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マンションの住人が吸うタバコの煙に悩んでいる読者、とまとさんからお便りをいただきました。
とまとさんは、10年前に化学物質過敏症(MCS)と診断されたそうです。
カナダの受動喫煙対策、特に集合住宅ではどんな対応がされているのか、という質問をいただいたのでこの記事でお答えします。
日本は化学物質に無頓着すぎないか
件名:香害・化学物質過敏症の記事を拝見させていただいた感想と質問です。
筆子様
こんにちは。
以前二度ほどメールさせていただいた、とまとと申します。
6月2日には化学物質過敏症(MCS)に言及してくださり、ありがとうございます。
嬉しい内容で、折を見てメールさせていただきました。
私は10年ほど前にMCSと診断を受けました。
親は重症のMCSで、一時期は新品の服に呼吸困難やけいれんといった症状が出て着られず、私の古着を実家に送っていました。
親は化繊は着られず、市販の食材は多くが食べられず、公共交通機関にも乗れません。
ひょうさんのおたよりにあった香害もそうですが、昨今は「化学物質過敏症」という名称が知られるようになり、理解も広がってきているなと感じます。
ただ知名度が上がるということは、それだけ患者が増えているということです。
特に子どもの重症患者は学校に通うこともできず、親子ともども将来に不安が多いと思います。
最近の研究では化学物質過敏症は脳過敏によるそうで、筋肉の少ない女性がなりやすいそうです。
ただ周りを見ると、若い女性が非常にケミカルに無防備であると感じます。
柔軟剤、化粧品、制汗剤、整髪料、抗菌防臭の服やグッズ……誰でもMCSになるのに、と心配になります。
カナダはケミカルな製品が少なく、日本に帰国してMCSが悪化する人も多いと聞きました。
受動喫煙もMCS重症化の一因とされますが、日本ではまだ受動喫煙防止の配慮義務しかありません。
私は同じマンション入居者の刺激臭(加熱式または電子タバコ?)で夜中に起こされる日々です。
昨年は紙タバコ臭でMCSが重症になりかけ、危機感を抱きました。
MCS患者が増加する一方、日本はタバコや柔軟剤も含めた化学物質にかなり無頓着なのではないかと感じます。
ちなみに、カナダの受動喫煙対策はどうなっていますでしょうか。
カナダの状況について、特にマンションの受動喫煙についてどのような対応がされているのか、もしよければご教示いただければありがたいです。
とまとさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
いつもブログを読んでいただき感謝します。
眠っているところをにおいで起こされるのは、本当につらいですね。
化学物質過敏症の原因や発症の仕組みには、まだわかっていないことがあります。
この記事ではそこには踏み込まず、ご質問の受動喫煙対策に絞ってお答えします。
カナダは公共の場での喫煙にはきびしい国です。
ただし、集合住宅の自室に入ってくる煙まで、防げるわけではありません。
カナダでは屋内の公共の場はほぼ全面禁煙
カナダでは、連邦政府だけでなく、州や市もそれぞれ禁煙のルールを設けています。
細かい決まりには地域差がありますが、レストランやバーを含む屋内の公共の場では、基本的にタバコを吸えません。
建物の出入り口の近くも禁煙になっている地域が多く、電子タバコも同じように制限されることがあります。
規制が徹底しているせいか、人々も他人のいるところではタバコを吸いません。
自分の家なのに室内では吸わず、外に出る人もいます。
真冬にオフィス街を歩くと、建物の外で立ったまま吸っている人を見かけます。
マイナス20度、ときにはマイナス30度になる日でもです。
あの寒さの中でも吸わずにいられないのだから、ニコチンの依存性は強いと思います。
同時に、それほど吸いたい人でも屋内では吸わないわけです。
■カナダの規制について詳しく知りたい方はこちらをどうぞ(英語です)⇒カナダ保健省:タバコと電子タバコの規制
集合住宅の部屋は、契約や規約に左右される
集合住宅では、廊下、エレベーター、ロビーなどの共用部分を禁煙にしている地域がたくさんあります。
一方、それぞれの住戸やバルコニーまで全国一律に禁煙にする法律はありません。
そこで大きな意味を持つのが、その建物の契約や規約です。
賃貸契約に禁煙条項があれば、部屋の中での喫煙が認められないことがあります。
分譲住宅でも、管理規約によって住戸やバルコニーでの喫煙を制限している建物があります。
ただし、どこまで禁止できるかは地域や建物によって違います。
カナダでも、自室に隣の煙が入ってくる問題は残っています。
カナダ保健省が2015年に出したガイドでは、集合住宅に住む人の36パーセントが、よその住戸やバルコニーなどから煙が入ってきた経験があるとされています。
公共の場の規制が進んでいても、集合住宅の受動喫煙が完全になくなったわけではありません。
ちなみに、私はカナダで(日本でも)集合住宅に住んだことはありません。
■集合住宅の受動喫煙についてはこちら(英語です)⇒カナダ保健省:集合住宅を禁煙にするためのガイド
日本に帰ると、空港からタバコのにおいがする
毎回、日本に帰ると、飛行機を降りて到着通路を出た瞬間、タバコのにおいを感じます。
喫茶店の非喫煙エリアに座っても、区切りがゆるく、煙が漂ってきたことがあります。
そもそも非喫煙エリアのない店もありますよね。
日本でも受動喫煙を防ぐ法律が整い、2020年から多くの施設が原則屋内禁煙になりました。
ただ、喫煙専用室や一部の小規模な飲食店には例外が残っています。
私が感じる違いは、細かい法律より、人と共有する場所で吸わないことが当たり前になっているかどうかです。
カナダでは、吸う自由はあっても、煙は他人と共有する空間に持ち込まないという考え方が広く受け入れられています。
一方、日本は、吸う人のための場所を社会が用意して共存させようとしているように思います。
煙の問題について管理会社に伝える
とまとさんの今のつらさを減らすためにできることがあります。
におい(煙)で起こされた日付と時刻、においがした場所、どのぐらい続いたかを記録してください。
窓、換気口、玄関など、どこから入ってくるように感じたかも書いておきます。
その記録をもとに、管理会社や大家に、建物の喫煙ルールを確認し、住人への注意喚起をお願いしましょう。
たとえば、「夜中にタバコのような刺激臭が室内に入り、眠れない日が続いています。建物の喫煙規則を確認し、住人全体に周知していただけませんか」と伝えます。
煙を出す本人は特定できないと思うので、直接言いに行く必要はありません。でも、管理会社には伝えるべきだと思います。
家は、夜、安心して眠れる場所であるべきです。
においの好き嫌いとして軽く扱わないで、生活に支障が出ている事実を伝えてください。
もし、症状がひどくなったら無理をせず、診察を受けている病院でも相談してくださいね。
⇒香料の記事に届いた反響:頭痛、苦手な匂い、外出もつらい現実
⇒私が香水やオーデコロンを使うのをやめた理由。その香料は本当に安全か?
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受動喫煙は、自分がどれだけ気をつけても、避けきれないときがあります。
一人ひとりが我慢するより、人のいる場所ではタバコは吸わないという社会の常識を作るほうが効果的です。
とまとさんの声が少しずつ広がっていくといいですね。
それでは、とまとさん、どうかお大事にお過ごしください。
感想などありましたら、お気軽にメールください。
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