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亡くなった家族の物との付き合い方を教えてほしい、という読者の質問に回答します。
この方、メールの引用不可ですが、「ブログの中でもかまわないので教えてください、ポイントポイント切り取りでかまいません」ともありました。
私がお便りの内容をまとめて紹介しますね。杏さんからいただきました。
いつ遺品を捨てるべきか?
件名:遺品整理とお仏壇のご相談
私について
・私は36歳で一人っ子。独身主義。今年から本格的にミニマリストを目指している。仕事は会社経営とフリーランスでの業務。
・すでに財産を築いたので、お金には困っておらず、時間もある。
・趣味は掃除で、自分の物は何でも捨てられる。
捨てられない物
・現在、以下の物が残っている。
- 祖父の遺品(曾祖母の写真もある)
- 祖母の遺品(写真、身の回りの物、手作り品)
- 今年亡くなった母の遺品(身の回り品、事務的な書類含む)
- 今年亡くなった猫の保険証
・祖父と母は物を捨てない人間だったので、手紙、コンサートの振込用紙、半券、舞台のパンフ、病院の検査結果、お薬手帳などもある
・母はセレクトショップを開けるほど、新品タグつきのバッグ、洋服、靴、アクセサリーを持っていて(1000点以上)、半分はリサイクルショップに売ったり、バザーに出した。
・これらを売ったお金も自分では使えないので、自分名義の貯金とした。通帳に、母と祖母の名前のシールを貼っている。50歳ぐらいになったら全額寄付することになると思う。
・特に捨てられないのは、家族の手書きのものである。
・家もいらないが、どうしても手放せないから、最後まで持っているつもりだ。
・家が大きいので、すべてのものは、置き場所が決まっており、整理整頓された状態である。
・掃除もしやすいし、生活に困ることもない。だから、クローゼットをからにすることに罪悪感がある。
捨てたい理由
・父が死んだら自分は1人になる。自分の死んだあと、知らない人に処分されるぐらいなら、自分で1つずつ整理していきたい。
・現在、3つの場所(家2軒と事務所)を、掃除・管理している。掃除が好きだから、さほど苦痛ではないが、だんだん体力的にきつくなってきたし、最終的には何も残したくない。
・仏壇もいずれは処分しなければならないと思う。
悩み、または筆子に聞きたいこと
・55歳で死ぬのが理想だが、何歳ぐらいから「死に支度」として、家族の物を捨てていいのかわからない。特に、祖父と母が嫌がるのではないか、と悩んでいる。
・天涯孤独予備軍の、自分がない人間が、どうやって亡き家族の物と向き合えばいいのか助言してほしい。
・以前、自分がレギュラーで出演した番組を撮ったDVDが箱1つほど残っているが、これは捨てるべきか?
その他
・私は自分が大切ではないし、したいこともないから、「物を手放したら新しい出会いがあります」というミニマリストたちの言葉は響かない。「終活」という言葉にはこころが踊る。
・筆子の記事と書籍は全部読んだ。
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杏さん、はじめまして。メールありがとうございます。本やブログをご愛読いただき、感謝いたします。
DVDですが、捨てるかキープするかは自分で決めることです。私なら捨てます。だって、もう見ないですよね?
私は自分が出演した番組なんて絶対見たくありません。子供のころの映像なら見てもいいかな、と思いますが、そんなものは残っていません。
遺品については、3つアドバイスしますね。
相続した物はもう自分の物
遺品はもう自分の物なので、死んだ人がどう思うか、なんて気にする必要は全くない、と私は考えます。
なので、自分が捨てたいと思えば捨てればいいのです。「何歳ぐらいから?」なんて考えるまでもありません。捨てたいタイミングでどんどん捨ててください。
たまに、「私は捨てることが得意で、自分の物は何でも捨てられます。でも、人からもらった物は捨てられません/遺品は捨てられません」という人がいます。
こういう人は、プレゼントや遺品を自分の物としてとらえていないのです。
では、そのプレゼントや遺品はいったい誰の物なのでしょうか?
誰が管理すべき物なのでしょうか?
死んだ人には、もうどうすることもできません。死んだ人は、この世界で、考えることも、口を聞くことも、動くこともできません。
プレゼントにしても、管理者はもらった人以外にいません。
「もう自分の物なんだ、自分が責任を引き受けるべきなんだ」と自覚できれば、「死んだ人に怒られるかも」とか、「くれた人に悪い」とは、考えないと思います。
「捨てるな」という遺言があったら別ですが、たとえ遺言があっても、私は、手に余ったら捨てます。
自分の物として管理したくない人が、捨てない言い訳として、「故人に申し訳ない、くれた人の機嫌を損ねたくない」と言っているとは考えられませんか?
物を持ち続けることが供養になるのか考える
杏さんは、おじいさん、おばあさん、お母さんのことが大好きだったと思われます。
まあ、誰でも家族は大事だし大好きです。
だから、その人たちが持っていたものを捨てたくない、という気持ちもわかります。供養したいという気持ちもあるでしょう。
だからといって、振込用紙や事務的な手紙まで持っている必要があるのでしょうか?
クローゼットの所定の場所にきちんと整理されていて、生活する場所はきれいだから、捨てるのは変だと思っているようですが、遺品が、杏さんの心の闇の原因になっていると思います。
私には、杏さんが、大好きだった家族にすごく執着しているように思われます。
いくらたくさんの遺品を持っていたって、死んだ人は、絶対帰ってきません。
私が、亡くなった杏さんのおばあさんや、お母さんだったとしたら、「物をいっぱい残して死んでごめんね。申し訳ないけど、みんなさっさと捨ててください、掃除や物の管理なんかに時間を使わず、もっと楽しいことに時間を使ってね」と思います。
手書きの物が捨てられないなら、厳選してはどうでしょうか?
「パスポートを捨てられない」と書かれていたので、最後に更新したパスポート1冊だけを残してはどうですか?
パスポートの裏表紙には手書きで住所氏名を書いていると思いますから。
大事なのは今
メールだけで判断すると、杏さんは、過去の世界に生きていて、現在のことはどうでもいいみたいですね。やりたいこともないし、「55歳ぐらいで死にたい」、と書かれていますし。
それも1つの生き方なので、自由にしていただいてかまいませんが、お父さんとの生活を大事にしたほうがいいですよ。
人間、生きているうちが花です。
メールにはお父さんのことはほとんど出てきませんが、いま、お一人暮らしなんでしょうか?
それともお父さんとご実家に住み、おじいさん、おばあさんの家がもう一軒あるのでしょうかね?
お母さんを亡くした杏さんならわかるでしょうが、家族が亡くなると、「あのとき、もっとこうしてればよかった。もっとああすればよかった」と考えるものです。
「頼まれていた、あれ、やっとけばよかった」「あのときあんなこと言うんじゃなかった」「行きたがっていた場所につれていってあげればよかった」というように。
だから、遺品を大事にするよりは、お父さんとの時間を大事にしたほうがいいと思います。
もしかしたら、杏さんはお父さんのことは嫌いで、どうでもいいのかもしれませんが、娘が55歳で死んだら、ふつう親は悲しみます。
私は、37歳で娘を生んだので、娘が55歳のときは、すでに92歳で、もう生きていないかもしれません。
もし生きていたとして、55歳になった娘が、「もう、部屋の片付けもすんだし、やることはすんだよ。これからやりたいこともないから、私は先に死ぬね。さよなら、ママ」と言って死んでしまったら、すごいショックですよ。
亡くなった人を大事にしたい気持ちはわかりますが、重要なのは、いまじゃないですか?
お金にも困っていないし、やりたいこともないそうですが、それなら他人のために生きてはどうでしょうか。
お父さんでもいいし、仕事で会うクライアントでもいいです。他の人を笑顔にすることを考えると、心境が変わると思います。
この手のアドバイスはこころに響かないそうですが、書くだけ書いておきます。
終活や死に支度といったものは、すべて、現世(自分のいまの生活や残された人の生活)を充実させるために行うことです。
遺品が重荷になっているなら、片付けて、いまの生活を充実させてください。
それと、きょう、独身主義だ、という言う人が、来年の今頃結婚していても私は全く驚きません。
人間の心境も生活環境も変わるものです⇒人は変わり続ける。未来の自分に対する心理:ダン・ギルバート(TED)
いまの自分と生活環境がこのままずっと続いて55歳になる、とは思わないほうがいいです。
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老前整理しようとしていた矢先に遺品整理をすることに。物が多すぎて困っています。
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思い出のある品物も適当なところで処分しないと遺品整理する人が苦労する。
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遺品もありすぎるとゴミになるだけ~実録・親の家を片付ける(7)
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今回の相談者さんのように、アラフォーぐらいの女性で、結婚する気はなく、お金はたっぷりもっていて、投資などをして着実に増やしもし、
マンションもあって、専門的な仕事についていて、趣味は海外旅行、といった人のブログを読むと、あまり長生きしたくない、と書いてあることがあります。
60歳ぐらいになると、もう頭はぼけて、身体もガタガタで、とても今みたいには動けなくなる、と思っているようなのです。
容貌も著しく衰えて、まるで、やまんばのようになると想像しているみたいです。
しかし、50歳ぐらいになると、心境が変わります。うそだと思ったら、この記事をクラウドストレージに入れるか、プリントアウトして、10年後、20年後に読み直してください。私の言ったことが正しかったとわかるでしょう。