reaction リアクション)です。

意識的な反応は、立ち止まって、現状を検討し、どう進んでいくか決めることです。

reactと respond という言葉の違いだけに思えるかもしれませんが、体験したことをどう解釈するかは、言葉を使ってしています。

無意識の反応は、私たちに起こることで、意識的な反応は、私たちのために起きることです。

意識的に反応しよう

サバイバルするために使えるすばらしい人間の強みは、立ち止まり、考え、意識的に反応できる能力です。

ライオンは戦い、チータは走り、猫はじっとして、ネズミは倒れて死んだふりをするでしょう。

こうした動物は、脅威に対して、自分たちの持てるリソースを使って生き残ろうとしています。

しかし、人間がそんなことをすると、ストレスというエネルギーや情報を体内に閉じ込め、無意識な反応が、べつの無意識の反応を引き起こすだけです。

すると、朝、目覚めたときから、全部をこなす時間なんて絶対にない、と感じ、ずっと、マルチタスキングをして、1日の終わりには、疲れ切っているのに、緊張感が続き、夜、眠れなくなります。

そして、ちょっと時間ができると、静かすぎると感じてしまい、すかさず、デジタル機器(スマホなど)をつかんで、時間をつぶすのです。

とくに私が嫌いなのは、メールをピンポンのように出し合うことです。時間がない、忙しいと思いながら、ただ、ただ、メールの返信を続けるなんて、時間とエネルギーの無駄遣いです。

なぜ、こんなことをしてしまうのでしょう? 常識になっていることを実行するのが、なぜそんなにむずかしいのでしょう?

好奇心があればストレスにふりまわされない

水の中にいる鮫の話に戻ります。

水の中に鮫がいない、自分を襲いはしないと、論理的に、自分の反応を変えようと思っても、無意識に反応している限り、私の感じることは変わりません。

水の中に入る唯一の方法は、自分は安全だし、興味があるからそうしているのだ、と感じることです。

これこそが、日々のストレスを手なずける方法です。

生まれたときから、人は、挑戦や変化にうまく対処する方法を心得ています。

それは好奇心を感じることです。

好奇心をもつとすべてが変わります。

脳の原始的な部分は静かになります。本当に危険なときは、興味をもったりはしませんからね。

ものの見方も変わります。

エネルギーや情報のパターンを新しい視点で見ることができ、それを自分を助けるために使うことができます。

ストレスを感じている脳は、シャットダウンし、自分自身を守ろうとして、サバイバルのための反応をします。

しかし、好奇心を感じている脳はもっとオープンで、新しい可能性を見ようとします。

すると、体験から学ぶことができるし、失敗を糧(かて)にすることができます。

好奇心を持つ練習をしよう

好奇心をもとうと練習すればするほど、ストレスに対して、違った形で反応できます。

戦う、逃げる、動けなくなる、気絶するという反応をする代わりに、問いかける、考える、という反応ができるようになります。

どこで止まるべきか? なぜいま、これが起こっているのか? この瞬間、私に必要なものは何なのか?

そして、可能性について考えます。

この経験は、私が強くなるために、どんなふうに助けてくれるだろうか? いま、自分が学んでいることは、将来、ほかの人をどんなふうに助けるだろうか?

人生を好奇心というレンズを使って見れば見るほど、より柔軟になれると信じています。

ストレスがもたらす情報やエネルギーを使う方法を学べば学ぶほど、お互いに対話し、互いの意見を聞いて、よりよい解決法を見つけるために、協力しあえます。

好奇心があれば、ストレスはありがたいものになるのです。

////抄訳ここまで////

ヘイディ・ハナさんの著書です。

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ストレスは何かを自分に教えてくれるもの

ストレスはエネルギーと情報だから、無視したりせず、しっかり向き合って、自分を助けるための行動の原動力にしよう。そのために、好奇心を持つことが役立つよ。

これが、今回のプレゼンの主旨です。

確かに、ストレスは感情エネルギーの一種ですね。

それもかなり強力な。

自分や他人に対して、不満やストレスを感じている人から、相談メールをもらうことがありますが、たいてい長文です。

不満、うらみ、つらみみたいなものがいっぱい書いてあります。

それこそ、ネガティブなエネルギーがほとばしっています。

このエネルギーを、不毛なこと(度重なる衝動買いや、他人への八つ当たり、強い自己嫌悪)に使わず、自分や他人の幸せや、社会のために使えばいいわけです。

最初の反応(リアクション)は変えられないので、リアクションのあとに、一呼吸おいて、意識的な反応(レスポンス)をすることができるといいですね。

これは、理性や知性の仕事だから人間なら誰でもそうできます。ただ、思考や行動パターンはクセなので、新しいパターンを獲得するためには、練習が必要でしょう。

ストレスは情報も運んでくれます。

なぜ、これに対して私はこんなにイライラするのか、こんなに恐怖を感じるのか、真摯に考えたとき、自分のことがわかりますから。

ストレスは、自分のことを教えてくれる、かけがえのない、カスタムメイドの勉強素材なのです。

****

最近、ストレスというエネルギーを、人を攻撃することに使う人がいます。

ソーシャルメディアなどで。

インターネットやSNSは新しいメディアだから、礼儀作法が確立されていないからそうなるのだろうと思います。

人を攻撃することは、全部自分に返ってくると思って暮らしたほうがいいです。

言いたい邦題の内容を書いて投稿する(リアクションする)前に、一晩考えて、レスポンスしたほうがいいでしょう。

考えるポイントは

・これを書いたことで自分が達成したい目的って何?

・これを読んだ相手はどう思うだろうか? ほかの人はどう感じるだろうか?

・もし、自分が相手の立場で、このメッセージを受け取ったらどう感じるだろうか?

・この投稿は、社会にどんな価値を生み出すだろうか?

これをすると八つ当たりみたいな投稿が減って、もっと平和になるんじゃないでしょうか?





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