拒絶された鳥

TEDの動画

拒絶された、傷つけられた、人生って不公平。そんな気持ちを克服する方法(TED)

嫌なことがあって落ち込んでいるとき、元気になれるTEDトークを紹介します。

タイトルは Overcoming Rejection, When People Hurt You & Life Isn’t Fair 拒絶を克服する、誰かに傷つけられ、人生は不公平だと思うときに。

講演者は、起業家の Darryll Stinson (ダリル・スタンソン)さんです。

彼はチェンジ・エージェント(変革のしかけ人、変化を起こして行く人)で、人々のメンタルの健康を守るために、講演やコーチをしています。



拒絶を克服する:TEDの説明

Mr. Darryll Stinson seeks to use rejection as a powerful tool with which we can discover our true and complete identity based on a variety of healthy and holistic influences. Darryll’s theory is that by understanding who we are and what we are uniquely gifted and created to do, we can more healthily process the sting of rejection and turn the initial pain into strength to become a better version of ourselves.

ダリル・スタンソン氏は、拒絶を強力なツールとして使い、健康的でホリスティックなやり方で、本当の自分を見つけることをすすめています。

彼の理論は、自分が誰であるのか、そして、自分にしかできないことを理解することで、拒絶された時の痛みを、より健康的に処理し、痛みをより良い自分になる力に変えることができる、というものです。

収録は2019年の10月。長さは13分。英語の字幕があります。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

簡潔でわかりやすいプレゼンです。





拒絶を怖がらなくていい

一番最近、拒絶されたときのこと、覚えていますか?

全く電話を返さない男性、1度も遊びに来ない父親。昇進させてくれない上司、どんなにがんばっても、あなたのことを認めてくれない人。

拒絶されると傷つきます。自分は十分ではない、という気になりますよね。

自分自身や未来に疑いをもちます。

しかし、拒絶を恐れることはありません。拒絶されたからといってがっかりしたり、うつうつとする必要はないのです。

自分のすごさを皆に証明するために、働きすぎなくてもいいのです。

むしろ、拒絶されることは、私たちの敵ではなく友達なのです

拒絶されて痛みを感じることを、成功や自分の素晴らしさを感じられる触媒にする2つの考え方をお話しします。

拒絶は相手の心理の投影

最初の考え方は、拒絶を投影と考えることです。心理的な投影です。

心理的な投影とは、望ましくない自分の感情を認めたり、対処したりするのではなく、その感情を別の誰かに、映し出すことです。

拒絶されたことは、拒絶した人の中にある混乱に関係があり、自分の価値とは関係がないと思えば、人生が変わりますよ。

遠慮したり、がっかりしたり、用心したりしなくても、自信を持って前進できます。

昔、仲間に拒絶された

小学校3年の時、人生でもっともつらい拒絶を体験しました。私は、人気者になりたい、好かれたい、愛されたい、尊敬されたいと思っていたのに、拒絶されたのです。

当時、私は、上級クラスにいて、白人の生徒ばかりの中にいる2人の黒人のうちの1人でした。これは悪いことではありません。私は、クールな黒人の子供として皆にグーンと呼ばれていました。

私は勉強がよくできて、みなが私のテストをカンニングしたし、私のジョークで笑い合い、楽しくやっていました。

あるとき、休憩のあと教室に戻ったら、黒人の子供たちが、輪になって大笑いしていました。外交的で自信のあった私は、皆のジョークの輪に入ろうとしました。

「ヘイ、何を笑ってるの?」

誰も返事をしませんでした。

「何がそんなに面白いのかい?」

すると、ある少年が、「おまえが面白いんだよ、ホワイトボーイ(白人少年)」と言い、どっと皆が笑いました。

その瞬間、とても恥ずかしくて、拒絶されたと感じました。

あとでわかったのですが、私は、白人のようにふるまう黒人だと学校中で知られていたのです。

拒絶がきっかけで自分を偽るようになった

拒絶された瞬間、私は自信と自尊心をなくしました。自分の個性を大事にする代わりに、自分自身を偽って、黒人コミュニティの仲間に入れてもらおうとする長い旅が始まりました。

服装も話し方も、聞く音楽も変えました。笑い方さえも。

学校をサボり始め、ドラッグを売り、まずい決断をしてしまったのも、黒人の仲間に認められ、受け入れてほしかったからです。

実際、それはうまくいきました。彼らは私を受け入れて、仲間の1人だと思ってくれました。

でも心の奥底では、受け入れてもらえたのは、本当の自分ではないとわかっていました。そういうふうに見せかけていた自分が受け入れられただけだと。

皆が、嘘の自分をよく思ってくれればくれるほど、本当の自分が拒絶されていると感じました。

拒絶が投影だとわかっていたら人生を無駄にしなかった

このときは、拒絶が時には投影にすぎないことに、気づいていなかったのです。

誰かの恐怖や不安な気持ちが、他人に投影されているだけだということに。

私をバカにした学生たちは、心の奥底では、不安を抱えていたのです。自信がなく、仲間が認めてくれること以外のことをするのが怖かったのです。

個性を認め、本当の自分になるのが怖かったから、その気持ちを私に投影していたのです。あざけりや、からかいという形で。

他人を悪く言うことで、自分がいい気分になれることがありますからね。

彼らの拒絶が、投影だと私にわかっていたら、彼らの冗談を個人的に受け取りはしなかったでしょう。彼らに認められ、受け入れてもらうために、人生の何年も無駄にすることもなかったでしょう。

本当の自分であり続け、自分よりも、むしろ彼らのことを気の毒に思っていたでしょう。

拒絶に適切に対処する

拒絶されたとき、適切に対処すれば、不安やうつ、アメリカや世界で増えている自殺を防止できます。

実際、The Oxford Handbook of Social Exclusion(社会的な除外に関するオックスフォード大学のハンドブック、本のタイトル)にのっているある研究によると、拒絶されることは、うつ病の原因であり結果でもあります。

拒絶されたあと、落ち込んだことがありますよね? 

同僚グループが、自分以外全員を飲みに誘った時。誰も、あなたのビジョンや夢にお金を投資してくれなかった時。

こんなことがあると、人は自分を嫌いになり、あきらめ、感情的な食事をして体重を増やし、Netflixをビンジワッチング(映画やドラマを一気に見ること)します。

でも、拒絶されたからといって、そんな馬鹿げたことをしなくてもいいんです。

拒絶の瞬間を、自信や成功を生み出す「てこ」として使えます。私はそうしました。

自分のユニークさに気づいた

3年生のときに受けた拒絶は、ほかの子供たちの問題を投影したものだとわかったとき、人と違う自分の素晴らしさを見つけました。

正直なところ、彼らは、私について、ある意味正しく理解していました。

私は白人のように話し、行動する黒人の子供でした。今もそうです。

そのおかげで、講演の仕事ができるし、さまざまな仕事や階級の人と仕事ができます。

薬に依存している人を助けることもできるし、エリートアスリートがスポーツ以外の目的を見つけるコーチングもできます。

子供のとき、黒人仲間が拒絶した私の資質が、私の成功に欠かせない要素となったのです。

これは、拒絶を投影と考え、それを上手に活かそうと考えたからできたことです。

2度めの拒絶

拒絶の見方の2つめは、それを保護ととらえることです。

拒絶されることは、自分の人生に存在すべきでないものや人から、自分を守ってくれるんだ、と考えます。

NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)でプレーする夢を否定されたとき、このことを学びました。

私はフルライドの奨学金を得て、セントラル・ミシガン大学に進学し、ディビジョン1でフットボールをしていました。

スポーツで金持ちになり、有名になろうと思っていました。両親に家を買い、家族全員を貧乏生活から救うつもりでした。

多くのコーチや選手が、私の身長、スピード、運動能力があれば、必ずNFLでプレーできると太鼓判を押しました。

ところが、私は、1年のとき、背中の椎間板(ついかんばん)を痛めてしまい、大学生活も終わってしまったのです。

これまで努力してきたことを、否定されたわけです。

自分はだめな人間だと思った

この拒絶を私は、個人的に受け止めました。怪我をしたことを、自分に合わないキャリアから、自分を守ってくれたのだ、と考えなかったのです。

人生に嫌われていると感じました。大好きなスポーツや、運動選手としての評価を得られないのなら、自分の価値はないと思ったのです。

スポーツをあきらめる代わりに、運動選手としての夢をキープするため、私は馬鹿なことをしました。

免責同意書に署名して、再び、元のチームでプレーするためにリハビリをしました。

その結果、2年間、自分の体に、薬物依存、痛み、不眠を強いました。

しかし、どれだけ鎮痛剤を飲んでも、どれだけ背中に硬膜外(こうまくがい)への注射を打っても、自分のキャリアが終わった現実は変わりませんでした。

拒絶されることを避けるために何をしてもうまくいかなかったのです。

拒絶されるのは、自分に価値や未来がないと感じ、私はとても怖かった。

人生は、私と、運動選手になるためのこれまでの努力を完全に否定したのだから、私は失敗したのではなく、自分自身が失敗作なのだと思いました。

ひどいうつ状態になる

自分はだめな人間だという思いのせいで、私は、ひどいうつ状態になりました。

自殺を考えました。また拒絶される目にあうぐらいなら死んだほうがましだと思ったのです。

翌日、目が覚めないように、薬を一瓶まるごと飲みました。

酒を飲み、薬も飲んで、車を運転しました。事故が人生を終わらせてくれることを願って。

自分を飢えさせもしました。4週間で体重が275ポンド(125キロ)から、219ポンド(99キロ)に落ちました。

それもこれも、拒絶をどう扱っていいのかわからなかったからです。自虐的な行動のせいで、私はデトロイトの精神科に入院することになりました。

入院先で希望を見つけた

この病院で、人生が変わるような体験をし希望や目的を見つけました。そして、自分が体験した拒絶は、ベストではない未来から自分を守ってくれたのではないかと、考えるようになりました。

自分が思い描いていた未来より、もっといい仕事や人生があるのではないかと思ったのです。

それから数年間、人生の目的や意味に関するあらゆることを調べました。本を読み、オンラインコースを受け、人々に聞き、祈り、瞑想をしました。TEDトークもたくさん見ましたよ。

そうやって新しいスキルを身に着け、新しい興味を模索しました。

いつのまにかもっといい人生を築いていた

そうしたら、時がたつにつれ、私は、運動選手の人生よりも、もっと好きで、楽しめる人生を築いていたのです。

人生を完全に否定されていなかったら、というか、拒絶が私を守ってくれなかったら、こんなことはできなかったでしょう。

私は自分が体験したような、考え方のシフトを必要としている人がほかにもいるのではないかと思いました。

拒絶されたことを、自分には価値がないとか、将来が不安だというふうにとらえるのではなく、それは、自分の人生にはふさわしくないものや人から自分を守ってくれたんだ、という考え方です。

拒絶をネガティブで屈辱的なものと考えるのをやめ、大きな成功に必要な成長のツールで触媒だと考えたら、どうなるでしょうか?

拒絶を成功へのバネにする

私が尊敬する、人生で大成功をおさめた人たちは、どうやって拒絶を克服してきたのか、考えずにはいられません。

こんなふうに思うんです。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、自分の信じるメッセージや使命を否定されることがなかったら、あんなに偉大なリーダーにはなっていなかった。

マイケル・ジョーダンが、高校時代、コーチに拒絶された体験がなければ、史上最高のバスケットボール選手には、なれなかった。

スティーブ・ジョブズが自分の会社から拒絶されていなかったら、アップルは世界最高のテクノロジーの企業になっていなかった。

もっと重要なのは、皆さんが拒絶された瞬間に、泣いたり、怒ったり、苦い思いをしたりするのではなく、その瞬間を分析し、それを保護や投影と考えていたら、人生がどんなふうになるかです。

痛みや不幸な状況の中に、宝物が埋まっているのではないでしょうか?

そこで、思いがけない人生への道を切り開く鍵が見つかるのではないでしょうか?

もっともつらい拒絶の瞬間のその下に、次の成功への道があるのではないでしょうか?

このトークの最初に、皆さんに、一番最近、拒絶されたのはいつか、と聞きました。

上司から? 別れた配偶者から? 親や友達から拒絶されましたか?

それとも、不運に?

最後に、「それで、その拒絶をどうしますか?」と聞いて終わります。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

street cred = street credibility   若者の中での信用や人気。同じ服装、スタイル、興味、文化、意見などを持つことで、その街(コミュニティ)に住む若者として受けいれてもらえること。

liability waiver  免責同意書(損害賠償責任を負うべき者に対し、責任を追及する権利をあらかじめ放棄することを約束した書面)。

epidural shot  硬膜外への注射、硬膜外ブロック注射。神経の伝達を遮断して、痛みを和らげる注射。

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考え方を変えておもしろいシナリオにする

一口に拒絶と言ってもいろいろありますが、コミュニティの仲間から、のけものにされるのも、ずっと目指してきた夢を断たれるのも、ともに大きな拒絶で、悲しいできごとすね。

こんな体験をしていなかったとしても、生きていれば、思い通りにならないことはいくらでもあります。

拒絶された瞬間は、ショックで悲しいけれど、結局、どれも、人生の中の1つのできごとに過ぎません。

人間として自分自身が拒絶されたのではなく、その特定のできごとではうまくいかなかっただけなのです。

よく人生を映画にたとえるといい、という話を書いていますが、映画やドラマで言えば、拒絶されたストーリーは、1つのエピソードにすぎず、そのエピソードで、2~3回話が続いたら、次は全く別の展開の話になります。

ところがこの拒絶をどこまでも引っ張る人がいます。

これはつまらない物語のシナリオであり、自滅への道です。

自分が拒絶されたとは思わず、1つのお話にすぎないとポジティブに考えて、前に進んでください。

*****

スタンソンさんが、消極的な自殺をいろいろと試みていたとき、本当に死ななくてよかったですね。

自殺は当人にとってはもちろん悲劇ですが、残された人にも心に深い傷を残す悲劇です。

まあ、自殺するときは、こころの病気が進んでいるので、周囲の人のことなんて、考えないでしょうが。

そこまで、症状を悪くしないためにも、心が弱っていると気づいたら、カウンセリングを受けるべきですね。

ふだんから、ストレスマネジメントをすることも大事です。

健康的な生活もおすすめです。

そんなの、地味でおもしろくないと思うかもしれませんが、とても重要ではないでしょうか?





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