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他人からの承認や称賛がたくさんないと、不安な人におすすめのTEDの動画を紹介します。
タイトルは、Self-Love, be Intentional (セルフラブ、意図的になること)。プレゼンターは、南アフリカ共和国のモデル、ケイトリン・ルー(Caitlyn Roux)さんです。
セルフラブは「自己愛」ですが、これは自己陶酔したり、自己中心的になったりすることとは違います。
自分というものを知る努力をし、自分を大事にし、より成長していこうとすることがセルフラブだと思います。
セルフラブ、意図的になること
収録は2017年10月、TEDxYouth@CapeTownという、ケープタウンの高校で行われたイベントでの講演です。
動画の長さは、およそ9分。字幕はないので、英語に興味のない方は抄訳を参照してください。コンセプトはシンプルで、難しい単語も出てきません。
自分を自分たらしめているものとは?
みなさんに質問があります。
みなさんを人間として意味づけているものってなんですか? どんなことが、あなたをあなたにしていますか?
多くの人は、外見や仕事、預金残高なんかで、自分を定義しようとします。
他人の意見をもとに、生活するのです。
以前の私には、自分のアイデンティティを決めるものが3つありました。
人の機嫌をとることが最優先
高校時代、人の機嫌をとることに熱心でした。みなに好かれたいと思っていたのです。
人に好かれれば好かれるほど、この先、ほしいものが手に入ると思っていたから。人気者になることは、すばらしいことだと思っていたから。
皆に好かれる人になれるよう、とてもがんばりました。人生のほとんどの時間を、人の意見に合わせて生きていたのです。
次にこだわったのが体重
16歳のとき、体重にこだわりはじめました。雑誌の表紙の女性みたいになりたかったのです。
サラダを中心に食べ、いつもカロリーを気にしていました。自分を飢えさせるようなことまでしました。それも何年も。
太ももやウエストを細くしたかったのです。
彼氏が世界の中心だった
高校での最後の2年間、付き合っている人がいました。当時、自分の幸せは誰かがくれるものだと信じこんでいました。
だから、相手に、「私は価値のある人間だ」「私は大丈夫なのだ」と思わせてくれるよう、かなりプレッシャーをかけました。
彼と別れて失意のどん底に
2人の関係が終わったとき、打ちのめされました。
自分自身の足でどうやって立ったらいいのかわからず、自分を見失い、ひとりぼっちになって大きな恐怖を感じました。
今になって思うと、こんなふうに自分がからっぽになってしまったのは、私が、自分自身のことを全く知らなかったからなのです。
そのころの5ヶ月間は、とてもつらい時間でした。これまでの人生でもっともつらく、また感情的になった5ヶ月でした。
自分が感じている痛みや感情をどうしていいのかさっぱりわかりませんでした。
ある日、別れた相手に電話をし、「いま、幸せ?」と聞いたら、彼は、「うん」と言ったのです。
この瞬間、私も幸せになろうと決めました。自分なりの幸せを見つけよう、と。
こんなつらい気持ちや波立つ感情にはもうおさらばしようと思ったのです。
自分で幸せになることに決めた
そこで、まず、この別れについて、文章に書いていきました。自分がどう思っているかつづったのです。
いま、読み返してみると、よく、ポジティブな言葉(positive affirmations)で終わっています。
「だいじょうぶ、できるわよ、ケイト」。こんなふうに自分を激励していました。
私は名言や格言が大好きだから、部屋中に好きな言葉を張りました。
それから、ポジティブな気持ちになれる自己啓発書を読み始めました。
つらい気持ちから立ち直るためにできることは何でもしました。
自分には前進するちからがあると思っていたのです。ただ、そのちからがどれほどのものかは、当時の私は知りませんでした。
私が本当に必要だったのは自分だった
なんとか気持ちを立て直し、人生ではじめて、自分の足で立てること、自分自身でいられることを発見しました。
失った体験から学ぶ必要があったのです。自分が本当に必要としているものは、自分自身だけなのだということを。
高校時代は、自分に関する人の意見、体重、彼との関係、この3つが私というものを決めていました。
この3つに自分の価値を決めさせて、わたしの人生をコントロールさせていたのです。
この3つの中に、幸せを求めていたけれど、見つけることはできませんでした。
幸せは自分で作るもの
幸せとは、自分のために、自分自身で作り上げるものなのです。自分のやり方で。
この世界は、私たちが私たちのために作り上げたものです。私がお話ししているのは、社会的な意味の世界ではく、個人レベルの世界です。
それぞれが、自分の世界や生活、自分自身を形作っているのです。
つらい別れから立ち直ることを学び、自分の世界を作っていたと思っていた3つのものを捨て去りました。
自分自身を見つめ、理解することに時間をかけるようにしたのです。
この宇宙で、確実によくできるものがあるとしたら、それは自分自身です。
意図的にならなければ成長はない
いま、ジョン・マクスウェルの The 15 invaluable laws (The 15 Invaluable Laws of Growth 邦題:自分が変わるための15の成長戦略)という本を読んでいます。
この本に、とても考えさせられる言葉がありました。
子供のとき、私たちの身体はごく自然に成長する。年月がたつにつれて、背は高くなり、より強くなり、よりたくさんのことができるようになる。新しい挑戦に向かうことになる。そのせいか、多くの人が、大人になっても、魂、心、感情も自然に成長すると無意識に思い込んでいる。
私もこういう人間の一人でした。心も自然に成長すると思っていたのです。けれどもそれは違いました。
人は意識しないと成長しないのです。自分の成長に責任を持たねばなりません。偶然に成長したりしませんから。
自分とじっくりつきあう必要がある
親しい友人を思い浮かべてください。
一緒に時間を過ごせば過ごすほど、その友達のことがよくわかり、より親しくなります。
自分自身もこれと同じです。
自分を知ろうとすればするほど、自分自身と時間を過ごせば過ごすほど、自分についてよく理解できるし、自分とより親しくなれます。
自分自身と親しくなったと思うとき、とてもすばらしい感情に包まれます。
自分を一番に持ってきた
生活の優先順位の一番最初に、わたし自身を持ってきました。自分自身について知ることができたのは、これまで自分にプレゼントしたもののなかで、最良のものです。
もしまだもらったことがないのなら、みなさんにも、もらってほしいと思うギフトです。
人の言うことは気にせず、自分のやり方で、自分を成長させることにしました。
こうやって、いま、自分がなりたい人間に近づいています。他人にこうなるように言われた人間ではなく。
自分自身を1番に持ってくることは、わがままだと考える人がたくさんいます。
けれども、それは、自分で責任をもって、自分自身を見つめ、持てるちからすべてを使って自分を成功に導き、夢をかなえさせようとすることです。
人生のなかでベストの選択をしていこうとすること。つきあう人をふくめて。自分に価値をもたらしてくれる人とつきあっていくことにすること。
自分を愛せない人は他人も愛せない
ひとたび、自分を愛そうと決めれば、この愛をほかの人に与えることもできます。
自分自身を愛せないと、ほかの人にその愛をそそいで、価値をもたらすことができません。
ベストバージョンの自分を生きようとすることが、ほかの人をその気にさせ、その人たちも、ベストバージョンの自分自身になろうとするのです。
先日、友人にこんな質問をされました。「ケイトリン、どうやっって、自分の暮らしを変えようと思ったの? 自分や考え方を変えることにしたの?」
「そして、それをどうやって継続したの?」
むずかしい質問でしたが、じっくり考えてこう答えました。
人生を変えようと思ったのは、自分だけが自分の幸せを決定づけるんだ、と決めた瞬間よ。
自分がどんな人であるのか決めるのは自分であり、これまで支配されていた3つのことではないと決めたのよ。
この気持を継続するために、ネガティブな考えを押しやりました。ネガティブなセルフトークをふりはらったのです。
簡単なことではありません。
でも、どうしても、自分のことを知りたかったし、そういう強い気持ちがあれば、どんなことでもできるものです。
一番大事なのは自分自身との関係
自分との関係が、私の持つ人間関係の中でもっとも重要です。
自分をどんなふうにとらえ、どう扱うかが、他人の見方や扱いに反映します。
まず、自分を愛せない人が、どうやってほかの人を愛せるというのでしょうか?
自分に問いかけたい2つの質問
みなさん、次の2つの質問を自問してください。
1)いま、自分が持っている人間関係は、自分に価値をもたらしているのか? なりたい人間に成長できる助けになってるのか?
2)自分は、自分自身に価値をプラスしているか?
ともにとても重要な質問です。ふだんそばにいる人は、自分や自分の成長に大きな影響を与えますから。
とは言え、もっとも強い影響を与えるのは、自分自身です。
この2つの質問の答えがノーなら、きょう、変えることを決めてはどうでしょう?
変えることにしたなら、自分を過小評価しないでください。自分の価値を決めるのは自分です。
自分にフォーカスすることから始めましょう。自己を成長させることを意識すれば、いい具合に回り始めます。
いま自分がいる場所と、行きたい場所のあいだにあるのが、成長であり、人生と呼ばれる場所です。
そこには大変なことがいっぱいあります。ですが、とても美しい場所でもあるのです。
/// 抄訳ここまで ////
参考:プレゼン中、言及されたジョン・マクスウェルの本です。
自分を愛し、成長するために読みたいほかの記事
もう完璧を追い求めるのはやめよう:イスクラ・ローレンス(TED)
不安な心(ヴァルネラビリティ)に秘められたパワー:ブレネー・ブラウン(TED)
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セルフコンパッション(自分にやさしくする)の実践で人生を変える(TED)
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自己観察のすすめ
よく、セルフラブやセルフエスティームの記事を書いています。
等身大の自分を受け入れることができれば、外的承認を求めすぎることがなくなるし、何かが足りないとあせることも減ると思うからです。
そうなれば、見栄をはるためだけの買い物や、世間に合わせるためだけの余計な仕事が減ります。
ですが、日本人は和の精神を大事にする民族だから、セルフラブ的なものは、自分の価値観に合わないという人もいるでしょう。
以前、セルフエスティームをあげると謙虚さを失う、自分を大事にするのは甘やかすことだ、という意見のメールをもらったことがあります。
こちらで紹介しています⇒もっと自分を好きになろう。ラディカル・セルフ・ラブのすすめ(TED)。
そのように考える場合は、自己肯定感をさげる、自分を大事にしない、自分を殺す生き方をする、という道を選択してもいいです。
ただし、それが本当に自分の求めているものなのかどうかは一度確認しておいたほうがよいと思います。
人は、うまれたときは、なんの色もついていませんが、成長するに従って、さまざまな考え方や価値観を獲得していきます。
特に親の影響が大きいです。
多くの場合、そのことに気づかず、「これがあたりまえの生き方なんだ」と思って、生活し続けます。
ですが、「あたりまえだ」と思っている、その価値観のせいで、自分が苦しむことも多いのです。
なので、セルフエスティームという考え方に違和感がある人も、自分はどういう人間なのか、どんなことが行動の規範になっているのか、自分が大事にしたいことはなんなのか、ということは、考えてみてもいいんじゃないでしょうか?
それは傲慢なことでもなんでもありません。
たくさん物を買って心を満たそうとしたり、人からの承認を集めるために仕事や勉強をがんばるのは、外に解決法を求めている状態です。
しかし、自分を幸せにしてくれるものの正体は、自分の中にあるのです。