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わたしがトランス脂肪酸を避けている理由をお伝えします。
トランス脂肪酸の危険性を書くまえに、そもそも油とは何か、というところから説明を始めますね。
油はなんとなくからだに悪そうで、太りそうで、生活習慣病になりそうだ、でも、アルファリノレン酸は、取らなきゃいけない、とか、アルファリノレン酸なのに、オメガ3脂肪酸と呼ばれたり、似たようなのでリノール酸があったりと混乱しませんか?
油のことがすっきりわかるように、順番に、できるだけわかりやすく説明することにしました。ちょっと漢字が多いですが、よろしければおつきあい下さい。
まずは油の基本の「き」から行きますね。
そもそも油とは?
油は、水に溶けず、水よりも軽い可燃性物質。ポイントは水に溶けないことです。油をコップの水に入れると、水に混ざらずまるくなって上に浮いてきますね。
油の種類
動物性、植物性、鉱物性のものがあります。
■動物性
動物からとれるもの。生の牛肉や豚肉の白い部分が油です。
動物性の油は溶ける温度(融点)が高いです。つまり低い温度では溶けないので、室温では固体のものが多いです。
動物性油脂の代表は、ラードやヘット。ラードは豚の脂です。ヘットは牛の脂。
確かにラードって白くてねっとりしていて固まっていますね。ラードはヘットより融点が低いので中華料理によく使われます。
魚の油は融点が低いものも多く、液状に近いものもあります。
■植物性
植物からとれる油。たとえば、ナタネ油、オリーブオイル、ひまわり油、グレープシードオイルなど。
ナタネ、大豆、ヒマワリなどを絞って(圧搾)、溶剤を加えて油分を抽出して作ります。植物油は融点が低いので、液体なのです。
植物油でもココナツオイルやパームオイルなど、亜熱帯地方の果物の油脂は、固体に近い油が多いです。
■鉱物性
石油など。これはふつうは食べません。化粧品に入っていたりします。
油、油脂、脂肪酸の違いは?
「あぶら」を表すのに2つの漢字があります。小学校で習ったと思いますが、違いを確認しておきます。
一般に常温で液体のあぶらは「油」、個体のあぶらは「脂」と区別し、2つあわせて、油脂と呼びます。油脂=油 という理解でいいと思います。
油脂は脂肪酸とグリセリンからできています。
脂肪酸は炭素の原子が鎖状につながった分子で、はしっこに酸の性質を示すカルボキシル基(-COOH)がついています。
脂肪酸は脂肪酸どうしでつながっているのではなく、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の組み合わせでできているのですね。
人のからだの細胞を作るのに脂肪酸は必要なので、人間は脂肪酸がはいっている油脂、つまり油を摂取する必要があります。
完全な油抜きをしてはいけません。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のち外
炭素の結合の仕方によって、脂肪酸はいろいろな種類があります。ここでは、よく出てくる飽和、不飽和の脂肪酸についてご説明します。
飽和脂肪酸とは?
飽和脂肪酸は炭素の二重結合がないものです。昔化学で習ったと思いますが、炭素は手が4つあります。飽和脂肪酸は、その4つの手がすべて水素(はしっこは酸素)とくっついています。これ以上炭素はくっつきようがないので、飽和しています。
飽和脂肪酸がたくさん含まれている油脂は、室温で固形である、動物性の油脂(バターやラードなど)です。肉をそのまま食べても、飽和脂肪酸を摂取することになります。
飽和脂肪酸はからだのエネルギー源や、細胞を作るもとです。
たとえば、ラード(豚の油)やヘット(牛の油)が飽和脂肪酸です。
先にも書きましたが、融点が高いので、飽和脂肪酸を摂り過ぎると、体内、特に血管の中で固まりやすいため、食べ過ぎはよくない、と言われています。食べ過ぎると、血液のなかのコレステロールや中性脂肪が増えることは科学的に明らかになてちます。
中性脂肪とは体内に入ったものの余って細胞にくっついたもの、つまり皮下脂肪です。
不飽和脂肪酸とは?
不飽和脂肪酸は炭素の二重結合があるものです。
二重結合は、炭素同士が2個ずつ水素を共有している構造。部分的に二重結合や三重結合があると、構造上、炭素の手が余り、不安定になります。
二重結合していなければ、炭素と水素はしっかりくっつき、安定(飽和)しているのです。まあ、このあたり、筆子もよく知りません。
二重結合あり=不飽和 とインプットすればいいでしょう。
代表的な油は魚の油やオリーブオイル。
不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸と同様に、エネルギー源になったり、からだを作ります。また一部の不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らし、善玉を増やします。
代表的なのがオレイン酸。また、魚の油に含まれている、IPA(イコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は中性脂肪を減らして、動脈硬化を予防します。
不飽和脂肪酸の中には、人が生きるのに必要な必須脂肪酸が含まれているものもあります。。
不飽和脂肪酸は一見、良さそうな脂肪に見えます。サプリメントもいろいろ出ています。しかし、取りすぎればやはり肥満(中性脂肪)になり、からだに負担をしいます。
油はすべてカロリーが高いのです。だからこそエネルギー源になるのですが。
また液体の油は酸化しやすいので、酸化した油(古い油)を摂るのもからだによくありません。
さて、この不飽和脂肪酸の中に、トランス脂肪酸というのがあります。
トランス脂肪酸
不飽和脂肪酸は、炭素が二重結合している部分がある、というのは説明しました。つまり、炭素の手が余っている箇所があります。
同じ二重結合でも水素の場所によってシス型とトランス型があります。
シスは cis で、「~のこちら側の」という意味を表す接頭語。cis の語源はラテン語で、「こちら側に」という意味です。昔はローマから見てこちら側、つまりローマに近い場所のことを言いました。
シサルパイン(cisalpine )という言葉を聞いたことがありませんか?よくマンションの名前になっています。
これは、イタリア側からみて、アルプスのこちら側、つまり南側ということです。
cisの反対語は trans トランス。 trans は、「あっちの方向へ、超えて、横切って」という意味の接頭語です。cisよりずっとよく使うのでご存知の方も多いと思います。
シス型の不飽和脂肪酸は、水素が同じ側についています。トランス型は水素がそれぞれ反対側についています。
このトランス型脂肪酸が1つでもある不飽和脂肪酸をトランス脂肪酸と呼びます。
天然の脂肪酸はたいていシス型です。しかし、乳製品の中に少しだけトランス脂肪酸があります。牛や羊は食べたものを1度飲みこんだあと、また口の中に戻してもぐもぐします(反芻 はんすう)が、こうしているあいだに、胃の中の微生物の働きによって、トランス脂肪酸ができます。
とはいえ、天然のものはたいていシス型だ、と思っておけばいいです。
不飽和脂肪酸は、水素の手が余っているところがあるので、不安定で酸化しやすいという性質があります。
そこで、人工的に水素添加(炭素の手に水素をくっつける)して、飽和脂肪酸のような分子構造にした脂肪酸が、問題になっているトランス脂肪酸です。
天然のトランス脂肪酸は少ないので、トランス脂肪酸と言えば、たいてい工業的に作られたものなのです。
水素添加すると固形で酸化しにくい、つまり、長持ちする油脂に生まれ変わります。
代表的なのがマーガリンやショートニングです。マーガリンはバターの代用品、ショートニングはラードの代用品として作られました。
こうした食品には、トランス脂肪酸がかなり多く入っているわけです。
市販のお菓子に油を使うときは、ショートニングがよく使われます。お菓子やパンを買うときに成分表を見ると、よくショートニングがでてくると思います。
バターに比べて、マーガリンやショートニングは安いですから。
お菓子をよく作る人はご存知でしょうが、クッキーや、揚げ菓子にショートニングを使うとサクサク感がでます。だからよく使われます。
ファーストフード店でフレンチフライをあげる油にも使われている可能性がないとは言えません。繰り返しますが、ショートニングのほうがコストが安くなりますので。
☆トランス脂肪酸は何に入っているのか⇒トランス脂肪酸が入っていそうな健康によくない食べ物リスト
トランス脂肪酸の危険性
欧米の研究では、トランスファットはこんな危険があると言われています。
●悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増やし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減らす。
コレステロールはからだに必要な栄養素です。HDLはコレステロールを体内に運び、余りが出たら、HDLが残りを肝臓にはこびます。
HDLが少ないと、余ったコレステロールが血管に入りこみ、動脈硬化の原因になります。
●心臓病のリスクをあげる。
●糖尿病のリスクをあげる
1番問題なのは、体内で余ったコレステロールが酸化して、血管に入りこむことだと言われています。
ただし、どの程度のトランス脂肪酸が健康によくないのかは、よくわかっていません。人によって個体差があるだろうし、その人がほかに食べているものとの関連もあるでしょう。まだまだ調査中なのです。
世界保健機関(WHO)はトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満に押さえるように勧告しました。
カナダでは、食品にどれだけトランス脂肪酸が含まれているか表示するようになっています。またオーガニックフードの店でお菓子を見ていると、よく「トランス脂肪酸は入っていません」と書いてあります。
日本ではあまり規制がきびしくない
欧米ではずいぶん前から問題になっているトランス脂肪酸。日本では特に法律の規制がありません。
その理由は、欧米人に比べて、もともとトランス脂肪酸を取る量が少ないということと、どのトランス脂肪酸が健康によくないのか、データが充分そろっていない、ということのようです。
確かに、北米の人(とおおざっぱに書いてしまいますが)は、バターなど油脂まみれの食事をしている側面はあります。しかも一食の量が多いです。
しかし日本に住んでいても、外食したりや加工食品を食べる率が高いと、トランス脂肪酸をたくさんとってしまいますので、気をつけるに越したことはありません。特に最近は「便利な食品」が多いですから。
私たちは「便利」とひきかえに多くのものを失っているのは、意外と気づかないものです。
私は砂糖も避けています⇒白砂糖はこんなに体に悪い~私が砂糖をやめた理由とは?
カフェインもやめました⇒カフェインの本当の恐ろしさにせまる~私がカフェインをやめた理由とは?
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トランス脂肪酸の摂取にそんなに神経質になることはない、という意見もあります。しかし、ふだんマクドナルドなどのジャンクフードをよく食べている人は要注意です。
コンビニスイーツなんかも、あぶない気がします。まあ、程度問題ですが。品質表示をよく見たほうがいいですね。
また、小さな子供には、あまり市販のお菓子を与えないほうがいいです。子供なのに動脈硬化になってしまいそうなのと、やはりヘルシーな食習慣は小さいときからつけたほうがいいと思うからです。
子供をマクドナルドに連れて行くのは、たまのことにしたほうがいいでしょう。
トランス脂肪酸が悪いと言われ始めたので、最近のマーガリンのメーカーはトランス脂肪酸のかわりに、天然で、もともとかたまっているパーム油を使うケースが増えています。
すると今度は飽和脂肪酸の摂取が増えてしまいます。
マーガリンそのものを食べないほうがいいかもしれないですね。
一口に飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸といっても、その分子構造によって、さまざまな種類があり、複雑に作用してあっています。
ですが、人工的に作ったトランス脂肪酸は、生体である人間にはよくないのではないか、という気がします。
私は、「なるべくファーストフードの食べ物や、加工品を食べるのはやめて、自然に近い状態の食品をとるのがよいだろう」という結論にいたりました。そこで、ジャンクフードも市販のお菓子も避けているのです。