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高校生の読者の方から質問をいただきました。
質問は、2つあり、1つは買い物、もう1つは進路に関するものです。
この2つ、一見、関係ない質問に見えますが、突き詰めていえば、ミニマルライフにしたら、これまでとは行動や考え方が変わり、それを自分で受け入れることができない、というご相談だと思います。
この記事で回答しますね。
まずメールをシェアします。Fさんからです。
雑貨屋めぐりが楽しくありません
件名:悩み相談
筆子さんのブログは以前よりちょくちょく拝見させていただいています。今回は2つ相談がありメールさせて頂きました。
1.私は元々可愛い雑貨が大好きでお店巡り等もよくしていたのですが、最近ミニマリストに近づいてきたことによって、心の中は「物はこれ以上増やしたくない」という気持ちでいっぱいです。
(元々スッキリした空間の方が好きで物を捨てるのにも抵抗がないタイプでしたのでここ1年で自然にミニマリストに近づいていきました。)
なので好きな雑貨屋さんに入る時に、「どうせ何も買わないのに入るのか」という気持ちになってしまいます。
そして雑貨を見ている時間が無駄なものに感じられます。
「物を増やしたくない気持ちで雑貨屋に入っても何も買わないのだから時間の無駄」というのが根底にあり、ミニマリスト以前は楽しめていた雑貨屋巡りを今は心から楽しめない自分がいて複雑な気分です。
雑貨屋巡りを楽しみたい自分とそれを無駄だと感じる自分の板挟みにあっているのはどう心の整理をつけたら良いと思われますか?
受験勉強に意義を見いだせない
のんびり暮らしていたいと考えているタイプなのですが、高3にもなり受験を控えそうも言っていられない状態です。
中学受験で私立の中高一貫校に入り、幸い成績は良い方なので、日本でも名の知られている上位の大学に入学するものだと思って、高2あたりまでは過ごしていました。
しかし高2の夏明けくらいからミニマリストに近づき始め、ミニマリストの方の色々な意見を見ていく中で、
「必ずしも良い大学に入ることだけが幸せではない」「年収がそれほど多くなくても(具体的な数値はわかりませんが)精神的に豊かな暮らしは可能」という考えに拍車がかかっていき、受験勉強というものに意味を見出せなくなりました。
ただタイミングとしてもう高3の秋にもなり、親としてもいわゆる良い大学に入って欲しいのか通信教育や塾など私に沢山のお金をかけていて、もう「受験めんどくさいからやーめた!」と言える状況でもなくなってしまいました。
受験まで残り半年ということを考えると、周りは人生100年時代と言われる中で、たったの0.何%かなんだから勉強しろというような風潮にありますが
私は乗り気じゃないことなんて極力避けたいし、みんながみんな同じように多少やりたくないことでもやれると思うなよと感じています。(言葉遣いが悪くて申し訳ないです)
と言いつつも結局勉強するしかないのはわかっているので、なんとも複雑です。
筆子さんのご意見を伺いたいです。(ざっくりとしていてすみません、単純に思ったこと・こうすれば気持ち的に楽になると思う などお聞かせください)
質問は以上になります。長文、また駄文失礼致しました。お返事いただけますと幸いです。
Fさん、メールありがとうございます。
ご要望どおり、私の思ったことを書きますね。
まず、雑貨屋めぐりについて。
買い物が楽しくないならやめればいいだけ
雑貨屋に行っても、楽しくないなら、行かなければすむことだと思います。
べつに誰かに強制されて、雑貨屋めぐりや買い物をしてるわけではないですよね?
その時間、別の活動に当ててはどうでしょうか?
Fさんが、雑貨屋めぐりに何を求めているのかわかりませんが、単なる気分転換なら、ほかのことでいくらでもリフレッシュできます。
雑貨屋を巡回するかわりに、美術館や博物館へ行ってはどうでしょうか? 通常、美術館に飾ってあるものを、買うことはできません。
いま、秋ですから、展覧会の時期なので、いろいろなギャラリーでさまざまな展示が行われていると思います。
どうしても雑貨屋めぐりをしたいというのなら、買わなくても、雑貨屋を楽しめる道を模索してください。
店に売っているものを買わなくても(買えなくても)、見ているだけで楽しい、という人はたくさんいます。
店によって、ディスプレイに工夫をこらしているでしょうし、季節感や流行を感じることもできますよね。
物を所有することだけに、価値を見出している人は、「私は買えないから、店に行ってもつまらない」と思うかもしれません。
しかし、自分の行ける範囲内にさまざまな物が売られていて、それを見ることができるのは、豊かなことであり、ありがたいことだと思います。
Fさんは、『君の名は。』というアニメ映画をごらんになったことがあるでしょうか?
高山の田舎に住んでいる女子高生と、東京に住んでいる男子高生が入れ替わる話ですが、女の子のほうは、カフェが一軒もない田舎すぎる地元が、いやでいやで仕方がありません。
だから、彼女にとって、東京のカフェでホットケーキを食べることはこのうえなく幸せなことです。
しかし、都会に住んでいる男の子にしてみれば、カフェなんて、あるのが当たり前で、さしたる感激はありません。
いつも身近にあると、それがあるのは当たり前だと思ってしまいますが、実は、自分はとても恵まれているのです。そういう発想ができれば、ウインドウショッピングだけでも楽しめると思いますよ。
それと、ミニマルライフのゴールは物を減らすことではありません。
自分らしく生きるために物を減らしていきます⇒レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない
物減らしに必死になりすぎると、物が増えることが恐ろしかったり、買い物がうとましかったりし、物があたかも自分の敵のように思えるかもしれません。
しかし、物は敵ではなく、自分の生活をサポートしてくれる存在です。
進路相談について
次に、受験勉強についてですが、まず、ご自身の気持ちを、ご両親、担任の先生、進路指導の先生、スクールカウンセラーといった人に、対面で打ち明けてください。
Fさんのことをよく知っている人に相談したほうが、的確なアドバイスが返ってくると思います。
Fさんのことを全く存じ上げない私が考えつくFさんの選択肢は3つです。以下から好きな道を選んでください。
1)受験しない、就職する
ご両親は、教育費にたくさんお金をかけているそうですが、塾代は馬鹿になりません。
Fさんが一人っ子かどうかわかりませんが、子供が複数いると、教育費は大きな出費で、このお金の捻出にあえいでいる親はたくさんいます。
大学に行ってもお金がかかりますからね。
なので、「私はもう受験する気はないし、塾も通信教育もやめます」といえば、親御さんがほっとする可能性も、ないとは言いきれません。
Fさんは、いわゆる受験勉強はやめて、学校の勉強をしながら、自分のやりたいことをしていけばいいですね。そうすれば、本当にその大学に入りたい人に席をゆずることもできます。
いま、インターネットでいくらでも勉強できるから、何も大学へ行く必要はありません。就職課の先生に相談して、高卒で就職する道を選んでください。
2)このまま受験する、だけどガリガリ勉強しない
進学希望はそのままですが、ガリガリ勉強するのをやめます。
塾も通信教育も補習も特別講習もなし。ふだんの予習復習を無理のない程度にやって、夜もしっかり寝て、のんびり学生生活を楽しみます。
模試の成績も気にしません。
Fさんは、成績はいいそうですから、それでも希望の大学に受かるかもしれませんし、志望校に落ちたら、そのとき、次の道を考えればいいです。
この方法をとれば、Fさんが「意義を見いだせない」という勉強をする必要はなくなります。
3)ガッツリ受験勉強をする
大学で勉強したいことや、将来つきたい職業が、ある程度、明確であり、そのためには、志望校に受かる必要がある、と思うなら、このまま親御さんの金銭的なサポートを受けながら、受験勉強を続けます。
それは、自分の将来の目標に向けての準備ですから、「意義が見いだせない」なんてことはなく、充分意義のあることです。
この場合、受験勉強を「点数を取るためだけの勉強」と思わないほうがいいです。
勉強は、視野を広げるもの、抽象的思考力を鍛えるもの、論理的思考力をつちかうもの、創造性を養うものと思って取り組んでください。
論理的思考とは?⇒論理的かつ批判的に考える7つの方法。ロジカルシンキングはライフスキル。
学校の授業は退屈で表層的だと思ったら、気になる項目について、インターネットで調べたり、本を読めば、もっと深みのある勉強になります。
受験勉強をしながら、本を読むことはずっと続けたほうがいいです。
なお、いわゆる「いい大学」を卒業したからといって、生涯年収があがるとは言えません。
Fさんは、女性ですよね?
女性の場合、結婚、出産などによって、キャリアが断たれてしまうことは、今後も多いと思います。
そのとき、どう対応するかは、自分の思考力にかかっています。
雑貨屋めぐりの質問にも言えることですが、社会や、自分をとりまく状況、自分自身は、常に変わっていきます。変化に柔軟に対応できるようになるためには、受験するしないは別にして、勉強はずっと続くでしょう。
教科書に書いてあることをインプットして、試験でそのままアウトプットできる人間が重用された時代はもう終わったんじゃないでしょうか?
そういう仕事は、パソコンやAI(人工知能)がします。
いま求められているのは人間にしかできない思考ができる人だと思います。
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たまに中高生の方からご質問いただきますが、いったいどこでこのブログのことを知るのでしょうね?
幅広い年齢層の読者の方に読んでいただけてうれしいですが。ありがとうございます。