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節約や断捨離が調子よく進んでいたのに、ちょっとした障害があって、止まってしまった。
そんなとき、復活するのに役立つTEDトークを紹介します。
タイトルは、Overcoming Challenges to Achieve Goals (ゴールに到達するために障害を克服すること)。
プレゼンターは、ライフコーチのBryan Falchuk(ブライアン・ファルチュック)さんです。
障害を乗り越えるには?
動画の長さは14分25秒。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
シンプルでわかりやすいプレゼンです。
心の空白を埋めるために食べて太った
きょうはDo a Day(きょうできることをする)という私の哲学についてお話しします。
私の人生を変えた方法で、ほかの人の人生もこの方法で助けています。
私は高校生のとき、今より100ポンド(45キロ)以上体重がありました。
食べすぎで太っていたのです。
私の両親は、私が幼いとき、離婚しました。
子供には1つだけどうしても必要なものがあります。
愛されていると感じることです。
愛されていて、安心感を得られれば、大丈夫なのです。
こうしたものを子供は自分で得ることはできません。
私は愛されていると感じられず、世界が崩壊しました。
ほかに3人子供がいたし、両親は離婚のことで忙しくしていました。
寂しい気持ちを自分でどうしていいかわからず、食べもので、心の空白を埋めました。
食べることは、不安な気持ちの解決法ではありません。むしろ逆効果です。
いったんやせたがリバウンド
そんなふうにして太ってしまったのですが、高校のとき、よい体育の先生に出会って、やせることができました。
先生から、自分と、運動や食事との関係を変えることを教わりました。ただ、自分の不安の大元の原因を処理する方法はわかっていませんでした。
だから、食べ方を変え、運動を始めることができたあとも、不安のほうが勝って、やせた半分の分の体重が増えました。
100ポンドやせたあと、また45ポンド(20キロ)増えたのです。
こんどは、ふつうのアメリカ人みたいになっただけなので、見かけで目立つことはありませんでした。
でも、健康ではなかったし、幸せでもありません。
大人になって責任が増えたせいもあり、不安はどんどんふくらみました。
そのまま何年か過ぎましたが、2011年に目が覚めました。というより、目を覚ますことを強いられたのです。
私は、ほとんどすべてを失ったのです。
妻が重い病気にかかった
この写真はその前に撮ったものです。私には、妻と2歳の息子がいました。
2011年の夏、その妻が死にかけていました。原因不明の病気にかかって、どんどん衰弱していったのです。
6月30日に医者から電話がかかってきました。
「原因がわからないし、何もできません。私は、休暇を取るので、6週間後にまた診察します」。
妻は1日2ポンド(900グラム)ずつ体重が減っていたし、すでに100ポンドもなかったのです。ベッドから起き上がることもできないから、6週間後には、生きてはいないかもしれない。
こう医者に訴えると、医者は「必要なら救急室(ER)で引き取ります」と答え、電話を切りました。
息子の視線で目が覚める
気を取り直して、寝室に行ったら、妻が寝ているベッドの足元に立っていた息子が私のほうを見ました。
息子と目があった瞬間、私は目覚めたのです。
いったい自分は何をしているのか? 妻は死にそうになっている。1人で苦しんでいる。それなのに、自分は、自分の心配事にばかりかまけている。
これから起こりそうな悪いことばかり考えている。妻が死んだらどうしよう、1人になったらどうしよう、仕事をしながら、子育てできるだろうか、なんて。
心配ごとに心を奪われて、妻のすぐそばにいることもできていない。妻のいうことに耳をかたむけて、支えるべきなのに。
そして、息子の姿を見ました。
まだ2歳なのに、目の前で母親が死にそうになっているのを見るのはいったいどんな気持ちなのか?
この子が、これから幸せな人生を送ろうとするとき、親が1人しかいないとしたら、私のようは親ではだめだ。
彼はもっといい状態を得る権利がある。そういう状態が必要だ。
人生に対する考え方が180度変わった
さらに、こんな気持ちにもなりました。それまでの人生で感じたことのない感情です。
自分自身も、もっといい状態を得る権利がある、もっといい状態が必要だ、と思ったのです。
それまで、「これが自分の人生なんだ。苦しむしかないんだ。やらなきゃいけないことがあるからやる。自分でするしかないから」と思っていました。
子供のときから、ずっとそんなふうに考えていました。
でも、このときは、もっといい状態になりたいと思ったし、自分はそういう状態にふさわしい人間なんだ、と思いました。
実は、私には、もっといい状態を手にする能力があったのです。
太って、怠惰で、得意なことなんて何もないと思っていたのが、突然、「いや、自分が求めているものを手にすることができる」と感じました。
これまで感じていたのとずいぶん違う感情でした。
翌朝、起きたときも同じように感じていましたし、むしろその気持は強くなっていました。
この気持ちをそのまま流してしまうのではなく、しっかりつかまなければいけない、これは生命線だと感じました。
この時の気持ちが、これまで感じていた気持ちと大きく違うポイントが4つあります。
本当のモチベーションに必要な4つの要素
1.心の奥底から思っている(Deep within you)
このとき、私は自分が本当に求めているものがわかりました。自分の目的です。
高校のときの減量は、ほかの生徒の目を気にしてやったことでした。「太った子だ」と言われたくなかったのです。
だから、やせられましたが、大学に行って、知らない人ばかりの間に入ったら、やせる気がなくなりました。
やる気の元が、自分の外の世界にあったわけです。
でも、このときは、自分自身の人生を考えていました。
父親としての役割や、妻と息子への愛情、妻がどれだけ自分を必要としているか、自分自身への愛情など、すべては、自分の心の奥にありました。
2.永く続く(Enduring)
大学に入ったら、私の減量するモチベーションは消えました。
結婚式や同窓会の前にダイエットしたり、家を買う直前に節約を始めたりすることがありますが、モチベーションが終わる日があると、そこで消えます。
ずっと続くモチベーションを見つけなければなりません。
3.深い(Profound)
このときの私の感情はとても深いものでした。
7年後の今も、この話をしているし、別のところでも何度も話しています。
本も書きましたし、考えただけで涙が出ます。
4.物に関係がない(Non-Material)
物ではなく、自分の奥深くにある価値に関することです。
たとえて言うなら、近所で目立つ大きな家を買うことではなく、本当の家族を作ること。
モチベーションを見つけるだけでは充分ではありませんが、これがあれば前に進むことができます。
次に、どうやって人生を変えるかお話ししましょう。
人生を変えたいときやるべき4つのこと
1.自分を愛する(Self Love)
セルフラブ(自分を愛すること)という大きな基盤が必要です。
自分を愛していなかったら、自分は、もっといい人生を生きる権利があるとか、自分にはそうする能力がある、とは思えません。
もっといい状態を持てるように、自分を大事にしなければならないのです。
これは、いまの社会では難しいことです。へりくだることが多いですから。
誰が一番たくさん働いたか、もっとも遅くまで働いたか、寝る時間が少なかったか、みなで競争しています。
おかしなことに、いちばんみじめな目にあった人が勝者なのです。
やたらと卑下しないために、「でも…」というのをやめてください。
友人の家のディナーに招かれ、料理をほめると、「ああ、ありがとう。でも、チキンはこげちゃって」なんて返事が返ってきます。
そうではなく、「ありがとう」と言えばいいのです。
自分のすばらしいところがあるのに、「でも…」と言ってしまうと、それが台無しになります。
自分がすばらしいことを自分に許してください。
2.理由を見つける(Find your “Why”)
なぜそうしたいか理由を見つけます。
先ほどお話しした、深くて、長続きして、物は関係のないモチベーションです。
苦しいときも前に進ませてくれるものです。
「どんなことが起きようとも、あなたが、いつも大事にしていることは、何なのか?」 この質問の答えが、ゴールに向かう本当の理由です。
とはいえ、その理由はたいてい間違っています。完全に間違っているわけではなく、浅いレベルでの理由なのです。
「どうして?」と何度も問い続け、深いところにある本当の理由を見つけます。
時間がかかるし、そうするのが怖いこともあるでしょう。
私の理由は、息子に関することでした。それについて本を書き、妻や息子と話し合いましたが、数年後に、もっと深いレベルにある理由を見つけました。
実は、息子の問題ではなく、私自身の問題でした。
いまでも本当の理由を探しています。
3.ゴールを設定する(Set your intention)
次に究極のゴールを設定します。自分が到達したい場所です。
私が100ポンドやせたとき、ゴールは100ポンドの減量で、10ポンドではありませんでした。
4.その日できることをする(Do a day)
きょう、ゴールに近づく行動をします。毎日です。
きょうは、「いま、ここ」という意味です。
きのうや明日のことをわずらうのはやめます。
私たちは、きのうと明日の間にはさまれて、きょうを生きられません。
きのうとは、ジャッジすること、痛み、後悔です。
きのう、思ったようにいかなかった、人にまともに扱ってもらえなかったと嘆いたり、自分がやったことを後悔したり、失敗を悔いたり、何かをなくした痛みを感じたり。
こうしたネガティブな感情を、きょうに持ち込むと、いますべき決断に大きな影響があります。
痛みからのがれようとするからです。
明日の悩みもあります。実は、私の不安がこれでした。
あらゆることについて、それがうまくいかなかったらどうしよう、と心配していました。
人は明日に関する痛みや心配とともに生きています。
その結果、きょうを失ってしまうのです。
問題は、きょうは、きのうでも明日でもないことです。
きのうや明日の問題から自由にならなければなりません。
いつも、あるのは、きょう、いま、ここだけです。
きょうすることが一番大事なこと
毎朝、起きたら、自分のゴールに近づくための行動をします。自分の深いところにあるモチベーションを原動力にして。
自分はもっといい状態にふさわしいし、そうできると信じているから。
きょうを生きてください。
「毎朝、私たちは再び生まれる。きょう私たちがすることが、もっとも重要なことだ」。
このブッダの言葉が、Do a dayという考え方をうまく表しています。
きょうは新しい日です。外に出て、きょうを生きてください。
//// 抄訳ここまで ////
単語の意味など
Do a day は、ブライアンが作った言い方ですが、「今日できることをやる」という意味だと思います。
self deprecation 卑下すること、へりくだること、自分を非難すること。
ブライアンの著書です。
障害を乗り越えたいとき参考になるTED
問題の前で立ち止まったままでいるか、それとも前に進むか(TED)
不運続きの人生に意味を見出すには? マニーシャ・コイララ(TED)
危機を乗り越える人(レジリアントな人)の3つの秘密(TED)
逆境はチャンス。最高の人材の履歴書が必ずしも理想的でない理由(TED)
強い心を持つ3つの方法。考え方の悪習慣を手放せばメンタルを強くできる(TED)
いまできることを1つずつやっていく
2日前に「気持ちの整え方を教えてほしい」という相談メールをもらいました。
30代の読者だと思います。
この方は、3年ぐらいブログを読んでくれていて、お母さんと一緒に断捨離をして、家もかなりスッキリしてきたし、転職もして、人生もいいほうに向かっていました(とこれまでのメールにはありました)。
しかし、お母さんが病気になり、入院、手術、退院というできごとがあってから、すっかり気持ちが落ち込んでしまったそうです。
お父さんとはあまり気が合わないし、そのお父さんは、物を捨てないタイプです。
以前より時間があるのに、有意義に過ごすことができず、気持ちが重い、この状況を打破したい、助言がほしいです、と書かれていました。
そこで、今回、障害を乗り越えるための動画を選びました。
家族が病気になったのは、ショックなできごとなので、一時的に気分が落ち込むことはあるでしょう。
というか、それが普通です。
ですが、いつまでたっても、「気持ちが重い」とか、「自分が情けないです」などと言うのは、昔のブライアンのように、自分のことや、もう終わったことや先のことばかり心配している状態です。
このような状態を、「自分をかわいそうがっている」とか、「甘えている」と言い表すこともあります。
自分が本当にもとめているものは何なのか、それをしっかり見極め、いまできることを1つずつやっていくことがベストではないでしょうか?
断捨離にしても、心の奥底から、もっときれいな環境にしたい、と思っていれば、一時的に減速することはあったとしても、遠からず成功します。
動機が弱いとうまくいきません。
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落ち込んでいる人の参考になりそうな動画を紹介しました。
なお、私がブログでよくおすすめしている
-日々のルーティンを大事にする
-よいことに目を向けて、生活に小さな楽しみを見つけながら、目標に向かって一歩ずつ進む
こんなことをしてみても、どうにもこうにも気分が落ち込む場合は、専門家のカウンセリングを受けてください。