自己啓発本

ミニマルな日常

自己啓発書(片付けや貯金の本)を読んでも何も身につかず、本ばかり買ってしまう問題。

去年の6月に出版した筆子の本、「買わない暮らし。」を読んでくださった読者からメールをいただきました。

本は楽しんで読んだのに、読んだそばから、どんどん買い物してしまって自己嫌悪を感じているそうです。

返事をください、とあるので、この記事で返信しますね。差出人はみぽこさんです。



貯金がゼロで苦しい

件名: 筆子さんこんにちは

新刊を購入し、拝読させていただきました。

すごく分かりやすく書いてあってぐいぐい読めました。

しかし、読んだそばから買い物しまくってしまい、自己嫌悪に陥ります。

片付けや貯金の本をよんでも何も身に付かないのに指南書だけはどんどん買ってしまいます。

月1万でも貯金をという記事をよんでも、1年間も、がまんしてたった12万にしかならんのかあほくさ! ってなる残念な脳です。

家計簿をつけてますがまた、赤字だわーと、見るだけ。

欲しいものは値段も見ずに買ってしまいます。

いったいどうしたらいいでしょうか?

買い物できないならなんのために働いてるの? なんのために、生きてるのってなります……。

でも、貯金が0で苦しいです。





みぽこさん、こんにちは。お便りありがとうございます。

本を買って読んでいただき、うれしいです。

本が売れないと、次の本は出ないので、本を買っていただけるのは著者としては、とてもありがたいことです。

でも、あの本、役に立たなかったのですね。

それはちょっと残念です。ですが、1度読んでおしまいにしないでください。この点については、記事の後半で書きます。

さて、「いったいどうしたらいいんでしょう?」という質問に回答してみます。

1番の課題を見つける

メールを拝見すると、みぽこさんは、いくつかの問題を解決したいと思っているようです。

・片付けや貯金の本を読んでも何も身につかない⇒ちゃんと身につくようにしたい?

・どんどん指南者を買ってしまう⇒指南書ばかりを買うのをやめたい?

・家計簿を見て、赤字だ、と思うだけ⇒もっと家計簿を活用したい?

・欲しい物は値段も見ずに買う⇒ちゃんと値段を確認して買いたい? ということは、予算の枠内で買い物がおさまるようにしたい?

・買い物できないなら生きていても仕方がないが、貯金はしたい⇒好きなだけ買い物を続け、かつ貯金もしたい?

このように、みぽこさんには、現状の中で、いくつか変えたい部分があります。

このメールに書かれていないこともあるでしょう。

こうした、「もっとこんなふうにしたい」「こうなったらいいのに」と思う数々のことの中から、今、一番変えたいことを一つだけ選んでください。

そして、その問題解決のために動きだしましょう。

あれも、これもと手を出すと、どれも虻蜂取らずになりますし、もっとも重要な問題を解決するか、その解決に向かって前進しているときは、ほかの問題もおのずと解決されていきます。

この記事では、指南書ばかり買う問題を変えることにフォーカスしますね。

買い物ばかりする生活を変える方法は、買っていただいた本に、「これでもか!」というほど盛り込んでいるし、ブログの過去記事にもたくさんありますから。

自己啓発書が役に立たない理由

片付けや節約の指南書は、自分の人生や生活を良いほうに変えるための本ですから、自己啓発書に入ると思います。

自己啓発書は、英語ではself-help(セルフヘルプ)と呼ばれます。自分で自分を助ける本です。

さて、自己啓発書を読んでも何も身につかないとしたら、これらの本があくまで、セルフヘルプの本だからです。

つまり、自分で自分を助けるための本なので、「自分」の部分がなかったら、何も助けにならないのです。

セルフヘルプは自らを助けるためのものであり、本があなたを助けてくれるわけではありません。

この点がわかっていたら、セルフヘルプ本ばかりどんどん買うのは、無駄だと気づくと思います。

自分自身が、生活を変えるために、何らかのアクションを取らない限り、いくら片付け本や節約の本を読んでも役立ちません。

自分では何もせず、「け、読んで損した、お金と時間、返してよ」と思うとしたら、それは著者のみならず、自分のほうにも原因があります。

「読むだけでいい、読むのが楽しいの」「片付けや貯金に関する情報を知りたいだけ」「本を読んで語彙を増やしたい」「日本語を忘れないように、和文を読んでおきたい」といった目的で読むのなら、セルフヘルプのセルフの部分は発動しなくてもいいですよ。

しかし何らかの変化を呼び込みたいと思って読むのであれば、自分の努力は惜しむべきではありません。

役立たないのにどんどん買ってしまう理由

さて、そんなふうに、自分が行動しなければ、全く役立たない自己啓発書ですが、自己啓発書や各種マニュアル本はわりと人気があります。

なぜでしょうか?

そこに夢や希望があるからです。

セルフヘルプの本には、「こんなふうにすれば、あなたもこうなれる、こんなことができる」と書いてあります。

その本は、明るい未来を約束してるように思える本です。

わくわくするような話、胸が高鳴る成功談が書かれていることもあります。高くても2000円ぐらいなのに、いい夢を見させてくれます。

読んでいるうちにやる気になって、ふだんは全く不用品を捨てないのに、その日は、ずっと気になっていた古ぼけたTシャツの1枚か2枚、捨てることができるかもしれません。

本を読んでいるときは、「貯金できる自分」や、「スッキリした部屋に住む自分」をありありと想像することができるので、みょうにやる気になるのです。

しかし、読み終わると、ほどなくその本から得たインスピレーションは消えます。

読んだ内容だってすぐに忘れます。

そしてまた、いつもの無駄遣いばかりする自分や、ガラクタをたくさん溜め込む生活に甘んじる自分に戻ります。

しかし、みぽこさんは、こんな生活は嫌ですから、また希望を感じさせてくれるセルフヘルプ本に手を出すのです。

しかし、自助努力をする気は、いっさいないため、次の本も、読んでいるときは楽しくても、みぽこさんを助けてくれることはありません。

そこでまた次の本に手を出します。

セルフヘルプ本ばかり、次々と買う人は、買って読むことが、ある種の癒やしになっているのではないでしょうか?

ストレスの多い生活やつらい現実を一時だけ忘れさせてくれるから。「こんな自分になれる」と希望を持たせてくれるから。

セルフヘルプ本を読むことは、甘いおやつをばくばく食べたり、ドラマや映画をビンジワッチングしたり、ソーシャルメディアにのめりこんだり、どんどん買い物したりするのと同じ効果があると思います。

知識欲や好奇心も満たされます。

「私は、よりよい生活に向かってがんばっている」という錯覚も得られます。

しかし、その癒やしや錯覚は、いっときのことです。

いくら、甘いものを食べ、好きなものを買い、思う存分、YouTubeを見て、「がんばっている自分」に酔っても、自分が何とかしたい問題の解決には全く役立ちません。

役立たないどころか、きのうも似たようなことを書きましたが

自分で管理できる量まで、物を減らす近道とは?

お手軽にドーパミンを出す行動にすっかりはまって時間を失い、もっと大事にしたいことや大事にすべきことを大事にせず、一生を棒に振る恐れだってあります。

セルフヘルプ本を役立たせるコツ

自分がしっかりイニシアチブを取れば、セリフヘルプ本は、役立つものになります。

まず、次々とセルフヘルプ本に手を出すのをやめてください。

どれも似たりよったりの内容ですから。

これまでに、たくさん読んだセルフヘルプ本の中から、「これは!」と思った本や、自分にしっくりくる本を1冊(1冊にしぼりきれないなら3冊ぐらい)選びましょう。

そして、再読します。

読みながら、「これは、いい考え方だ」「いい言葉だな」「ここは私の生活に取り入れるとよさそうだ」と思ったところに、印をつけたり、付箋を貼っておきましょう。

最後まで読んだら、今度は、印をつけたところをもう一度読んで、1つだけ実際にやってみてください。

仮に、「買わない生活。」を軸にするとします(もちろん他の本でもOK)。

この本を書いてから時間がたっているので、何を書いたかもう覚えていませんが、よけいな買い物をしないために

・30日間待つノートを書く

・買い物メモを作って買い物する

・通販サイトのメールはすべて解除する

・買った物をすべて記録して、買い物の傾向を調べる

こんな小さな工夫が書いてあると思います。

これらをやってもいいし、

・買い物をする心理的ニーズをつきとめる

これをしていただいてもかまいません。

こちらは自分と向き合う必要があるので、やや時間がかかりますが、買い物習慣を変えるさい、とても効果があります。

どんなことでも実践すると、いろいろ気づきがあります。

そうしたら、また本を読み返して、次にやってみるとよさそうなことや、チャレンジしたいことを見つけて、やってみてください。

買い物について考える

最後に、ふだんは無意識にやっている買い物について、考える時間を作ってください。

みぽこさんは、買い物できないなら、生きていても仕方がない、と思っているようですが、どうしてそう思うんでしょうか? その理由、原稿用紙5枚ぐらいに書けますか?

みぽこさんにとっての理想の人生はどんな人生ですか?

ふだん、値段も見ずにいったい何を買っているのでしょう? 

「欲しい!」と思って買った物たちは、その後、どうなっているのでしょうか?

片付け本や貯金の本は、買ったのに、全く役立っていないんですよね? それなのに、なぜまた買うのでしょう?

ドーパミンを出す刺激が欲しいだけですかね?

やる気のもと、ドーパミンについて知っておくべきこと(TED)

「1年間がまんして12万円しか残らないのはあほらしい」と書いていますが、月1万円貯金するのに、何をどうがまんするのがあほらしいのでしょうか?

すごく無駄遣いしている人の場合、特にがまんしなくても、無駄な出費をカットすれば、1万円、貯金できると思います。

そもそも、がまんしたことがない人に、あほらしいとか、価値がある、とわかるのでしょうか?

値段も気にせず、欲しいものをどんどん買っているのに、なぜ家計簿をつけているのでしょうか? つけるだけ無駄じゃないですか? それこそあほらしいと思いませんか?

こうした質問に答えながら、買い物に対する考え方を修正していくと、貯金もできるようになります。

本当に貯金をしたいのなら、ですが。

買わない暮らし。⇒筆子の新刊『買わない暮らし。』(6月16日発売)著者による内容紹介。現在予約受付中です。

買い物習慣を変える工夫(まとめ記事)⇒買わない習慣を身につける方法を書いた記事のまとめ

******

以前もブログに書いたことがありますが、

この記事⇒金運に恵まれるように、最近私がお金にしていること

昔、マドンナがテレビのインタビューで、買い物をするとき、「一応値段を聞く」と言っていました。

お金の心配をしなくていい自分はとても恵まれているけれど、お金は人生で一番大事なものではない。お金が自分を助けてくれるわけではない、とも。

ではあなたも質問、感想、その他言いたいことがありましたら、お気軽にメールください。

お待ちしています。





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