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動画を使って英語を勉強するシリーズ、今回はアメリカで大人気の近藤麻理恵さんについて、アメリカ人記者が語っているビデオをご紹介します。
近藤麻理恵の本はアメリカでもベストセラー
こんまりこと、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片付けの魔法」の英語版、The Life Changing Magic of Tidying Up はアメリカでベストセラーになり、さらに他の国でも出版され、やはり売れ行き好調のようです。
この本の英語版についてはこちらの記事で詳しく書いています⇒近藤麻理恵の「人生がときめく片づけの魔法」の英語版の感想~ベストセラーの秘密は東洋の神秘にある?
近藤さんは、今年、2015年の4月、アメリカの雑誌TIMEで、もっとも影響力のある100人に選ばれました。
雑誌TIMEの記事をこちらで訳しています⇒「TIME」の100人に選ばれた近藤麻理恵と記事を書いたジェミー・リー・カーチスの共通点とは?
なぜこれほど、アメリカでこんまりの本と、こんまり自身が人気を博しているのか、「こんまり現象」について語っているウォール・ストリート・ジャーナルの記者の短いビデオを見てみましょう。
英語のビデオに行く前に、まず、こんまり自身が語っているプロモーションビデオをごらんください。英語の字幕がついています。長さは1分ちょっとです。
こんまりメソッドの特徴として、1.(場所別ではなく)モノ別に片付ける、2.とっておく物を選ぶときは、ときめくかどうかを判断基準にする、3.さっさと片付けを終わらせる、と言う点が出てきました。
特に、「ときめくかどうか」というのが大事だと強調していますね。
アメリカにおけるこんまりの本の人気の理由
WSJの記者が、この本の人気の理由について、インタビューを受けている短いビデオをご紹介します。撮影は今年の2月末ごろ。
わりと2人ともはっきりとした英語をしゃべっています。CC(クローズド・キャプション、字幕)を表示させることもできますので、英語に抵抗のない方、英語を学習中の方はごらんください。
動画のあとに、和訳をつけます。長さは3分。始めに数秒広告が入ります。
英語では、マリ・コンドーと言ってますね。オーディオ・ブックでも「マリ」と呼んでいました。
実はこの動画はWSJの2015年2月26日の行動麻理恵さんの記事と連動しています。記事によるとこんまりは30歳で、本は世界中で200万部売れたとか。今は5月ですから、さらに売上の部数をのばしているでしょうね。
こんまりの人気の秘密、インタビューの和訳
最近世界的に人気のセレブはハリウッドスターでもないし、ポップスターでもありません。片付けの指導者(home organizing guru)である、マリ・コンドー、日本人で、世界的ベストセラー、The Life Changing Magic of Tidying Up の著者です。
この本は世界中の片付けたがっている人のこころを、巧みにそそったようです。
コンドー現象について、WSJのレポーターのジェニファー・マロニーにお聞きします。
ジェニファー、来てくれてありがとうございます。本も持ってきてくれたんですね。こんまりは、神秘的なやり方で片付けるように思われるのですが、彼女の哲学について語ってくれませんか?
コンマリは、たとえば洋服なら、持っているぶんを全部床に出して、1つずつ手にとり、「これはときめく?」(Does it spark joy?)と自問自答。ときめかないものは捨てます。
ときめく、というのは直感的に?、それとも考えるんですか?
直感的にです。できるようになるまで、少し練習がいりますが、こんまりによれば、自分でわかるようになるそうです。
私は、彼女のクライアントの1人が、ご主人を捨てたというくだりが大好きです。はははは。
ときめかなかったってことですね。
「ねえ、あなた、ときめかないから、ドアはあっちよ」
あなたは、この方法を最近やってみたんですよね。「ときめくか、どうか」という方法で、本当に物を捨てられましたか?
はい、クローゼットの奥に押し込んでいて、忘れていたものにはときめかなかったし、ベッドの下にあったものも、ときめきませんでした。
とても興味深いです。こんまりは、物を人のように扱っていますよね。ソックスに感情があるかのように。
はい。
引き出しの中で。それに、私たちは「たたみ方」を知らないと本に書いていますが、どういうふうに、たたんだらいいんですか?
彼女には、特許をとったたたみ方があるんです。平らな三角形にして、サイドをもちあげ、端にそろえて、引き出しに並べます。すると、引き出しを開けると、すべてのはしっこが見えるんです。
理にかなってますよね。下に何があるか、全部をひっぱり出す必要がないですから。ところで、彼女のメッセージは時代の風潮に完璧にあってるような気がするのですが。
彼女はいったいどういったことを明らかにしているのでしょうか?
現在、いくつかのことが起きています。1つ目は、みんな郊外から都市部に移動していること。だからダウンサイジングが流行しています。
次に、景気がまたよくなってきたので、大勢の人が、古いものを捨てて、新しいものを手にしようとしています。
ある種、完璧なタイミングなのです。それと、服や日用品のグッドウイルへ寄付する量が増えています。ですから、こんまりは、時代の流れに乗ったのですね。
実際、彼女はすごい人気ですよね。 to Kondo (近藤する) は動詞になってますから。みんな、SNSに「私はクローゼットをコンドーした」なんて投稿していますよね。
写真もそえて。同僚のジェーソン・ベリーニも、引き出しのことをツイートしてましたし。
実際にコンマリメソッドで片付けした人の声って、どのぐらい読みましたか?
世界中の人の投稿を読んでますよ。たとえば、スコットランドのコラムニストの女性は、料理本をコンドーしたと投稿してました。
わーお。
それに、ブルックリンの男性は、電話に入れてる音楽をコンドーしたと、プレイリストを減らしたんです。
すごいですね。ジェニファー、どうもありがとうございました。私も週末にコンドーしなければと思ってます。
やる気になりました。本当にどうもありがとう。
—インタビューの和訳ここまで—-
2人の英語ですが、意外と難しい言葉は使っていません。日常会話はこんな感じですね。平易な英語をいかに自然に使えるかにかかっています。
英語の難しいところは句動詞、それとイディオムだと思います。
☆単語☆
Zeitgeist ツァイトガイスト 時代精神
put one’s finger on 特定する、明確にする、指摘する
uptick 上向き、上昇
testimonial 商品やサービスを利用したお客様の声
pare down 少しずつ減らす
Goodwill いらない物を持っていくチャリティショップ
WSJの記事が語るこんまり人気の秘密
さて、この記者によればこんまりの本は今の時代の流れに合っているので、こんなに人気が出た、ということです。
つまり
1.アメリカの景気の回復と時期が同じだったので、古いものを捨てて、新しいものを買いたいという人々が多い。
2.アメリカ人が郊外から都市部への移動しており、みな、ダウンサイジングしている。
3.みんなが、Goodwillにたくさん寄付している。これは、ガラクタが多くて捨てている人が多い、ということだと思います。
インタビューではあまりはっきり言ってませんでしたが、要するに、物がいっぱいで困っている人が多いということでしょうね。
ジェニファー・L・スコットの本にもあったように、アメリカの人はクレジットカードで借金して、物をたくさん買う傾向がありますからね。
そんなところに、こんまりが、「この方法でやれば、家が一気にきれいになるよ」、とメッセージを送ったので、みんな、大歓迎したのでしょう。
なにせ「リバウンドはない」と言ってますから。
コツコツ片付けるのではなく、1度に一気に終わる、と言われるほうが、片付ける本人としてはうれしいと思います。
筆子が思う、この本がアメリカでヒットした理由
私が思うこの本の人気の理由は5つあります。
1.みんな物の多さに困りはてている
2.強力なプロモーションをした
3.SNSの効果(ビジュアル効果)
4.ただの片付けではなく、自己啓発になっている
5.ときめき(spark joy)と本の文体
1つずつ説明します。
1.みんな物の多さに困りはてている。
この本が売れたのは、何よりも、世界中の人が自分の家の中の物の多さにうんざりしているからです。その点で、やはり時代が求めていたものなのでしょうね。
2.強力なプロモーションをした
ネットで検索してみると、この本、すごく宣伝しているのです。アメリカの出版社は、出版する前に、ゲラを本屋やブロガーにメールしたそうです。
実際、近藤麻理恵さんは、アメリカに足を運んで、カメラの前で片付けのコンサルティングをしたり、たくさんの取材を受けています。
うらに腕利きのマーケッターがいるのかもしれません。
3.SNSの効果(ビジュアル効果)
インタビューでも言ってましたが、みんなコンドーした様子を、写真にとって、ツイートしたり、フェイスブックに投稿したり、ピンタレストにのせています。
これがヨガとかダイエットのメソッドだったら、そんなに簡単にツイートできないし(即効性がないので)、ビジュアルアピールもありません。
家全体を片付けるのは大変ですが、引き出しを1つ、コンマリメソッドできれいにして、写真をとって、ビフォー、アフターなんか見せれば、ほかの人の目をひきます。
そうやって、だんだん話題になっていったと思います。
4.ただの片付けではなく、自己啓発になっている
こんまりメソッドは「人生を変える」ものなので、単に家の中を整理整頓したり、掃除するだけにとどまりません。
その点、主婦だけでなく、男性や独身の人、学生などにも受け入れられたのでしょう。
「人生を変えたい」と思っている人は多いので、自己啓発本として人気を得たのではないでしょうか?
日本ではこんまりのファンは圧倒的に女性が多いのですが、アメリカで「コンドーする」人たちの中には、男性も少なからずいます。
5.ときめき(spark joy)と本の文体
私は英語版をオーディオブックで聞いたのですが、すごく単純明快でわかりやすい文章でした。
しかもとても軽やかな文体です。それが spark joy (ときめく)という言葉のイメージと合わさって、何か本当に、魔法のようなことがおこるという明るい印象を生み出し、人々を魅了したのだと思います。
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1冊目がベストセラーになったので、アメリカではこんまりの残りの3冊の著書も、出版する予定があるそうです。現在、近藤麻理恵さんは、もう自分では片付けコンサルタントをせず、こんまりメソッドで片付けを指導できる人たちを育成しているようです。
これは、断捨離のやましたひでこさんと同じビジネスですね。
「こんまりメソッド」には本人の名前が入っているし、「コンドーする」という動詞表現もできたことだし、こんまり教の教祖になるのも、そう遠い日のことではないかもしれませんね。
☆私は全然知りませんでしたが、アメリカで成功した、こんまりのことが、5月15日放送の金スマという番組で、「奇跡のシンデレラ・ストーリー」として放映されたそうですね。
しかも、現在妊娠中で、この夏、出産予定だとか。今後は、子供と一緒の生活での片付けの仕方なども発信してくれそうですね。